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【書評/要約】お金の不安という幻想|田内学が示す“一生働く時代”の生存戦略──貯金・投資で不安は消えない。本当に頼れる資産とは何か

【書評/要約】お金の不安という幻想|田内学が示す“一生働く時代”の生存戦略──「もっと稼げ」では不安は消えない。本当に頼れる資産とは何か
お金の不安という幻想 」要約・感想
  • マネー本の枠を超え、「これからの時代をどう生きるか」を示す一冊
    私たちが長く信じてきた“お金さえあれば何とかなる”という前提は、すでに崩れつつある。いまの本当の制約はカネではない。「もっと稼げ」「もっと貯めろ」とは真逆の視点を突きつける。
  • お金より先に、積み上げるべきもの
    人生で築ける資産は、人的資本・社会関係資本・金融資本(お金)の3つ。
    このうち、最も不安定なのが「お金」。皮肉にも、スキルと人脈を積み上げた人ほど、お金も安定する。
  • これからの時代に大事なのは「ヒト」
    経済を支える「ヒト・モノ・カネ」。この先、日本で最も重要になるのは急速に減少する“ヒト”である。働く人・支える人・つくる人が足りない社会では、どれだけ金融を回しても豊かさは生まれない。

★★★★★ Kindle Unlimited読み放題対象本

目次

『お金の不安という幻想』ってどんな本?

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私たちはいつから、こんなにも「お金」に怯えるようになったのでしょうか。

「お金がなければ生きていけない」
「老後には最低でも○千万円必要」
「働き続けなければ不安、貯め続けなければ安心できない」

そんな強迫観念の中で、私たちは“終わらない焦り”を抱えて生きています。

しかし本書『お金の不安という幻想』は、その前提そのものを疑うところから始まります。

著者・田内学さんは、ベストセラー『きみのお金は誰のため』の著者。
金融のプロとして数字の世界を熟知しながら、
前作に続き、「お金とは何か」「なぜ私たちは、ここまで不安なのか」を根本から問い直します。

本書が突きつけるのは、「もっと稼げ」「もっと貯めろ」とは真逆の視点です。

―― お金の不安は、現実ではなく、
―― 社会が作り出した“幻想”なのではないか?

その挑発的な問いが、読む者の価値観を、静かに、しかし確実に揺さぶってきます。
前作以上に学びの多い1冊です。

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今回紹介の本の内容をより深く理解するために、合わせ読みがベターな本です。

著:田内 学 / Audible聴き放題対象本

この本は、単なる「マネー本」ではない

本書は、単なるお金の本ではありません。
「これからの時代を、どう生きるか」、人生の指針を与えてくれる人生哲学本です。

一生働くことが前提となる社会で、私たちは何を軸に生きればいいのか。
お金に振り回されず、むしろお金を通して希望を見出すには、どんな視点が必要なのか。
その答えとして提示されるのが、“8つの視点”です。

田内学さんの視点は極めて冷静でありながら、人間的であたたかい。
「お金の不安は幻想である」というメッセージは刺激的ですが、
読み進めるほどに、「不安の正体」が少しずつ言語化され、腹落ちしていくような感覚がありました。

本書は、お金に振り回される人生から抜け出し、自分の価値を軸に生きたい人にとって、強力な指針となるはずです。 深い気づきと希望を与えてくれます。読んでおくべき1冊です。

以下から、覚えておきたい要点をまとめます。

整理する――「不安」とは何か

本来、不安とは、自分を守るための感情です。
しかし今の私たちの不安は、本当に「自分のため」になっているでしょうか。

著者は言います——不安は、もはや個人の感情ではない。社会の中で設計された空気だと。

それに無自覚なまま生きていると、私たちはいつの間にか、他人のモノサシで人生を測らされることになります。

なぜ、私たちはこんなに焦らされるのか

子どもの頃の不安は、「仲間外れにされること」でした。
大人になると、そこに大人になると、そこに別の恐怖が加わります—— 乗り遅れたら終わりではないか

この焦燥感は、性格の問題ではありません。社会の仕組みそのものです。
企業やメディアは「40代から始める〇〇」「みんなやっている」という言葉で、時間の焦りを注入します。

