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【書評/要約】どう生きるか つらかったときの話をしよう(野口聡一) 後悔のない人生は宇宙へ行くより難。10年悩んでわかった「自分の人生」の見つけ方

【書評/要約】どう生きるか つらかったときの話をしよう(野口聡一) 後悔のない人生は宇宙へ行くより難。10年悩んでわかった「自分の人生」の見つけ方
どう生きるか つらかったときの話をしよう」要約・感想
  • 後悔なく生きるのは宇宙に行くより難しいー
    宇宙飛行から帰還後、約10年も「どう生きればいいかわからない」と悩む日々を過ごした野口聡一さんの告白記 & 自分らしい人生の見つけ方提案本
  • 宇宙よりも遠い、自分の心への旅ー
    宇宙に行くのは「体験」であり、得られるのは「人間的な成長」ではなく「視野の拡張」。「いかに生きるか」は、自分と向き合う以外に答えは見つからない
  • 本当に後悔のない人生を送るためには、どうすればいいのかー
    他人からの早退評価の枠内で自分の生き方を考えている限り、幸せにはなれない。「幸せの答え」はあくまで自分の中。野口さんは、どのように生き方を見つけたか、その方法が紹介される

★★★★☆ Kindle Unlimited読み放題対象本 Audible聴き放題対象本

目次

どう生きるか つらかったときの話をしよう』ってどんな本?

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宇宙飛行士・野口聡一さん

多くの方は、野口さんをはじめ、宇宙に行った人は「壮大な宇宙を前に人生観が変わり、他者と自分を比べたり、日常のささいなことで悩んだりしなくなる」といったイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、野口さんは、宇宙から帰還後、約10年も「どう生きればいいかわからない」と悩む日々を過ごしたと告白します。

  • いかに人の評価に応え続ければいいのか
  • 次々と若手の宇宙飛行士が誕生し、偉業のレコードを更新していく中、自分はどこに価値を見出せばいいのか
  • 今後、自分は何をし、どう生きていったらいいのか…

強い「燃え尽き症候群」です。人と比べて自分を責め、落ち込み、やる気をなくし、自分が生きる方向を完全に見失い、まさに、「人生、宙ぶらりん」となり、立ち上がれなくなったと明かします。

本作は、そんな野口さんが、長く辛い時間を経て、気づいた「人生を自分らしく生きるために大切なこと」を語った1冊です。「人の目」を気にして生きるのではなく、「自分自身に目を向けて生きていくこと」がいかに大事か、深く重みのある言葉で気づかせてくれます。

こんな方におすすめ
  • 自分の人生に悩んでいる方
  • 他人からの相対評価の中で生きている方
  • 過去の栄光が忘れられず、それにすがって生きている自分に自覚のある方

宇宙に行ったら人生観は変わるのか

宇宙に行って人生観は変わりましたか?

野口さんは、この質問が、宇宙飛行から帰還した自分を大きく苦しめたと告白します。

多くの人は、帰還後の宇宙飛行士に肯定的なコメントを期待します。野口さんが苦しんでしまった理由は、「内面的な成長を見せて、期待に応えなければならない」といった思いがあったからでした。確かに、宇宙での経験は野口さんにとって何物にも代えがたい素晴らしい経験となりましたが、内面的な成長=「宇宙で経験したことの意味」を理解し、語ることはできなかったのです。

そして、辛く長い「心の旅」をすることになりました。

宇宙よりも遠い、「自分の心の中への旅」を通してわかったこと

宇宙は、地上で生活しているだけではわからない、たくさんのことを教えてくれました。
地球と人間は一対一の存在であり、地球は一人ひとりの人間の命の集合体であること。
宇宙空間には、重力も音も命の気配もなく、その中で地球だけが命を感じさせる存在であり、まぶしく輝いていること。
僕たちが普段、「当たり前」「絶対」だと思っていることは、宇宙では決して当たり前でも絶対でもないこと。

これらは素晴らしい経験です。しかし、宇宙に行くのはあくまでも「体験」です。そこで得られるのは、「人間的な成長」ではなく「視野の拡張」です。

当然ですが、「自分は何者なのか」「自分は何のために生きているのか」「自分はどこに向かって歩いていきたいのか」「後悔のない人生を送るためにはどうしたらいいのか」といった問いへの答えは、宇宙にはありません。

野口さんは、宇宙よりも遠い「自分の心の中への旅」を通して次のことがわかったと語ります。

他者の価値観や評価を軸に、『自分はどういう人間なのか』というアイデンティティを築いたり、他者と自分を比べて一喜一憂したり、他者から与えられた目標ばかりを追いかけたりしているうちは、人は本当の意味で幸せにはなれない

