- 心揺さぶる感動小説、時代を超えて読み継がれる名著を読みたい方向けに、Audible(オーディブル)で聴き放題で読めるおすすめの世界的文豪小説を紹介
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世界的名著を読む意味・メリット
世界的名著、読み継がれる良書は、時間をかけて読む価値があります。私が考える、世界的名著小説を意味・メリットを挙げてみます。
文化と歴史の理解: 名著はしばしばその文化や歴史背景を反映する。それらを読むことで、異なる時代や地域の人々の考え方や生活について理解を深められる。一方で、「時代を超えても変わらないモノ・コト」の存在に気づかされ、「本質を見る目」が養われる。
哲学的・道徳的な洞察: 名著は深い哲学的なテーマや道徳的な問いかけがを含むものが多い。人間の存在や道徳についての考えるきっかけとなる。
感情・共感: 名著は鋭く登場人物の感情や心理を描く。これを読むこと絵、読者は他者の感情や立場を理解したり、共感する力を養うことができる。追体験ができる点も大きな価値
世界観・視野の広がり: 名著を通じて異なる文化や考え方に触れることで、自分の視野が広がる。狭い視点から抜け出し、多様性を受け入れる心が育める
語彙と表現力: 名著には豊かな言語と表現が使われている。名台詞も多く、心に深く刺さる。語彙力・表現力の向上にもつながる。
小説は人にいい影響を与えてくれます。ビジネス・マネー・教養書のように即効性はないかもしれません。しかし、「人生を追体験」したり、「自分と異なる価値観」に触れることで、共感力がUPします。また、これまで興味がなかった分野の話に興味を持つきっかけを与えてくれます。これらが、「あなたの基礎力」となっていきます。
以下で、Audibleの「聴き放題対象本」の中から、世界的名著 小説を国内文豪、海外文豪に分けて紹介していきます。
国内文豪 名著小説:おすすめ一覧
学校の教科書でならった日本の文豪小説。名著だとはわかっていても、1冊通して読んだことがない方は多いと思います。「大人の教養」として、この機会にAudibleの聴く読書で読破してみませんか? どれも、読めば名著と言われる理由がわかります。
人間失格
主人公は、東北の大金持ちの息子・大庭葉蔵。散財し、女を抱き、廃人同様のモルヒネ中毒に。
自分への価値を見いだせず、努力より「ラク」を求め、酒、女、たばこ、薬、ギャンブルに依存し、自堕落な主人公の大庭葉蔵の自堕落さ。読者は、葉蔵の弱さ(の一部)が自分と重なることに気づかされる。
人間の内面をえぐる表現とストーリーに、ただただ脱帽。文豪、太宰治の代表作!日本人なら読んでおくべき1冊。
作品:人間失格
著者:太宰治
斜陽
没落していくある貴族の家庭を描いた太宰治の代表作。「斜陽族」という意味の言葉を生みだすほどの影響力があった作品。
時代の変わり目、生き方を変えない者は、淘汰され、没落してしまうとストーリーを通じて教えられる。過去の栄光にすがることなく、変化して生きよう。
作品:斜陽
著者:太宰治
こころ
人間の内面を描いた、夏目漱石の名作。
エゴイズムと心の機微、そして、心の葛藤。小学生の私には本作の良さが分からなったが、大人の今なら、多くの人に読み継がれるかが分かる。日本で、最も読まれた小説1位・2位を争う作品(もう1冊は「人間失格」)。教養としても読んでおきたい。
作品:こころ
著者:夏目漱石
吾輩は猫である
あまりにも有名な夏目漱石の代表作であり、処女作。猫を通じて、当時の社会を批判する小説だが、結末をご存知?
