- 『源氏物語』は、光源氏の恋愛物語だけじゃない、恋愛小説を超えた人間ドラマの物語
- 『源氏物語』は三部構成の五十四帖、約4000ページからなる
- 第一部:光源氏の青春と栄華
- 第二部:光源氏の悲劇と晩年
- 第三部:薫の青春と恋の悲劇
- 身分の高い高貴な人であっても、人生はままならない様が描かれる。紫式部の「世は無常」「人生はあわれなり」という思想がひしと伝わる名著
”光る君へ”がより深く楽しめる!『源氏物語』の世界へのいざない
NHK大河ドラマ『光る君へ』をご覧の方なら、『源氏物語』を読んでみたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
『光る君へ 』第35話「中宮の涙」では、藤原道長(柄本佑)が、中宮・彰子(見上愛)の懐妊祈願のため、息子の頼通(渡邊圭祐)と共に御嶽詣を行い、そのおかげか、あるいは、まひろ(吉高由里子)の源氏物語を通じたアドバイスのおかげか、彰子が一条天皇(塩野瑛久)と結ばれました。
また、同放送では、まひろの書く物語に宮中は『源氏物語』に興味津々。一条天皇も、まひろに物語の真意を尋ねては、自身の境遇を重ねるシーンも放送されました。また、「不義の子」など、気になるワードも飛び出しています。
大石静さんが構成を務めるNHKドラマでは、まひろと道長の間にも賢子という不義の子が…(事実は異なる)。『源氏物語』の中で、光源氏が過ちで儲けてしまう「不義の子」とドラマを重ねるなど、史実と異なるモノの、ドラマが面白くなるように構成されています。
さらに、『光る君へ』第36回「待ち望まれた日」では、敦成親王(後の後一条天皇)生誕50日目にあたる夜に、子どもの誕生を祝って成長を祈る儀礼「五十日の儀」の宴席で、酔った藤原公任が「若紫はいないか」と、まひろに迫るシーンがありました。若紫は、夕顔を失くした光源氏が、北山とい場所で出会った愛してやまない藤壺女御似の少女の名です。彼女は後に、源氏の正妻格として連れ添う紫の上のことです。(彰子の出産のシーンは『紫式部日記』に詳細に記載。参考記事)
『光る君へ』の様々なシーンに、さらりと『源氏物語』のお話が盛り込まれています。
これはもう、令和を生きる現代人も『源氏物語』興味津々。ただ、問題は『源氏物語』が大作過ぎること!そのボリュームを前に大きくの方が挫折します。
たから、まずは『源氏物語』のあらすじだけでも確認しておきたい。知っているかどうかで、大河ドラマの面白さも変わります。
そこで、本記事では、「源氏物語、これだけは押さえておきたいあらすじ」と「源氏物語のおすすめ本」を紹介します。
『源氏物語』は三部構成の五十四帖からなる、世界最古の大長編小説
『源氏物語』は世界最古の物語文学。三部構成の五十四帖、約4000ページからなる大長編小説です。
紫式部により書かれたのが西暦1000年代初頭。登場人物の数は500人以上!①光源氏の誕生や多くの女性との恋愛変歴、②老いて陰りゆく晩年の光源氏、③光源氏の没後の子孫の物語の3部で構成されています。
とにかく、内面の描写が見事。時代を超えて共感できる普遍性を持っています。また、筋立ての巧妙さ、文章の美しさ、美意識の鋭さなどなども際立っています。
- 第一部:光源氏の青春と栄華/第一巻「桐壺」~第三十三巻「藤裏葉」
- 主人公は、容姿と才気に恵まれた光源氏。天皇を父に持つ
- 光源氏は、女性遍歴を重ねながら出世。ついには上皇に次ぐ准太上天皇の地位に就く
- 豪邸に愛する女性たちを住まわせて栄華を極める
- 第二部:光源氏の悲劇と晩年/第三十四巻「若菜上」~第四十一巻「幻」
- 頂点に上り詰めた、光源氏40歳以降のお話
- 昔の光源氏が犯した不義の因果に襲われる
- 最愛の女性紫の上も息を引き取り、光源氏も没する
- 第三部:薫の青春と恋の悲劇/第四十二巻「匂宮」~第五十四巻「夢浮橋」
- 光源氏の没後、光源氏の子・薫と孫・匂宮の物語
- 薫と匂宮は、同じ姉妹を取り合うことに
- 子孫も複雑な恋愛模様を展開させてゆく。争いの先に幸福な結末はない
五十四の巻(正しくは「帖」)があり、「桐壺」「帚木」といったタイトルがついています。その話の長さはまちまちです(数ページのものから、100ページ越えのものまでいろいろ)。
それぞれの帖は、独立した短編小説や中編小説として読むこともできますが、それらがまとまり『源氏物語』となることで、壮大な世界が描かれます。
なお、第四十一帖「幻」の次には「雲隠」というタイトルだけの巻(本文なし)があり、謎めいた部分があるところも面白いです。
以上、源氏物語を短く簡単にまとめました。
面白そう!と興味が持てましたか?
