- 忙しさの正体は「仕事量」ではなく「多忙感」
本書は、「多忙」と「多忙感」を明確に区別する。現代人を苦しめているのは仕事量そのものではなく、脳疲労と外乱による「忙しいと感じる状態」である。まず、これを区別することが、多忙感解消の出発点。 - 効率化やマルチタスクが脳を疲弊させる
効率化によって処理できる情報量が増えるほど、脳は多くの刺激にさらされる。また、人は真のマルチタスクはできない。作業の切り替えによって増々集中力や記憶力が消耗する。 - 解決策は「行為主体感」
多忙感を減らす鍵は、自分で選び、自分で決めて行動する「行為主体感」を取り戻すこと。リアクションを減らし、自分から動くアクションを増やすことが、幸せにもつながる。
★★★★☆ Audible聴き放題対象本
『多忙感』ってどんな本?

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「なぜかいつも忙しい。」
タスク管理術を学び、効率化ツールを導入し、スキマ時間まで活用している。
それでも時間に追われ、気づけば一日が終わっている——。
現代社会には、そんな感覚を抱えながら日々を過ごしている人が少なくありません。
そんな現代人の“正体のない焦り”に、脳科学の視点から答えを提示するのが本書『多忙感』です。
者の菅原洋平さんは、脳の働きと行動の関係を分析し、「忙しさの原因は時間不足ではなく、脳の状態にある」と指摘します。
本書が扱うのは単なる時間管理術ではありません。
なぜ効率化しても楽にならないのか。なぜ休んでも疲れが取れないのか。
その理由を「多忙感」という切り口で解き明かしていきます。
読後には、「もっと頑張る」ではなく、「脳を疲れさせない」という新しい視点が手に入る一冊です。
多忙と多忙感は違う──問題は頭の中の「忙しさ」
本書の出発点となるのが、「多忙」と「多忙感」は別物だという考え方です。
- 多忙:実際にやることが多い状態(実態)
- 多忙感:やることが多いと感じている状態(感覚)
私たちを苦しめているのは、必ずしも前者ではありません。
むしろ問題なのは、脳が「忙しい」と感じ続けている状態です。
著者は、その原因を 脳疲労 ✕ 外乱 と説明します。
- 脳疲労:マルチタスクや意思決定の連続によって脳のエネルギーが消耗している状態
- 外乱:スマホ通知、Web広告、ニュースなど、絶え間なく入ってくる情報で注意力を奪う刺激
脳が疲れた状態で外乱を受け続けると、注意力は分散し、集中力や判断力が低下します。
すると仕事は進まないのに疲労だけが蓄積し、「忙しい」という感覚だけがどんどん膨らんでいくのです。
「効率化」が多忙感を生み出している
本書で特に印象的だったのは、「効率化が必ずしも楽につながらない」という指摘です。
私たちは忙しさを解消するために効率化を進めます。
便利なツールを導入し、複数の仕事を並行し、空き時間まで活用する。
ところが著者は、効率化によって処理できる情報量が増えるほど、脳はより多くの刺激にさらされると指摘します。
時間は節約できても、脳の負荷は減らない。むしろ増えている可能性すらあるのです。
さらに、人は本当の意味でマルチタスクができません。
脳は複数作業を同時処理しているのではなく、猛烈な速度で“切り替えている”だけ。
この「切替コスト」が集中力や記憶力を大量に消耗し、脳を疲労させます。
その結果、多忙感は、ソワソワ → イライラ → ぐったり という3段階で進行していきます。
そして、本書でいう「多忙感の三大症状」を引き起こすのです。
- 物忘れが増える
- ボーッとする
- SNSや動画に逃避して時間を溶かす
興味深いのは、疲れているときほどSNSや動画を見てしまうという指摘です。
脳は疲労すると、より負荷の低い刺激を求めます。この説明には強い説得力を感じました。
多忙感を減らす3つの方法
① 多忙感を消す鍵は「行為主体感」
本書のキーワードが「行為主体感」——「自分が自分の意思で行動している感覚」です。
同じ会議でも、「参加させられている」と「自分で必要だと判断して参加している」では、疲労度が異なります。
脳は「やらされている」と感じるほどストレスを受けるからです。
だからこそ、主体性が重要です。
- 自分で優先順位を決める
- 自分で進め方を決める
- 自分で時間配分を決める
「やらなきゃを、どうやってやろうに変える」この考え方は、すぐに実践できる学びでした。
② 時間管理より注意力管理
多くの自己啓発書は「時間管理」を重視します。しかし、本書は、「注意力」に着目します。
私たちは通知やメール、チャットへの反応に多くの注意力を奪われています。
集中力を高めようとする前に、「集中力を失わない環境をつくる」ことこそ重要です。
- 通知を減らす
- シングルタスクを増やす
- 集中時間を確保する
「15分でもいいから集中時間を作る」という提案は、忙しい人ほど取り入れやすいでしょう。
⏰集中力UPアイテム:ポロモードタイマー
③リアクション人生から抜け出す
ここまででわかるのは、忙しさの正体は「リアクション過多」にあります。
他人の依頼・要求・指示に応え続けるリアクション中心の働き方では、自分のエネルギーを他人に支配され続けます。
だからこそ重要なのは、リアクションを減らし、自分から動くアクションを増やすことです。
この指摘には強く共感しました。
私自身、会社員を辞めてから幸福度が大きく上がったと感じていますが、その理由の一つはまさにここにあります。
最後に
『多忙感』は、時間術の本ではありません。
「忙しいと感じる心の仕組み」を理解し、余裕を取り戻すための実践書。
仕事術や時間管理術の本というより、「脳との付き合い方」を教えてくれる本でした。
「もっと効率化しなければ」ではなく、「自分の脳とどう付き合い、どう守るか」——
忙しい感覚を減らし、自分のペースを取り戻すための実践書として、多くの人におすすめできる一冊です。
是非、日々忙しさに悩んでいる方は読んで見てください。
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