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【書評/考察】一九八四年(ジョージ・オーウェル) 全体主義と監視社会の恐怖を描いた世界的名著。社会&人間の本質を見る目が凄すぎて怖い…

【書評/感想】一九八四年(ジョージ・オーウェル) 全体主義と監視社会の恐怖を描いたディストピア小説。社会&人間の本質を見る目が凄すぎ
一九八四年」要約・感想
  • 全体主義と監視社会の恐怖を描いたディストピア小説
    架空の未来国家「オセアニア」で、政府による徹底的な監視と思想統制が行われる世界を描き、個人の自由が抑圧される恐怖をリアルに表現。
  • 「真実」や「自由」について深く問いかける内容
    “ビッグ・ブラザー”や“ニュースピーク”“ダブルシンク”など象徴的な言葉を通じて、言葉・情報・思想の支配がいかに人間の思考を縛るかを警告。
  • 驚く予見性
    SNS・AI・ビッグデータが浸透した現代において、監視・情報操作・自由の問題を改めて考えさせる作品であり、今こそ読むべき古典。

★★★★★ Audible聴き放題対象本



目次

『一九八四年』ってどんな本?

著:ジョージ・オーウェル, 著:高橋 和久, 翻訳:高橋和久
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ジョージ・オーウェルが1949年に発表した「一九八四年」

現代社会における自由、監視、思想統制の危険性を鋭く描いた不朽の名作です。ディストピア・近未来小説の最高峰と言われる小説です。発表から70年以上を経た現在でも、その警告的メッセージは色褪せることなく、むしろ現代社会の姿を予言したかのように感じられます。

一九八四年』は読者に深い問いを投げかけます。

真実とは何か?
自由とは?
監視はどこまで許されるのか?

SNSやAI、ビッグデータが日常に浸透した現代は、私たちは誰もが「見られる側」にいると同時に、「見ている側」にもなり得ます。そして、著名人の場合は、その発言・発信が、過去までさかのぼって掘り起こされ、その人の仕事やそれまで築いてきた信頼をも奪い去ります。オーウェルが描いた未来社会は、決して絵空事ではなく、すでに私たちのすぐそばに存在しています。

また、小説は、読者に「社会(支配)や人間の本質」、そして、現代社会人がそれらの罠に知らず知らずはまっていることも気づかせます。

オーウェルの近未来の想像力、そして、人間・社会の本質を見る目の凄さには感嘆されるばかりです。

今回の書評は、再読をきっかけにまとめていますが、再読すると改めて深い部分まで読み入ることができ、多くの気づきがあります。技術進化で、暗黙の監視社会が進んでいる現代、はじめての方はもちろん、一度読んだことがある方も、あらためて読んでみてほしい1冊です。

『一九八四年』:あらすじ

監視社会

舞台は、絶対的な独裁政権「ビッグ・ブラザー」が支配する架空の未来国家「オセアニア」。世界は3つの超大国、オセアニア、ユーラシア、イースタシアによって分割・統治され、この3国が1950年代に起こった核戦争以来、ずっと、戦争を続けています。

市民のあらゆる行動はテレスクリーンによって常に監視され、言葉や思考さえも支配される社会が広がっています。この世界では、政府の命令は絶対。「真理省」や「愛情省」など、一見すると前向きな名前を持つ機関が、実際には情報操作、拷問、洗脳といった手段で人々を統制。自宅ではオフにできない双方向テレビ「テレスクリーン」が常に政府のプロパガンダを流し、また、街ではマイクや思想警察により、国民は常に監視されています。

そこに、思想・言語・恋愛の自由はありません。

政府体制に疑問を抱く主人公 ウィンストン・スミス

主人公のウィンストン・スミスは、体制に疑問を抱きながらも、日々を機械的に過ごす中年男性。彼の仕事は、政府に都合の悪い歴史の記録の改ざん。オセアニアの役所「真実省」に所属し、そこで政府にとって都合の悪い事実はことごとく書き換えられます。国民も、自分の記憶を頼りに真実を探ろうとしても、あらゆる文献・メディアが改ざんされているため、何が真実だったのか分からなくなっています。