本で読破は難しいかもしれませんが、Audibleオーディオブック『源氏物語』なら聴くだけなので読破可能!
以下の作品は、現代語で聴きやすいです。サンプルが聴けるので聞いてみよう!
もっと詳しく知りたい方のために、以下では、第一部~第三部の内容を、さらに詳しく見ていきます。
『源氏物語』第一部:光源氏の青春と栄華 – 変遷と登場人物
『源氏物語』の第一部は「光源氏の青春と栄華」。第一巻「桐壺」~第三十三巻「藤裏葉」が該当します。
『源氏物語』第一部:あらすじ
有名なのは、この第一部。わかりやすさを重視し、ブロックに分け、箇条書きでまとめます。
まずは「光源氏の誕生」です。
- 桐壺帝の寵愛 を一身に受けた美女 桐壺更衣 が、玉のような男の子を産み落とす
- 「更衣」は中宮や女御 より下の位。桐壺更衣は他の妃や女官たちの憎悪・嫉妬の対象に
- 桐壺更衣は精神負担もたたって、皇子が3歳のときに病死
- 有力な後見人がいないことを慮った帝は、この皇子に源氏の姓を与えて臣籍に降させる
- 降下した少年は、類を見ない美しい容姿ゆえに、「光る君」「光源氏」と称されるようになる
成長した光源氏は、亡き母の面影を探し、様々な女性と恋を重ねるようになります。
- 光源氏は、桐壺帝に入内した亡き母・桐壺更衣似の義母・藤壺に恋に落ちる
- 養生で出かけた北山で、藤壺に生き写しの童女・若紫(後に妻となる紫の上)と出会い、自邸へ迎え取る
- 若紫との出会いで、義母・藤壺への想いをいっそう掻き立てられた光源氏は、部屋に侵入。逢瀬を遂げる。結果、あろうことか、不義の子が生まれる
- 父の帝はそんなことは知らずに、生まれた子を自分の子と信じて可愛がる
- その後も実母の面影を追い続け、その間にも、源氏はさまざまな女性と 逢瀬 を重ねる
- 空蝉、夕顔、葵の上、六条御息所、末摘花など多くの女性と恋に落ちる
- その中には、母更衣のライバルであった 弘徽殿女御の妹・朧月夜(朱雀帝の寵愛を受ける女性)も…。とても、危険な恋。
若き光源氏の人生に陰りが生じ、京を離れます。
- 光源氏の後ろだてである父の帝が死亡。その後を弘徽殿女御が産んだ朱雀帝が継ぐことに
- 朧月夜との関係など、源氏は身の危険を感じて、一時的に京を離れて、須磨・明石へ
- 光源氏は中央政界から失脚
- 明石で出会った豪族の娘・明石の君との間に娘が誕生する
帰京した光源氏は、最高の栄華を手にします。
- 光源氏を愛した故帝が朱雀帝の夢に現れ諭したことで、光源氏は帝の赦しを得て帰京
- 朱雀帝は32歳の若さで弟の冷泉帝に位を譲る
- 冷泉帝は、実は源氏と藤壺の間に生まれた 不義の子!冷泉帝はその事実をやがて知ることに…
- それを知った冷泉帝は、実父源氏を 太政大臣 に任ずる
- 豪邸・六条院を造営。紫の上や夕顔の遺児である玉鬘など、自分が関わりをもった女性たちを住まわせ、優雅な日々を送る
- 39歳のとき、明石の君との間にもうけた娘が東宮妃に
- 光源氏は、准太上天皇の位を与えられ、六条院に冷泉帝と上皇・朱雀院に行幸するという至上の栄誉を手にする
なかなか凄い話ですよね。まるで昼のメロドラマのよう…
栄華を極めた光源氏。娘を帝に嫁がせる様は、中宮彰子を一条天皇に嫁がせた藤原道長と重なりますね。
『源氏物語』第一部:押さえておきたい登場人物と相関関係
人物 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
光源氏 | ひかるげんじ | 第一部、第二部の物語の主人公。 亡き母・桐壺更衣の面影を求め、多くの恋愛を渡り歩く。 |
桐壺帝 | きりつぼてい | 光源氏の父親。桐壺の更衣を溺愛。 |
