- 人生には攻略法が存在する
- （お金、仕事、愛情・友情）をバランスよく育てていくことが「幸福の土台」
- 新しい時代のルールのもとに、リスパを考えて柔軟に挑戦していくことが幸せに満ちた人生をつくる
★★★★★ Audible聴き放題対象本 マネー本
『人生は攻略できる』ってどんな本？
人生には攻略法があるー
生きにくい現代社会を賢く生きる方法を教えてくれる、橘玲さんの『人生は攻略できる』。「幸福の土台」となる人的資本・金融資本・社会資本の3つの資本をバランスよく育て、これらを土台に、時代の変動に柔軟に挑戦していくことが、幸せに満ちた人生を作ると述べる本です。
人生には「必勝法」はありません。また、「幸せの形」も人それぞれです。しかし、「こうした方がいいこと」と「やってはいけないこと」は存在します。これを、人生をロールプレイングゲームと捉え、どのように攻略＝生きるか、その戦略・戦術を教えてくれます。
私は本書を読むのは2度目です。初版が2019年ですが、新書化するに当たって内容がアップデートされています。益々時代の変化が加速する現代で重要になったのが、変化に柔軟に対応するために重要な最適化指標「リスパ」です。初版にはなかった概念で、これを学ぶだけでも大きな価値があります。
- 人間の行動・意思決定のメカニズムを理解し、よりよい選択をしたい方
- 自己成長・キャリアアップ・ライフハックに関心のある方
- 人生をよりよくしたい、幸福を追求するすべての方
リスパ思考とは：人生攻略の鍵
あるものを選んだら、別のものをあきらめなくてはならないー 「トレードオフの法則」
お金、時間、大切な人間関係 など、私たちがもつ資源は有限です。「1日＝24時間」。何かに 10時間を費やせば残りは14時間。限りある資源をいかにして最適化し、最大の効果を生み出すかが、「成功への鍵」です。
さて、ここで、これまで最適化の指標としてよく用いられてきたのが、コスパとタイパです。しかし、変化の激しい時代により重要度が増した最適化指標がリスパです。
| コスパ | コストパフォーマンス | 限られたお金を有効に使う |
|---|---|---|
| タイパ | タイムパフォーマンス | 限られた時間を有効に使う |
| リスパ | リスクパフォーマンス | 避けられないリスクを最小化する |
リスク思考が大事な理由
人と同じことをしていては、人並みのものしか得られません。「成功するためにはリスクが必要」です。しかし、「リスクを取れば成功できる」わけではありません。
リスクを取らなければ成功できないが、リスクを取れば失敗するかもしれない。だとすれば、このゲームを攻略する戦略は（たぶん）ひとつしかない。それが、「失敗してもいいリスクを取って、試行錯誤しながら経験値を上げていく」ことだ。（略）
大きなリスクを取って勝負することと、小さなリスクで堅実に前進していくことに優劣はない。これは、どのように人生というゲームを攻略するかの価値観のちがいだ。
橘さんは、人生というゲームの攻略法は「失敗を恐れずに、試行錯誤しながら経験を積んでいく」ことに尽きると言います。失敗してもやり直せるかぎり、失敗は貴重な経験・学びとなり、これが未来の成功確率を高めてくれます。
- 「同じリスクならリターンの大きな方を選ぶ」あるいは「同じリターンならリスクの小さな方を選ぶ」
- 常に「再チャレンジ」できるようにリスパを管理する
成功を加速するために、コスパ・タイパにリスパも加え、リスクを取るか？取らないか？を的確に判断して進むことが求められます。リスクをどこまで受け入れることができるのか、見極めることも現代を生きる重要なスキルです。
幸せのルール
人生というゲームのゴールは幸福になることです。しかし、何が幸福かは価値観に基づき、人によって異なります。それでも、ほとんどの人に当てはまる「幸福のルール」はあります。これを押さえて行動することが求められます。
- ほとんどの人が同意できる幸福
- 好きなことを夢中でやって、いまが楽しい
- あとから振り返って「幸福だった」と思える
- 幸福のルール
- いろんな障害を乗り越えながら、よい方に「変化」していく
- 最後がプラスになる
【幸福の土台】3資本を育てる：人的資本、金融資本、社会資本
幸せの形は人それぞれです。しかし、「人生の攻略法」を知って行動した方が、成功確率は高まります。まず大事なのは、人的資本、金融資本、そして社会資本の3つの資本（お金、仕事、愛情・友情）をバランスよく育てることです。
「人生を攻略する」とは、この3つの「幸福の資本」を自身の価値観（こんなふうに生きたい）にもとづいて最適化することです。
| 資本の種類 | 求められる力 | 育て方 |
|---|---|---|
| 人的資本 | 働いてお金を稼ぐ力 | 若い時ほど人的資本は大きい。若い時はまずは働け！ 「好きなこと・得意なこと」に一極集中する 自分の興味や才能に集中することで、最大の成果が生み出せる 高い専門性や独自性を意識的に育てる ※スペシャリストになれば、定年はなくなる（定年後も同じ仕事ができる） |
| 金融資本 | お金でお金を稼ぐ力 | グローバルマーケットへの分散投資 リスクを分散し、安定した収益を得る |
