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【書評/感想】ルビンの壺が割れた(宿野かほる) 驚愕の大どんでん返し!最後の一言が強烈で、思わず伏線確認

【書評/感想】ルビンの壺が割れた(宿野かほる) 驚愕の大どんでん返し!最後の一言が強烈で、思わず伏線確認
ルビンの壺が割れた」要約・感想
  • かつての恋人同士のメールのやり取りで進む大どんでん返し小説
  • ストーリーが進行とともに、不穏な雰囲気が… 先の読めない展開。待ち受ける衝撃のラスト
  • トリックアート「ルビンの壺」のように、男性、女性のどちらのメッセージにフォーカスするかで、小説の印象がガラリと一変。ページをめくる手が止まらない。一気読み必至の面白小説

★★★★☆

目次

『ルビンの壺が割れた』ってどんな本?

まさか、こんな結末が待っていようとは… 小説最後の一言に、唖然…

小説の前半からは想像もしない結末が待っている、大どんでん返し小説『ルビンの壺が割れた』。

男女のメッセージのやりとりのみで展開する本小説は、まさに、小説表紙に描かれたトリックアート(多義図形)「ルビンの壺」のよう。男性・女性、どちらのメッセージを読んでいるかで、小説の印象がガラガラと変わっていく!

ミステリー小説ではないのに、ミステリー小説のような面白さ!134ページと短編なのであっという間に読破可能。大どんでん返し好きにはたまらない一冊です!

こんな人におすすめ
  • 大どんでん返しが好きな方
  • 軽快に進行するストーリーが好きな方
  • ちょっと変わった男女の物語を読んでみたい方

ルビンの壺が割れた:あらすじ・感想・考察

ルビンの壺が割れた:あらすじ・感想

「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」
 
――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。
 
先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作! ──── 

Amazon紹介文

男女のメッセージのみで話が展開

本小説は、水谷一馬が、28年前に結婚を約束していた未帆子という女性のFacebookを発見してメッセージを送るところから始まります。最初は、一馬からの一方的な近況を報告。最初は無視されるも、3通目のメッセージに未帆子が変身することで、メッセージのやり取りがつながっていきます。

最初は、昔の恋人を懐かしむノスタルジックなメッセージ。メッセージが回を重ねるごとに、

  • 男性は既に53歳になったこと
  • 今だ、独身であること
  • 人間ドックで小さなガンがあることを宣告されたこと
  • メッセージ送信相手である女性とは愛し合い、結婚を約束していたこと
  • 結婚式当日、突然、女性は男性の前から姿を消してしまったこと
  • いろいろ騙されり、辛い経験もして、それがなかったらもっと別の人生があったのではないかと後悔があるものの、女性との思い出は「よき思い出」として大事にしていること…

などがわかってきます。

特に、女性に恨みつらみをいうわけでもない、ただ、昔を懐かしみ、今はどうしているだろうかと、思いをはせているだけの淡いメッセージが何度かやり取りがつづきます。

しかし、メッセージが重なるたびに、その雰囲気が一変していく…

男性・女性がそれぞれが、若き日に知ってしまった「相手の秘密」が明らかになるたびに、読者は、当初、男性、女性に対して抱いたイメージがどんどん崩れていきます。

そして、しまいには…. 唖然。最後の一行が強烈.

読了後で、2人の印象が180度変わります。伏線をもう確認したくなること間違いなしです。

秘密が明らかになっていく展開は、ミステリー的でページをめくる手が止まらなくなります。

結末は、ここに書いてしまうと面白くない!ご自身で確認してください。読んで損なしです。

ルビンの壺とは?

ルビンの壺とは?
ルビンの壺
画像:WikiPedia

小説のタイトルになっている「ルビンの壺」

ルビンの壺とは、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案したです。見方によって見えるものが違う不思議な絵(多義図形)。皆さんもご存じでしょう。

白い部分に注目すると、中央に壺が浮かび上がる
黒い部分に注目すると、左右から向かい合う2人の横顔が浮かび上がる。

だまし絵、トリックアートと言われたりもしますが、どの部分をフォーカスしてみるかで見えるものが変わるのは、一種の「錯覚」。人間の認知能力の特徴です。

錯覚を人をだますことに使ってはいけませんが、錯覚を正しく利用すれば、自分の能力を高めることもできます。以下の本もご参考に!

小説のラスト、ルビンの壺は粉々に割れる

本書のストーリーは、まさに、男性、女性のどちらのメッセージにフォーカスするかで、小説の印象がガラリと変わっていきます。

そして、本小説の最後の最後の一言で、「ルビンの壺」は粉々に割れてしまいます…

是非、その壺の割れっぷりを本書で楽しんでみてほしいと思います。

最後に

今回は、宿野かほるさんの小説「ルビンの壺が割れた」を紹介しました。

本小説は、134ページ。短い小説の中で、話がどんどん展開していきます。短時間で読めるので、是非、本書のスピーディーに、ドラスティックに展開する大どんでん返しを愉しんでみてください。

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