桐壺の更衣 | きりつぼのこうい | 光源氏の母親。故按察大納言の娘。身分は高くない。 光源氏を出産するも、桐壺の更衣を溺愛により、周りの女たちの嫉妬を受けて病気に。光源氏が3歳の時に亡くなる。 |
藤壺 | ふじつぼ | 光源氏の初恋の相手。 光源氏と藤壺の宮は密通を果たし、不義の子(冷泉帝)を出産 |
冷泉帝 | れいぜいてい | 表面上は、桐壺帝と藤壺の子 実際は、光源氏と藤壺の間に生まれた不義の子 |
紫の上 | むらさきのうえ | 藤壺の宮の姪。藤壺に顔がそっくり 幼少時の名は「若紫」 夕顔を失くし、体調を崩した際、養生に出かけた北山で出会う 光源氏が生涯で最も愛した女性。 |
頭中将 | とうのちゅうじょう | 源氏のライバルで大親友。左大臣家の息子。 葵上の兄。 |
夕顔 | ゆうがお | 頭中将の元恋人。なよなよと儚い印象の女性。 隠れて住んでいたところ、光源氏と恋に落ちる。 六条御息所の生霊にとりつかれ、命を落とす。 |
六条御息所 | ろくじょうみやすんどころ | 上品で高貴。嫉妬心が強くプライドも高い。 夕顔と葵の上に生霊としてとりつく。 |
朧月夜 | おぼろづきよ | 恋に奔放な性格の美人。 後に尚侍として朱雀帝に仕え、寵愛を受ける。 |
末摘花 | すえつぐはな | 光源氏が離れた後も長年待ち続ける。 その純粋さに心打たれ、その後も面倒を見る。 |
明石の君 | あかしのきみ | 光源氏が都を追われ際に出会い、愛人関係に。 光源氏帰京後に、明石の姫君を出産。 |
玉鬘 | たまかづら | 頭中将と夕顔の娘で、非常に美しい。 光源氏の養女となる。 |
『源氏物語』第一部:人物相関図
『源氏物語』第一部 巻名一覧:1~33帖 の帖名と読み方
- 桐壺 (きりつぼ)
- 帚木 (ははきぎ)
- 空蝉 (うつせみ)
- 夕顔 (ゆうがお)
- 若紫 (わかむらさき)
- 末摘花 (すえつむはな)
- 紅葉賀 (もみじのが)
- 花宴 (はなのえん)
- 葵 (あおい)
- 賢木 (さかき)
- 花散里 (はなちるさと)
- 須磨 (すま)
- 明石 (あかし)
- 澪標 (みおつくし)
- 蓬生 (よもぎう)
- 関屋 (せきや)
- 絵合 (えあわせ)
- 松風 (まつかぜ)
- 薄雲 (うすぐも)
- 朝顔 (あさがお)
- 乙女〔少女〕(おとめ)
- 玉鬘 (たまかずら)
- 初音 (はつね)
- 胡蝶 (こちょう)
- 蛍 (ほたる)
- 常夏 (とこなつ)
- 篝火 (かがりび)
- 野分 (のわき)
- 行幸 (みゆき)
- 藤袴 (ふじばかま)
- 真木柱 (まきばしら)
- 梅枝 (うめがえ)
- 藤裏葉 (ふじのうらは)
『源氏物語』第二部:光源氏の悲劇と晩年 – 変遷と登場人物
『源氏物語』の第二部は「光源氏の悲劇と晩年」。第三十四巻「若菜上」~第四十一巻「幻」が該当します。
『源氏物語』第二部:あらすじ
光源氏の正妻があろうことか、不義の子を産みます😨
- 准太上天皇に上り詰めた光源氏(40歳)は、朱雀院の娘・女三の宮、つまり格の高い女性が正妻として降嫁する
- 光源氏の最愛の正妻・紫の上は、この出来事に傷つく
- 仲睦まじい源氏と紫の上の仲に亀裂が…
- そんな中、かねて女三の宮に心を寄せていた青年貴族柏木が強引に宮に近づき、密通
- 柏木は光源氏のライバル、頭中将の長男
- 女三の宮は柏木との間の子を身籠り、薫を出産してしまう
光源氏は正妻の裏切りに気づきます。しかし、不義の子・薫を我が子として育てるのです😱
- 光源氏はまもなくこの秘密を知るが、生まれた薫は表向きは源氏の子として育てられる
- 自責の念に苦しむ柏木はやがて病床に臥し、妻・落葉の宮の後見を源氏の長男・夕霧に頼んでこの世を去る
