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【書評/要約】訂正する力(東浩紀) 成長とは”訂正”の積み重ね!訂正を恐れるな。空気に飲まれるな。過去を再解釈し訂正を重ねよ!新書大賞2024 2位受賞

【書評/要約】訂正する力(東浩紀)ーー成長とは"訂正"の積み重ね!過去を再解釈し、訂正を重ねよう!新書大賞2024年 2位受賞作
訂正する力」要約・感想
  • 誤ることを前提に、どう訂正するかー
    人も社会も誤るし、未来永劫続く固定された「正解」もない。成長とは訂正の積み重ね。過去の再解釈により、訂正を重ねる姿勢が人を、社会をよりよくする。
  • 日本社会を縛る「空気」の支配
    空気が優先され、誤りや矛盾が訂正されにくい日本。空気を壊すことへの恐れが、変化のスピードについていけない社会構造を生んでいる。
  • 「リセット」ではなく「訂正」の積み重ね
    全面リセットは、新たな矛盾を生む。本当に持続可能な変化は、過去を再解釈しながら少しずつ訂正していく営みから生まれる。社会改革や生活習慣の改善まで幅広く応用できる知恵!

★★★★★ Audible聴き放題対象本

目次

『訂正する力』ってどんな本?

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SNSの普及によって、誰もが自由に発言できる時代になりました。
しかしその言論空間は、自由と引き換えに「炎上」「断罪」「分断」が日常化する場にもなっています。

過去の発言は永久保存され、謝罪や訂正は「負け」とみなされる。
表現の一部を切り取って揚げ足を取るような批判も後を絶たず、
発信者は誤りを認めるよりも、相手を攻撃することで自らを守ろうとする――そんな空気が蔓延しています。

これでは個人も社会も、前向きに進んでいくことはできません。

訂正する力』は、こうした現代社会に一石を投じる一冊。『新書大賞2024』では2位に輝く良書です」。

著者の東浩紀さんは、「人間も社会も誤る」という前提に立ちます。そのうえで、過去を否定するのではなく、再解釈しながら「変えていく=前進していく」ことこそ、民主主義を持続させるために大切だと論じます。

単なる道徳論ではありません。
むしろ、社会制度や歴史、哲学的思考を踏まえた上で、日常の意思決定や人間関係、社会参加にまで応用可能な「よりよく生きる知恵」を与えてくれます。

『訂正する力』が投げかける問い

自分を高め、社会を良くしていくには「よい変化」が必要です。
最初は「最適解」だったものも、時とともに適合しなくなることはよくあります。
それをより良い状態にするためには、「過去を訂正する力」が欠かせません。

「訂正」できない弊害

  • 人間の言葉や判断には必ず誤りが含まれる。
  • 重要なのは「誤りを前提とした言論の仕組み」をどう設計するか。
  • 訂正が可能な社会は寛容で開かれているが、訂正できない社会は硬直し、全体主義へと近づいてしまう。

「空気」が訂正を阻む

日本は変化しにくい国と思ったことはありませんか?
それは訂正できないから。日本社会において、訂正を困難にしている最大の要因は「空気の支配」です。

  • 明文化されたルールよりも、その場の雰囲気や暗黙の了解が優先される。
  • 間違いや矛盾があっても、「空気を壊す」ことを恐れて指摘されない。
  • その結果、「どうせ言っても変わらない」という諦めが広がり、空気の支配がますます強まる。

コロナ禍におけるマスク着用の長期化なども、この「空気の強さ」が影響していたと著者は指摘します。

空気を優先する社会では、明らかな誤りや不合理もそのまま流されてしまう。これでは、変化の速い社会に適応できなくなります。

学びと気づき

私が本書を通じて得らた最大の学びは、次の点です:

本書のポイント:私の気づき

  1. 人間も社会も合理的には動かない
    人も社会も非合理である。間違えないことより、間違いの訂正。 誤りを前提にした制度設計が必要。
  2. 正しさ」は変わる
    固定された「正解」はない。過去の再解釈により、訂正を重ねる態度が健全性を高める。
  3. 論破ではなく訂正を許容する空間
    過ちを糾弾するのではなく、建設的に「どう訂正していくか」を共有することことが大事。
  4. 過去から地続きでないものは定着しない
    「リセット」ではなく「訂正の積み重ね」が大事
  5. 寛容と成熟
    個人も社会も、「誤りをどう扱うか」に成熟度が表れる。

❸~❺に関わって、重要になるのが「リセット」と「訂正」の違いです。

「リセット」と「訂正」の違い

なぜ、「リセット」ではなく「訂正の積み重ね」が大事なのでしょうか。

  • 「リセット」の発想:ゼロからやり直す思想
    • 過去を全面否定し、新しい社会を一気に築こうとする(例:フランス革命、ソ連の共産主義革命)。
    • 急進的で分かりやすいが、人間の誤りを無視しているため、必ず新たな矛盾を生み、独裁や抑圧に転じやすい。
  • 「訂正」の発想:積み重ねて修正していく思想
    • 人・社会は誤ることを前提に、改善・修正の積み重ねて、社会をより良い方向に進める。
    • 過去の価値や知恵を残しつつ、少しずつ変化させる。
    • 過去と現在の連続性を保つことで、安定的に社会を更新できる。

この思想は、社会改革だけでなく、組織運営や、健康習慣・読書習慣など、個人の生活習慣でも同じです。
全面否定の「リセット」では人々はついてきません。
「一気に変える」のではなく、過去を再解釈しながら「少しずつ修正する」ことで、変化は定着するのです。

最後に

訂正する力』は、『新書大賞』の上位入賞作にふさわしい本で、多くの「よりよく生きる知恵」「よりよい社会を生きる知恵」を与えてくれる1冊です。

私たちがどれほど「誤りに不寛容」であり、「空気に従属しているか」を静かに問いかけ、
また、過去を否定するのではなく、再解釈しながら前に進むという、成熟した変化のあり方を示してくれました。
SNSや政治、教育、ビジネス、そして日々の人間関係にまで通じる、普遍的かつ実践的な知恵でもあります。

いまを生きる私たちに必要なのは、完璧さではなく、訂正を重ねる勇気。
訂正の積み重ねが成長につながる!
本書は訂正する勇気を、確かに授けてくれます。是非、手に取って読んでみることをおすすめします。

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