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【書評/要約】ストックとフロー(細谷功) 世の中の全ての変化は「フロートストック」で説明できる!世界の先が読める「思考と知識」の法則

【書評/要約】ストックとフロー(細谷功) 世の中の全ての変化は「フロートストック」で説明できる!世界の先が読める「思考と知識」の法則
ストックとフロー」要約・感想
  • 世の中のすべての変化は、「フロー(流れ)とストック(蓄積)」の概念を使って説明できる
  • 次に訪れる未来を読み解くにはどうしたらいいかー
    本書では、「フロートストック」に「具体と抽象」の思考法を組み合わせた新しいフレームワーク「CAFSマトリクス」が示される。この思考法で、「社会の構造的な法則」「世の中の変化」、さらには、その変化のサイクルまでが見えてくる
  • 本作は、「世の中の見方を変える」大きな気づきを与えてくれる。ビジネスマン必読の価値ある1冊!

★★★★★ Kindle Unlimited読み放題対象本



目次

『ストックとフロー』ってどんな本?

Kindle Unlimited対象本

先の見えないこの時代。どうしたら、次に訪れる未来を見通すことができるのかー。

それを可能にする方法は、「世の中の具体的な個別の事象を、抽象度を上げて連続的に捉えること」。

この具体的な方法を教えてくれるのが、ビジネスコンサルタントの細谷功(ほそや いさお)さんの本『フロートストック』。

本書ではベストセラー『具体と抽象』をさらに発展。これに「フロートストック」という概念を組み合わせた新しいフレームワーク「CAFSマトリクス」キャフスマトリクス)を提唱します。(C:Concret/具体、A:Abstract/抽象、F:Flow/フロー、S:Stock/ストック)。

世の中のすべての変化は、「フロー(流れ)とストック(蓄積)」の概念を使って説明が可能。これに「具体と抽象」の思考法を組み合わせたフレームワークで事象を見ることで、「社会の構造的な法則」「世の中の変化」、さらには、その変化のサイクルまでが見えてくるといいます。

一つのニュースから、10を理解してしまう人がいますが、彼らは「社会の構造」、つまり、自然界や人間社会の因果関係が見えています。だからこそ、社会を動かす側(イノベーターやルールを作る側であるリーダーなど)になれるのです。

本作は、「世の中の見方を変える」大きな気づきを与えてくれます。ビジネスマン必読の「価値ある1冊」です。

著:細谷 功 / Audible聴き放題対象本

フローとストック

本書のコアテーマは「フローとストック」✕「具体と抽象」を組み合わせたフレームワーク「CAFSマトリックス」です。その前に、「具体と抽象」「フロートストック」についてみていきます。

具体と抽象

「具体と抽象」は目に見えないことを見えるようにする思考です。一つ一つ個別に見るのが具体、そこから共通点を見出して一つとして取り扱うのが抽象です。全体を俯瞰したり、物事の本質を理解するには「抽象化」が欠かせません。

抽象化は人間特有の世界観です。抽象度を上げるほど、多くの応用が効きます。動物は具体的にしか考えません。だからこそ、人間は文明を発展させることができたのです。

フロー=流れ、ストック=蓄積。世の中は、「フローとストック」で説明できる

「フロー」とは「流れ」のこと。「目に見える流れ」(水・空気 等)はもちろん、「目に見えない流れ」(お金、情報、時間など)も含まれます。

「ストック」は「蓄積」「積み上げ」のこと。「目に見える蓄積」(米・石油など)から、「目に見えない蓄積」(お金・情報など)も含まれます。

フローは変化させる側(行動)ストックは変化させられる側(状態)です。フローがストックを生み出し、それが蓄積され、一部が消費される(フロー)ことで、世の中が回っていきます。世の中、人間の全ての活動は、フローとストックで説明ができます。毎日の行動(フロー)が、経験(ストック)として蓄積」されます。

組織・会社に見る「フロートストック」

組織の発展段階もフローとストックで説明できます。スタートアップ企業は、フットワークの軽い「フロー型」から始まります。ここではヒト・モノ・カネ等の経営資源は限定的です。しかし、ヒト・モノ・カネに加え、ノウハウ・ブランド・信頼といった無形資産も有する「ストック型」の大企業へと成長していきます。

企業のお金の場合は、フローの計算書である「損益計算書(PL)」とストックの計算書である「貸借対照表(BS)」で会社の状況をとらえることができます。こうしたフローとストックの相互作用を理解が、ビジネスや社会の変化を読み解く重要な視点となるのです。