- 夕霧はいつしか落葉の宮に恋心を抱くようになるが、妻の雲居雁(頭中将の娘)がこれに激しく嫉妬する
光源氏も人の子。老いと死が襲います。
- やがて光源氏最愛の女性・紫の上が病死
- 深い悲しみに沈んだ源氏は故人を追憶しながら出家の用意を整え、死を迎える
光源氏自身が若き折、壺の宮との不義の子・冷泉帝をもうけたの対して、今度は、光源氏が女三の宮は柏木との間の不義の子・薫を不義のこと知りつつ、親として育てるなんて…
因果応報ですねぇ…
こんな恐るべしなストーリーを描いた紫式部に対しても、恐るべしと思わざるを得ません!
『源氏物語』第二部:押さえておきたい登場人物と相関関係
人物 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
女三の宮 | おんなさんのみや | 藤壺の中宮の姪であり、紫の上のいとこ。 光源氏の正妻として降嫁するが、光源氏と相性が合わず。 柏木と不倫関係となり、不義の子・薫を出産。 |
柏木 | かしわぎ | 頭中将の長男で、血筋の高貴な女性との結婚を望む。 女三の宮と恋に落ち、密通。 女三の宮の間に不義の子をもうけるも、罪の意識により死亡。 |
薫 | かおる | 表面上は、光源氏と女三宮の子。 女三の宮と柏木の間に生まれた不義の子。 第三部の主人公 |
落葉の宮 | おちばのみや | 柏木の正室。 柏木没た後は、夕霧の妻となる。 |
夕霧 | ゆうぎり | 光源氏と葵の上の息子。 雲居の雁と妾の藤典侍という妻がいるが、落葉の宮を妻に。 |
『源氏物語』第二部:人物相関図
『源氏物語』第二部 巻名一覧:34~41帖 の帖名と読み方
- 若菜上 (わかな じょう)
- 若菜下 (わかな げ)
- 柏木 (かしわぎ)
- 横笛 (よこぶえ)
- 鈴虫 (すずむし)
- 夕霧 (ゆうぎり)
- 御法 (みのり)
- 幻 (まぼろし)
※この後に、タイトルしか存在しない 雲隠(くもがくれ)がある
「雲隠」の帖の謎に面白く迫った小説が『千年の黙 異本源氏物語 平安推理絵巻』。本作は『枕草子』のエピソードと『源氏物語』の現代をも解き明かされぬ謎をベースに」展開する歴史ミステリー。第13回鮎川哲也賞受賞作。歴史・文学に興味を抱かせてくれます。
『源氏物語』第三部:薫の青春と恋の悲劇 – 変遷と登場人物
『源氏物語』の第三部は「光源氏の悲劇と晩年」。第四十二巻「匂宮」~第五十四巻「夢浮橋」が該当します。第四十五巻「橋姫」~第五十四巻「夢浮橋」は京南郊の宇治が舞台なので、「宇治十帖」とも呼ばれます。
『源氏物語』第三部:あらすじ
第三部の主人公は光源氏の子・薫と孫・匂宮。これが、またすごい展開を見せます。
薫 :光源氏の子。ただし、実際は、柏木の子。不義の子
匂宮:今上帝と明石の中宮(光源氏と明石の君の娘)の間に生まれた子。つまり、光源氏の孫
二人は、同じ姉妹を奪い合うのです😖
- 薫は厭世的。光源氏とは異なり、世の中や人生に失望感を抱いている
- 薫は宇治でひっそりと暮らす大君と中の君の姉妹を知り、大君に心を寄せる
- 大君はこれを拒み、中の君を妻合わせようとするが、中の君は匂宮と結ばれる
- 大君は心労が重なり、薫に看取られながら他界
そして、姉・大君亡き後も、さらなる女性の奪い合いが生じるのです😱
- 大君を忘れられない薫は、妹・中の君に迫るが…
- 中の君は異母妹の浮舟を薫に紹介
- 亡き大君によく似た浮舟を薫は愛するが、匂宮も浮舟を知ると強引に関係を結んでしまう
奪い合いはいい結果を生みません。残念な結果が待っています😖
- 薫と匂宮の間で悩む浮舟は入水をはかるが、比叡山の高徳の僧侶に助けられ、出家。尼僧に
