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【書評/要約】東京大地震2023(柘植久慶) 東京はどうなるかをリアルに実感できる、近未来小説。命を守るために読んでおくべし

【書評/要約】東京大地震2023(柘植久慶) 東京はどうなるかをリアルに実感できる、近未来小説。命を守るために読んでおくべし
東京大地震2023」要約・感想
  • 陸&海を震源地とする巨大地震が連鎖して東京を襲ったらー。東京大地震をリアルに実感できる近未来小説
  • 2023年は関東大震災から100年目。地下深くでプレート間のひずみは確実にたまっている
  • 地震発生時、東京のどのエリアにいるかで災害被害は大きく異なる。命を守るために知っておくべき

★★★★★ Kindle Unlimited読み放題対象本



目次

『東京大地震2023』ってどんな本?

Kindle Unlimited対象本

2023年は関東大震災から100年目
100年経過で、地下深くでプレート間のひずみは確実にたまっています。

2024年8月8日、気象庁は南海トラフ巨大地震臨時情報「巨大地震注意」を発表。同日発生した最大震度6弱の宮崎地震の結果、南海トラフ沿いの震源域で新たな大地震が発生する確率が数倍程度高まったと注意喚起しています。、

日本人最大のリスクは「地震」。地震は広範囲に人の命・財産を奪います。しかし、毎日に仕事・家事に忙殺されてしまうと、「防災意識」は低下しがち。地震を「他人事」とせず、備えておくことが大事です。

南海トラフ地震が起これば、関東下のプレートにも変化が生じ、「首都圏直下型地震」「富士山噴火」が誘発発生するリスクも高まります。

地震危機意識を高めるためにも読んでおきたいのが柘植久慶さんの近未来ノベル『東京大震災2023』です。

地震の備えのためには、防災ブックが有効ですが、あえて、地震小説を読む利点は、「人々の不安・恐怖」が描かれることで、被災時の恐怖が自分事として追体験できることです。

本小説は、単なるパニック小説ではありません。自分事として読むことで、巨大災害に対する備え(住居、避難、防災グッズ、心構え 等)ができる小説です。命を守るためにも、読んでおくことをおすすめします。

東京大地震2023:あらすじ

東京大地震2023:あらすじ

2023年12月15日17時15分、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.9の直下型地震が発生。そして、その30分後に房総沖を震源とするマグニチュード8.2のプレート型地震が関東一帯を襲う。

東京湾に10メートル超の大津波が押し寄せ、荒川の堤防は決壊。高速道路では大規模な車輌火災が発生、それが木造の民家に燃え移って延焼!巨大津波は横浜、銀座、浦安などの首都圏を飲み込んでゆく。

未曾有の大震災に直面した時、どのような行動が明暗を分けるのか? 
巨大津波、広がる火災から、生き残る術はあるのか!? 

「想定外」の連動地震に人々がいかに行動し、サバイバルに結びつけるかをシミュレートした衝撃の近未来ノベル。
これは、遠い未来のことではなく、明日起こってもおかしくない出来事である。
―――Amazon解説

東京大地震:舞台設定(発生状況、規模など)

参照:ウェザーニュース

戦後80年。戦争もなければ大災害もなかったのは世界史上の奇跡。日本人はそれに甘えて、のほほんと現代を生きています。しかし、大地震はいつ起こるかわかりません。

『東京大震災2023』では、東京で以下の2つの地震が連続して発生することを想定して、描かれています。

  • 【陸地】東京湾北部を震源とするマグニチュード7.9の大地震
  • 【海溝】30分後に、東京湾の外でフィリピン・プレートを震源とするマグニチュード8.6の大地震が発生

この2つが連鎖的に起こるとどうなるかー 東京は、破壊・火災・大津波に襲われます。

❶で、首都の機能が殆ど麻痺。地震は街を破壊し火災を起こします。
そこに、❶の結果誘発された❷の自信が発生すると、大津波が東京湾岸を襲う ことになるのです。

『東京大震災2023』では、あえて、具体的な地名を出して、被害状況が描かれます。具体的な地名で被害が描かれるため、災害がリアルに感じられ、「自分事」としてリスクを認識できます。

地震で東京はどうなるか:東京の東は水、西は火

地震と被害:東京の東は水、西は火:東京大地震2023

『東京大震災2023』を読んで再認識したのが、自分がどこで地震に遭遇するかが「生死の分岐点」を左右するという点です。その瞬間、どこにいるかで、助かる可能性が高い対処法も変われば、逃げられるタイムリミットも異なってくるのです。

東京をブロックで分けて、大きなリスクとなることを、いくつかピックアップして紹介します。

【東京湾岸エリア】は埋め立て地。津波がくれば沈む

  • 湾岸の高層マンションは、揺れ自体には耐えても、3階ぐらいまでは完全に津波でやられる
  • 自動車での脱出を選んだ時点で、すべて終わっている。必ず交通渋滞に巻き込まれる
  • ドアより更に20cmか30cm上に水がきたらもう開かない。その後は、下からどんどん水が入ってくる
  • ドアの上端まで達すれば開くが、天井近くに残ったわずかな空気を吸いながら、一体何人が耐えられるか
  • 仮にドアから脱出できたとして、汚れた津波の水に飲み込まれ、生きていられるか?!

