- 理解力は、すべてのチカラの源
- 学校教育では、「理解する方法」を学ぶ機会がない。「理解したつもり」の人で溢れている
- 理解力とは、「理解したつもり」という壁を乗り越えて、深みへと踏み込む力。本書は、理解力UPに必要な、「理解の箱」を格納する「脳内ライブラリー」の充実と活性化を目指す
★★★★☆
Audible聴き放題対象本
『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』ってどんな本?
「理解」は、情報把握・コミュニケーションの基本です。しかし、学校教育では学ぶ機会がありません。そのため、「理解したつもり」が溢れています。
『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』の著者 山口拓朗さんは『理解力』は次のようなものだと述べます。
「理解したつもり」という壁を乗り越えて、深みへと踏み込む力
理解力を磨く上で重要なのは、「安易に受け入れない」ことです。
理解力とは「本当にそうなのか?」と、疑問をぶつけて、深く踏み込む力です。
本書は、理解力を高めるために必要な「脳内ライブラリー」の充実と活性化法を教えてくれる1冊です。
脳内ライブラリーが充実・活性化できれば、新たな情報に遭遇した際も、スピーディー、かつ、的確に理解することができます。また、その結果として、話す、書く、行動するといったアウトプット力も高められます。
理解力は、すべてのチカラの源― です。
- 情報を鵜呑みにしやすい方、考える力を身につけたい方
- ミーティング時、「質問は?」と問われて、いつも、質問が思いつかない方
- 「理解度」を伸ばして、総合的なビジネススキルを高めたい方
「理解したつもり」の壁を乗り越えるために、まず、理解すべきこと
理解に必要な4要素
❶聞く ❷読む ❸体験する ❹思考する
最近は、何をするにもタイパが意識され、スマホでサクッと読めるコンパクトな記事が好まれます。このような情報は、多くの場合、鵜呑みにされるか、頭にとどまることもなく情報がスルーしていきます。これでは、脳内ライブラリーが活性化どころか、不活性化・衰退します。
「本当にこれで正しいのか?」「なぜ?理由や根拠は?」「この事実から予測できることは?」「裏はない?」など、様々な視点から、自分に疑問を投げかける訓練が必要です。「理解したつもりになっていないか?」と常に「理解することに意識的になる」ことが大事です。
「深く読む・体験する・考える」は、この訓練に大事な要素であり、「読書」は有効な手段です。読書は、「知識・人の経験・人の思考」に触れる宝庫であり、脳内ライブラリーの充実・活性化につながります。本書では、理解を深める読み方も紹介されており、参考になります。
理解に必要な3ステップ
- 「言葉」を理解する
- 「幹→枝→葉」で理解する
- 「クリティカル(批判的な視点)」に理解を深める
センスの悪い方法では、理解力の習得にも時間を必要とします。まずは、理解に必要な3ステップを知ることです。❶~❸それぞれの項目が大事なので、以下で1つづつ解説します。
「言葉の理解」は最優先事項
まず、大事なのは、「言葉の意味そのものの正しい理解」です。
例えば、「カフェラテ」と「カプチーノ」。「何となくわかっている」だけではありませんか?
理解の屋台骨とする「言葉」がが正しく理解できていないと、話の筋道は正しく理解できません。また、言葉によっては、トラブルの元にもなりかねません。
言葉を調べるか調べないかー。その差が語彙力や理解力の差を生みます。
数字を取り扱う場合は、その数字はどのように算出されたものであるのか、ファクトチェック(情報の正確性・妥当性の確認)も大切です。
相手がいる場合は、お互いに持っている「言葉の定義」をすり合わせることも必要になります。
できるビジネスマンがミーティング中に、「今の話は〇〇という理解で合っていますか?」と確認するのも、今後の話し合いでの誤解や齟齬を失くし、無駄な議論をしないためです。
「幹→枝→葉」で理解する。文脈を理解する
理解の原理原則は「全体⇒細部」であり、話の「幹」となるテーマを把握することが大事です。
理解度が高い人は、「この話(文章)のテーマ(幹)は何だろう?」と考えながら話を聞いています。
本書では、理解を深める方法として、13のアプローチが詳細に紹介されています。
※具体的な方法・注意点は本書で!
- 「書き出して」理解する
- 「芋づる式」に理解する
- 「比較」しながら理解する
- 「図表」を書いて理解する
- 「筋道・道理」から理解する
- 「具体例」から理解する
- 「五感」で理解する
- 文章を「要約」して理解する
- 最悪、「主語」と「述語」だけ押さえる
- 「5W1H」で理解する
- 「因数分解」して理解する
- 「相手の立場に立つ」で理解する
- 「理解の箱」と結び付けて理解する
「クリティカル」に理解を深める
理解力を磨く上で重要なのは、「安易に受け入れない」ことでした。
人間の会話は結構いい加減です。ロジカルでない会話で溢れています。巧みに論点がすり替えられることも多々あります。前節の「文脈の理解」と並行して、「この情報は正しいのだろうか?」とクリティカル思考で考えることが求められます。このために、意識したいのが、以下の視点です。
- 話や文章の「非論理」にダマされない
- 全体像を把握し、俯瞰的に物事を見る「鳥の目」と、細部に焦点を当てて、具体的な部分を詳細に観察する「虫の目」を持つ。
以下は、能動的に理解を深めるアプローチです。
※具体的な方法・注意点は本書で!
- 「音読」で理解度が高まる ※本での学習など。
- 「質問」を重ねて理解を深める
- 「仮説」を立てて理解する
- 「反論」しながら理解する
- 「ディスカッション」で理解を深める
- 「体験」を経て人の気持ちを理解する
- 「フィードバック」を受けて理解する
- 「メモ」は理解のを深める
仕事で求められる10の理解
さて、ここまで、「脳内ライブラリー」の充実化・活性化に焦点を当ててきましたが、仕事にフォーカスしたとき、どのような理解が必要でしょうか?
仕事で大事なのは、「理解すべきことを明確にする」ことです。以下を明らかにして仕事に望むことが大事です。
※具体的な方法・注意点は本書で!
- 「目的」を理解する
- 「テーマ&コンセプト」を理解する
- 「システム」を理解する
- 「理由」を理解する
- 「背景」を理解する
- 「前提」を理解する
- 「現状」を理解する
- 「リスク」を理解する
- 「役割」を理解する
- 「行動」を理解する
【実践】「理解」をアウトプットに活かす
「理解」はアウトプットのためにある― 理解はアウトプットしてはじめて意味を持ちます。具体的には、「判断・決断」「伝える(話す、書く)」につなげることです。自分から情報を発信し、フィードバックをもらえば、理解力も伸びます。
「伝える」アウトプットの場合、ないがしろにしてはいけないのは「相手を察する」ことです。
アウトプットには、必ず「相手」がいます。相手の理解レベルを見抜き、「互いの理解」を高めることが求められます。相手の言葉や表情、ふるまいなどからいかに「相手を察する」かー。これが、ビジネスの現場で相手から魅力的な情報を引き出すことにつながります。
最後に
今回は、山口拓朗さんの『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』からの学びを紹介しました。
本書では、理解力を伸ばす、具体的なアプローチ方法がわかりやすく紹介されています。ビジネススキル全体を高めることにつながる内容です。是非、興味のある方は、本書を手に取ってみてください。