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【書評/要約】読書について(ショーペンハウアー) | 読み方次第でバカになる。本はどう読むべきか

【書評/要約】読書について(ショーペンハウアー) | 読み方次第でバカになる。本はどう読むべきか
読書について」要約・感想
  • 有限な時間を無駄にしないために、「どう読み」「どう考え」「どう発信すべきか」がテーマの名著
  • 読書は必要。ただし、本は読み次第でバカになる。辛辣な言葉に目が覚める
  • 自分の頭で考える読書」が大事。どう読むかがわかる

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目次

要約『読書について』ってどんな本?

本を読め!小さい時から、何度となく言われてきたと思います。

確かに、読書は大事。それは「本は人類が積み上げてきた叡智のアーカイブ」だからです。本は、人類が古代から考え、悩み、考えてきたきたことの集大成。あなたが悩んでいることの答えは、本に記載されています(ズバリ、答えが書いてある本に出合えるかは、別次元の問題)

しかし、読み方によってはバカになる。そう指摘するのが、19世紀のドイツの哲学者・思想家 ショーペンハウアーの著書『読書について』です。

著:ショーペンハウアー, 翻訳:鈴木 芳子 / Kindle Unlimited対象

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ショーペンハウアーは、ニーチェをはじめ、アインシュタイン、フロイト、トルストイなど広範囲の人に大きな影響与えた人物です。

本書は3部構成。以下の3点で、全編を通じて、かなり「厳しいお言葉」が並びます。

  1. 自分の頭で考えることの重要性
  2. 文章の書き方
  3. 読書の仕方

厳しさの根底にあるのは、有限な時間を無駄にしないために、「どう読み」「どう考え」「どう発信すべきか」。

時代を越えても変わらない真理をついた本で、深く考えさせられます!一読の価値ありです。

多読をするな。「自分の頭で考える読書」をしろ!

多読をするな。自分の頭で考える読書をしろ! | 【【書評/要約】読書について(ショーペンハウアー) |

多読はなぜダメなのか

ショーペンハウアーは一貫して「多読」を批判します。

どんなにたくさんあっても整理されていない蔵書より、ほどよい冊数で、きちんと整理されている蔵書のほうが、ずっと役に立つ。同じことが知識についてもいえる。いかに大量にかき集めても、自分の頭で考えずに 鵜吞みにした知識より、量はずっと少なくとも、じっくり考え抜いた知識のほうが、はるかに価値がある。

パソコンのハードディスクに大量のデータが格納されていても、それだけでは無意味。むしろ、ありすぎることで、大切な情報が見つかりません。人の頭も同じです。

たくさん本を読むと、読破したことに満足したり、なんとなくわかった気になる。しかし、それは、価値がないし、役立たない。ただ単に、頭の中が散らかっているだけで、頭の中にゴミを増やしているようなものだと指摘しているのです。

私の失敗談ですが、社会人新人の時、やたらと、3C分析、4P分析、SWOT分析、MECE、ロジックツリーはじめ、ビジネスフレームワーク本を読み漁りました。自分に自信がないので、知識武装していただけに過ぎず、使いこなせませんでした。むしろ、知識はそれほどでなくとも、行動(アウトプット)する同僚の方が、ビジネスマンとして価値があったと思います。

単なる読書では、時間の浪費どころか、考えなくなる

さらに厳しい言葉が次です。

読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく

これは、同書『読書について』の岩波新書版の表紙に、ズバリ記載されている言葉です。

「毎日読書」がモットーの私を瞬殺するご指摘….アイタタタ… 

多読家は「アウトプット」より「インプット」に時間をかけがちです。しかし、「インプット」だけでは、意味がありません。読書は、自分の頭で考え、自分の思考をより深めたり、高めたり、実際のアクションに落とし込み行動する、といった「自己昇華」があってこそ、初めて意味があります。

ただ多読するだけでは、賢者の意見を鵜呑みにしてしまったり、知った気になってしまうという傲慢が、考えない→思考力が弱まる危険を高める危険をはらんでいます。こうなってしまうと、読書は時間の浪費でどころか、有害です。

「自分で考える読書」をせよ

読書で大事なのは、「自分の頭で考える読書」です。大事なのでまとめます。

自分の頭で考える読書
  • 読書量は少なくとも、自分の頭で考えながら読む。読了後も考える
  • 読書を、自分の思考を深めたり、高めたり、行動したりして、自己昇華させる
  • じっくり考える読書に当たって、以下に注意
    • 本の内容を鵜呑みにしない
      本当か、自分に問うてみる
    • 一読してわかった気にならない
      再読により、1度読みでは気づけない「物事のつながり」を理解・整理する

読書=「インプット」だけでは、現状は何も変わりません。自己満足で終わります。個人的に最も大切にしたいのは、インプットの後の「アウトプット」です。

アウトプットするには、

  • インプットを自分の現状に合わせて再考し、
  • 具体的にどう動くか策を考え、
  • 場合によっては、行動することへの不安・迷い・面倒心など、自分の気持ちを整理する

ことを必要とします。ここまでできるかが、「質の高い読書」の鍵だと私は考えます。

時間の無駄になる、文章を読むな/書くな

時間の無駄になる、文章を読むな/書くな |

ショーペンハウアーは自分の頭で考えず多読することに否定的です。ただし、読書を「全否定」しているわけではありません。

人生・時間は有限です。だからこそ、時間の無駄づかい・お金の無駄遣いになる読書をするなと指摘します。次のような良書を選べとすすめます。

読むべき本/読むべきでない本/その読み方
  • 古人が書いた古典・名著を読む
    著者の思想・経験がハッキリとわかる本。古典・原書・高い評価を得ている本
  • 大衆受けする新刊書は注意
  • 思想体系をもち、公正な関心を持って読む

世に出回る本の中には、

  • 何一つ主張がないのに、あるように見せかけたくだらない文章
  • 知者を装った文章
  • はっきりしない、あいまいな表現の文章
  • 明らかに語彙力が不足する文章

が存在します。これは、出版物に限らず、自分が発信者になる場合、例えば、資料をまとめたり、ブログやSNSで発信したりする場合についても、注意すべき点です。

ショーペンハウアーは、「読み手」として時間の無駄になる本・文章を読まないだけでなく、「書き手」として、無駄な文章を書かないことの大切さについても、厳しく指摘しています。特に、匿名での文章については、厳しく批判しています(このブログも該当です)。

最後に

今回は、ショーペンハウアーの「読書について」からの学びを紹介しました。

本書は、私個人、本の読み手として、そして、書き手(個人メディアでの発信者)として耳の痛い言葉ばかりです。それ故、「どう読むべきか」「どう書くべきであるのか」を深く考えさせられます。

本を読んでも自分の血肉となるのは、自分で反芻し、じっくり考えたこと、実際に行動したことだけです。

ちなみに私は、ブログに記事を書くことで、読んだ本をじっくり考える機会を作っています。この本凄い!と思っても、いざまとめようとすると、まとめられないものです。凄いと思った本ほど、まとめるのが難しいというのが、私の実感です。いかに、読んだ気になっているかを、痛感させられっぱなしです。

著:ショーペンハウアー, 翻訳:鈴木 芳子 / Kindle Unlimited対象
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