【東京東部・荒川周辺】荒川の堤防決壊で洪水

  • 荒川が耐えられる限度は、津波4メートル。5メートルで決壊。最初の地震で堤防が数メートル下がることも
  • 荒川堤防が決壊すれば、江東区、葛飾区、墨田区、荒川区、足立区まで急速に伝播
  • 脱出しようにも主たる交通機関は停止。自動車も幹線道路は大渋滞。逃れる手段は皆無
  • 住宅密集地では家屋の倒壊。出火したら最後、強風によりたちどころに延焼
  • 東京の下町は全滅。水と火のエリアに地域が二分される。

【東京~横浜沿岸】多数の発電所、石油関連施設。多くの危険エリア

  • 横浜の磯子から対岸の千葉県 袖ヶ浦 を結ぶ線より北に、実に10ヶ所余りの火力発電所
  • 磯子、大井、品川、千葉、 五井、 姉崎、そして袖ヶ浦など
  • 大津波にでも襲われたら最後。東京湾岸が真っ暗
  • 羽田空港の南──川崎側に大規模な石油関係の施設。原油・液化ガスなどのタンク類
  • 石油関連施設が倒壊すれば、重油は津波と共に街に流れる。そこに引火すれば…広範囲で💥🔥

【東京西部】倒壊&火災

  • JR中央線の中野~荻窪は、東京で一番激しく火災が生じる地域と見られている
  • 古い木造住宅が多い地域は倒壊→火が延焼のリスクが高い
  • 行政がいくら指導に乗り出しても、最終的に居住者や地権者の利害関係から、一歩も前進しないのが現状

とにかく避難。リュックで逃げろ!

東京大地震2023:とにかく逃げる!

交通渋滞で消防車は火災沈下に出向けない。本格的な救助活動は翌日、火災が収拾しないとできないと考えられます。


消火の望みがない状況下では、安全な場所に脱出するしかありません。そんな時、普段からの備えがあるかないかが、その後を二分します。

防災リュクで、逃げる

  • 逃げるときはリュック防災リュックは玄関近くに備えておきたい
  • 持ち出す場合は、500mlペットボトルの水必須(常備必須)
  • 500mlの水を複数、重心が偏らないようにリュックに入れる
    ※重心が偏ると逃げるのに支障
  • キャッシュカードやクレジットカード、預金通帳や 印鑑 などを、すぐに持ち出せるようにまとめておく

消火活動より、自分の現在地に水

  • 消火活動より逃げる。避難場所に放水し、自分にも水。乾燥していると火がやってくる。
  • 風は熱気のある方に吹くので風向きも変わる。サバイバル術を知っておくことは大事
  • 火の中を逃げなければならない場合、長い髪の人は危険。髪を縛ること
  • 帽子や布を巻き、水をかけて行動。首までスッポリ入る、防災頭巾が理想

スポーツシューズを容易。普段からの運動が災害時に自分を救う

住居&資産&家族を守れるか

住居&資産&家族を守れるか:東京大地震2023

地震火災に万全はありません。本書では、資産を守ろうと判断ミスを犯す人たちも多数描かれています。

防災ばっちりの要塞も完ぺきではない

  • 要塞のような防護建物を建てていても、運用のミスで燃える
  • 例えば、窓が1カ所でも空いていて火が室内に入り込めば、火に飲み込まれてアウト
  • 我が家は大丈夫と過信は禁物

自宅でのタンス預金が裏目に

  • 資産持ちで自宅に現金をしこたま管理している場合、地震後にリュックに詰めていると時間ばかりが浪費される
  • 札束が大量にある場合、リュックに詰めても重くて持ち出せない
  • 高齢ならなおさら。キャッシュ大事さにお金と共に火に飲み込まれては元も子もない

家族を守る

  • 大黒柱となる人間の態度は大事。リスクの対処判断はもちろん、助かったとしても、大黒柱の動作・発言次第で、家族を励ましもすれば、悲観的にもする
  • 逃げるときは津波でんでんこ。家族を探すな。家族も逃げていると信じて、とにかく逃げろ!
  • 自宅でいつも風呂の水を貯水。生活用水・トイレに使える
  • 大惨事ではすぐに救援物資は届かない。家族✕1週間分の食料・飲料の備えは必要
  • カセットコンロガスボンベのストックは大事。温かい食事ができるかできないかは、被災時の気持ちを大きく左右する
  • 年に1度、防災グッズ&自宅の備え点検

日本経済はどうなるか

地震で日経平均は大暴落

  • 大地震時で株価は大暴落
  • 東日本大震災時に何が起こったかは、以下の本に詳しい

増える赤字国債・増える税金

  • 首都圏直下型地震が起きたときの被害はいくらかかる?100兆円?200兆円?
  • 赤字国債発行で、国の借金は益々増える
  • 少子化も相まって、次の世代は、どんな税制の下に生きなければならないのか?
  • 東日本大震災の場合の復興税
    • 復興財源の確保を目的として、所得税・住民税・法人税に上乗せして徴収
    • 所得税:2013年1月1日以降25年間、税額に2.1%を上乗せして徴収
    • 法人税:2012年4月1日以降から始まる事業年度からの2年間、減税を一旦実施した上で、税額の10%を追加徴収
    • 住民税は2014年度から10年間、年間1,000円引き上げ

最後に

今回は、柘植久慶さんの近未来ノベル『東京大震災2023』からの学びを紹介しました。

「近未来小説」は、単なる空想ではなく、「現実の問題」と何らかの形でリンクしています。

「近未来小説」中でもディストピア小説は、将来的に起こる最悪なケースを想定し、その時、何が起こるのか、世界・人類はどうなるかを、感情まで含めて、生々しく、切迫した形で教えてくれます。

リスクを知っておくことが、あなたを救うかもしれません。お手に取って読んでみられることをおすすめします。

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