知識・思考における「フローとストック」

人間の知的生産も、「思考(考える)」がフローであり、その積み重ねである「知識」がストックです。

ということは、「ググればいい」ではダメ。ググって&考えをパクっているだけでは、「考える」というフローも生じません。結果、「知のストック」は築かれません。

考えるとき、人は具体と抽象を繰り返しています。これらには「思考の型」も存在し、以下のように整理できます。

  • フロー型の思考(イノベーションの世界)
    • 「いま・ここ・これ」を重視。変化思考。想像・創造を重視
    • 「ないものから」の発想
    • イノベーション創造に必須の思考
  • ストック型の思考(オペレーションの世界)
    • 過去の経験を重視。安定思考。「守り」の姿勢
    • 「あるものから」の発想
    • 時代の変化で、ストックに歪みが生じる
    • 思考のストックは武器になるも、時に、ルール・既成概念に縛られやすい

フロー型の思考から生まれるのがイノベーションです。、イノベーターは、「いま」を具体⇒抽象化(整理)し、理論・パターンを見つけ、新しいモノを生み出します。特に彼らが注視するのが、「世の中に生まれた歪み」です。ここに着想し、新しいアイデア⇒商品を生み出します。

ストック型の思考は、ルールを作ったりするのに強い。ただし、時間が経過すると、歪みが生じる問題があります。実態にそぐわなくなった社内ルール、時代遅れになった常識は「歪み」の典型です。この歪みは、テコ入れして排除しない限り、足かせとなり続けます。ベンチャーが動きが早いのは行動を阻害する足枷が少ないからです。

「CAFSマトリクス」で見える、物事の本質

さて、いよいよ本題です。

CAFSマトリックスは、横軸に「具体と抽象」、縦軸に「フローとストック」を配置した4象限のフレームワークです。このマトリクスで、世の中で起きている様々な出来事や現象を、より体系的に理解できます。また、物事の本質を見抜くのに役立ちます。

「CAFSマトリクス」と「思考と知識」の関係

上図のからわかるように、思考と知識は❶~❹でループしています。これは、世の中の変化のメカニズムです。フローとしての思考を昇華させ、ストックとしての知識とすることで、人類は文明を発展させてきました。

  • 【混沌】すべてがバラバラの情報も、
  • 【整理】グルーピングなど、何らかの線引きを行い、理論やパターンの仮説を立てることで、
  • 【ルール化】固定化された理論やルールが形成され、
  • 【秩序】理論やルールに司られた秩序+例外が、無意識的な「常識」となり、物事が回っていきます。

世の中の「見えないものが見えている」人たち

フロートストック | 世の中の見えないものが見えている人たち

先の図に、❶新しいモノを生み出す「イノベーター」、❷ルールを作る「エスタブリッシュメント」、❸一般人を配したのが上の図です。❶❷は❸が見えていない世界が見えているが故に、上に立てるのです。上に立ちたければ❶❷の人たちのように思考することが求められます。

時間経過で生じる「歪み」とその「解消」

フローとストック | 時間経過で生じる「歪み」とその「解消」をCAFSストックで考える

世のルール・常識が変化するとき、何が起こっているかも「CAFSマトリクス」で説明できます。

先に、世の中が回っている時間を考えると、フロー思考<<ストック思考。世の中の大半が、「変革(イノベーション)」ではなく「オペレーション」の時間で回っていることからでも明らかです。

最初、世の中のループは①~④でうまく回っています。しかし、時間が経つと、「常識が古くなる」、つまり「歪み」が発生します。このルールを打ち破ってリセットするのが「アンラーン」(⑤⑥)です。世の常識が変わる瞬間です。

これを図にしたのが下図です。科学進歩も、世の常識がガラリと変わるときも、パラダイムでCAFSマトリクスがジャンプします。このような変化を経て、世の中は移り変わっているのです。

フローとストック | 世の中の変化をCAFSマトリクスで説明

最後に

今回は、細谷功さんの『ストックとフロー』からの学びを紹介しました。

「CAFSマトリクス」で世界の仕組み、人間の営みを俯瞰して捉えていくことで、
・我々の未来はどうなるのか、
・資本主義はどこへ進むのか、
・生成AIは、われわれの生活をどう変えていくのか、等
等、世の中を見る目が、確実・着実に養われていくはずです。一つのニュースを聞いても、今までになかった気づきを得られるようになるはずです。

「CAFSマトリクス」で物事を考えるには、訓練が必要です。本書評でお伝えできたのは、本書の一部に過ぎません。細谷功さんの本『具体と抽象』、『フローとストック』の2冊を合わせて読むことをおすすめします。

すごく安い自己投資で、一生使える「世の中を見る目を養う気づき」が得られますからです。

著:細谷 功 / Audible聴き放題対象本

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