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【書評/要約】考えすぎない練習(ジョセフ・グエン)「考えすぎ」は全ての苦しみの根本原因。思考の罠から脱し、考えなくても成功・幸せを手に入れる方法

【書評/要約】考えすぎない練習(ジョセフ・グエン)苦しみの根本原因は「考えすぎ」にあり。思考の罠から脱し、考えなくても成功・幸せを手に入れる方法
考えすぎない練習」要約・感想
  • 「考えすぎ」は全ての苦しみの根本原因
    私たちが「考えている」と思っていることの多くは、ただ悩んでいるだけ。気づけば「不安・後悔・反省のループ」に陥り、ストレスを抱えている。考えることを手放した方がラクに幸せに生きられる。
  • 我々は「考え」によってつくられた世界に生きている
    同じ環境下にいても、受け止め方・感じ方は人それぞれ。考え方ひとつで現実は変わる
  • 悩んで考えなくとも「自分のやりたいこと」は見つかるし、成功もできる
    実は人は直感的に「何をすべきか」を知っている。それを阻害しているのが「考えすぎること」。本書を通じ、過剰な思考に囚われず、より自由で幸福な人生を送るための実践的なヒントが学べる。

★★★★☆ Kindle Unlimited読み放題対象本 Audible聴き放題対象本

目次

『考えすぎない練習』ってどんな本?

著:ジョセフ・グエン, 翻訳:矢島麻里子

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私たちはしばしば「未来への不安」や「過去の後悔」にとらわれます。過去の行動を振り返り反省しても、なかなか人生が好転せず、気づけば「不安・後悔・反省のループ」に陥り、ストレスを抱えてしまうことも少なくありません。

ジョセフ・グエンさんの『考えすぎない練習』は、過剰な思考に囚われず、より自由で幸福な人生を送るための実践的なヒントが詰まった一冊です。

私たちは幼いころから「考えろ!」と教えられ、「考えることこそ正義」「考えないことは怠惰」と思い込んで育ちます。しかし、著者は「考えすぎること」が必ずしも良い結果をもたらすわけではないと指摘します。むしろ、私たちが「考えている」と思っていることの多くは、ただ悩んでいるだけであり、考えすぎこそが苦しみの根本原因になっていると述べています。

本書では、考えすぎが生じる理由を明らかにし、考えなくても成功できる仕組みや、考えすぎを手放す具体的な方法が詳しく解説されています。思考のあり方を見直すことで、「人生の質」を大きく向上させるためのヒントが得られると思います。

本記事では、本書の要点や学びをわかりやすくまとめて紹介します。。

なぜ、考えることを手放した方がいいのか

「考えすぎ」は全ての苦しみの根本原因

なぜ、私たちは考えてしまうのでしょうかー。それは、人間の「生存本能」に基づきます。

人間は、危険を避けて生き延びる戦略として、合理的な理解力、分析力、思考力といった能力を獲得し進化しました。しかし、これは「安全と生存」のためであり、「人生の充実」とは無関係です。

「考えすぎるとろくなことがない」という経験をした方は多いと思います。これは、頭脳を使い続けると、不安や恐れ、フラストレーション、憂うつ、怒り、憤りなどのネガティブな感情に常にとらわるからです。つまり、「考えること(思考)」が全ての苦しみの根本原因となってしまうのです。

ネガティブな感情は、生存の観点では役に立ちます。しかし、現代人は、絶えず生死を分ける状況に晒されているわけではありません。むしろ、弊害が多くなります。

  • 考えすぎる弊害
    • 過度な思考はストレスを生み、行動を妨げる。
    • 「最適な答え」を求めすぎることで、決断力が鈍る。
    • 未来の不安や過去の後悔にとらわれ、現在の幸福を見失う。

考えを通して現実はつくられる。苦しみ根本原因も「自分自身の考え」にある

考えは現実ではない。だが、考えを通して私たちの現実はつくられる
─シドニー・バンクス(哲学者)

私たちの多くは、同じ出来事を体験しても、まったく異なる経験をしています。一つ一つの事実に意味を与えるのはあなたです。「なんで自分はこんなに恵まれていないんだ!」と周囲や社会への敵意をあからさまにする人が一方で、「今日も無事に過ごせたのは、多くの人の支えがあってこそ」と感謝できる人がいるのはそのためです。

このことが示すのは、私たちは現実の中ではなく、「考え」によってつくられた世界に生きているということです。受け止め方・感じ方はあなた次第であり、思考は「一つの考え」に過ぎません。

不安・後悔から遠ざかりたかったら、「考えない」。頭を切り替えるだけです。このことに気がつくと、私たちの経験・人生は一変します。 

よりよい人生に必要な努力。「苦しみ」は必須か?

