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【書評/要約】お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ) 暴落時も寝かせられるかが「億り人」の境界線

【書評/要約】お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ) 暴落時も寝かせられるかが「億り人」の境界線
お金は寝かせて増やしなさい」要約・感想
  • 初版以来、改定を重ねて支持されている長期インデックス投資の良書
  • 水瀬さんが日本の個人長期投資可に与えた功績は大きい。バートン・マルキール氏の長期インデックス投資の王道本『ウォール街のランダム・ウォーカー』で紹介の投資法を発信し続け、かつ、自らも実践し続ける姿を示した
  • 投資家は暴落時にドル・コスト平均法のメリットが見えなくなる。
    大事なのは「暴落時」。「お金は寝かせて増やしなさい」を、あえて表現を変えるとー
    暴落時も売らずに平然と踏みとどまり、その後も長期的にコツコツ投資しつづけよー

★★★★★ Audible聴き放題対象本

目次

『お金は寝かせて増やしなさい』ってどんな本?

著:水瀬ケンイチ / Audible聴き放題対象本
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Audible聴き放題対象本

個人投資家水瀬ケンイチさんの『お金は寝かせて増やしなさい』の初版は2017年12月の発売です。私が本書を読んだのは発売間もない頃ですが、2024年現在も改定を重ね、未だ売れているインデックス投資の王道本です。特に投資初心者を中心に支持される良書であり、この度、Audible版も登場しました。

本書発売のころ、私は既にNISAやiDeCoでの積立投資を始めていましたが、それでも、インデックス投資に対して、不安がありました。そんな中で、インデックス投資を継続する励みになったのがこの本です。

水瀬さんは、現在はコロナショックを経て、資産1億円「億り人」を達成されています。2012年年末から始まったアベノミクス・日銀の量的緩和、2020年の新型コロナショック後の世界的な株価高騰を経て、年平均5~6%のコツコツ投資が花開くことを、今でも実践で教えてくれています。会社員×投資の兼業投資家にとって、これほど励みになることはありません。

ただ、2024年1月以降、米国の経済環境の変化(政策金利の利下げ転換期)に伴い、株価は大きく上下動しています。

このような株式環境では、たとえ、新NISAで税制優遇を受けながら株式投資ができたとしても、投資に思いきれない方もいるでしょう。あるいは、あまりに激しい株価下落に、NISA積立をやめてしまった(損が確定してしまった)方もいます。

これでは、資産形成はままなりません。環境が改善したら…と言っている間に、3年、5年、10年の時間を無駄にした人は、私の周りにもたくさんいます。

あえて、株価が乱高下する今、
・長期投資/インデックス投資とは何かー
・長期投資のメリット/リスクは何かー
・リスク管理に大事なことは何かー
を、改めて確認する本として、本書をすすめたい。

投資で折れない心を作るためにも役立つ1冊になるはずです。

こんな方におすすめ
  • (はじめて/改めて)長期投資・インデックス投資について学びたい方
  • 長期投資の名著と呼ばれる本を手に取ったが、難しくて断念してしまった方
  • コツコツ積立投資をするために、強いメンタルを作りたい方

水瀬さんの功績:米国長期投資の王道手法を個人投資家が日本に紹介

本書評では、本書で紹介されるインデックス投資の一般的なメリットのまとめは以下にとどます。かわりに、もっと大事な学びを紹介します。

本書の要点
  • インデックス投資(低コスト投信積立)の特徴とメリット
    • 手間・手数料がかからない
    • 少額から購入できる
    • 分散投資できる
  • インデックスファンドはアクティブファンドに勝る
  • インデックス投資で失敗しないために、以下も整備せよ。これで、安心して資産を寝かせておける
    • 家計の状態の把握
    • 2年分の生活防衛資金
    • 自分の「リスク許容度」の把握
  • アセットアロケーション(資産分配)も大事。年に1度のリバランス
  • NISAとiDeCoの併用についても解説

米国長期投資の王道手法を、実践ベースで日本に紹介

私が考える水瀬さんの大きな功績は、プロではない個人投資家が「長期インデックス投資のメリット」を日本人にわかりやすく広めたことです。

その中でも、大きな功績が、世界中で読まれる投資のバイブル、バートン・マルキール氏の長期インデックス投資の王道本『ウォール街のランダム・ウォーカー』で紹介される長期インデックス投資手法を会社員兼業の一個人投資家が、日本の投資家に知らしめたことです。

上記本は、2023年に最新の改定が行われその改定回数14版。1973年の初版以来、全米累計200万部を超え、「投資の名著」として絶賛されるベスト&ロングセラーです。メインテーマは、「インデックスファンドへの投資がベスト」であり、そのための分析がこれでもかと語られる本ですが、一般投資家にとっては以下の点が問題でした。

