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【書評/要約】精神科医が教える良質読書(名越康文) 読み方を少し変えるだけ!人生に資する本当に成長できる読書術

【書評/要約】精神科医が教える良質読書(名越康文) 読み方を少し変えるだけ!人生に資する本当に成長できる読書術
精神科医が教える良質読書」要約・感想
  • 読み方を少し変えるだけで、読書から得られる学びは大きく変わる。読み方のコツ満載!
  • 今の自分の能力では読むことが難しい「限界を超える本」が自己を成長させる。古典・名著と呼ばれるジャンルの頂点に位置する“頂にある本”を読め!
  • 「限界を超える本」と「読みやすい本/情報収集本」を並行して読め!後者は、本の価値を20ページで見定める読書術でサクッと読め!

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目次

要約『精神科医が教える良質読書』ってどんな本?

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本書は、読書が苦手な人にこそ読んでほしい一冊です。なぜなら、著者自身、読書が苦手だからです。本書では、30歳まで本を読まなかった精神科医の著者が、試行錯誤しながら身につけた読書術を紹介します。
たくさん読む、速く読むことが「いい読書」と思われがちですが、本書で紹介する読書術は、まったくその逆です。つまり「量」ではなく「質」にこだわる読書術です。

Amazon紹介文からの一部抜粋

私は多読家。ビジネス書・実用書・小説・ラノベ・マンガまで読む多ジャンル読書家です。上記文章を読んで、「じっくり遅読せよ」とお𠮟りを受ける本かも…と思って読み始めたのですが….

今回紹介する、名越康文さんの『精神科医が教える良質読書』は、読み方を少し変えて、聞く力、伝える力、考える力、教養を同時に入れる読書術本

名越さんの読書は、自己を大きく成長させる「質を求める本」と、情報収集のための「量が必要な本」のハイブリット読書。 目的・成熟度に応じて速読み方を変える読書を勧めています。

私は読書術本が好きで多数の読書術本を読んできましたが、そんな私でも、いろいろと学びのある本でした。本当に、ちょっとしたコツで、同じ文章を読んでも、気づきの量・学びの深さは変わるものだと、再認識させられました。お勧めできる1冊です。

本書をおすすめしたい方
  • 量も質も高い読書がしたい方
  • 読書が嫌いで、1冊の本に集中できない方
  • 読書はしても、イマイチ、自己成長につながっていないと感じる方

『精神科医が教える良質読書』の構成と大事な要点

【書評/要約】精神科医が教える良質読書(名越康文)

本書は、以下のような構成になっています。

  • 弟1章:読書嫌いによる読書嫌いのための読書術
  • 弟2章:感覚的読書のすすめ
  • 弟3章:“頂にある本”を目指す
  • 弟4章:本との出会いはタイミングがすべて

弟1章では、もともと読書嫌い・読書に集中できない名越さんご自身が、読書習慣化のためにあれこれと工夫を重ねてきた読書術を紹介。第2章では、読書嫌いだからこそ、スピーディー、しかし、重要なところは見逃さないためのコツを紹介しています。

弟3章では、本当に自己成長につながる読書は、「今の自分」では読みこなすことが難しい各ジャンルの “頂にある本” であるとしたうえで、攻略が難しい本を読む意義と読み方について解説します。さらに、弟4章では、本との出会いはタイミングであり、たとえ、名著・良書であっても、必ず読むべき本とはならないことを教えています。

以下では、各章で紹介される名越流読書のコツを項目のみ列挙して紹介。項目だけ見ると著者の真意が伝わらない指摘も多々あります。具体的な読書術は本で確認下さい。

弟1章:読書嫌いによる読書嫌いのための読書術
  • 読む・考える・書く(ツイート)の「三角読み」
  • ありがたいお経のように読む「お経読み」
  • 複数の本を行ったり来たりする振り子読み
  • いやなら飛ばす「斜め読み」
  • 「どうせこうなんでしょ」と高をくくる「上から目線読み」
  • 1時間に6冊を代わりばんこに読む「十分だけ集中読書」
  • 分野の本を関連付けて読む「他ジャンルリンク読み」
  • 好きな俳優の声で読んでみる「音読」
  • 耳で音声ソフトを聞きながら黙読
弟2章:感覚的読書のすすめ
  • 「直感力」を信じて面で本を読む
  • 結末の”あたり”をつけながら読む
  • 「And」より「But」に注目して読む
  • 「わかった気」になって読む
  • 好奇心の赴くまま数冊を同時に読む「量子論的読書」
  • 感覚と知性を統合する力を育てる「越境読書」
  • 「没入したら醒める」を繰り返しながら読む
  • 複数のジャンルの本をジャンル間で「翻訳」できるよう読む
  • 複数のジャンルの本を組み合わせて読む「多ジャンル組み合わせ読書」
  • 自分の内側、「はらわた」が反応する読書をする
弟3章:”頂にある本”を目指す
  • 早い段階で読むべき本か読まなくてもいい本か判断する
  • 一日数行の読書と一日1000ページの読書をする
  • 自分が好きなジャンルの本で「レベルを知る力」を育てる
  • 「誰にも邪魔されない世界」に導いてくれる本を選ぶ
  • 今の自分では読めない”限界を超える本”を一冊は持っておく
  • 「本は1冊200ページ」という固定概念を捨てる
弟4章:本との出会いはタイミングがすべて
  • 本との出会いもタイミングを大切にする
  • 「とりあえずいつか読むだろう」と思ったら買って積読する
  • 「数冊並行読み」&「掘り下げ読み」する
  • 本棚は整理しない

以下では、各章から、特に私が大事だと思った点をピックアップして紹介します。

「限界を超える読書」をせよ:「量」ではなく「質」にこだわる読書

【書評/要約】精神科医が教える良質読書(名越康文)

昨今のベストセラー本は、知識や教養についてわかりやすく書かれた「親切な本」です。今の自分の能力の範囲内で読める「親切な本」ばかり読んでいるとどうなるか?