自分の記憶すら当てにならない環境下で、人は論理的思考で判断・思考力は衰え、情報がすり替わっても気が付かない・気にしない状態に陥っています。

しかし、ウィンストンは、このような政府の方針に疑念を抱きます。政府に反すれば捕らえられて、死刑か強制労働収容所送りです。しかし、ウィンストン1つめの罪を犯します。日記に自分の思考や感情を記録し始めたのです。

ジュリアとの出会いと恋愛、禁書の入手

彼は密かに「党」に対する反抗の意思を抱えながら、同じく反抗心を持つ女性・ジュリアと出会い、禁じられた恋愛と自由な思考を通じて、自分自身を取り戻そうと試みます。

この世界では、「正当な愛」とは子孫を残すための「愛のない性交渉」のみです。恋・愛・セックスは邪悪とされます。しかし、彼らは、秘密裏に「愛あるセックス」を重ねるようになります。これは2つ目の罪です。

さらに、ウィンストンは、3つ目の罪を犯します。反政府思想を持っているのではないかと思われた高級官僚オブライエンへ接近し、政府への反抗を誘ったのです。さらに、政府を糾弾した禁書を手に入れ、それを読み始めます。その禁書には、「この世界の真実」「政府支配の秘密」など、驚愕の事実が記されていました。

逮捕、拷問、洗脳…結果、ウィンストンは…

厳しい監視下で、ウィンストンの反逆がバレないはずもありません。逮捕されたウィンストンに待っていたのは死刑ではありません。「愛情省」による壮絶な、拷問・洗脳です。

詰問・拷問者は反逆同士だと思っていたオブライエン。度重なる執拗な拷問・思想統制で、ウィンストンは健康な体、健全な思考を失っていきます。そして、物語は、ウィンストンがビッグ・ブラザーの信奉者となり果てたところで結末を迎えるのです。

政府は、政府への反逆者を英雄にしてしまう危険がある「死刑」に処することさえ許さず、「見せかけの屈服」も許しません。「ビッグ・ブラザー」を心から信奉する状態にして、はじめて、抹殺できる対象としたのです。

度重なる拷問・洗脳で、変わり果てていくウィンストンは、壮絶そのものです。ここに、「支配・統制」「弱き人間」の真実が垣間見えます。

『一九八四年』:感想・気づき。オーウェルからの警告

『一九八四年』は、表面的には、全体主義批判監視社会批判の小説に見えます。しかし、考えながら読むと、実は、自由主義下で生きている現代社会人にもズバリあてまっていることに気づかされます。

オーウェルの時代を超えて通用する「社会(支配)・人間の本質」を見抜く目には、驚きしかありません。

ここでは、本作を読み解くうえで重要な、「ニュースピーク」「二重思考」「テレスクリーン」という3つのキーワードを紹介します。

ニュースピーク:思考できない人間を作る

人は「言語」がなければ思考できません。言語そのものが貧弱であれば、思考も貧弱化します。

例えば「自由」という言葉。私たちは自由には、思想・行動・経済など様々な自由があることを知っています。しかし、この意味を、政府が国語辞典レベルで、縮小化したり、政府にとって都合のいい意味を加えたりするとどうなるか?旧自由を知らない若い世代の人はもちろん、「旧自由」の経験者も次第に時代に洗脳され、意味が書き換わっていきます。

この人間の本質を利用して、政府は、従来の標準言語「オールドスピーク」に代わる言語、意味が劣化・陳腐化・縮小化した都合のいい「ニュースピーク」を生み出します。『一九八四年』の物語の中には、国民に悟られることなく、政府の指導者が国家レベルで国民の思考を奪う=洗脳する世界が見事なまでに描かれています。

ことばは、時代と共に変化することこそが本質です、変化はいいことばかりではありません。現代でも、劣化ワードとも言える言葉が次々に生まれています。

例えば「超ヤバイ」という言葉。いい意味でも悪い意味でもなんでも利用できる便利な言葉です。しかし、その結果、自分の感情表現を正確に言葉にできなくなっている人が続出しています。

二重思考:歴史の改ざん&思考統制

私たちは「過去は変えられない」と考えがちです。人には「記憶」があるからです。しかし、実際には「過去の記憶」は簡単に書き換わります。特に個人レベルでは、言い訳・自己正当のために「私ははじめからそう思っていた!」と自ら記憶をすり替えます。このような「記憶の書き換え」も人間の特性です。

