- メモには「記憶のためのメモ」と「知的生産のためのメモ」の2種類がある。大事なのは後者
- 「知的生産のためのメモ」は、アイデアの創出、深い自己分析、夢の実現を可能にする
- 前田流メモ術の肝は、「ファクト」「抽象化」「転用」の3ステップによる「本質の見極め」「具体的な行動への落とし込み」
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Audible聴き放題対象本
『メモの魔力』ってどんな本?
僕にとって、メモは生き方そのものです。
メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。
メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。
メモによって夢を持ち、熱が生まれる。
その熱は確実に自ら動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。
2019年最も売れたビジネス書となったIT企業「SHOWROOM」の代表取締役社長・前田裕二さんの『メモの魔力』。
本書は多くの単なるメモのノウハウ本ではありません。前田さんが本書で最も伝えたいのは、メモを使って、夢を達成したり、よりよい人生に転換するための方法です。
前田さんは、メモには2種類の目的があると言います。
- 記憶のためのメモ :ファクト(事実)を記録する
- 知的生産のためのメモ:ファクトからアイデアを生む、自分を知る、メモで夢を実現する
本書では、後者の重要性が強調されます。私は本書を読んだ時、❶の単なる記憶のためのメモを、❷「ファクト」→「抽象化」→「転用」し、何かをなしえるための「行動」につなげ、自身の人生戦略につなげていくというメモの活用法に、しびれました。
メモは私たちが考える以上に、大きな可能性を秘めています。ビジネスパーソン必読の1冊です。
- メモを取っても、イマイチ、役に立っていない方
- 実現したい夢はあるも行動への移し方が分からない方
- 自分がわからず、人の意見・世の中の流れにいつも左右されてしまう方
記録のためのメモ、知的生産のためのメモ
打合せ日時、打ち合わせメモなど、ビジネスマンは日常の中で多くをメモします。これらの情報は単なる「ファクト(事実)」であり「記憶のためのメモ」です。メモを「第2の脳」として、忘れても思い出せるように書き留めています。
しかし、これらの記憶メモも、ファクトを高い視点から見渡し抽象化してみることで、「知的生産のためのメモ」にすることができます。 これにより、メモがアイデアなどの付加価値を生みだします。
メモから付加価値を生むには、①知的好奇心を持って情報のアンテナを立てること、②得た情報から知的生産を行う「意識」を常に持つ ことが必須です。「メモから付加価値を生むか」「単なる使い捨てゴミ」にするかは、あなた次第です。
メモで日常・人生を変える
メモを知的生産につなげる肝は「抽象化」
「抽象化」によって、ファクトを知的生産につなげる。これが、前田さんのメモ術の根幹です。さらに、「ファクト」→「抽象化」→「転用」による「本質の見極め」「具体的な行動への落とし込み」を行います。
- ファクト:書き留めた事実を元に、
- 抽象化 :気づき、背景、法則、特徴など、他に転用可能な要素を抽出し、
- 転用 :抽出したものを別のものに転用する
これにより、思考がを深まり、人生を変える行動へとつなげていきます。
抽象化のための「What」「How」「Why」
抽象化に大事なのが「what、how、why」の3つの問いです。3つの問いで、メモで思考を深め、本質を見極めます。
抽象化の方法 | |
---|---|
Whatで問う | 目の前にある現象・考え方を抽象化してみる |
Howで問う | 目の前の現象が持つ特徴を深掘りして考える |
Whyで問う | 目の前の現象の理由を深堀りして考える |
なかでも、「Whyで問う」は重要です。Whyから得られた知見は、他の分野にも転用可能性が高く、転用したときのインパクトも大きいからです。
抽象化の訓練には、様々な分野で応用が効くので、是非ともマスターしたい思考です。こちらの本はとてもわかりやすいです。
【前田流】具体的なノートの取り方
知的生産につながるメモは、ノートの使い方がとても大事です。
メモは見開きで4ブロックに分けて使い、左から右に向けて、「事実」→「抽象化(発想・アイデア)」→「転用(アクション)」へつなげていきます。
- メモは見開きで使う(❷~❺の4ブロックに分けて使う)
