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【書評/要約】悪い夏(染井 為人) 登場人物、全員クズとワル。どこにでもいそうな真面目な職員の“闇堕ち”を描く社会派ミステリー。3/20~劇場公開

【書評/要約】悪い夏(染井 為人) 登場人物、全員クズとワル。どこにでもいそうな真面目な職員の“闇堕ち”を描く社会派ミステリー。3/20~劇場公開
悪い夏」要約・感想
  • 登場人物、税陰、クズとワルー
    生活保護制度の裏側に潜む闇に絡み、転落していく人間を姿を描いた社会派・犯罪サスペンス
  • 主人公は市役所の社会福祉課に勤務するケースワーカー。同僚の不正に気付いた真面目で内気な青年が、事実確認のために一軒の女性宅を訪れたことがきっかけで、闇堕ちしていく様を描く
  • 臨場感のある描写。蒸し暑い夏の空気感、汗ばむ肌の感触が伝わってくる。読書中、ねっとりとした汗が、まとわりついてくるような感覚に襲われた!

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目次

『悪い夏』ってどんな本?

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登場人物、全員、クズとワル

『悪い夏』は、生活保護制度の裏側に潜む闇に絡み、転落していく人間たちの姿を描いた社会派・犯罪サスペンス

26歳の主人公・佐々木守は、市役所の社会福祉課に勤務するケースワーカー。貧困に苦しむ人々の支援を行う職務に真面目に向き合っていた青年ですが、ある日、同僚が、生活保護を受給するシングルマザーに対し、受給停止をほのめかしながら関係を迫っていることを知り、女性に事情を聞こうと自宅を訪問したことから、彼の転落人生が始まります。

この作品に出てくる登場人物は、本当にクズとワルしかいません。
貧困ビジネスの首謀者や、不正受給者だけでなく、市役所職員であっても….

普通の職員だった佐々木も、1件のケースワーカー案件に関わったことで一線を越え、闇堕ちしていきます。闇に足を入れると堕ちるのはあっという間です。どうやっても闇から抜けられない八方ふさがり状況に陥っていきます。
そして、その先に待っているのはー

本作は、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞作品。著者・染井為⼈さんを有名にした作品です。3月20日からは、主演・北村匠海さんで劇場公開。2024年に主演・横浜流星で公開された映画『正体』に続き、2作品目の映画化。このことからも、染井さんの人気のほどが伺えます。

劇場版と小説では少し内容が違うようです。違いを楽しみたい方も是非!

悪い夏:あらすじ

26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して――。
生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす! 

上記は、映画『悪い夏』のプロモーションビデオ。
主演の北村匠海の目が死んでますね。でも、ほんと、目が死んでしまうような状態に陥ります。

プロモを見た雰囲気では、映画の方がエンタテイメント性が増しているような雰囲気があります。

同僚の不正を確かめようと女性宅に向かった佐々木。女性は困窮しながらも小さな娘との生活を維持しようと努めていました。同僚に肉体関係を迫られていた理由も、定職のない女性がが内緒で短期間だけ勤めたちょっとヤバいバイト先で職場の同僚と鉢合わせし、それをネタにゆすられていたことを知ります。

最初は、職員として不正を正そうと仕方なく首を突っ込んだ案件でしたが、次第に佐々木は親子に同情・行為を寄せ、深みにはまっていきます。しかし、実は、女性の裏には… 裏で糸を引く「悪」の存在が…。気づけば、佐々木は闇社会にからめとられていたのです。

生活保護の不正受給
貧困ビジネス
ケースワーカーの現実

どこにでもいそうな真面目で気の弱い青年が、八方ふさがりの状態に落ちていくー 作品は、日本社会が抱える闇をえぐります。

染井為人さんの作品の特徴

世について:覚えておきたい言葉 | 世について

日本を代表するミステリー作家の染井為人さんの作品を過去何冊か読んでいますが、以下の共通点があるように思います。

  • サスペンス×社会派要素
    単なるミステリーにとどまらず、現代社会の問題を反映したテーマを取り入れている。
  • 臨場感のある描写
    映像的な描写。風景が目に浮かぶ
  • 「善と悪」の境界線が曖昧な人物造形
    クズ・ワルが出てくる作品は多いが、明確な「善人」や「悪人」でじゃないことが多い
    「善人の中にある悪」が描かれたり、「悪の中にある善意・正義」が描かれたりする
    事件・ミステリーを描くより、悪人がおかれた環境、心の奥底に潜む葛藤や狂気を丁寧に描く。

❶については、『悪い夏』では上述の通り、「生活保護の不正受給」「貧困ビジネス」「シングルマザー」「不正受給者」「ヤクザ」を描いています。

❷については、『悪い夏』では、読んでいると、蒸し暑い夏の空気感や、汗ばむ肌の感触が、読者に伝わってきます。読みながら、ねっとりとした汗が、まとわりついてくるような感覚に襲われました。

その他の本でも、リアルな描写で『街のざわめき』『店内の騒々しさ』『のどかな田舎の閉鎖的な空気感』などが、リアルに伝わってきた経験があります。この点が、映画化されやすい理由なのかな?と思ったりします。

❸については、『悪い夏』でも、一見善良そうな職員が裏では女性に肉体関係を迫っていたり、気の弱さが災いして闇に堕ちていく善人が描かれています。ミステリー作品としての事件性にフォーカスするより、「普通の人が追い詰められ、とんでもない行動に走る心情」に重点が置かれたストーリーとなっています。

最後に

今回は、間もなく劇場公開となる染井為人さんの小説『悪い夏』を紹介しました。

原作と映画は内容が異なるとの話もあります。ミステリー好きの方はもちろん、映画好きの方も是非読んでみて下さい。

ちなみに、2025年3月20日、馳星周さんの小説『少年と犬』も劇場公開となります。
こちらは、涙なしでは読めない感動作です。

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