知らない人は結構多い。最後の結末に、(いろんな感情を含んで)「え~!」となること間違いなし。
作品:吾輩は猫である
著者:夏目漱石
三四郎
作品の発表は1908年。明治時代の日本の近代化とそれに伴う社会変化、さらには、青年が友情・愛情を通じて成長していく姿が描かれる。
現代の大学生の自己アイデンティティの目覚め、人生の意味の模索は現代の大学生と変わらない。しかし、明治と令和では社会が変わっており、それゆえ、今ではこんなことはできないぞ、と思われる点も。時代の変化も感じながら読みたい。
作品:三四郎
著者:夏目漱石
夢十夜
永遠の愛を感じさせる感動的な夢もから、歴史上の人物の夢やおぞましいホラー要素たっぷりな夢まで、10の夢は多種多様。しかし、それぞれの話が、哲学的であり、弱い人間の姿を描き出す。そして、人生は不条理で、ままならないことを教えてくれる。深い作品。
作品:夢十夜
著者:夏目漱石
羅生門
餓死者が続出し、人の心がすさむばかり時代を生きた人々の心が描かれる。
授業で読むだけでは、本作の良さは分からない。大人になって、文学として通読した時、この小説のすばらしさが改めてわかる。短編なのに凄い読み応え!。
作品:羅生門
著者:芥川龍之介
地獄変
絵師の良秀と彼の娘、大殿様。良秀は優れた絵師だが、実際に見たものしか描けない性分。ある日、大殿様から地獄の絵を描くよう命じられるが、良秀は燃え上がる牛車の中で焼けていく女性の姿を描くことができない。
そこで、大殿様に「実際にその光景を見たい」と頼むと、大殿様はそれを承諾。その夜、良秀は大殿様に呼び出され、牛車の中で燃える女性を目の当たりにする。しかし、その女性は良秀の娘であった。取り乱す良秀。しかし、次第にその光景に魅了され、恍惚な表情を見せる。そしてー。
芸術のためにどんな犠牲もいとわない男を描いた作品。しかし、それはどこまで許されるのかー。考えて読みたい。
作品:地獄変
著者:芥川龍之介
山月記
臆病な自尊心と、尊大な羞恥心が、心のうちに潜む虎となり、家族や友人を傷つけ、我を本当の虎にした…
高校の教科書で断片的に学んだだけではこの小説の良さは絶対にわからない。中島敦の文章の美しさは、「天才」。美しい文章で、虎になった李徴の悲痛な叫びを味わいたい。
作品:山月記
著者:中島敦
李陵
作品:李陵
著者:中島敦
細雪
テーマは昭和初期の女性の婚活。4人も姉妹がいれば、それぞれに、幸せな結婚・不幸な結婚・相手の身分など、「結婚」にも差がついてしまう。しかも、名家ともなれば、いろいろややこしさもある…。
上流階級だからこの「女性の結婚」の面倒を、当時の時代背景と共に学びたい作品。
作品:細雪
著者:谷崎潤一郎
痴人の愛
美しいが淫乱・わがままなナオミに翻弄される譲治はまさに「痴人=愚か者」。
若者たちが皆、西洋文化に憧れていた大正時代、女の魔性とそれに跪く男の陶酔を描く。あきれるほどゲスいストーリーにも関わらずも、その世界観に引き込まれてしまう谷崎潤一郎の不朽の名作。
作品:痴人の愛
著者:谷崎潤一郎
春琴抄
谷崎潤一郎の作品の中でも特に美しく、かつ衝撃的な作品。単なる恋愛小説の枠を超えて、奉仕と支配、献身と従属というテーマを深く掘り下げる。
春琴と佐助の関係は、一見異常とも思えるほどの忠誠心と依存が存在する。しかし、その中に純粋な愛情と信頼がある。
読者は、「人間の愛の形」はいかに多様であるかを教えられる。谷崎の筆致は非常に美しく、細やかで、二人の強い精神的な結びつきがひしと伝わってくる。私の好きな感動作品!