自分らしい、充足した人生を送るためには、自分としっかり向き合い、自分一人でアイデンティティを築き、どう生きるかの方向性や目標、果たすべきミッションを自分で決めなければならない
(略)
自分がどう生きれば幸せでいられるか、その答えは自分の中にあり、自分の足の向くほうへ歩いていけばいい

【参考】知の巨人・立花隆さんの言葉

本書の中で、野口さんは、立花隆さんの著書『宇宙からの帰還』の言葉を引用しています。

体験はすべて時間とともに成熟していくものである。とりわけそれが重要で劇的な体験であればあるほど、それを体験している正にその瞬間においては、体験の流れの中に身をゆだねる以外に時間的余裕も意識的余裕もないから、その体験の内的含意をつかむことができるのは、事後の反省と反芻を経てからになる。

確かにその通り。体験・経験を通じて、自己の反省・反芻することの大切さを教えられます。

後悔のない人生を送るために必要なこと

ポジティブな感情を引き出す6つの方法

日本人は国民性として「空気を読む」気質をがあります。そのために、他人の価値観や評価を常に意識し、それに合わせようとしがちです。

夢があったり、会社など組織の中にいるうちはそれでもいいかもしれません。しかし、それでは、目標を達成したり組織を離れると同時に自分のアイデンティティや生きる方向性を見失います。

生涯会社員を貫き定年退職を迎えた方の一定の割合の人が、燃え尽き症候群となり、その後続く人生の「生きる意味」を失うのはその一例です。まさに、他者からの評価・目標、人との関係性、他者から与えられた役割が失われ、自分の居場所がなくなり、寂寥感や喪失感に襲われた状態です。

本当に後悔のない人生を送るためには、どうすればいいのかー

それは、その日一日どう生きるかを自ら考え、実行する、つまり、自身で主体的に生きる」しかありません。

野口さんは、次のように語ります。

他者の価値観や評価を軸に、『自分はどういう人間なのか』というアイデンティティを築いたり、他者と自分を比べて一喜一憂したり、他者から与えられた目標ばかりを追いかけたりしているうちは、人は本当の意味で幸せにはなれない

自分自身の心の中、あるいは人生に向き合っていくのは、もしかしたら宇宙に行くより困難な旅かも知れません。でもその旅を通じて、わたしたちは自分自身で自分のアイデンティティを築き、どう生きるかの方向性と目標、果たすべきミッションを決めることができるのです。

「自分の人生を生きる」には

ポジティブな感情を引き出す6つの方法

どう生きれば幸せか

自分らしい、充足した人生を送るためには、自分としっかり向き合い、自分一人でアイデンティティを築き、どう生きるかの方向性や目標、果たすべきミッションを自分で決めなければなりません。

ただ「アイデンティティ、とか、ミッションとか言われても…」と思ってしまう方が大半ではないでしょうか。しかし、難しく考える必要はありません。

要は、「自分がどう生きれば幸せでいられるか」を自分に問えばいいのです。ググって他人の意見を参考にしても、そこに答えはありません。

人生の方向性や目標を見出す3つの手がかり

野口さんは、人生の方向性や目標、果たすべきミッションを見出す手がかりは3つあると言います。

  • 自分は何が好きか
  • 自分には何ができるか
  • 自分は何を大事にしているか

そして、自分一人で自分のアイデンティティを築くためのの3ステップをふむことを提案します。

  • 「自分の価値と存在意義」を自分で決める
  • 自分の 棚卸しをし、最後に残るものを見極める
  • これまでの選択、人生に意味づけをする

正直、上記3ステップは難しいですね(少なくとも私にはなかなか困難)。

ただ、上記3つの手がかりを元に、他者の評価に関係なく、自分の軸で好きなこと、できること、大事なことがわかれば、「自分はこうありたい/こう生きたい」という向かうべき方向が見つかるように思います。そして、それに「意味」を持たせることが、「生きる意義・ミッション」となっていきます。

【参考】著書『勝間式 超ロジカル選択術』は、「自分軸」を作るために大いに役立ちます。

「幸せの答え」は自分の心の中。相対評価の枠内で考えない

自分の価値と存在意義は自分で決められます。大事だと言えるのは、相対評価の枠の中で考えないことです。そうすれば、自分が大事なものがわかりますし、また、「自分の弱さ」も受け入れられます(他人と見比べ強がる必要がないので)。

野口さんも内省により「自分の弱さ」を受け入れた、開示できるようなることで、自由になったと語ります。そして、弱さを開示し合ってもなお支え合える相手こそ、本当に大事な存在であることも、忘れてはいけません。

最後に

今回は、野口聡一さんの『どう生きるか つらかったときの話をしよう』からの学びを紹介しました。

ここでまとめた要点は、私にとっては大事でも、他の人から見るととても薄っぺらいモノでしょう。あなたの心にも響きません。是非、本書を開き、野口さんの言葉で、「言葉の深み」を感じ、自分を動かす力にしてください。

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