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【書評/感想】PRIZE―プライズ―(村山由佳) | 本屋・編集者が戦々恐々。直木賞作家が描く”賞”と”承認欲求”のリアル。本屋大賞2026ノミネート作

【書評/感想】PRIZE―プライズ―(村山由佳) | 本屋・編集者が戦々恐々とした、本屋大賞2026ノミネート作。承認欲求の怖さを描く
PRIZE―プライズ―」要約・感想
  • 書店員が戦々恐々、編集者が「怖すぎる」と声を失った本屋大賞ノミネート作
    ベストセラー作家でありながら、「もっと認められたい」と渇望する作家と、その作家の「特別な人でありたい」と思う若手編集者の物語。人の承認欲求の強さと弱さを容赦なく描き出す。
  • 出版業界の裏側をえぐる圧倒的リアリティ
    文学賞、編集者、出版社、選考の空気感。現場を知る作家だからこそ描ける、生々しく緊張感あふれる業界内幕が物語に「深み」と「怖さ」を与える。
  • 心が苦しくなる物語
    重く、息苦しく、決して気軽に読める物語ではない。それでも最後まで読まずにいられない、中毒性を持った“危険な作品”。

★★★★☆ Audible聴き放題対象本

目次

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書店員が戦々恐々。
編集者が「怖すぎる」と声を失った――。

そんな衝撃作が、本屋大賞2026にノミネートされました。
それが、『PRIZE―プライズ―』(村山由佳 著)

なぜ、この小説は“業界人”を震え上がらせたのか。
理由はひとつ。出版業界の現実と、人間の欲望を、あまりにもリアルに描いているからです。

PRIZE―プライズ―』:あらすじ

人気作家・天羽カインには、満たされない渇きがある…

ベストセラーを連発し、本屋大賞も受賞。経済的にも成功し、名声も十分。
誰がどう見ても“勝ち組”です。
それでも、彼女の心は満たされない。

どうしても、直木賞が欲しい

何度もノミネートされながら、なぜか届かない受賞。
積み重なる落選と屈辱が、彼女の心を少しずつ蝕んでいきます。
そして、次こそは——と、作品づくりに異常なほどの執念を燃やす。そこに、一切の妥協はありません。

そんなカインに並走するのが、若手編集者・緒沢千紘。

彼女はカインを心から尊敬し、人生をかけて支えようとします。
やがてその思いは、「特別な存在になりたい」という欲望へと変わり、常軌を逸した献身へと傾いていくのです。

本作が描くもの —“勝者”と“何者でもない者”の苦悩

この物語にあるのは——

  • すでに成功しているのに、「まだ足りない」と叫ぶ作家
  • 何者でもない自分を変えたくて、必死にもがく編集者

もがく二人の姿です。

そこに絡み合うのが、

  • 作家と編集者の危うい距離
  • 評価と実力のズレ
  • 業界の理論
  • 歪んでいく人間関係

物語は、次第に破滅的な方向へと転がっていきます。

読んでいる最中、冒頭から、心がざらつき、息苦しい。
それでも――
「カインはPRIZEを手にできるのか」
「その先に何が待っているのか」
が気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。

危険な魅力”を持った一冊です。

感想①|「認められたい」という獰猛な欲望

「認められたいのよ。いけない?」

この一言に、カインという人物のすべてが凝縮されています。
彼女を突き動かすのは、抑えきれないほど強烈な承認欲求です。

実績も知名度も十分。
それでも満たされない心。
だからこそ、権威ある賞を手にして、初めて自分を肯定したい――。

その切実さが、欲望は、決して特別なものではありません。
緒沢にも通じる、「選ばれたい」「特別でありたい」という思いであり、
誰もが、心の奥に抱えている感情です。

しかし、大事なのは、その欲求の強さのバランス
「本を売るため」「作品を高めるため」という彼女の言い分は、確かに正論です。
しかし、正論の裏にあるのは過度な圧力。このプレッシャーが編集者や書店員の心をすり減らしていきます。

だからこそ読者も、カインに対して近づいてはいけない存在だという本能が働き、「怖さ」「狂気」を感じます。
しかし、一方で、
・「権威者」「有名人」との関係を親密にしたい欲求も拭い去れない
・傍観者となるにしても、彼女がこの先どうなるのか、眼が離せない
そんな、本書の罠にはまり、途中で本作を読むのをやめることはできませんでした。

承認欲求・権威とは危険ですね。

感想②|直木賞作家だからこそ描けた“リアル”

本作が圧倒的にリアルなのには、理由があります。

著者の村山由佳さんは、2003年に直木賞を受賞した“直木賞作家”。
つまり、賞の世界を「内側から知る人」です。

さらに、本作の出版社は文藝春秋。直木賞の運営を支えてきた出版社でもあります。

つまり本作は――木賞作家が、直木賞を渇望する作家の物語を、文藝春秋から出版
『PRIZE―プライズ―』が生まれたの背景そのものが、すでに強烈です。

作中に描かれる、

  • ノミネートの重み
  • 落選の屈辱
  • 選考をめぐる空気
  • 編集者の思惑
  • 出版社の事情

それらが、生々しくリアルです。
だからこそ、より一層、この作品に「怖い」を感じてしまうのだと思います。

一方、村山由佳は、「賞を獲れなかった作家」ではありません。“獲った側”の人です。

だからでしょうか。本作の意外なラストには、ある冷酷な視点があるように思うのです。
——賞を獲っても、人は必ずしも救われない。

これは自伝ではありません。しかし、無関係でもない。
直木賞作家だからこそ描けた、本業界に向けたメッセージを含んでいるように見えてなりません。

気づき | 「書きすぎない」技術と作家論

作中では、「書きすぎないこと」の重要性が語られます

説明しすぎない。
余白を残す。
読者に委ねる。

これは、小説論としても非常に示唆的です。
書き手にとっても、学びの多い一冊だと感じました。

📌私も、訴えたいことが大きくて、書きすぎます。「そうだよね…」と苦笑しながら読みました。

最後に|「読む覚悟」が必要な一冊

PRIZE―プライズ―』は、が融合した、怖さを感じる作品でした。

  • 作家の執念とプライドを描いた心理小説
  • 承認欲求と自己肯定を問う人生小説
  • 出版業界のリアルを暴くお仕事小説

読むのは、正直しんどい。心がざらつきます。
けれど、読み終えたあと、確実に「何か」が残ります

  • 評価に悩む人。
  • 努力が報われずに苦しんでいる人。
  • 何者かになりたいと願っている人。

そんな人ほど、この本は刺さるはずです。

ぜひ、あえて“痛い物語”に向き合ってみてください。

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