- 雪深き森の奥に佇む豪華なガラスの塔を舞台に起こる、連続殺人ミステリー
- 大どんでん返しのどんでん返し。読者はラストが予測不能。驚愕のラスト!
- 500ページの大作だが、全くページ数が気にならない。伏線回収にも感服
★★★★★
Audible聴き放題対象本
『硝子の塔の殺人』ってどんな本?
ミステリを愛するすべての人へ
当作の完成度は、一斉を風靡した
わが「新本格」時代のクライマックスであり、フィナーレを感じさせる。今後このフィールドから、これを超える作が現れることはないだろう。
島田荘司ああびっくりした、としか云いようがない。
これは僕の、多分に特権的な驚きでもあって、そのぶん戸惑いも禁じえないのだが――。
ともあれ皆様、怪しい「館」にはご用心!
綾辻行人500ページ、一気読み! 知念実希人の新たな代表作誕生。
作家デビュー10年 実業之日本社創業125年 記念作品
Amazon本紹介
『硝子の塔の殺人』は、人気作家 知念実希人さんの大どんでん返しミステリー小説です。2022年本屋大賞にもノミネートされました。
物語は、雪深き森の奥にある、地下11階、地上1解の豪華なガラスの塔を舞台に繰り広げられます。天才建築家により手掛けられた塔は高度なセキュリティシステムで護られた美しい塔。そこに、ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれる。
しかし、その塔内で次々と起こる惨劇。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
塔の中で次々と発生する殺人事件に、名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬は、鋭い洞察力を駆使して立ち向かいます。登場人物たちの複雑な人間関係や、過去に隠された秘密。一体、真実はどこにあるのか?
散りばめられた伏線、大どんでん返し、そして、驚愕のラストー。最後の一ページまで目が離せません。そして、ラストは予想不能です。500ページと言う大作ですが、全くそのページ数が気にならない面白さでした。
- ミステリー小説が好きな方、サスペンス好き、心理劇が好きな方
- これまで、たくさんのミステリーを読まれてきた方(ミステリー名著が作品内で多数登場)
- 緻密なストーリーテリングを求める方
『硝子の塔の殺人』:感想
本作はミステリーなので、先がわかると面白さが半減します。そこで、「硝子の塔の殺人」の感想と共に、本作をより面白く読むためのアドバイス・ポイントを紹介します。
ミステリーの定番:クローズド・サークル
クローズド・サークルとは、閉鎖空間。例えば、「絶海の孤島」や「山奥の山荘・別荘✕吹雪・がけ崩れ」など。誰もその場から逃げ出せない中、誰が犯人かも分からないまま、連続殺人が起こるのが定番です。
本作品も、道が分断され、「周囲から孤立してしまった硝子の館」が舞台。建築基準法を無視した、金持ちの道楽で建てた巨大な円錐形の尖塔です。しかも、殺人事件が発覚するも、道が分断され、警察に連絡するも到着までの「3日間」かかります。この「陸の孤島3日間」という期間も本作の重要な舞台背景です。
生きている登場人物たちは、「必ず犯人がいる!」「次は私が殺されるかもしれない」という、疑心暗鬼と恐怖の中、警察が来るまでの3日間、生存しなければならなくなります。その様は、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿させます。
警察が立ち入れないクローズド・サークルで起きる事件は、毒や血を発見しても、それが本物か、また、誰の血を検証し、犯人探しに役立てることはできません。その分、「推理力」が重要になります。この「推理力」が本作品を面白くしています。
名探偵コンビ:月夜と遊馬
クローズド・サークル内で、犯人探しに乗り出すのが、自称名探偵の碧月夜と、医師の一条遊馬です。
月夜は、幼少期からミステリー小説が友達。その推理力からは警察からも当てにされるほど。そして、遊馬は医師なので、毒に関する知識、死後硬直などについての見識があります。
そんな二人が、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの探偵のホームズと医師兼助手のワトソンのように、事件の真相に迫ろうとします。ただし、本作ではこの二人も「犯人の可能性」があるという点が、ポイントです。
有名ミステリー小説が複数登場
月夜と遊馬の殺人事件の謎解きに当たって、著名なミステリー作家の「小説&トリック」が登場します。
海外作家では、アガサ・クリスティー、アーサー・コナン・ドイル、エラリー・クイーン、
国内作家では、江戸川乱歩、島田荘司、綾辻行人、有栖川有栖 など。
いろんなミステリーを読まれている方は、「あの小説のあのシーンのことを語っている」とワクワクしながら読めること間違いなし。また、ミステリー小説初心者なら、次に読むミステリー小説探しに役立ちます。
どんでん返しの連続!先が読めないストーリー展開
特に作品の後半は、ストーリーがどんどん展開していきます。
「この人物が怪しい?」と思っていても、次の展開では、「あの人が!」と思える人物が犯人として急浮上してきたり…。思いがけない「殺害理由」が登場したりで、驚きの連続。次の展開が知りたくて、本作にどっぷりはまりこみます。
読者自身も「謎解き」をしながら読むと面白いですが、その時に是非行ってほしいのが「ん?」という違和感を感じた場所に「付箋」をしておくことです。
「おや?」と感じた場所は、その後の「事件解決のヒントとなる「伏線」になっている可能性が高いです!
最後に
今回は、知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』の簡単なあらすじと感想、さらに、本書を面白く読むポイントを紹介しました。
本屋大賞2022にもノミネート作品であることがうなずける作品です。ストーリーに飲み込まれるミステリー小説を読みたいとお考えの方は、是非、本書を読んでみてください。最後の最後、ホントに驚きます。