我々は、「人生をよりよく生きるために、努力せよ」と言われます。一般的に、努力の裏にあるのは「痛み」や「苦しみ」です。故、多くの人は、努力するのを避けようとします。

しかし、人生で多くの痛みを経験したとしても、「苦しむかどうか」は自分で決められます。痛みは避けられなくても、人生で起こる出来事や状況にどう反応するかは私たち次第です。

考えなくても成功できるのか? 考え/思考/フロー状態

考えなくても成功できるのか? そう疑問に思う方も多いはずです。
著者は「できる」と断言します。 このことを理解するために、私が重要だと感じたのは以下の二点です。

  • 「考え」と「思考」の違い
  • 「フロー状態」と「思考」の関係

 「考え」と「思考」は別物

「考え」は創造する、「思考」は破壊する

私たちは「考え(Thoughts)」と「思考(Thinking)」を混同しがちです。しかし、人は一つ一つの「考え」に悩むことはありません。「思考」を始めた途端に、苦しみや不安などの感情が生まれます。

考えThoughtsアイデアや具体的なひらめきの源
思考Thinking「考え」について思い巡らせる行為

「考えすぎ(Overthinking)」とは、「思考(Thinking)」が過剰な状態のことです。

例えば、「いくら稼ぎたい?」と聞かれ、「100万円」と具体的な数値が頭に浮かんだ瞬間はポジティブな感情を伴うでしょう。しかし、その直後に「どうやって稼ぐのか?」「そんな金額を言ったらバカっぽいのでは?」と「思考」を始めると、ネガティブな感情に支配されてしまいます。

私たちは「自分の考え」を持った瞬間に、環境や制約条件を持ち出し、「なぜできないのか?」を無限に考え始める生き物なのです。

ポジティブに考える必要があるか?

先ほどの「いくら稼ぎたい?」という質問のように、人が幸せや愛を感じるとき、ほとんどの場合、頭の中には何の考えも巡っていません。例えば、「感謝」の感情が湧き上がる前に、すでに幸せや愛を感じているのです。

これは、ポジティブな感情を得るために、わざわざ考えたり思考する必要がないことを示しています。私たちの本来の状態は、喜び・愛・安らぎであり、それを妨げるのは過剰な思考なのです。

例えば、赤ちゃんには生まれつきストレスや不安、恐れ、自意識はありません。ただ純粋に喜びを感じています。これは自然な状態です。しかし、成長し、考えるようになると、この自然な存在状態から遠ざかっていきます。

私たちにストレスをもたらすのは、考えている内容ではなく、「考えている」という事実そのものです。思考の量が少ないほど、ポジティブな感情が生まれる余白が生まれます。

「フロー状態」と「思考」

フロー状態とは、「深い集中状態(ゾーン)」のことを指します。フローに入ると、時間の感覚が薄れ、迷いや不安が減少し、最高のパフォーマンスを発揮できます。

このフロー状態に入るには、「思考」は邪魔になります。考えすぎると、情報処理にエネルギーを使いすぎて「今」に集中できなくなるからです。つまり、人間が最高のパフォーマンスを発揮しているときは、「何も考えていない」状態だと言えます。

一見不思議に思えますが、これは事実です。プロアスリートは訓練を重ね、本能的に無意識で体を動かします。なぜなら、考えることがかえってパフォーマンスを妨げるからです。この原則は、スポーツに限らず、誰にでも当てはまります。

考えることをやめたら、目標や夢はどうなるのか?