モノが行き渡った社会では、モノはもう売れません。そこで生まれたのが、不安マーケティング
企業やメディアは
「40代から始める○○」「みんな、もう始めています」という言葉で、時間の焦りを注入してきます。
投資、教育、美容、健康――あらゆる分野が、不安のビジネスになっていきました。

こんな世の中で、不安から自由になる方法は、ひとつしかありません。
それは、自分のモノサシを持つことです。

しかし私たちは、しばしば「価格」と「価値」を混同します。
例えば、「高い=価値がある」「みんなが買う=正しい」と、暗に思ってしまう。

ですが、本当の価値とは「自分がどう感じたか」にしか存在しません。
他人に見せるための消費は、人生のハンドルを他人に預ける行為です。

なぜ、他人の成功を真似るほど苦しくなるのか

成功者は、うまくいった話だけを語ります。失敗は語られず、輝く結果だけが拡散されます。
その結果、「自分以外はみんな成功している」という錯覚が生まれ、心に不安が生じます。

しかし、実際は、成功は再現できません—— 勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし
成功は、偶然・環境・タイミングという語られない要素に支えられています。
見た目だけ真似しても、土台が違うのです。

だから「努力するんだ!」と心を整えたくなりますが、残念ながら、「努力すれば報われる」時代は終焉しています。
モノは余り、チャンスは減り、格差は広がる…。努力と報酬が比例しないのが現在です。

ここでも、「他人の物差し」で見ている限り、不安は増えるばかりなのです。
自分にとって何が価値か——この軸なしで、不安が減ることはありません。

支度する――お金より先に、何を積み上げるか

私たちは、つい「いくら持っているか」で人生を考えてしまいます。
しかし本当に重要なのは、「自分の中に何が蓄えられているか」です。

著者は言います。本当に頼れる資産は、次の3つしかないと。

  • 人的資本――知識・スキル・経験
  • 社会関係資本――仲間・信頼・つながり
  • 金融資本――お金

この中で、もっとも不安定なのは、皮肉にも「お金」です。
一方、人的資本社会関係資本は、一度築けば簡単には失われません。
スキルがある人には仕事が集まり、信頼がある人にはチャンスが集まります。
結果として、お金が副産物として増えていくのです。

だから著者は言います——「支度」とは、お金を増やすことではない。

直視する ――お金では買えないものが、社会を支えている

経済に必要なものは、たった3つ。「ヒト」「モノ」「カネ」です。
この中で、私たちは長いあいだ、「カネさえあれば大丈夫」だと信じてきました。
そして、人の価値を「年収」と「肩書」で測るようになりました。

私たちは、コロナや震災時に知ったはずです——
どれだけお金を貯めても、働く人がいなければ、食事も、医療も手に入らない。
本当に大切なのは、作る人、運ぶ人、支える人=「労働」だということを。

おアダム・スミスも、アリストテレスも、「富を生むのは労働であって、貨幣ではない」と見抜いていました。

円安の本当の意味――お金が外へ流れる国

日本は、食料・エネルギー・原材料を海外に依存しています。
値上げされた100円の多くは、原材料やネットサービスなどで海外へ流れていきます。
だから、国内の給料は上がりません。

さらに、昨今、NISAでの「オルカン」など世界への投資が人気ですが、
日本人が海外投資をすれば、円は国外へ渡り、
代わりに、外国人が日本の株や土地を買い、ますます日本人には手が届かないものになっていきます。
社会の構造は大きく変わっているのです。

制約はすでに「カネ」から「ヒト」へ

戦後から長い間、日本の制約は「お金」でした。
だから「お金を回せば解決する」政策が機能しました。
失われた30年の間、取られてきた金融政策も「お金を回す」ことでした。

しかし、いまは違います。
「少子化」「高齢化」「労働不足」—— いまの制約は、「人」です。
2040年、日本は1100万人の労働者が不足すると言われています。
農業、建設、交通、医療――あらゆる分野で、「人がいない社会」が現実になります。
ペスト後のヨーロッパと同じく、働き手が消えることで、経済が変質する局面に来ています。

しかし、政治は、「ヒト」を優先できていません。
行政は、カネ(財務省)とヒト(厚労省)に分断されています。
税がすべてお金で集められる以上、国家運営はどうしてもカネ中心になります。

