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【書評/感想】すぐ死ぬんだから(内館牧子) 痛快!終活小説。老いと向き合い方・生き方を教えられる!

【書評/感想】すぐ死ぬんだから(内館牧子) 痛快!終活小説。老いと向き合い方・生き方を教えられる!
すぐ死ぬんだから」要約・感想
  • 老いとの向き合い方、生き方を考えさせられる痛快!終活小説
  • 人生75年を過ぎても、想定外は起こる。何歳になっても、危機をどう乗り越え、新たな人生の価値を見出すか、考え生き抜くことの大切さを教えられる
  • 主人公が魅力的。ラストもいい!ユーモアや温かさあふれるストーリー

★★★★★ Audible聴き放題対象本

目次

『すぐ死ぬんだから』ってどんな本?:あらすじ

Audible聴き放題対象本

終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。

78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる――。

Amazon本の紹介文

ハナの夫 岩造は、ギャンブルも女遊びもせず、「人生で一番よかったのはハナと結婚したこと」と妻への愛を気恥ずかしいほど表現していた愛らしい夫。しかし、そんな、岩造が、突然死。

何をする気力もなくなったハナに、さらに想定外がやってくる。

なんと、岩造には、見知らぬ女性との間に子どもの存在していたことが、岩造の遺書で発覚!しかも、その女性とは、40年余も関係が続いていたという。

この事件をきっかけに、ハナの人生・生き方、考え方は大きく転換していきます。

人生75年を過ぎても、想定外は起こる。その想定外をどう乗り越え、新たな人生を歩むのか―――。

ハナの生き方は、人生の晩年であっても、何が起ころうと、「どうせ死ぬんだから…」を免罪時にしない生き方の大事さを教えてくれます。

物語のラストもとてもいい!温かい気持ちになると同時も、「自分も頑張らなくちゃ!」「負けちゃいけない、幸せをつかみに行かなくちゃ」と励まされます。是非、この感動を、本書を読んで味わってほしいです。

本作をおすすめしたい方
  • 人生の転換期にある人
  • 高齢者やその家族
  • 人生の意味や価値について考える人

すぐ死ぬんだから:感想

【書評/感想】すぐ死ぬんだから(内館牧子) 終活小説

「すぐ死ぬんだから」を言い訳にするな!

「すぐ死ぬんだから」というセリフは、高齢者にとって免罪符。

確かに、高齢者から「すぐ死ぬから」と言われれば、周囲の人は「はいはい、わかりました」という気になり許してもらえる。しかし、本当に怖いのは「自分への言い訳」。そこに待っているのは、諦めと自堕落なみすぼらしい老後。本作からは内館牧子さんの「老人よ、諦めずに生きよ!」という強いメッセージを感じます。

「ナチュラルがいい?それ単なる無精でしょ

手をかけない女が好きな「ナチュラル」。「ナチュラルが好き」という女どもは、何もしないことを「ナチュラル」と言い、「あるがまま」と言っている。何のことはない、単なる無精です。

自然に任せていたら、年齢相応の汚なくて、緩くて、シミとシワだらけのジジババになる。孫の話と病気の話ばかりになる。それに 抗ってどう生きるかが、老人の気概というものではないだろうか、とハナさんは考えます。

「人は中身」も免罪符

「すぐ死ぬんだから」と同様、免罪符となる「人は中身」というフレーズ。その言葉が好きな人は、たいてい中身がない。外見や成果で褒められる点がないから「中身」となる。

そうなりたくなければ、外側から変えることだ。外が変わると中も変わっていく。中身を変えようと変わるのは難しいが、外が変わると中は自然と変わっていく。

「年齢は忘れてるんです」の言葉の裏側

『年齢は忘れてるんです』というフレーズ。年齢を忘れるのは本人じゃなくて、「他人」に忘れさせなきゃ意味がない。年の取り方のうまい人に、外見がみすぼらしい人などいない。それが上手な年の取り方の基本。

「お金がない」という老人

確かに、本当に貧困にあえぐ人たちもいるが、一般老人が金がないのは「貯金」するからだ。
年金をやりくりし、生活を切りつめ、「老後のために」と貯金する。まったく、今が老後だろうが。若いうちに切りつめて 蓄えたお金は、今が使い時だろうが。八十間近の、さらなる「老後」に何があるというのだ。葬式しかないだろう。

私はハナさんの考え方、非常に好きです。私も、この考えを元に人生を終えたいと思っています。
この考えに基づいた、私の生き方戦略は以下の記事にてまとめています。

セルフネグレクトな老後を生きるな!

【書評/感想】すぐ死ぬんだから(内館牧子) 終活小説

セルフネグレクトとは、自分を放棄してしまうこと。生活がだらしなくなり、自堕落になる。高齢者や精神的・身体的な問題を抱える人々に多く見られる現象です。人は生きていく意欲がなくなると、セルフネグレクトに行きつきます。特に、身近な人の死で引き起こされることが多く、周囲が手助けしようとしても、『放っといてくれ』と頑固に断ります。

私が、本作から最も強く感じたメッセージでは、老いても「セルフネグレクトな人生を生きるな!」です。

厳しく言えば、外見を構わないバアサンも、セルフネグレクト。「自分が自分に関心を持っている」ことこそ、セルフネグレクトの対極だからです。

金銭的に許される範囲で無理く「意識」すればいい。それがもたらす 微かな変身が、生きる「気力」になります。

日本人は特に老後の生き方・楽しみ方が下手。高齢者がおしゃれをすると「年甲斐もなく…」といわれますが、そんな意見は無視すればいい。フランスを旅行したとき、カフェでおしゃれしてお茶するおじいちゃん・おばあちゃんの多さに、「人生の豊かさ」を感じました。

ゆるす。それが、解放と幸福をもたらす

色んなことが赦せるようになると、赦した数だけ、自分の身から怒りや恨みやストレスや、色んなこだわりが剝れ落ちる。これは何という解放感だろうか。

上記セリフは、妾とその子の存在に怒り心頭したハナが、彼らそして家族と接して考え方が変わったときに放った言葉です。

怒ってばかりの人生はストレスだらけ。そんな怒りとサヨナラするためにも、人を赦し、そして自分も許す。美や体力などの衰退は受け入れつつ、老後も自分ができる範囲で、人のため、社会のためになることをしていく。

ハナは、いろいろ思い悩んだ挙句、本作の最後で、とても素敵な「自分の役割」を見つけます。

ホント素敵です。ハナのように、いくつになっても、前向きにチャレンジする生き方をしていきたい!そう強く思いました。

ちなみに多くの人は、老後は空しい・寂しいと思っていますが、研究結果から「老後の幸福度は高い」ことが明らかになっています。以下の記事も合わせてチェックしてみてください。

最後に

今回は、内館牧子さんの就活小説「すぐ死ぬんだから」の簡単なあらすじと感想を紹介しました。

前半はハナさんの毒舌が超痛快、そして、後半は、自分の生き方を考えるヒントがいろいろと詰まっています。面白いので一気に読めます。読んで、損なしです!読んでよかったと思えるはずです。

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