- プロ勝負師に学ぶ”リスク”の取り方・管理の仕方と”確率思考”
「勝つための考え方」——すなわち「確率思考」に基づいた“生き方の哲学”が学べる - 「リスクを管理する」とは、「どう生きるか」を選ぶこと
人生は、自分の選択にともなうリスクとリターンを理解し、どう折り合いをつけるかの連続。
だからこそ、自分の許容できるリスクを知り、その範囲で最大の成果を出す方法を考えることが大事 - 人間の感覚と確率にはズレがある
確率の“体感と現実の乖離”を修正し、確率の感覚を鍛えていくことが、成功への土台
★★★★☆
Kindle Unlimited読み放題対象本
『勝つための確率思考』ってどんな本?
著書『勝つための確率思考』の著者・木原直哉さんは、日本初のプロポーカープレイヤー。
知力と戦略で賞金を稼ぎ出す、“知的勝負師”です。
木原さんにとって、ポーカーとは単なるギャンブルではなく、「ビジネス」であり「投資」です。
運任せのゲームと思われがちなポーカーの世界。けれど、勝ち続けるには、運だけでは到底足りません。
必要なのは「期待値に従った一手」を選び続けること——。
この一手が、“危ないギャンブラー”と“結果を出すプロ”を分ける決定的な違いです。
本書にポーカーの戦術やテクニックは出てきません。
紹介されているのは、木原さんがプロとして生きる中で磨き上げてきた「勝つための考え方」——すなわち「確率思考」に基づいた“生き方の哲学”です。
本書では、そんな勝負の世界で生き抜いてきた木原さんが語る、「ビジネスや投資、そして人生に通じる確率思考の本質」を学ぶことができます。
特に投資や経営に携わる方、また意思決定に迷いや不安を抱えている方におすすめです。
「リスク管理」は「どう生きるか」の選択

木原さんは言います。「リスクマネジメントとは、どう生きるかということに等しい」と。
「リスクを管理する」とは、「どう生きるか」を選ぶこと
人生とは、自分の選択にともなうリスクとリターンを理解し、どう折り合いをつけるかの連続。
だからこそ、自分の許容できるリスクを知り、その範囲で最大の成果を出す方法を考えることが大切です。
たとえば、木原さんは、1日で失うリスクを全財産の2%までと決めています。勝ったとしても利益は3〜4%。
もっとリスクを取れば収益も増えるとわかっていても、「破産しないこと」を最優先します。
これが、彼の信じる確率に基づいた“ルール”です。
日常を確率でとらえる力が、判断の質を変える
「偶然に思える出来事の多くは、実は確率に従って起きている」——本書では、そんな視点が繰り返し語られます。
たとえば交通事故や病気、災害。どれも偶然のように見えて、実際には発生確率があります。
つまり、「確率を意識すれば、リスクに備えることができる」というのが、木原さんの考えです。
この視点は、投資の世界でも極めて重要。
「起こりうること」ではなく、「どれくらいの確率で起きるのか」を判断材料にすることが、ブレない選択につながります。
チャンスを引き寄せる確率的な思考力

確率的な思考力の第一歩。しかし、私たちは確率的に考えることが、想っている以上に「苦手」です。それは「試行回数の少ない事象は、幸運・不運に依存する」という認識です。
私たちは「確率を正しく体感できない」存在
本書で強調されるのが、「人間の感覚と確率にはズレがある」という点です。
- 10億円と1000億円の嬉しさの違いは体感しにくい
- コイントスで4回連続で表が出ると「次は裏だろう」と感じてしまう
私たちは、❶のように確率を正しく「体感」できないばかりか、❷のように、その事象が独立して起こっているのか、連鎖して起こっているのかを見誤りがちです。こうした錯覚が、「誤った判断」につながります。
この“体感と現実の乖離”を修正し、確率の感覚を鍛えていくことが、成功への土台になるのです。
「確率」と「運・不運」の誤解を解く
確率に従えば、少ない試行回数での成功や失敗は “ブレ” の範囲にすぎません。
それを「自分はツイている」「実力だ」と誤解してしまうと、次の選択で大きな失敗を招く危険があります。
逆に、不運もまた確率的に起きた出来事。
それを過剰に気にしても、将来にはなんの影響も与えません。
短期の結果に一喜一憂しないことー。
確率を軸に判断を重ねることで、精神的にもブレない自分を作っていくことが大事です。
「お金」「努力」との正しいつき合い方

「お金」と「努力」、どう付き合うべきか
- お金は幸福の手段であって、目的ではない
- 辛い努力は、しないほうがいい
年収が増えても幸福度が伸びないラインは、研究によると「年収800万円」あたりだと言われています。
それ以上は、「お金」ではなく「どんな暮らしが自分にとって幸福か」という軸で物事を選ぶことが重要です。
また、遺伝、親ガチャなど、才能やスタート地点の違いは残酷なほどに存在するこの社会。
だからこそ、「楽しいと思える努力」こそが、自分の武器になると木原さんは語ります。
「辛い努力」はしてはいけません。人から「頑張っているね」とみられるようなことが、自分にとってはとても楽しい。そんな好きなことを見つけることが大事です。
「失敗」は必要ない。でも「挑戦」は必要だ
失敗は避けたい。でも、挑戦には必ず失敗がつきまとう。
木原さんが本書で伝えるのは、「失敗を恐れず挑戦しろ」というありがちな言葉ではなく、
「確率的に勝てそうな道を選び、真剣に努力して、失敗も受け入れよ」という現実的で力強い生き方です。
悩んで動けなくなるくらいなら、少しでも期待値が高いと思える方向に向かって、一歩を踏み出してみる。
その先にしか、自分なりの成功や幸福は見えてこないのです。
おわりに:人生を「悩まず動く」ための確率思考
今回は、著書「勝つための確率思考」から、プロポーカー士に学ぶ、”リスク”の取り方・管理の仕方と”確率思考”を紹介しました。
私もかつて、「悩みすぎて動けない」タイプの人間でした。
でも、「選択術」を知ってからは、判断が驚くほど楽になりました。
「すべてを最大化しようとする完璧主義(マキシマイザー)」から、「そこそこ満足できればOK(サティスファイサー)」に考え方をシフトしたことで、幸福度の向上につながりました。
たとえば買い物一つとっても、「どれを買っても一定の品質はある」と思えると、悩む時間が減り、「これでいいや」ではなく「これでよかった」と思えるようになります。
「確率思考」は、このような判断・選択の精度をより高める思考術です。
悩む時間を減らし、前に進むために——。
この一冊は、人生をより幸運・成功に導く視点を与えてくれるはずです。
是非、本書を手に取り読んでみてください。