作品:春琴抄
著者:谷崎 潤一郎
刺青
日本の文豪でエロを書かせたらこの人とも言える谷崎潤一郎。本作は処女作とも言われる作品。自分の快楽のために、若い娘を麻酔で眠らせて、背中に一生消えない蜘蛛の刺青を入れるという、谷崎ワールド全開な作品。
女郎蜘蛛は、交尾後に雄蜘蛛を食い殺すこともあると言う。そんな蜘蛛を背中に背負った娘は、男の魂を吸い取り、より逞しくかつ、美しくなっていくー。谷崎変態ワールド、ハマるとやめられない。
作品:刺青
著者:谷崎 潤一郎
白痴
今の時代に読んでもかなりセンセーショナルな「表現」と、人間の刹那的、かつ、エゴまみれで二面性のある「心の変化」に強いショックを受けること間違いなし!
作品:白痴
著者:坂口安吾
桜の森の満開の下
桜がもつ「美」「儚さ」「妖艶さ」をモチーフに、坂口安吾が人間のダークサイドを描く。
旅人の金品を奪って暮らしていた山賊。そんな男が出会ったのは美しい女。男は女のわがままに翻弄され、その要望を叶えるために残酷な殺人をも犯してしまう。そして、普段から恐怖を感じていた桜の森で自分を見失った男はー。
狂気にして残忍。「美の持つ魔性」に魅せられると、一種の高揚感を感じるが、それは、自分を見失う狂気へのいざないかも知れない。美に魅せられてしまったら、要注意!
作品:桜の森の満開の下
著者:坂口安吾
桜の樹の下には
なんともインパクトのあるフレーズで始まる本作。このフレーズ鹿知らない人は、是非、本作を通読してほしい。
桜が美しいのは、樹の下に埋められた動物や人間の死体からの養分が、死体に絡んで養分を吸い取っているからだと、「俺」が桜の美しさの独自理論を説く。なんとも突飛でグロテスクな発想だが、妙に説得力あり。それは、桜にはどこか「妖艶さ」があり、「死」を連想させるからかもしれない。
つぎに紹介する坂口安吾「桜の森の満開の下」と合わせて読みたい。
作品:桜の樹の下には
著者:梶井基次郎
銀河鉄道の夜
あまりに有名な宮沢賢治の代表作。しかし、この作品も結末どころか、内容すら知らない人多し。ジョバンニは、素敵な体験もするが、結末は…結構悲しい。美しい、そして、切ない!
作品:銀河鉄道の夜
著者:宮沢賢治
セロ弾きのゴーシュ
児童書として人気の作品。子どもへ聞かせるもいいですが、大人になって改めて読むと、何か大事なことを気づかせてくれる本。優しさ・謙虚さが足りないかもと言う方も是非。
作品:セロ弾きのゴーシュ
著者:宮沢賢治
D坂の殺人事件
日本における本格推理ホラー小説の草分けである江戸川乱歩による短編探偵小説。「名探偵コナン」の毛利小五郎の名前の由来ともなった世紀の名探偵「明智小五郎」が初めて登場した記念碑的作品。名探偵コナンもいいけど、こちらも読んでみて!
作品:D坂の殺人事件
著者:江戸川乱歩
人間椅子
おぞましい結末に鳥肌必至のホラー小説。
作品:人間椅子
著者:江戸川乱歩
高野聖
道に迷った薬売りを助けようと、山路の一軒家を尋ねたところ、妖艶な美女が。僧を持てたすも、それはよこしまな気持ちを抱く男を襲う妖怪だった―。
艶やかな文体と、恐ろしい出来事の対比が魅力!
