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【書評/要約】働く君に伝えたい「考える」の始め方(出口治明) こんな風に考えればよかったのか! 仕事・日常生活に役立つ気づき満載

【書評/要約】働く君に伝えたい「考える」の始め方(出口治明) こんな風に考えればよかったのか! 仕事・日常生活に役立つ気づき満載
働く君に伝えたい「考える」」要約・感想
  • 考える力を育むと、楽観的に生きられる。自力で解決策を見出せるので、無用なネガティブと決別できる
  • 人々の関心が高い問題を例に、「具体的にどのように考えればいいか」考え方がわかる
  • 若者向けの本だが、50代でも多くの「良質な気づき」がある。「こんな風に考えればよかったのか!」と思わされる指摘が満載

★★★★☆ Audible聴き放題対象本



目次

『働く君に伝えたい「考える」の始め方』ってどんな本?

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自由に生きる」ために必要なものとは、何でしょうか。

私たちは多くの場合、自由に必要なものを「お金」と考えます。しかし、もっと大事なのは「自分で考える力」です。

生存本能的に「脳は考える」ことを避けます。それは、脳が体の中で最もエネルギーを消費する器官だからです。じっくりと読む必要がある本が避けられ、わかりやすさだけをコンパクトにまとめた情報ばかりが人気なのもそのためです。結果、SNSの意見が「自分の考え」の人が増え、本当の意味での「自分の意見」が持てなくなり、情報に振り回されて、ストレスを抱えるに至っています。

考える力があれば、情報に振り回されず、「自分の考え」を持つことができます。そして、問題にぶつかっても自分で解決策を見出せるので、無駄にうじうじ悩むことなく、ポジティブに生きられます。

今回紹介の『働く君に伝えたい「考える」の始め方』は、日本一グローバルな大学・立命館アジア太平洋大学(APU)の学長出口治明さんが、生きていくうえで役立つ「考え方」を、具体例を交えながら、わかりやすく解説してくれる本です。

若者向けの本ですが、50代でも多くの「良質な気づき」が得られるはず。ビジネス・日常生活で「こんな風に考えればよかったのか!」と思わされる指摘が満載。読む価値ありの1冊です。

働く君に伝えたい「考える」の始め方』がおすすめな方
  • 仕事で意見を求められても、いつも「自分の意見」が答えられない方
  • 解決策を探して「有益な情報」に飛びつくも、決断できず、いつも悩んでいる方
  • 「考える」の重要性はわかっていても、どう思考力を鍛えたらいいかわからない方

なぜ考える力が必要なのか

なぜ、考える力が必要なのか |【書評/要約】働く君に伝えたい「考える」の始め方(出口治明)

思考力のない人は「考える」と「悩む」を混同しがちです。考える力がつくということは「物事の本質」がわかるということです。ここでは、考える力の重要性を深堀りします。

多様性の時代、思考力はさらに大事になる

出口さんが学長を務める立命館アジア太平洋大学は、学生・職員の半数が海外出身で、三か国語をあやつる学生がごろごろいるような学校です。まさに、多様。多様性は組織の強さにつながります。人間がここまで文明を発達させたのも、新しい視点を組み入れる=多様性を受け入れてきたからです。

人種・価値観・ライフスタイルなど、多様性のある環境では、「阿吽の呼吸」は通用しません。多様性を尊重する社会のメンバーとして生きるためには、自分の考えをしっかりと持ち、自分の言葉で自分の考えを整理し、理論立てて話すことが求められます。

多様性が当たり前になっていく世の中、激しく移り変わる世の中で欠かせない力。それが、「思考力」です。

考える力がつけば、楽観的に生きられる

考えられる人は、問題にぶち当たっても現状を自力で打破できます。「どう考えればいいか、どのように行動すればいいか」がわかる。うじうじと悩まなくて済むから、無用なネガティブさとも決別できます。

思考のスタートラインに立つために、まず大事な「無意識の偏見の払拭」

残念ながら多くの人は、「思考のスタートライン」に立てていません。最初に必要なのは「無意識の偏見の払拭」です。私たちは自分自身も気がついていない、歪んだり、隔たったモノの見方・捉え方をしています。

私たちは日常生活で、「当たり前「〇〇らしさ」「普通は」といった言葉をよく使いますが、これは、無意識の偏見の典型的な「属性に基づくバイアス」です。人間の意識は属している社会の産物です(構造主義)。私たちの常識は、必ず属する組織(家族、会社、国 他)から、「当たり前が刷り込み」されています。

しかし、当たり前という「価値観」は、前提が変わるとあっという間に変化します。

この偏見を取り除かない限り、考える前提が狂います。物事をフラットに見て、初めて、思考のスタートラインに立てます。これにより、今後、何が起きても、例えば、再びパンデミックに襲われたり、病気になったり… などの想定外が起きても、自分の考えを編み、前に進むべき道を「自力」で見出せるのです。

「考える」とはどういうことか

「考える」とはどういうことか  |【書評/要約】働く君に伝えたい「考える」の始め方(出口治明)

