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【書評/あらすじ】ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 (南波永人) 小説からジャズ&魂の叫びが聞こえる!

【書評/あらすじ】ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 (南波永人) 小説からジャズ&魂の叫びが聞こえる!
ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語あらすじ感想
  • マンガ『BLUE GIANT』の劇場映画の世界を、ピアノマン・雪祈を主人公に描いたスピオフ作品とも言える感動音楽小説
  • 小説から「音楽・ジャズ」が聞こえる!音のうねりが聞こえる。「ピアノの音」と「雪祈の魂の叫び」のセッションに、はじめての感動が味わえる
  • クールな雪祈が、挫折から這い上がる様、仲間との友情にも涙。とにかく、凄くいい!自分の生き方さえ、考えさせる!

★★★★★ Audible聴き放題対象本



目次

『ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜』ってどんな本?

Audible聴き放題対象本

小説からジャズが聞こえる!魂の叫びが聞こえる!
小説を読んでこんなに感動したのは、はじめて。

石塚真一さんの大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)。

世界一のジャズプレイヤーを目指すテナー奏者宮本大が主人公のマンガですが、『ピアノマン』はそのスピンオフ作品。ジャズバンドJASSのピアノマン・沢辺雪祈を主人公とした小説で、映画『BLUE GIANT』の世界を雪祈の目線から描いています。

原作マンガも映画も知らない人でも、小説の世界に引き込まれます。夢を目指すバンドマンの姿に何度も涙。

小説全体から「熱さ」が伝わってくる音楽感動小説です。原作マンガファンのみならず、感動小説が好きな方に、強くおすすめしたい1冊です!

こんな方におすすめ
  • マンガ『BLUE GIANT』のファン
  • 夢に向かって頑張る、熱い小説が好きな方
  • 音楽小説が好きな方。感動小説が好きな方

ピアノマン〜BLUE GIANT雪祈の物語〜:あらすじ

出演:山田裕貴, 出演:間宮祥太朗, 出演:岡山天音, 監督:立川譲, Writer:NUMBER 8

映画『BLUE GIANT』のB面に相当するような作品です。私は、映画以上に小説に感動感動が半端ないです。小説を読みながら、ボロボロに泣きました。

描かれるのは「本当の雪祈」

180cmの長身で、イケメンのピアニスト雪祈。

ジャズの世界でNo.1になることにひたすら熱い情熱を傾けるテナープレイヤー宮本大に対して、雪祈の印象はクール。4歳からピアノを習い、圧倒的な技術で存在感を示す逸材です。

大と共に10代で、世界的なプレーヤーだけが招かれるジャズクラブ「So Blue Tokyo(ソーブルー)」の舞台に立つことを誓いますが、「夢の実現に向けた姿勢」は対照的。

死ぬほど努力を積もうが、手にマメができるほど楽器を吹こうが、才能のないやつはダメ。才能ある者同士が互いを踏み台にして才能を伸ばし、名を挙げていくのがジャズ。ジャズセッションのように組む相手をかけて成長していくものだ―というのが雪祈の信条。

音楽の世界で、お金・環境を含め条件が整わなければ音楽を続けられないこと、さらに、続けられたとしても、ごく一握りの人間しかトップに立てない厳しい現実を嫌と言うほど知っているが故、雪祈は、超現実的に「勝つ演奏」にこだわります。しかし、雪祈の演奏には技術はあっても、音楽に「情熱」がありませんでした。

サックス奏者の大は「勝ともしない、虚勢も、見栄も、戦略もない、魂の演奏をする」が持ち味。これまで出会ったどのプレーヤーとも違う大の演奏に雪祈は一目置いていました。そして、自分にはそれがないことにも気づきながら、クールな自分を演じていました。

プロに酷評され、苦悩する雪祈

JASSは「So Blue Tokyo」の平に演奏を聴いてもらうチャンスをつかみます。しかしその結果は…

サックスとドラムは悪くない。しかし、ピアノの君はダメだ

雪祈は酷評。雪祈の演奏の最大の問題「人の心を打つ熱いハートの欠如」を、音楽のプロは一発で見抜いてしまうのです。

このままでは自分が、JASSの脚を引っ張ってしまうことになる―

そう思った雪祈は、今までの自分を破ろうと、一人猛特訓を始めます。しかし、猛特訓をしても殻は破れず… そして、弱い自分、カッコ悪い自分、素直な思いをバンドメンバーの大、玉田をさらけ出すことを決めます。そして、自分の弱みを見せ、カッコ悪く努力し、自分がなぜピアノが楽しいと思ったのかなど、「自分の原点」を振り返る中で、大事なことに気づき始めるのです。

映画では簡略された部分に「感動」が!

