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【書評/感想】連続殺人鬼カエル男(中山七里) ――三重どんでん返し×猟奇殺人×刑法39条が絡み合う衝撃の社会派ミステリー。シリーズ読破で面白さ倍増

【書評/感想】連続殺人鬼カエル男(中山七里) ――三重どんでん返し×猟奇殺人×刑法39条が絡み合う衝撃の社会派ミステリー。シリーズ読破で面白さ倍増
連続殺人鬼カエル男」要約・感想
  • 大どんでん返しの連続
    とある都市で起こる猟奇的な連続殺人事件。序盤から中盤にかけては緻密な伏線が張り巡らされ、終盤で一気に回収される構成は見事。読者の「常識」や「先入観」を逆手に取るトリックが随所に。
  • 単なるエンタメでは終わらない
    社会的弱者、精神疾患、法、メディア報道など、現代日本が抱える問題を浮き彫りにする構造がスゴイ。
  • シリーズ全巻読破で面白さ倍増
    シリーズ通読で、ストーリー深み。伏線回収、ストーリー構成の凄さに感服。

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目次

『連続殺人鬼カエル男🐸』ってどんな本?

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「こいつが犯人だろ?」そう確信してページをめくるたびに、予想はことごとく裏切られる。

読み終えたときに残ったのは、恐怖と敗北感

  • 三重のどんでん返しで翻弄され、
  • 人間の心の闇(残忍さ・狂気)に戦慄し、
  • 社会(大衆)の身勝手さに自分を垣間見、
  • 法、感情、正義について考えさせられる――。

ストーリーのすべてが伏線。読了後に思い返すと、「あれも仕組まれていたのか」と驚かされます。

まさに骨太、唯一無二とも言える、社会派ミステリー。怖いもの見たさと知的好奇心、その両方を満たす極上のイヤミスです。

本作単独でも強烈な衝撃を与えてくれますが、その真価は『連続殺人鬼カエル男』シリーズを読み切ったときにこそ現れます。さらに関連作品まで読めば、作品世界の広がりと恐怖が一層鮮烈に!

合わせて読みたい作品を含めて本作を紹介します。

あらすじ ――現れる「カエル男」

埼玉県飯能市で発見された女性の全裸死体。
口にはフック、そこから溢れ出す無数のウジ虫。
傍らには子どもの字で書かれた「きょう、かえるをつかまえたよ」という犯行声明

続く第二、第三の猟奇事件。そこでも、カエル男の犯行声明文が。
事件の舞台・飯能市の市民は恐怖と混乱でパニック状態に陥る。

やがて逮捕されたのは知的障害を抱えながら歯科医院で働く青年・当真勝雄
かつて少女殺害事件で措置入院した過去があった。

連続犯が逮捕されたことで、市民のパニックはおさまりを見せる。
しかし事件は、それだけでは終わらなかった。
刑事・古手川が辿り着いたのは、事件の裏に隠された、想像を絶する真相だった――。

読みどころ ――ミスリードの連続と衝撃の真実

次々に起こる猟奇事件は、血なまぐさい描写と残酷な心理描写で、読者を恐怖に導きます。
犯人像に翻弄され、常識を逆手に取られることで「えっ!?」の連続。
「二重・三重のどんでん返し」に驚かされること、必至。真相は思いもしない方向へ転がっていきます。

序盤から中盤にかけて、緻密な伏線が張り巡らされ、終盤で一気に回収される構成は見事というほかありません。しかも、伏線・トリックは、次回作へとつながっていくところが、なんともスゴイです。

キーテーマ:刑法39条

本作には知的障害者や精神科医が重要人物として登場します。重要なキーテーマとなっているのが、「刑法第39条」です。

刑法弟39条とは
第39条:心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

心神喪失:善悪の判断が全くできず、行動を制御できない(重度の統合失調症など)⇒刑事責任なし(無罪)
心神耗弱:判断力や行動抑制力が著しく低下している(軽度の精神障害、泥酔など)⇒刑の減軽

なぜ、このような条文があるのか
刑事責任を問うには、「事理弁識能力」(善悪の判断)と「行動抑制能力」(自制力)が必要とする考えがあり、これらが欠けている人に対しては、「責任を問うことができない」とするのが法の基本的な考え方にあります。

法と感情論:社会的議論
しかし、社会は「感情」でも物事を考えます。被害者・被害者も心のやり場がない。そのため、悲惨な事件では、加害者が罪は軽すぎると声が上がります。また、受刑者が短期で出所した場合は、住民不安も募ります。一方で、社会復帰した後の加害者も社会に虐げられる現実に、心を病む人も出てきてしまって不思議ではありません。どうしても不幸が連鎖する構図があるのです。

本作は、この現実を、巧妙に物語に織り込みストーリーが展開します。読者は社会の暗部を改めて気づかされ、読者は多くを考えさせられます。

シリーズで読破したい!全巻読破で面白さ倍増

中山七里の筆力は、単巻の衝撃にとどまりません。シリーズを通読することで、犯人像の深み、刑法39条の多角的な描写、社会の暗部のリアルな掘り下げ、そして驚きの伏線回収が見えてきます。

1️⃣犯人像と動機の深化

  • 1作目では「異常性」や「猟奇性」が前面に出ているが、2作目・3作目では犯人の背景や精神状態がより詳細に描かれる。
  • 3作目まで読むことで初めて1作目の事件の意味が浮き彫りに。

2️⃣ 刑法弟39条をより多角的に掘り下げ

  • 1作目:責任能力の有無が事件の鍵。
  • 2作目:精神科医の視点から「診断と責任」の境界が問われる。
  • 3作目:人権派弁護士の殺害を通じて、法と感情の対立を浮き彫りにする。
  • 各巻に巧妙な伏線。驚きが倍増

3️⃣社会の暗部の掘り下げ

  • 精神疾患、少年法、冤罪、報道の影響など、現代社会が抱える問題が各巻で異なる角度から描かれる。
  • 立場が違うと見え方が異なることがよくわかる。

連続殺人鬼カエル男』シリーズ3作目まで読むことで初めて1作目の事件の意味が浮かび上がる構造には震えます。さらに『嗤う淑女』シリーズとのクロスオーバーもあり、シリーズ横断的に読むと驚きと快感が倍増します。

まとめ

連続殺人鬼カエル男』は、ただの猟奇ミステリーではありません。
三重どんでん返しのスリルを楽しみながらも、読み進めるうちに「法と正義」「社会の暗部」という重厚なテーマに直面させられます。

もしあなたが「予想を裏切られる快感」「読み終えても考えさせられる深い読書」を求めるなら、この作品はおすすめです。
是非、シリーズ・関連作を合わせて通読してください!ミステリーの面白さを、思う存分味わえます。

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