作品:高野聖
著者:泉鏡花
ドグラマグラ
難解、頭がおかしくなるとも言われる不思議な長編ミステリー。「夢Q」という愛称で今でも読者を離さない夢野久作。「日本探偵小説三大奇書」に数えられるなど、時代を超えて多くのファンを獲得。理解は難しいが、じっくり味わいたい「癖」のある作品。
作品:ドグラマグラ
著者:夢野久作
人間腸詰
明治時代末期、大工の治吉がセントルイスで開かれる大博覧会で働くために渡米したときの土産話。そこで、治吉が眼にしたのは、ガリガリと耳障りな音を立てて稼働する謎の肉挽機械だった。そして、そこで、治吉は腸詰になりそうになるー
人肉のソーセージとかハンバーグなどの話はグロくておぞましい。しかし、特徴的なのは、語り部の治吉の口調が「べらんめぇ調」でユーモアがあり、ブラック落語のようで悲壮感はない。
治吉は「世界が丸いお蔭で、あっしが腸詰になり損なった」というがその意味は?読んで確認してみよう。
作品:人間腸詰
著者:夢野久作
檸檬
31歳という若さで亡くなった、梶井基次郎の不屈の名作。その他作品からも、人間の苦悩、不安、焦燥がひしひしと伝わる
作品:檸檬
著者:梶井基次郎
舞姫
「愛」か「仕事」どちらを選ぶか?は古から変わらぬ男と女の大問題。あなたは、どう思う?自分に問いながら、本作を読んでみてほしい。
作品:舞姫
著者:森鴎外
高瀬舟
殺害は、本当にそれは弟を救うためだったのか?苦しむ弟を見たくないと思う「自分」を救う殺人だったのではないか。安楽死を問う深い小説。
作品:高瀬舟
著者:森鴎外
雪国
国境の長いトンネルを抜けると雪国であったー
あまりに有名な冒頭。雪にはじまり、炎におわる。 うつろいゆく愛を描いた、すみずみまで美しくエロティックな文学作品。是非、最後まで読み通したい!
作品:雪国
著者:川端康成
破戒
日本の悪しき歴史、不都合な真実を知るためにも読んでおきたい。
作品:破戒
著者:島崎藤村
伊豆の踊子
孤児として育ったせいで自分の性格が歪んでいることに悩む青年が、芸人という職業柄のため世間から蔑視されていた少女の優しさに、心がやわらぎ、恋心を描く。しかし、結果はー。
常に相手の顔色を伺ってしまう、自分の意見を素直に言えない、人に心が開けない、過剰な自意識あるなどの悩みがある方は、本書を読んでみてはいかがでしょうか。心の開き方に触れられるかも。
作品:伊豆の踊子
著者:川端康成
蠅
一匹の蝿の視点から見る人間の世界。蠅は飛び回り、ウマや人間を見て思う。テーマは「死」。そして、そこにある不条理感。オーディオブックで聞いていると、情景が鮮明にビジュアル化される。凄い筆力・描写力。これを読んで、著者・横光利一の世界観にハマる方も多いはず!
作品:蠅
著者:横光利一
蟹工船
富裕な支配層に虐げられる労働者が直面した過酷な労働の様子が、これでもかと描かれる。
現代社会でも、富裕層と貧乏人の二極化は問題。しかし、軍閥支配の進む昭和初期は、貧乏人は「人」ですらなかった…日本の黒歴史を文学で!
作品:蟹工船
著者:小林多喜二
葬られたる秘密
心霊探偵などでもキャラ化される「八雲」は実は、ギリシャ生まれのイギリス人。新聞記者として来日し、その後、日本を愛して日本研究者に。さらに、日本人女性と結婚・帰化。古典や民間の説話に取材した『怪談』、日本人の『精神』『心』を描く作品に日本・愛💕を感じたい。
作品:葬られたる秘密
著者:泉八雲
二十四の瞳
Kindle Unlimited読み放題対象
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MY書評
戦争を描いた作品は、悲惨な空襲・原爆などを描いた作品が多いが、本小説には、戦慄するような戦場は一切出てこない。家族を失った者たちの戦争に対する煮えたぎるような憎しみなども全く描かれない。描かれているのは、戦争に巻き込まれながらも、「淡々と生きた人たちの日常」と「戦争で変わりゆく暮らし」。多くの人にとっては、それが、戦争のリアルなのではないか…。だからこそ、読み継がれるのかもしれない。
作品:二十四の瞳
著者:壺井栄
いのちの初夜
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MY書評