低負荷な筋トレでは筋肉がつかないのと同様、「親切な本」を大量に読んでも頭の筋肉=本当の成長には結びつきません。

本当に自分を成長させてくれる本は、知恵と経験を振り絞りながらでないと理解できない「不親切な本」。少なくとも50年以上読み継がれてきた名著・古典などで、それぞれのジャンルの頂点に位置する“頂にある本”を、常に持ち歩き、1日数ページでもいいから読むことを名越さんは勧めます

これらの本は、薄っぺらい知識では太刀打ちできません。「限界を超える本」に挑戦してこそ、人生で経験するさまざまな「限界」や「壁」を乗り越えることができるのです。

以下は、難解な本を読むときのTips。本書の様々な個所から、私が参考になったことをまとめました。

難解な本の攻略術
  • 理解するのに時間がかかる本は、1冊は絶対に持つべし
  • 「読めない本」と「読みやすい本」を並行して読め
  • 難解な文章は「音読」をしてみると理解が進むことがある
  • 「すごい文章だな」と思ったら、ほんの3行でも声に出して読んでみる。記憶への定着が違う

これは確かに!小さなコツで読書の質がUPしますね!

異なるジャンルを関連させる「他ジャンルリンク読み」

名越さんは専門外の本を広く読めとアドバイスします。理由は、他分野の本を読むことで、専門分野の理解が深まることがあるからです。他ジャンル読書をしていると、別々の世界が響き合うときがあり、この時、驚くほど理解の厚みが増します。

私も多ジャンル✕多読がやめられないのは、全く関係のない本の内容がリンクし合ったとき、目の前が明るくなったように物事が理解できたり、深く理解したと実感するからです。「こういうことだったのか!」と、いきなり何かが降臨してきて、脳が幸福感で満たされる感じ。この感覚に再び出会いたくて、読書を続けています。

読書は本能でする。感覚的読書のすすめ

読書は本能でする。感覚的読書のすすめ | 【書評/要約】精神科医が教える良質読書(名越康文)

脳が疲れた時に甘いものが欲しくなるなど、体は本能で今の自分に足りていない栄養を補おうとします。これは読書も同じだと名越さんは言います。

悩んでいる、欲しいものがあるなど、自分が何に「飢えている」とき、自然と情報が集まってくることがあります。これは、「飢え」を満たす言葉・情報を、脳・心が本能(感覚や直観)で探しているからです。だから、ビビっ」とくる本、気になる本は何は大事にした方がいい。

潜在意識」が自分が求める情報を引き寄せることは、脳科学の本などでよく指摘されていることです。私は「本は出会い」だと思っているので、気になる本はマーキングリストに入れて、たまにリストを見返しています。すると、思わぬ上質な再開となることがあります(本の中身は同じなのですが、タイミング次第で、本人評価も変わる=読むべきタイミングがあるということです)。

本のマーキング&携帯&並行読書には、電子書籍オーディオブックは欠かせません。紙の本しか読んだことがない方は、是非、試してみてください。

言葉の意外な使われ方を見逃さない

一見、本書はじっくり読むことを推奨する「遅読書本」のようですが、読んでみるとそんなことはありません。なぜなら、良い本かを判断するためにも、本の冊数をこなすことは大事であることを暗に示しているからです。本書ではそのための、速読術(斜め読み術)もいろいろ紹介されています。

私はおそらく本を1冊読み終える時間は早いです。しかも「耳読」でながら読書の割合も多いです。しかし、これでは頭に残らないので「考える」ためにブログの書評を書いています。そんな私が、なるほどと思ったのが以下の指摘です。

たとえば、「ヒエラルキー」という言葉が、本来は使われないような文脈で現れたとき、「ヒエラルキーってこんな使い方もあるんだ」とハッとさせられる。
「自分の考えている問題も、この『ヒエラルキー』を当てはめて考えたら解けるんじゃないか」というように、意外な言葉の使われ方によって、発想がポーンと飛ぶ。(略)
ある言葉が思ってもみなかった使われ方をされていると想像力が刺激され、ひらめきが生まれるのです。

ブログを書くためには、読了後にマーキングした文章を後で読み返すことになります。この時、「この言葉をこういう文脈で使うんだ!」というように、常に関心を払いながら読むと、「他ジャンルリンク読み」がより深くなりそうだと思った次第。

感覚的にですが、言葉の使い方は「小説」から教わる部分が多いです。使い方もそうですし、そもそも、登場人物を通じて、今まで自分が持っていなかった価値観に出会えるので。そして、いい小説は、読了後に多くを考えさせます。決して面白かったでは終わりません。

最後に

今回は、名越康文さんの『精神科医が教える 良質読書』からの学びを紹介しました。

今までどれだけの読書術本を読んだかわかりませんが、それでも多くの気づきが得られるのが読書本です。著者に感謝です!

読書が嫌いな方は、まずは、本書からヒントを頂いてみてはどうでしょうか。読書好きな人は、より深く・早く本が読めるようになります!

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