本作に出てくる「二重思考」は、この人間の本質を利用し、不都合な情報は書き換え、国民もそんな記憶は存在しなかったと過去を書き換え、忘れるように仕向けることです。人は「おや?おかしい」と思っても、周囲が同調していると、群集心理で、「そうだったかも…」と考えを改めます。特に、日本人はこの群集心理に弱い性質を持ちます。指導者が巧みに誘導すれば、簡単に世論は変わることがざらにあります。

著:ギュスターヴ・ル・ボン, 翻訳:桜井成夫
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戦後の日本では、国が教科書内の不都合箇所を黒く塗りつ抜させましたが、現代なら、不都合な真実は、デジタルメディアなら、しれっと簡単に削除・改変が可能で、しかも国民も気づかれにくい。最初は一部の人が捏造だ!と騒ぐかもしれません。しかし、そんなのは一時です。人は次の情報に目移りし、重要視しなくなります。忘れ去られるのです。

いやはや、現代は、国民を「二重思考」に誘導しやすい環境が揃っていると言えますね。

テレスクリーン:監視社会デバイス

テレスクリーンは部屋にあるOFFにできないデバイスです。それが思想統制し、監視社会を作り上げています。中国はこの仕組みが機能しています。故、巨大な国を一気に舵取りすることができています。

では、欧米・日本はどうでしょうか?確かに、政府による明確な監視はありません。しかし、あなたの手元にある「スマホ」。これ、ある意味、進化したテレスクリーンです。スマホはないと不安。まず、この時点で知らず知らず「スマホに洗脳」されているといって過言ではありません。

さらに、ネットで情報を見ればアクセスログが残ります。これで、何に興味を持っているかが筒抜けです。さらに検索結果は、パーソナライズ化されています。万人に同じ情報が届かないという点で「広義の情報書き換え(改ざん)」です。また、金融情報はデータ管理され、ペイ払いすれば、どこで何を買っているかもわかってしまう。さらには、「いいね」をもらうために、自らどんどん発信して、さらにログを残します。

もはや、スマホ&ネットが1984で描かれるテレスクリーン以上の「監視力(の素地)」を持っているわけです。知らず知らずにスマホという支配者に洗脳されているのです。

しかも、スマホの使い方次第で、時間もお金も吸い取られます。強力な搾取端末であることも忘れてはいけません。

戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり

『一九八四年』の政府が掲げるスローガン:戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり

ここまでの説明で、「自由は隷従なり 無知は力なり」は少しわかったと思います。政府の隷属になってしまえば自由に生活できますし、そのためには、考えないバカの方が生きやすい、ということです。逆に、賢く論理的に物事を考え、正しいことを正しいと反逆してしまうと拘束され、強制的な思想統制を受けます。

さて、残るは「戦争は平和なり」。ここでのポイントは、「国が国民を支配する」には、国民に「心理的な負担」と「敵」を与えておいた方がいいという点です。すると、国は一方向にまとまりやすくなります。

この実現手段が「戦争」です。太平洋戦争時の日本がそうでしたし、現在も、中国・韓国は国内が荒れると、日本を「敵国」にして、民衆の怒りを国外に向けます。

では、実際に戦争をすべきかー。超大国とて「戦争」をしたら、国は疲弊します。故、『一九八四年』3つの超大国は、都市機能・経済の中心から遠く離れた場所を戦争最前線にして、一部の虐げられた人たちのみを犠牲にして、真っ向勝負をしているように偽装しつつ、内部統制 を図るのです。

この方法なら、犠牲少なく内部統制ができる。だから、戦争は一向に終わりません。これが「戦争は平和なり」の意味です。あまりに巧妙で怖すぎます。

最後に

今回は、ジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』を紹介しました。

正直、まだまだ、熱く語りたいところがありますが、この辺にしておきます。とにかく、社会主義・共産主義への批判を超えて、「いま私たちが生きている現代社会」にさえ、警鐘を鳴らしています。

ただただ、オーウェルの「本質を見る目」に驚かされるばかりです。この凄さを是非、多くの人に味わってほしいです。いや、世の中の怖さを知るためにも読んでおくべきです。

著:ジョージ・オーウェル, 著:高橋 和久, 翻訳:高橋和久
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著:ジョージ・オーウェル, 著:田内 志文
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