長い時間をかけてじわじわと自分が朽ち果ていき、行動の自由も自尊心も奪われる中で、死を待つしかない病・ハンセン病。小説の主人公も、作者同様、隔離施設行きを余儀なくされた青年。絶望に耐えきれず、何度も自殺を試みるも、死のうとするたびに「いのち」が「死」を拒む様が、リアルに伝わってくる。
人間にとって、「いのちとは何か」「病とは何か」「絶望の中で希望を見出せるのか」、という重いテーマを、真剣に、自分の命を懸けて追求した作品に、読者は心揺さぶられる。
作品:いのちの初夜
著者:北條民雄
小さき者へ
結核が死病だった時代。母を亡くした我が子を憂い、子供に残すメッセージ。狂おしいほどの愛情・母との思い出を記す父の愛に涙。一人親で子を育てた/育てられた人は、感極まって、号泣必至。
知らない方がいいかも..ですが、実は、著者 有島は、本作の5年後に人妻と不倫の上、子供を残し、心中自殺。なんとも複雑な気分…
作品:小さき者へ
著者:有島武郎
金子みすゞ名詩集
辛く当たれば、相手は自分につらく当たる。でも、優しく話しかければ、相手はやさしく答えてくれる。震災で傷ついた日本人に、日々の忙しさの中で忘れていた「いたわりの心の大事さ」を思い起こさせた。
本作は、『こだまでしょうか』を含む、明治の童謡詩人金子みすゞの名詩を93編収録。詩集に広がるのは、派手なことが一切ないない日常の風景。しかし、少ない文字の中から、みすゞの思いが伝わってくる。いい詩は人の心を打つ!
作品:金子みすゞ名詩集
著者:金子みすゞ
樅ノ木は残った
作品:樅ノ木は残った
著者:山本周五郎
沈黙
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MY書評
守るべきは神への”忠誠心”か弱き者たちの”命”かー 司教の心の葛藤は涙なしで読めない。
戦後日本文学の名著舞台は、17世紀、江戸時代初期のキリシタン弾圧の長崎。実在したポルトガル人の司祭をモデルを主人公に、彼の目線を通じて、当時日本で行われた巣覚ましい弾圧、そして、司教や隠れキリシタンの心を描いた歴史小説。
キリスト教文学の最高峰であり遠藤周作の代表作!
日本の黒歴史に、号泣 必至!
作品:沈黙
著者:遠藤周作
海と毒薬
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MY書評
解剖参加者は、自分を、どう自分を納得させるのか――。
舞台は太平洋戦争期。戦争末期、当時の九州帝国大学で起きたアメリカ人捕虜に対する生体解剖事件「九州大学生体解剖事件」をモデルに創作された小説。生きた人間を殺す「罪意識・倫理観」、人間の良心に問う、大変重いテーマを扱う。「死」に慣れてしまった解剖医たちの、人間の罪意識、倫理観の軽さにぞっとする。そして、読者は「お前の倫理観はどうなんだ!」と作家 遠藤周作に突きつけられる!
作品:海と毒薬
著者:遠藤周作
日本のいちばん長い日
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MY書評
それは、昭和20年8月14日正午から翌15日の正午、天皇陛下がポツダム宣言受諾をを国民に伝える「玉音放送」までの激動の一日のこと。第二次世界大戦末期の日本が降伏に至るまでの24時間を描いた歴史的名著。
膨大な資料と証言を基に、戦争末期の日本政府と軍部の内部で繰り広げられた緊迫した人間ドラマは、戦争を知らない日本人は絶対に読んでおかなければならない。「戦争終結」がいかに難しいか―。日本の中枢部にいた者たちの、それぞれがもつ〝日本的忠誠心〟のぶつかり合い、その「緊迫感」がひしひしと伝わる。本書を残してくれた著者に感謝したい。
作品:日本のいちばん長い日
著者:半藤一利
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海外文豪 名著小説:おすすめ一覧
「世界的に読まれている海外文学・海外文豪名著にもチャレンジしてみたいけれど、何を読んだらいいかわからない」。或いは、「タイトルは知っているけど、知っているのはタイトルだけ…」と言う方は多いと思います。
