いい本との出会いを応援!

【書評/要約】インド人は悩まない(インド麦茶) 不条理な社会では悩んでいては生き残れない。「考えすぎ」から解放される究極の合理思考

【書評/要約】インド人は悩まない(インド麦茶) 不条理な社会では悩んでいては生き残れない。「考えすぎ」から解放される究極の合理思考
インド人は悩まない」あらすじ・感想
  • 「考えない」は過酷な社会で生きる人生戦略
    インドのような過酷な社会では、悩んでいては生き残れない。「悩まない」は複雑、かつ、不条理な社会で生き残るための人生戦略。
  • 「自分のために生きる」ことを肯定する本
    自分の利益を考える、楽をする、人を頼る——。それは怠けでもわがままでもなく、自分の人生を守るための合理的な選択である。

★★★★☆ Audible聴き放題対象本

目次

『インド人は悩まない』ってどんな本?

【Audible】30日間体験無料 ※いつでも解約可

相手の気持ちを想像し、失敗を避け、周囲との関係を壊さないように振る舞う日本人。

これは、日本人の長所であり、慎重に考え、行動すること自体は悪いことではありません。
しかし、その「慎重さ」が、自分自身を苦しめてしまうこともあります。

考えても答えが出ないことを何度も考え、
他人の反応を先回りして想像し、
失敗する可能性を散々考えた結果、結局何も行動できなくなる—— こんな方、多いのではないでしょうか。

『インド人は悩まない——「考えすぎ」から解放される究極の合理思考』は、そんな日本人の「考えすぎ」を、かなり強烈な角度から問い直す一冊です。

著者のインド麦茶さんは、インドでの駐在や事業活動を通じて、インド人の仕事、生活、人間関係を観察してきた方です。そのなかで著者自身が「超戸惑った」のが、日本人とは大きく異なる、

  • 悩まない
  • まず動く
  • 自分の利益を優先する
  • 欲しいものは欲しいと言う
  • ダメでも簡単には引き下がらない

といった思考様式でした。

日本人から見ると、彼らの「規格外の行動力」や「抜け目のなさ」は、正直、迷惑この上ないと感じることもある。
ところが著者は、それを単なる「インド人の国民性」として片付けません。

人口14億人を超える巨大国家、多宗教・多言語社会、歴史的に根付いたカースト制度、そして極端な経済格差。
そんな厳しい社会のなかで生き抜くために培われた「生存戦略」なのだと考えます。

だからこそ、そのなかには日本人が取り入れるべき思考がたくさんある。

本書を一言で表すなら、「心の中にインド人を一人置いておくことで、悩みすぎる自分から解放される本」

「もっと自分のために生きてもいい」。そんな感覚を取り戻させてくれる一冊です。

「悩まない!」インド式合理思考の背景

そもそも、なぜインド人は、「悩まない」のでしょうか。
その背景にあるのは、インドという国が抱える「複雑さ」と「不条理」です。

自分のすぐそばにある「複雑さ」と「不条理」

インドは人口14億人を超える巨大国家です。
多宗教・多言語社会であり、歴史的に根付いたカースト制度も存在する。
さらに、地域、宗教、言語、経済状況による違いも大きく、上位1%が富の40%を独占するという極端な経済格差も存在します。

つまり、誰もが同じルールのもとで、同じ価値観を共有して生きている社会ではありません。
さらに、いともたやすく人が生まれ、そして死んでいく世界でもあります。

そんな環境で生きていくためには、「周囲がどう思うか」を気にしすぎていては、自分の利益や生活を守れません。
だからこそ、本書で描かれるインド人の思考には、徹底した「自分のため」という軸があるのです。

「自分のため」は、生き抜くための合理的な思考・行動

日本人から見ると、インド人の行動は相当に厚かましい。

しかし、圧倒的に人が多い社会では、
「自分が何をしたいのか」よりも「周囲がどう思うか」を優先していたら、チャンスを逃してしまう。
「自分には無理かもしれない」と慎重になっていたら、誰かに先を越される。
「こんなことを言ったら嫌われるかもしれない」と遠慮していたら、自分の要求を通せない。