- 薫は浮舟の居場所を聞きつける
- しかし、二人が結ばれることはなかった
『源氏物語』がこのような結末を迎えるお話だと知っていたでしょうか?驚きですよね。
『源氏物語』第三部:押さえておきたい登場人物と相関関係
人物 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
薫 | かおる | 表面上は、光源氏と女三宮の子。 女三の宮と柏木の間に生まれた不義の子。 |
匂宮 | におうのみや | 六条院で一緒に育った薫にライバル心。 薫と同じ姉妹を巡って、争う |
大君 | おおいきみ | 宇治八の宮の長女。思慮深くプライドが高い 薫からの求愛を拒み続ける。 妹・中の君と匂宮の結婚後、二人の仲に悩み、薫に看取られながら他界 |
中の君 | なかのきみ | 宇治八の宮の次女。可愛らしい女性。 匂宮と結婚し、男子を出産 |
浮舟 | うきふね | 宇治八の宮の姉妹の異母妹で、大君似。 薫と匂宮の二人から愛され、悩んだ末、身を投げる。 横川の僧都に助けられ、出家。 |
『源氏物語』第三部 巻名一覧:42~54帖 の帖名と読み方
- 匂宮 (におうみや)
- 紅梅 (こうばい)
- 竹河 (たけかわ)
- 橋姫 (はしひめ)
- 椎本 (しいがもと)
- 総角 (あげまき)
- 早蕨 (さわらび)
- 宿木 (やどりぎ)
- 東屋 (あずまや)
- 浮舟 (うきふね)
- 蜻蛉 (かげろう)
- 手習 (てならい)
- 夢浮橋 (ゆめのうきはし)
『源氏物語』は、世代を超えた人間ドラマ
紫式部が書いた『源氏物語』に対して、多くの人は、「平安王朝を舞台にする、キラキラ貴公子・光源氏の華麗な恋愛物語」というイメージを抱いている方が大半だと思います。
かく言う私も、国語で源氏物語を読んで以来、「ドロドロ&裏切りもありな、ハレンチ恋愛小説」と思っていました。
確かに、物語前半は主人公光源氏の恋愛が中心で、映画、ドラマなどで描かれるシーンも、この部分です。
しかし、光源氏も人の子。身分が高く、容姿に恵まれたからと言って、思い通りの恋愛をしたわけでもなければ、そもそも天皇の子でありながら、臣籍に降されています。40歳を前には栄華を極めますが、その後の人生は、下落基調。弟二部では、過去の不義が巡り巡って自分を襲う因果に見舞われ、また、弟三部では、子・孫を通じて、身分が高くても幸せになれない様がこれでもかと描かれます。
『源氏物語』は恋愛小説を超えた人間ドラマ。
たとえ、どんなに地位のある人間であろうが、世の中は、自分の思うようにはならないー
このことを、描き切った作品
紫式部の、「人の人生を読者に伝えるストーリーテリング」のすばらしさに敬意を感じます。1000年読み継がれる作品であり、世界でも読まれる作品であることがよくわかりました。
活字で『源氏物語』を楽しみたい方は以下の本がおすすめ。『源氏物語』三部構成の五十四帖をすべて収録。現代語訳で読みやすいです。
紫式部の人となりを知ると、より『源氏物語』の世界観を堪能できます。以下も参考にしてみてください。
『源氏物語』を読破!おすすめ本(オーディオブック) 3冊
『源氏物語』を読破してみたい。と思っても、正直、現代語版のページ数を見ると、ちょっと躊躇してしまうのが実情ではないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのがオーディオブックです。
聴きやすくてわかりやすい『源氏物語』現代語訳 3作品を紹介します。
源氏物語(全五十四帖収録)
第一部から第三部まですべてを含む長編。現代語で聴きやすく、源氏物語の全貌を理解できる!