そんな、これから海外文学にもチャレンジしてみたい方に、大人なら読んでおくべき名著を紹介します。個人的趣味で、ディストピア系小説が多めです。
変身
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MY書評
たちまち崩壊していく家族との関係…
毒虫というのは「変わり果てた一個人の象徴」。受け入れないほどに変わり果てた家族を、受け入れ、愛し続けることができるのか?という厳しい現実を見せる、海外文学最高傑作。
現代社会の痴呆・介護問題などを照らし合わせると、全く他人事ではない。人間・家族・愛について深く考えさせられる。
作品:変身
著者:カフカ
罪と罰
追い詰められる青年の「苦悩・悶絶」がずっしりと人の心を打つ。
作品:罪と罰
著者:ドルトエフスキー
カラマーゾフの兄弟
物語は、ロシアの田舎町を舞台。カラマーゾフ家の父親フョードルとその三人の息子たち、ドミートリイ、イワン、アリョーシャの生き様が描かれる。父は享楽的で放蕩、長男が情熱的・衝撃的、次男が知的・哲学的、三男が宗教的で純真な性格。父の性格が災いし、家族内の対立が激化する中、殺害が発生する。三兄弟はどう反応・行動するのかー。全く性格の異なる三兄弟を通じて、人間の本質・信仰・道徳が描きつくされる!
読みこなすのが大変だから長編だからこそ、オーディオブックで少しずつ聞いて味わいたい!
作品:カラマーゾフの兄弟
著者:ドルトエフスキー
レ・ミゼラブル
フランスの作家ヴィクトル・ユゴーによって1862年に発表された小説。フランス文学の中でも特に有名!
たった1本のパンを盗んだために19年もの間、牢獄で暮らすことになってしまった男 ジャン・バルジャン。彼に温かい手を差し伸べてくれた司教に感銘し、ジャンは「人の道に背くようなことはしないこと。善良な市民として生きてくこと」を誓い生きていくが…
物語は、ヴァルジャンが過去から逃れながらも他者を助け、愛と贖罪の意味を探求する過程を描く。また。フランス革命後の混乱と社会的不正義で、民が苦悩と闘いながら生きる姿も描かれる。
人間の善と悪、愛と憎しみ、社会の不正義 といった普遍的なテーマの探求が凄い。未だ、舞台・映画で描かれるのにも納得!
作品:レ・ミゼラブル
著者:ヴィクトル・ユゴー
車輪の下
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MY書評
救いようのない話が、現代でも読み継がれるのはなぜなのか?
それは、現代の多くが、ハンスに自分を重ねて、共感してしまうからに違いない。
作品は、ドイツの作家ヘルマン・ヘッセによって1906年に発表。本作、私は若いころ手に取って、クソつまらなさに挫折。しかし、時を経て再読し、厳しい教育制度と社会の圧力によって抑圧される若者の悲劇に心を寄せることができた。
彼は神学校の星であったが、今や車輪の下で潰れたー。父親・教師からの期待、激しい競争と重圧は人を精神的に追い込む。あなたが仕事で非道な重圧下にあるなら、逃れよう。そして、子に対しては、過度な期待と重圧をかけないように!
作品:車輪の下
著者:ヘルマン・ヘッセ
モモ
「時間貯蓄銀行」を称する集団の「灰色の男たち」によって時間を奪われていく人たち。しかし、良い暮らしをしようと時間を倹約して一生懸命に働き始めたはずが、時間を奪われた人たちは、どんどん心の余裕を失っていく…
忙しく毎日を過ごす、現代人に大事なものを思い出させてくれる!
作品:モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
星の王子さま
砂漠に不時着した「飛行士」と小さな星からやってきた「王子」との心温まる出会いを描いた物語。小さな王子の思考は、現代で言えば、いわゆる「不思議ちゃん」。飛行士にいろんな星で出会った孤独に暮す人々について語り出すー。
物語は小学生でも読める優しい文章。しかし、愛や友情、人間の本質についての深い洞察がいたるところに散らばる。サン=テグジュペリは、物語を通じて、大人たちが忘れがちな大切な価値観を伝える。読者は純粋な心や無邪気さ、そして本当の豊かさとは何かを考えさせられる!