| 社会資本 | 人とつながる力 | 強いつながりと弱いつながりを両方築く ・深い信頼関係をベースにした少数の深い関係（家族・友人など） ・広大な貨幣空間のネットワーク つながりを深化させる テイカーになるのではなく、ギバーになる ※ギバーとしての行動は、自己成長（人的資本）にもつながる |
以下では、それぞれの3つ資本の攻略法から、興味深かったことを抜粋して紹介します。
【攻略法】人的資本：好きなこと・得意なことに集中せよ
「圧倒的な努力」ができるのは好きなことだけ
「やればできる！」という言葉があります。確かに、やらなければ何も始まりません。しかし、得意でもないことは「やってもできない」し、そもそも頑張れない。
「やればできる」ではなく「やってもできない」を前提とし、て人生ゲームの攻略法を考えるべき。具体的には、「圧倒的な努力」が無理なくできる「好きなこと」に集中すべきです。好きを仕事にしていると、ひとは「自分らしく」生きていると感じられます。
天職は存在するのか？
天職なら、圧倒的な努力ができそうです。では、転職は見つかるのか？
残念ながら、天職は探して見つかるものではありません。探し求めるものです。若いうちから、いろんな仕事をどんどん試してみることです。
たくさんの仕事のなかには、君に向いているものと、向いていないものがある。向いている仕事のなかで、君がどれを選ぶかはほとんど偶然に決まる。そして、その仕事を一生懸命やっているうちにどんどん「好き」になって、やがて「天職」と思えるようになるのだ。
山口周さんの『仕事選びのアートとサイエンス』では、帯に『「好き」✕「得意」で選んではいけない』とありますが、考えの出発点が違うだけで、最終的には橘さんと山口さんは同じことを言っています。山口さん自身の例をベースに、どう探せばいいか、良質なヒントを与えてくれます。
イヤなものはキッパリ拒否せよ！
人は誰でも、無意識に自分に合うか合わないか判断しています。この無意識の力は圧倒的で、意識の力で抑え込むことは困難です。それでも無理やり意識にで無意識を抑え込む＝イヤなことを我慢すると、「人的資本の崩壊」を招きます。「精神・肉体という人的資本」を壊しては幸せの土台から崩れます。「嫌なことはキッパリ拒否、好きだと思ったら努力は惜しまない姿勢」が大事です。
「無意識の自分＜スピリチュアル＞が拒絶するもので妥協するな」を『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』（ブレンディ・みかこ 著）では、「自分のソウルに合わない仕事は辞めるべき」というセリフで表現しています。
【攻略法】金融資本：お金は「自由」の近道
金融資本を築くに当たって、多くの人は、「結局、いくらあればいいの？」と考えるのではないでしょうか。橘さんはこれに対して、一つの解（考え方）を提示します。
金融資本はいくらあればいい？
- お金の公式＝（収入－支出）＋（資産×運用利回り）
- 目標：富の限界効用が逓減して平衡状態になるまで
ん？富の限界効用が逓減して平衡状態とはどういうことでしょう。私の言葉で簡単に説明するなら、「いくらあれば、もう十分だと思えるかです。もうこれ以上貯めなくてもいいと「安心できる金額」です。結局、お金を貯める行為は、安心を買うことに等しいのでしょう。
なお、橘さんは、この日本人の安心できる金額「1億円」と基準を与えてくれています。
ウマい話はすべて無視する
さて、お金を減らしてしまうリスクの一つが、「ウマい話」です。現代では、投資詐欺の世界での一番のカモ🦆は、頭が悪い人ではなく、中途半端に頭のいい人です。ある程度自分に自信があり、だからこそ「特別なチャンスに乗れる！」と思っている人です。
本当にウマい話はあなたのところには絶対に回ってきません。本当にうまい話はもっと上流の人たちが独占するからです。「ウマい話はすべて無視する」が正しい対処法です。
【攻略法】社会資本：人の評価方法を知る
社会的な動物である人は、評価を幸福と結びつけるようにできています。故、自分の評価への寄与度が高い「自分のキャラ」について知ることは大事です。「自分らしい」とは、「自分のキャラに合っている」ことにもなります。
では、人は、私たちは初対面の人をどのように評価するのか？無意識に次の6つの軸で知ろうとします。
| 知性 | 頭がいいか、そうでないか |
|---|---|
| 経験への開放性 | おもしろいか、つまらないか |
| 堅実性 | 信頼できるか、あてにならないか |
| 外向性 | 明るいか、暗いか |
| 同調性 | みんなといっしょにやっていけるか、自分勝手か |
| 安定性 | まともか、まともでないか |
友だちの集団では、自然とキャラが決まりますが、それは、「それが自分をいちばん目立たせる方法だから」です。だから、キャラがかぶると嫌われます。
最後に
今回は、橘玲さんの『人生は攻略できる』からの学びを紹介しました。
本書のタイトルは『人生は攻略できる』であって、万人に共通する『人生の攻略法』ではありません。「やったほうがいいこと」「やらないほうがいいこと」を学んで、自分の力で正しく選択・行動することが求められます。これも本書の述べる「リスパ思考の成功法則」なのでしょう。
本記事で紹介したことは、あくまで、私にとって大事なことです。是非、本書を手に取り、ご自身の人生攻略法を見つけてください！