考えることをやめたら、目標や夢がなくなり、成功できなくなるように思えるかもしれません。しかし、

  1. 「考え」から生まれる目標や夢
  2. 「思考」から生まれる目標や夢

は異なります。

❶の「考えから生じた(インスピレーションによる)目標や夢」は、「そうしたい!」という純粋な気持ちから生まれるものです。それはワクワクする感覚や開放感を伴います。

一方で、❷の「思考から生まれる目標や夢」は、「現実的」で窮屈になりがちです。時間や精神的なプレッシャーを伴い、「しなければならない」という義務感を感じることも多いでしょう。

❷の目標自体が悪いわけではありません。しかし、それに縛られるとストレスが生まれます。大人も❶の夢を持っています。ただ、いつも「できない理由」を考えすぎるあまり、心からやりたいことがわからなくなっているだけなのです。そして、考えることが物事を複雑にします。

【実践】どうすれば考えるのをやめられるか?

「TKKの法則」を補強する

ここまで、「考えることが物事を複雑にする」という点を明らかにしてきました。

では、どうすれば考えるのをやめられるのでしょうか?

大切なのは、「思考が頭に浮かぶのを防ぐこと」ではなく、「ネガティブな感情を生み出しているのは自分の思考にすぎない」と気づけるようにすることです。私たちはいつでもこの真実を思い出し、自然な安らぎの状態に戻ることができます。

「自分のすべきこと」は考えずとも見つかる

私たちが本当に求めているのは「感情」です。お金が欲しいのは、安心感や安らぎを得るためであり、好きなことをしたいのは、充実感を得るためです。これらの感情は、「私たちの中」からしか生まれません。「ただやりたいから何かをする」という行動には、大きな意味があります。

私たちは本来、直感的に「何をすべきか」を知っています。しかし、外部の意見に振り回されると不安や混乱が生まれ、自分の気持ちが見えなくなってしまいます。結局のところ、「何をすべきか」を知っているのは自分だけなのです。

実は、ほとんどの人は自分が何をすべきか分かっています。ただ、それを行動に移すことを恐れているのです。私たちは、恐れや自己不信のせいで「何をすべきか分からない」と思い込んでいるだけなのです。まずは、自分の直感を信じることから始めましょう。


【実践】考えすぎないために大切なこと

  • 考え方ひとつで現実は変わる
    • 物事の良し悪しは、捉え方次第。
    • 苦しく感じるか、否かは、思考次第と認識せよ
  • 直感に従う
    • あなたがやるべきことは直感が教えてくれる。自分の心と直感に従う勇気を持て。
    • 他人の意見よりも、自分の心の声に耳を傾けよ
    • 直感は論理と矛盾するように思えるが、「考え」と「思考」の違いを思い出せ、
  • 「今この瞬間」に集中する
    • 過去や未来に意識が向きすぎると、考えすぎの悪循環に陥いる。
    • 「今ここ」に集中することで、不要な思考は減らせる。
    • フロー状態に入りやすくするため、朝のマインドフルネス瞑想を取り入れよ。
  • 「コントロールできること」と「できないこと」を分ける
    • 多くの人は、コントロールできないことに悩み、エネルギーを消耗している。
    • 「考えるかどうか」は自分でコントロールできる。
    • 悩んでも仕方ないことに時間を使わない。
    • 自分が影響を及ぼせる範囲にフォーカスせよ。
  • 奇跡が起こるための余白を作る
    • 頭がいっぱいだと、あなたに変化をもたらす新たな考えは入ってこない。
    • まずは、余白をつくり、新しい考えを受け入れる準備をせよ。
    • 何事もうまくいくと信じる気持ちを持て。
    • 真実はどこまでもシンプル。考えすぎは物事を複雑にし、真実から遠ざかることを忘れるな。

最後に

今回は、ジョセフ・グエンさんの『考えすぎない練習』からの学びを紹介しました。

考えることを減らし、直感と感情に従うことで、本当に望む人生を歩むことができます。「考えすぎない」は、現代の情報過多の時代において、シンプルな思考を取り戻すために大切です。特に「決断に迷いやすい人」や「考えすぎて疲れてしまう人」は、有益な一冊となるはずです。

是非、本書を手に取り読んでみてください。

著:ジョセフ・グエン, 翻訳:矢島麻里子
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