作品:星の王子さま
著者:サン・テグジュペリ
クリスマス・キャロル
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MY書評
スクルージは、その強欲さゆえに嫌われ者。貧しい人が寄付を募っても、ビジネスは慈善事業はないから、お前らに恵む金はないと突き返す。そんなスクルージのもとに、クリスマスの前夜、かつての共同経営者マーレイの亡霊が現れ、死後の世界での守銭奴の末路を語り、「生き方を変えよ」と告げ、「3人の亡霊」の来訪を告げる。
3人の亡霊に、自分の過去・現在・未来を見せられたスクルージは、冷血な自分には不幸な未来しかないことを知る。そしてー
お金以上に大事なものがある。今の自分の生き方はこれでいいのか…と深く考えさせられる名著!
作品:クリスマス・キャロル
著者:ディケンズ
ハリーポッターと賢者の石
シリーズは80ヵ国で翻訳。もはや内容を紹介する必要もないほどのベストセラー。その他シリーズ 7巻もKindle Unlimited対象。
作品:ハリーポッターと賢者の石
著者:J.K.ローリング
城
ある村に派遣されたKは、村には測量士の仕事がないことを知る。仕事をしようと城に近づこうとしても、村の住民がそうさせない。結果、測量士の仕事ができずに、立場が危うくなってしまう…
不条理にも、全く訳の分からない事態に巻き込まれてしまう主人公の姿を描く。その時、人は何をどう考えるのかー。心情は以下に変化していくのかー。カフカの最晩年に書かれた長編作品。カフカ没後に発表された長編三部作のうちの一作。
作品:城
著者:カフカ
華氏451度
本を読まなくなることで、奪われる人間の思考。効率化の果てに人々が自発的に思考能力を放棄してしまうなど、権力者が益々全体主義を推し進めやすい環境が揃っていく…
「人間にとって本とは何か?」「思考や記憶のかけがえなさとは?」深く考えさせられる、絶対に読むべき1冊。
作品:華氏451度
著者:レイ・ブラッドベリ
一九八四年
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MY書評
ビッグ・ブラザーという圧倒的支配者が君臨する架空の未来社会が舞台。そこでは、市民は、常に監視され、思想・行動が厳しく統制される。党の職員ウィンストンは、党の抑圧的な支配に疑問を抱き、内心では反抗的するが、やがて党に捕まってしまう。その彼の処罰に行われたことはー。
全体主義体制の恐怖、個人の自由の喪失、プロパガンダと監視社会の危険性がテーマ。その中で、「社会」「人間」の本質が鋭く描かれる。1949年に書かれたとは思えない、予言の書。現代をズバリ言い当ているオーウェルの「本質を見る目」は、天才!