  • 分析が膨大過ぎる
    分厚い本のため、多くの読者が挫折
  • 分析に用いられる市場が米国市場
    ⇒(当時、20年強にわたるでデフレの)日本市場でも当てはまるのか疑問・不安

このような背景において、水瀬さんは、「バートン・マルキール氏の唱える長期インデックス投資を愚直に実践しているだけだ」として、コツコツ毎月積み立てる投資手法を日本の個人投資家に紹介し続けました。

そして、水瀬さんがバートン・マルキール氏の投資手法をいかにして一個人投資家が実践したかをまとめた本が、今回紹介の『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』であるわけです。本作も、発売以来、多くの支持を集め、改定を続けています。

個人投資家の励み・支えに

私は初版『お金は寝かせて増やしなさい』の発売前に、『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読了していましたが、読了に骨が折れました…。水瀬さんの本が出た時は、「なんとわかりやすい本が発売されたものか」と思ったものです。

また、何より、今ほど簡単に良質・低コストな世界のインデックス・ファンド(オルカンなど)が買えなかった時代に、一個人投資家が実践している投資法をわかりやすく紹介してくれたことは、インデックスファンドをコツコツ買い続ける励みになりました。今でも、その力が十分ある本だと思います。

学んでほしいのは「暴落時の対応・メンタル」

本書で学んでほしいのは「暴落時の対応・メンタル」 | お金は寝かせて増やしなさい

株式投資、長期積立投資において、投資家としての真価が問われるのは「暴落時」です。「暴落時にもお金(投信)を寝かせられるか」です。

暴落時に目に入らなくなる「ドル・コスト平均法」のメリット

長期投資では、資産を持ち続けることが大事。なかでも大事なのが、コツコツ積み上げてきた資産が棄損する「暴落時」です。ここで、売らずに平然と踏みとどまって、さらに、その後も長期的にコツコツ投資ができるかです。

今どきの投資家は誰でも「ドル・コスト平均法のメリット」を知っています。あえて、基本をまとめると次の通りです。

ドル・コスト平均法
  • 価格が変動する商品に対して「常に一定金額を、定期的」に購入する方法
  • 投資金額を一定にすることで、
    • 価格が低いとき、購入量(口数)が増加
    • 価格が高いとき、購入量(口数)は減少
  • 平均購入単価を平準化させる効果があり、長期的な資産形成を行っていく上で有効

ドル・コスト平均法は、右肩上がりで株価が上昇しているときに買ってもおいしくはありません。安い時に一括で買っておく方が、購入単価が安くて利益ができるからです。本来のメリットは、暴落したも心理的負担を負うことなく、コツコツ自動で買い付けてくれることのはずです。

しかし、長期インデックス投資で失敗する投資家は、暴落時の「投資家はドル・コスト平均法のメリット」が目に入らなくなります。売らずに平然と踏みとどまるどころか売却。さらに、買うべき値が下がったタイミングでの購入をやめてしまうのです。

これでは、ランダムウォークする(いつ上がるか・いつ下がるかわからない)株式を、ドル・コスト平均法で長期投資できません。

億り人になれるかは、暴落にもお金を寝かせ、買い挑めるかー

水瀬さんは今でこそ「長期インデックス投資の億り人」です。これは、何度も市場を襲う暴落・株価低迷時期を売らずに乗り切った=「お金を寝かした」成果です。

本書でも語られていますが、水瀬さんは個別株投資から投資デビューをしています。しかし、株価の下落・暴落に振り回されて仕事どころではなくなり、これではいかんと、手間のかからない投資法として出会ったのが「インデックス投資」です。しかし、インデックス投資に切り替えようが、何度も暴落は押し寄せます。

水瀬さんは、インデックス投資の脱落者を横目に、信頼したインデックス・ファンドの長期的な右肩上がりの成長を信じて、暴落時もお金を寝かせ続けました(売らずに踏みとどまった)。決して、右肩上がりの投資人生ではなかったことは「公開される資産グラフ」が物語っています。

暴落時にもお金を寝かせられるかー。これが、億り人になれるかどうかを決めます。

おそらく、2024年になって新しく新NISAを始めた投資家は、「積立投資なんて、信じてバカだった」と思っているかもしれません。しかし、後10年、20年、30年と株式投資を続けるなら、メンタルの拠り所として『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』を読んでおく価値は十分あると思います。

最後に

今回は、水瀬ケンイチさん長期インデックス投資の王道本お金は寝かせて増やしなさい』からの学びを紹介しました。

繰り返しになりますが、「お金を寝かして増やせるか」を、あえてポイントをつかんで表現し直すと「暴落時も売らずに平然と踏みとどまって、さらに、その後も長期的にコツコツ投資ができるか」です。そのために大事なことが書かれた1冊です。

2024年の株価変動で、長期投資に自信がなくなっている方は、もう一度、水瀬さんの本で学び直してみてください。

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マンガ版、さらに投資のプロとの共著もあります。それもいい本です。

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