小説では、映画では簡略化されている「雪祈の苦悩」が丁寧に描かれます。読者は、一見クールに見える「ピアノマン “沢辺雪祈” の本当の姿」を知ることになります。

  • 音が色に見えた幼少期の経験
  • ピアノを楽しんだ幼少期
  • ジャズへの目覚め
  • どうしても10代で「ソーブルー」の舞台に立ちたかった本当の理由
  • 生き様
  • そして、最後に待ち受ける不幸…

本小説を読むと、今まで以上に『BLUE GIANT』が好きになるはずです。

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ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 :感想

ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 :感想

本小説は、読者を飽きさせません。スゴイ感動があります。

小説から、「音楽」が聞こえる!猛烈に感動

「内臓をひっくり返すような、ソロ」
できるかどうか、分からない。
ただ、それをしなければ、道は拓けない。

雪祈が、自分の演奏の殻を破る瞬間は感動的です。小説から聞こえるはずのないジャズが聞こえました。ライブステージでブルーに輝く雪祈が見えました。

絵も音もないはずなのに、それらが小説から伝わってくる。ただただ、感動しました。しかし、小説はココでは終わりません。

ラストに向けて―。JASSの最後のセッション。雪祈の魂の叫びが聞こえました。

伏線回収が素晴らしい

小説を読みながら、なぜ、「このシーンにこのエピソード?この人物?」と感じる箇所がいくつかあります。この伏線の回収が素晴らしい!

最初、無駄に思えたシーンが、全て、その後のストーリーに深い意味を与えています。二度読みして、それに気づいた時、この小説の「完成度の高さ」に感服しました。

映画と同様、章ごとに、「インタビュー」が挟み込まれる構成も、カッコいい。ラストへの期待を盛り上げるのに一役かっています。「構成力のすばらしさ」にも感服です。

ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 :教えられること

ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜 :教えられること

本小説は、実に多くの大事なことを再認識させます

仲間とのつながり:思いやり、切磋琢磨する

マンガ・映画の読者が「Blue GIANT」を好きな理由の一つは、「泥臭くも、夢を追い続ける姿」だと思いますが、もう一つが「仲間とのつながり」です。

ついこの前までは、ジャズ研の先輩や安原を踏み台のようにしか考えていなかった。
それなのに、今は初心者の心配をしている。

いつからそうなったのか。
大と玉田と出会ってからだ。
三人での音合わせは、ただの練習ではなかったからだ。
(略)
「玉田はへこんでも傷ついても、ステージから降りなかっただろ」
その通りだ。いつ店を飛び出してもおかしくないほどの状況だったのに
「あいつは凄えんだよ」
そうかもしれない。 だけど──。

映画でも描かれたシーンですが、いいですよね。仲間を思う気持ち。

本小説でも、サックス・ピアノ・ドラムの3人が共に努力し、時には互いを罵倒し、しかし、仲間を想い、信じ支え合うシーンが何度も登場します。本作を読むと、間違いなく、雪祈が今まで以上に好きになります。

人生に熱くなれるモノを見つける

先にも述べましたが、原作マンガが多くのファンを引き付けている最大の理由は、「泥臭くも、夢を追い続ける姿」です。そして、それを描くことで、読者も「人生で熱くなることをを持つことの大切さ」を教えられます。

タイパ・コスパなどが叫ばれる現代社会は、「何かに熱くなることもなく、ソツなく無難に生きる」ことを選択する人で溢れています。しかし、本作を読んでいると、「がむしゃらに熱中すること」「時間を忘れて取り組めること」を持たない人生はつまらない!と痛切に思わされます。

人生ずっとでなくてもいい。限られた数年でも、誰に何を言われようが、ただがむしゃらに前を向いて頑張った経験を持つことで、人生は潤い、輝きます。

夢を持つこと、夢中になれること、楽しいこと―。あなたには自信を持って「これがある」と言えるものがありますか?

「夢、はぁ?」と言う人は多いと思います。そんな方には、より一層、本書を読んでもらいたいです。

弱みを見せ、泥臭く生きよう

ソツなく無難に生きる」人が多いのは、カッコいい自分を見せたくないからです。勝ち負けが問われる時代に、自分の弱さを見せたくないからです。

しかし、クールな雪祈が「自分の殻を破ろう」ともがく姿は、そんな人に、大切なことを気づかせます。

弱みを見せてもいい。泥臭く生きようー

どうか、その様は、本作を読んで味わってください。

最後に

今回は、南波永人さんの小説ピアノマン〜BLUE GIANT 雪祈の物語〜』を紹介しました。

とにかく、激しく感動します。この小説に出会えたことに感謝。一人でも多くの人に読んでほしいです。

文字を読むのが苦手なら、Audibleで読んでください。聴き放題対象です。その方が、魂の声はより伝わりやすいはずですから。

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