作品:一九八四年
著者:ジョージ・オーウェル
動物農場
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MY書評
イングランドのとある農場での動物たちの革命と、その後の顛末を描いた物語。農場の動物たちは、過酷な労働と搾取に耐えかねて、農場主であるジョーンズ氏を追い出し、自らの手で農場を運営することを決意する。しかし、革命後の農場は次第に理想とはかけ離れていくー。
ソビエト連邦のスターリン体制を風刺し、政治的な権力の腐敗と専制政治を批判した作品。本作では、革命後の農場も、結局、狡猾な豚に支配されていくというおぞましい世界が描かれる。支配する側は強欲、支配される側も愚民。だから結局、支配される…。権力支配について深く考えさせられる1冊。
作品:動物農場
著者:ジョージ・オーウェル
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
「人間とは何か?」「人間と人工知能(アンドロイド)との違いは?」。フィリップ・ディックが斬新な着想で描く、ディストピア小説。
作品:アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
著者:フィリップKディック
高い城の男
現実と虚構が微妙なバランスで描かれる、「もし、第二次世界大戦の結末が変わっていたら」を迫真の筆致で描くフィリップ・ディックの最高傑作。
作品:高い城の男
著者:フィリップKディック
2001年宇宙の旅
スタンリー・キューブリック監督の映画で有名な原作SF小説
数百万年前に地球に現れた謎の石板「モノリス」。モノリスは、原始的なヒトザルたちに知性を与える。時代は過ぎ、人類の月面居住が可能に。モノリスの調査団が月で写真を撮ろうとしたところ、モノリスは木星に向け信号を発信。受信した木星には誰がいるのかー。18ヶ月後、デヴィッド・ボーマン船長は9000型コンピュータである人口知能HALした宇宙船で木製調査に。しかし、HALは次第に異常をきたし、乗組員に対して反乱を起こすようにー。
人工知能の恐怖を現代人にもたらした作品。2024年時点では、AI脅威論は沈静化しているが、AI時代に読んでおくべき一冊であることは間違いない。
作品:2001年宇宙の旅
著者:アーサー・C.クラーク
シャーロック・ホームズの冒険
本作は、複数の事件を収録した短編集。それぞれの物語は独立しており、異なるミステリーや謎が展開される。短編なので、オーディオブック初心者でも楽しみやすい。本作には、ボヘミアのスキャンダル、赤毛連盟が収録
作品:シャーロック・ホームズの冒険
著者:コナン・ドイル
そして誰もいなくなった
夕食の席で、10人が過去に犯した罪を語る声が突然響き、無気味な童謡の歌詞通りに、客人が一人ずつ殺害されていくー。
クローズド・サークルの代表的ミステリー小説。一体犯人は誰なのか、最後の最後まで、ハラハラドキドキ。
作品:そして誰もいなくなった
著者:アガサ・クリスティー
大いなる眠り
私立探偵のフィリップ・マーロウは、ある日莫大な富を持つ老人・スターンウッド将軍から仕事の依頼を受ける。次女であるカーメン・スターンウッドが作った借金により、彼はゆすられ、その対応策をマーロウに相談する。事件解決のため、マーロウは脅迫相手の元へ向かうが犯人はあらわれない。そして、新たな事件。事態はより複雑化していくー。
犯人は誰なのか、マーロウはどのように事態収束させ、娘たちは一体何を考えているのか。
ミステリー部分もさることながら、過剰すぎるくらいの修飾と比喩に面白さ。ロジカルな謎解きとは異なる、ミステリーの謎解きを楽しもう。村上春樹作品が好きな方は、村上作品の描き方の類似点も楽しめる。
作品:大いなる眠り
著者:レイモンド・チャンドラー
アルケミスト
物語の主人公は、スペインのアンダルシア地方に住む羊飼いの少年サンチャゴ。彼は同じ夢を何度も見たことをきっかけに、エジプトのピラミッドにあると言われる宝物を探すための旅に出る。旅の途中での出会いを通じて、サンチャゴは自分の内なる声に耳を傾け、自分の運命を追求する意味を学ぶ。
いろいろな本の中でも、参照されることの多い作品でもあり、読んでおきたい。深い哲学的・精神的なメッセージは、自己の人生を顧みさせてくれる!
作品:アルケミスト
著者:パウロ・コエーリョ
悪童日記
ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフによって1986年に発表された小説。第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、双子の少年たちが綴る過酷な成長物語が描かれる
物語の主人公は、双子の少年 クレーチュとクロード。戦争の影響で田舎の祖母のもとで暮らすことに。厳格で冷酷な祖母は、彼らに過酷な訓練や試練を課す。双子の少年たちは、自らの成長と生き残りをかけてさまざまな困難に立ち向かう。彼らは、「悪童日記」と称するノートに、冷酷な現実と自らの感情を率直に記録していく。
戦争という過酷な環境下での人間の生存と精神的な成長に読者は感動必至。戦争の中で人間はどのように変わり、どのような選択を迫られるのかー 今一度考えたい。
作品:悪童日記
著者:アゴタ・クリストフ
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最後に
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この記事が読書の一助になれば幸いです。人生を豊かにする「読書」を、是非、初めて見てください。