デカルトの有名な言葉「我思う、故に我あり」。これは裏返せば、「考えない人は、存在しいも同然だ」と言うことです。

正しく知ってこそ、正しく考えることができる

知識」は武器、「考える力」はそれを使いこなす筋力です。武器と筋肉(トレーニングの積み重ね)の両方が揃って手に入るのが「思考力」です。

まず知識がなければ始まりません。知識を持たないと、騙されます。例えば、これまで、日本では学校教育で金融教育が行われてきませんでしたが、その結果、力を持っていたのが「政府」です。考えない会社員からは、源泉徴収で税金が取り放題です。

また、一方で、私たちは仕事でも投資でも、「ここだけの情報」を手に入れようとします。しかし「自分たちしか知らない情報・真実」はたいてい偽物です。これを理解しないと簡単に情報に踊らされ、陰謀論にはまります。

現代では簡単にファクトであるローデータに触れることができます。公的な統計などもその一つです。これらの情報には、意図や思想が介在していません。ただし、これらの情報は自分で読み解く必要があります。

考えるは、まず「問いを持つ」ことから

考えるとは、まず、「本当にそうだろうか?」と問いを持つことです。


問わなければ、考えられません。
考えなければ、議論は起こせません。
議論を起こさなければ、いつまでも理不尽を耐えなければなりません。

激変する世界では、前提がすぐに変わります。故、より考えることが必要になります。この点については、本『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』がとても参考になります。

どう考えればいいのか

どう、考えればいいのか  |【書評/要約】働く君に伝えたい「考える」の始め方(出口治明)

具体的にどのように考えればいいのでしょうか。基本は「知り、学ぶ。問い、考える」です。ここでは、本書で紹介される具体的なテクニックの一部を紹介します。

考えるテクニック1:「とは」を考える

前提を疑う、本当にそうだろうかと考える前提として、「とは」を考えます。

例えば、「消費税率は高い方がいいのか、低い方がいいのか」というテーマについて考える前に、まず一段掘り下げて、「そもそも税金とは何か?」を考えてみるのです。税金の仕組み・成り立ち・制度の背景を考えると、一概に「消費税率が低いのがいい」とは言えません。

考える対象の定義を疑い、問い直す。たしかな「知」を頼りに、原理原則に立ち返ることが大事です。

「社会とは」「お金とは」など、生きる上で大事なことの定義を考え直してみると、高次な視点から物事が見れます。具体的な考え方が本書では紹介されており、非上位参考になります。ちなみに、「お金とは何か」について、著者は、『きみのお金は誰のため』の主張と結論を導いています。この本も超良書です。

テクニック2:地政学(地理+歴史)で考える

次は、「地政学=地理+歴史」で考える方法です。地政学では、国が持っている変えられない状況は何か、前提を正しく把握するところから始まります。

例えば、日本はなぜ植民地にならなかったのでしょう? 島国だったからでも、日本が強かったからでもありません。簡単に言えば「世界に通用する魅力的な世界商品」がなかったからです。たとえ小さい国だろうが、世界の列強は、欲しいもがあれば、手に入れてきたのが、「大航海時代以降、第二次世界大戦までの歴史」です。イギリスの植民地拡大のやり口は、嘘も騙しもなんでもありです。

では、なぜ、13世紀、蒙古襲来は起こったのでしょう。当時は、「世界商品」があったからですが、その理由は是非、本書で。これら一連の考え方を本書から学ぶだけでも、世界、世界経済を見る上でとても役立つ良質な考え方が学べます。

少し脱線しますが、『日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】』が指摘する「日本が植民地にならなかった理由」も、なるほど納得で面白いです。本書を読んで、「そんな日本、労・お金・時間を使って手に入れるなんてアホらし。いらんがな。」と納得しました。

テクニック3:「タテ・ヨコ・算数」で考える

地政学(地理+歴史)で考えるをさらに、高次にしてくれるのが「タテ・ヨコ・算数」で考えるです。

自分と違う人とコミュニケーションをとるにはコツがあります。どんな価値観の人でも同じ意味を共有できる、以下の3つで語ることです。❶❷ファクトと❸数字でロジカルに考えるということです。

考え方の三種の神器
  • タテ:「歴史」時間軸
  • ヨコ:「世界」他の国・地域を参考にする
  • 算数:「数字」エビデンス。年齢・民族・価値観などを超えて「誰が見て考えても同じ結論に至るデータ

「タテ・ヨコ・算数」で考えるクセがつくと、冷静に物事を判断できるようになります。いわゆる、「頭がいい」と言われる人は、これを愚直に続けてきた人です。

本書では、以下のような例で、具体的な考え方が紹介されています。とても参考になります!

  • 人の命を最も奪っている『殺し屋(生きもの)』は何か?(データで見るクセをつくる)
  • 日本の未来は暗いのか?(社会保障制度の前提を疑う)

最後に

今回は、出口治明さんの『働く君に伝えたい「考える」の始め方』からの学びを紹介しました。

「考える」のスタートラインに立つためにも、まずは、「無意識の偏見(バイアス)」を払拭しましょう。それには「勉強」が必須です。本記事本文では割愛しましたが、出口さんは以下のように述べます。

人間は『人・本・旅』を通してしか学べない。勉強こそが人を自由にするー。

『人・本・旅』から学ぶ重要性は、出口さんの様々な本で触れられているので割愛しましたが、ご存じのない方は、なぜ、その3つが重要かも確認ください。なるほどと腹落ちする回答を与えてくれます。

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