過去何度も文庫で挫折した方も、このオーディオブックなら、聴きこなせる(ただし、時間は必要)!
岡崎弥保さんのナレーションも美しく、平安朝の雰囲気が伝わる!
作品:源氏物語(全五十四帖収録)
著者:与謝野晶子
源氏物語
っ角田訳の特徴は読みやすさ。原文に忠実に沿いながらも、読みやすく、感情をも揺さぶる!
・主語を補い、地の文の敬語をほぼ廃したことで、細部までわかりやすい
・現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文
・和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介
作品:源氏物語
著者:角田光代
寂聴 源氏物語
忠実性より、光源氏ファンが読みたいであろう、光源氏が登場する箇所をまとめた総集編。現代の言葉で書かれ、しかも、文章が流れるように美しい。ナレーターの声も優しく、時には切なさも伝わってくる。
初心者にも向く1冊。また、原作を全巻読んだ方には、手軽に楽しむ再読本としてもおすすめ。ダイジェスト版ではない版の朗読は三田佳子さん!
作品:寂聴 源氏物語
著者:瀬戸内寂聴
『源氏物語』を読破!おすすめ本(マンガ) 3冊
本当は『源氏物語』を原作で読みたいところですが、抵抗が大きい方は、マンガで読破しよう!以下ではマンガを3冊祖父介しています。
あさきゆめみし:大和和紀
源氏物語を描くマンガといったコレ!
「源源氏物語はこれで読んだ」という人も多い、定番マンガは全10巻。イラストが美しく、人間模様が非常によく描かれている。一度読んだ人も再読したい平安ラブロマンスマンガ。
源氏物語:江川達也
Kindle Unlimitedで読める、江川達也が描く源氏物語
学校では絶対に教えてくれない!美しき平安の恋愛絵巻が新たな解釈でよみがえる!全7巻はすべてKindle Unlimited対象。安くストーリーを味わいたい方は是非。
源氏物語:まんがで読破シリーズ
Kindle Unlimitedで読める、要点ダイジェストマンガ
まんがで読破シリーズは、世界の名著・名作をまんが1冊30分ほどで読破してしまえる教養まんがシリーズ。ざざっと、要点のみ知りたい方にはおすすめ。私は、このマンガシリーズに大変お世話になっています。
Kindle版は61冊(合計25,058円)が、Kindle Unlimitedなら定額で読み放題。初めてなら、30日間体験無料です。
『源氏物語』を現代語訳で読破したい方に
上記本を含め、『源氏物語』を現代語訳で読んでみたい方は以下の記事をご参考に。訳者別に文体の特徴、読みやすい本などを、紹介しています。
最後に
今回は、「源氏物語、これだけは押さえておきたいあらすじ」と「源氏物語のおすすめ本」を紹介しました。
枕草子の清少納言が「おかし」に対して、源氏物語の紫式部は「もののあわれ」。
紫式部とはどんな人だったかを知ると、さらに紫式部の世界観が分かってきます。
また、紫式部の才能が凄かったことも間違いありませんが、素晴らしいライバルたちがたくさんいたからこそ、平安文化・国風文化が花開いたことも忘れないでおきたい。
2024年は平安時代の日記・文学に触れていますが、どれもなかなか興味深いです!特に、女性の自由さが凄くて素敵です。是非、他の作品にも触れてみてください。