だからこそ、「まず自分の利益を確保する」
それは、厳しい環境のなかで生き抜くために培われた、合理的な戦略なのです。

日本人が取り入れたい「インド人思考」

では、具体的にどんな考え方を取り入れればいいのでしょうか。
本書で紹介される考え方のなかから、特に印象的なものを挙げてみます。

  • まずやってみる
    • 悩んでもしょうがない → まず動く「DO文化」 (日本は「GUESS文化」)
    • やってみる。駄目だったら、そのとき考える
    • 未だ起こっていないことを悩んでいる暇などない
  • 「ハッタリ」「外ズラ」も一つの戦略
    • 見た目も実力のうち
    • ナイスな体(マッチョ、豊かな体格)、ぜいたく品で身を飾れ
    • 「根拠なき自信」自信は「生き抜くための武器」
    • 会議では意見を通すため目にしゃべれ。
    • 発言は「中身」より「回数」と「場の支配」。大きな声で、断定しろ
  • 他人からどう見られるか」より「自分が何がしたいか」
    • 「他人の評価」を必要以上に気にするな
    • お金の交渉も、恥ずかしいと思うな
  • 他人を活用して「楽をする」
    • 資本主義は「他人を使うこと」
    • 「しんどい」を全て引き受けるな、アウトソースしろ
    • 一人でできることはたかが知れている
    • 家族・親類もどんどん使え
  • 「それでも自分は悪くない」という強さを持て
    • すべてを自分のせいにするな
    • 日本人は、配慮と自己犠牲を区別せよ
  • 「疑う」ことで自分を守れ
    • インド社会は嘘が横行する社会。「疑う」ことが大前提。
    • 「本当にそうなのか?」と立ち止まれ

ただしです。インド思考は「毒にも薬にもなる」
重要なのが、「用法・容量」を守ること。
本書では、この点がわかりやすく&詳細に解説されています。

本書から学んだ「悩み」を減らす6つの考え方

ここまでの内容を、日常生活で使える形にまとめると、次の6つに整理できます。

  • 「楽をする」ことをもっと肯定していい
  • 「自分の利益」を考えることは悪ではない
  • 「考えてから行動」ではなく「行動しながら考える」
  • 「嫌われない」より「納得できる」を優先する
  • 「疑う力」は、悩むためではなく守るために使う。健全な猜疑心を持つ。
  • 「言い訳」に撃ち負けない、反撃力を身に着ける

以下では、これまで触れていない➏について追記します。

「要求」「言い訳」に撃ち負けない、反撃力を身に着ける

日本人は人の眼を気にします。また、ディベートのように、相手と論点を戦わせることにも、あまり慣れていません。
そのため、上司や知人から「嫌なこと」を依頼されたとき、明確に断ることができない人も多いでしょう。

しかし、意見できないことで損をするのは、結局、自分や家族です。
「負けを認めると貧困が訪れるインド」では、反撃力がなければ生き延びられません。
だからこそ、インド人のコミュニケーションには、ビジネスでもプライベートでも役立つ考え方があります。

言い訳の種類と対応策

不当な要求や言い訳に流されず、自分の立場を守るためのコミュニケーション力のコツは、「言い訳の種類」を見極め、適切に対処することです。

  • 責任転嫁:問題の原因を別のところへ持っていく言い訳
    この場合は、相手の論理に乗ってはいけません。
    「誰が悪いのか」という話に引きずられず、「できないという事実」に絞って、淡々と詰めていくことが大事
  • 相殺消去:あなたに落ち度のある別の問題を持ち出して、おあいこを狙う言い訳
    この場合も、話を混ぜないこと。ブレずに、相手側の責任を問うことが大事
  • 話題転嫁:全く関係のないことを、さも原因・理由かのように使う言い訳
    この場合は、感情的に言い返すと終わらなくなる。
    何が起きたのかを記録しておくことで、話を本来の論点に戻せる。
  • 解決消去:あくまで非を認めない言い訳
    問題が達成できても、「解決したから、それでいい」という態度は改めさせる。

「自分の人生を取り戻す」ということ

先に挙げた❶~➏はすべて、「自分の人生を取り戻す」ことにつながっています。
日本では、「ラクする」が否定されがちで、「自分でやること」「苦労すること」「頑張ること」が美徳とされやすい。
しかし、「楽をする」の反対は「怠ける」ではありません。

人に頼る。
仕組みを使う。
ツールを使う。
外注する。
自動化する。

こうしたことにもっと貪欲になっていい。こうした方法によって、自分の時間を生み出すことができるからです。
この発想を持つうえで、インド人思考は大いに役立ちます。

最後に

インド社会にはインド社会の問題があり、日本社会には日本社会の良さがあります。

本書『インド人は悩まない』から受け取るべきメッセージは、「日本人らしい良さを持ったまま、インド人の良さを取り入れ、もう少し自分中心に生きていい」ということです。

本書は、インド人の生き方を知る本であると同時に、「自分はなぜ、こんなに悩んでしまうのだろう」と考え直す本でもあります。

読み物としても非常に面白い。
インド社会の「規格外」の行動に驚きながら、その背景にある合理性を知る。
そして最後には、「自分も、もう少し自分勝手に生きてもいいのでは?」と思わせてくれる。

悩んでばかりな人ほど、本書を読むと、、これまで悩んでいたことが、少し違って見えてくるかもしれません。
読む価値が大いにある一冊です。

よかったらシェアしてね!

目次