しかし、ヒトが制約になる時代に、これまでのようにカネを優先すれば、社会は壊れます。

協力する――「内」から「外」を動かすという発想

ここまで読んでくると、
日本社会の本当の危機は、「お金不足」ではなく「働く人不足」だと、腹落ちして分かってきます。

では、私たちはどうすればいいのか。答えは、「もっと稼ぐ」でも「もっと節約する」でもありません。

「一人でがんばる」から、「みんなで支え合う」発想へ。
社会とは、私たち一人ひとりの選択と関係性の積み重ねです。
だから、社会を変える力は、私たちの内側にあるのです。

豊かさの正体

私たちが豊かになった本当の理由は、仕事を減らしてきたからです。

1920年の日本のエンゲル係数は約60%でしたが、現在は約27%まで低下しています。
これは、人々がケチになったからではありません。少ない人手で、大量の食料を作れるようになったからです。

つまり、豊かさの正体は、食に関わる仕事が減り、自由な時間とお金が生まれたことにあるのです。

本来、金融の役割は単純です。挑戦したい人にお金を渡し、新しい価値を生み出してもらうこと です。

ところが今の日本では、全く真逆。
大企業はお金を持て余し、自社株買いで株価を守り、新しい挑戦に資金が回らない。
つまり、「守るためのお金」ばかりが増え、「未来をつくるためのお金」が減ってきました。
これが、失われた30年の正体です。

そして、今、将来不安にさいなまれた私たちは、
「自分の仕事」「自分の収入」「自分の取り分」を守ることが最優先になっています。
これえは、誰も未来をつくる主体がいなくなります。。

著者が強調するのは、ここです。
問題の正体を「お金の不安」だと思う限り、私たちは協力できません。

しかし、今、日本の課題は、「人手不足」。
この共通課題を認識し合ったとき、はじめて同じ方向を向けるのではないかと述べるのです。

社会が変わるときの条件

歴史を見れば、社会が動くときには共通点があります。
それは、明治維新然り、「このままではまずい」と若い世代が最初に声を上げ、やがてその認識が上の世代にも広がったとき、社会は大きく変化しました。

著者は講演の場で、高校生からこんな問いを投げかけられたといいます。
「日本がこんなにヤバいのに、どうして大人には危機感がないんですか?」

この一言には、強い絶望というより、むしろ切実な願いが込められています。
——「一緒に考えてほしい」「本気で向き合ってほしい」というサインです。

若者は、まだ未来を諦めていません。諦めることができません。
「この国はもう終わりだ」と冷笑しているのは、大人。
「どうせ変わらない」と希望を手放してしまった側が、いつの間にか“現状維持の最大の担い手”になっているのです。

社会は、誰かの革命的な一手で変わるのではないという事実です。
変化は、もっと地味で、もっと静かで、もっと個人的なところから始まります。

挑戦を応援し、古い常識を疑い、不安を共有し、少しだけ行動を変える。
「お金の不安」に突き動かされ、奪い合うように生きる社会から、人を支え合い、余白をつくり、希望を回していく。

こうした、もっと人を大切にする社会へ 一人一人が歩み出すことが求められます。

最後に— 不安の正体は「お金」ではなく「孤立」

NISA、株式投資、資産運用――目下、将来の不安を解消する投資がブームです。
節約・貯金に意識を向けすぎると、人生の選択肢は狭まり、
また、恐怖に突き動かされた投資は、人を投資の奴隷にし、より 人を不安にするだけです。

もっとも深く刺さったこと。
それは、お金の本質が「信用」である以上、孤立すると不安は増すはずなのに、
お金の不安が、その“孤立(自分本位)”をも増幅しているという点です。

しかし、お金は“孤独”を増幅させますが、一方で、“つながり”を強化する力もあります。
信頼できる人がいて、役割があって、誰かの役に立てている実感があるだけで、お金の不安は驚くほど減らせる。

本書は、実に 深い気づきを与えてくれます。
書評を読んで満足せず、本書を腹落ちするまで、熟読することが、あなたの人生にとって、大きなプラスとなります。
是非、本書を手に取ってみてください。

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