- ノート左ページの左側:「ファクト」をメモる
- ノート左ページの右側:❷から「抽象化」すべき要素を書き出す
- ノート右ページの左側:❸から、矢印をつけて「抽象命題」を書く
- ノート右ページの左側:❹からの気づきをアクション化(転用)。行動できるレベルまで落とし込む
大事なのは❺転用です。実際の行動につながるまで、アクションを落とし込んで書くのがポイントです。このファクト→気づき→をアクションにつなげるメモ術を通じて、人生が変わってていきます。
メモ帳・メモノートは外資コンサル企業などで利用される「方眼ノート」をおすすめします。彼らが方眼ノートを使うのにはワケがあります。
メモでビジネスを変える
いかにメモをビジネスで活かすか?ここでは、具体的なシーンでメモの活用法を見ていきます。
❶講演会で
例えば、講演会に行って、勉強になったと思ったとき。ためになったことをメモしただけでは、忘れておしまいです。
こんな時こそ、前田流メモ活用術の出番!ためになったことメモを元に、「自分はなぜ勉強になったと感じているか」と自分の意識をWhyで抽象化し、それを、具体的なアクションまで落とし込みます。
講演会に限らず、友達との話、街で見た光景から、「ふむ」と思ったことを元に、抽象化&転用を積み重ねていけば、あなたのビジネススキルは確実にUPします。
❷ビジネスの現場で
常に「Why?」と問いかけたいのが以下の4項目です。ビジネスの現場では特に大事なことです。
- 世の中でヒットしているもの
- 自分の琴線に触れるもの
- 顧客からの要望
- 社内で起きている問題や課題
世の中でうまくいってもいるもの「本質」は、他分野へも転用できる可能性が高く、転用したときのインパクトも大きくなります。日々の訓練で、「本質を考える癖」がつけば、ビジネスで成功するチャンスは否応なく高まります。
メモで自分を知り、人生を変える
前田さんが本書で伝えたいのは、メモの取り方(ノウハウ)ではありません。メモを使って、夢を達成したり、よりよい人生に転換することです。しかし、「自分自身」「自分の人生の軸」が分からなければ、どんなノウハウを学んでも活かすことはできません。
メモで自分の軸を知れ
あなたは、「自分は何者か」「何がやりたいか」「一番大事にしていることは何か」の3つの質問に対し、どれか一つでも即答できますか?
一つも答えられないなら、あなたは「自分」をわからないまま生きています。自分が知らなければ、大きな判断を求められると判断できず迷走したり、すぐに軸がブレます。
自分の思考・志向・嗜好などをメモで繰り返し抽象化して行けば、「自分が望んでいるもの」がわかり、「やりたいこと」も見えてきます。
軸のある人生
自分というものがメモの整理で見えてくれば、人生のコンパス=軸ができます。自分にとって普遍の価値観だと感じられる「人生の軸」は生涯変わらない可能性が高いです。
情報があふれて混沌としている今の時代、ブレない人は最強です。これからは、お金のあるなしに関係なく、夢中になれることがある人は人生が豊かになります。一方、ブレる人は、常に不安と隣り合わせです。そのために、悩みストレスを抱えます。
自己分析を「具体化」で終わらせない。「転用」で行動につなげる
自分の軸を見極める自己分析で大事なのは、抽象化でやめず、転用=アクションまでつなげることです。これができれば、夢に向けて後は行動するだけ!自分の日々が、人生が変わっていきます。
メモで夢をかなえる
よく言われることですが、「夢は紙に書く」と以下の理由で現実になります。
マインドシェア | 在意識に書き込まれる |
---|---|
言霊 | 発言することで、いろんなもの・ヒトが巻き込まれることで実現 |
本書では夢を実現しやすくする方法として、「SMART」という有名なフレームワークが紹介されています。SMARTで考えると、より行動が具体化し、夢の実現に近づけるので、是非、意識してみましょう。
S:Specific「具体的である」
M:Measurable「測定可能である」
A:Achievable「達成可能である」
R:Related「関連性がある」
T:Time「時間の制約がある」
最後に
今回は、前田裕二さんの『メモの魔力』からの学びを紹介しました。
この記事で紹介した内容はごく一部でしかありません。「記憶のためのメモ」についても、実践的なメモ術が多数紹介されています。また、本書の巻末には「自己分析1000問」などは、自分の軸を知るための深い気づきが得られます。本書を活用すれば、人生が変えられます。是非、本書を熟読してみてください。