- 自己肯定感は“心の筋トレ”で鍛えられる
自己肯定感は生まれつきの資質ではなく、考え方と習慣次第で育てられる。「私は私でOK」と思える心の持ち方を身につけよう。 - 自分を愛することが、すべての出発点
条件つきの価値観を手放し、何があっても自分を味方でい続ける。その心の在り方が、揺るがない“鋼の自己肯定感”をつくる。 - 他人軸を手放し、“自分軸”で生きる力に
他人の評価や常識に縛られると人生は苦しくなる。本書では、科学的な知見をもとに、自己肯定感を育て、高い状態を維持する具体的な方法が紹介される。
★★★★☆
Audible聴き放題対象本
『鋼の自己肯定感』ってどんな本?

自分は「最大の敵」にも「最大の味方」にもなるー
宮崎直子さんの本『鋼の自己肯定感』は、自己肯定感が低い日本人にこそ読んでほしい一冊。
私たちが一生のあいだ、もっとも長く付き合っていくのは、他人ではなく“自分自身”。
その自分を、「きっとできる」と信じるのか、「どうせ自分なんて」と否定してしまうのか。
その考え方ひとつで、人生は大きく変わってしまいます。
自己肯定感は、生まれつきの性格で決まるものではありません。
「自信がないから無理」とあきらめる必要もありません。
さらに言えば、気分で上がったり下がったりするような不安定なものでもありません。
大事なのは、「考え方」。それを知って行動すれば、自己肯定感は日々、高く安定した状態を保てるようになります。
この本では、科学的な知見と、シリコンバレーの人々の習慣をもとに、“誰でも育てられる鋼の自己肯定感”を、わかりやすく教えてくれます。
自己肯定感が「人生の質」を決める

自己肯定感が低いと、自分の価値を「他人の基準」で判断してしまいがちです。
「こうするべき」「これをやらなきゃ」と自分を縛り、気づけば“やりたくない人生”を選んでいることも。
でも、ブレない“鋼の自己肯定感”があれば、判断基準は「自分の心の声」になります。
周りに振り回されず、自分の可能性を信じて前に進むことができるようになります。
そのために大切なのは、「無条件で自分を愛すること」。
自分が、自分にとって“世界一の親友”でいることです。
たとえば、シリコンバレーでは、会社を解雇されても自分を否定しない人が多いそう。
なぜなら、「自分にスキルがあるから価値がある」のではなく、
「自分という存在そのものに価値がある」と思えているからです。
これは、アメリカの教育や文化によるところが大きい。
幼い頃から「私はこういう人」と自分を表現し、
多様な人種・文化を持つ人の中で、「違っていて当たり前」という環境で育っています。
だからこそ、「他人や社会の常識」ではなく、「自分にとっての心地よい生き方」を選べるのです。
自己肯定感を奪う“思い違い”に気づこう
自己肯定感を育てるために、まず知っておきたいのが
「似て非なる3つの感覚」ーー 自己肯定感・自己有用感・自己効力感 の違いです。
類似概念 | 意味 | 自己肯定感との違い |
---|---|---|
自己肯定感 | ありのままの自分を認め、受け入れ、価値ある存在だと感じる心のあり方 | – |
自己有用感 | 「自分は誰かの役に立っている」と思える感覚 | 他人への貢献に依存している |
自己効力感 | 「自分はできる」と感じる自信 | 成果や成功に依存している |
本当の自己肯定感とは、「何もできなくても、私は私で大丈夫」と思えること。
「誰かの役に立てなきゃダメ」と思い込むと、急き立てられるように “自己犠牲” の道に進んでしまいます。
その自己犠牲は、やがて、「私は我慢してるんだから、あなたも我慢してよ」という他者へのいらだちと要求となって現れ、人生はますます苦しくなってしまうのです。
大切なのは、条件つきではなく、“ありのまま”の自分を愛すること。
これは「自己中心的」とは違います。
自己肯定感のベースにあるのは“愛”。
それに対して、自己中心的な態度の裏にあるのは“恐れ”です。
自己肯定感を上げ下げするものの正体

宮崎さんは、自己肯定感を上下させる4つの要因と、それにどう向き合えばいいかも教えてくれます。
自己肯定感を揺らす4つの原因とその対策
- 他人からの評価
他人の声を基準にしないと決める。「暴力的な言葉を使う人」とは距離を置こう。 - 他人との比較
「自分にとっての価値基準」を大切にしよう。
他人と比較する必要はなし。他人の常識はあなたにとって正解とは限らない。 - 成功と失敗
失敗は成功への通過点と再定義し、自分の可能性を信じよう。
挑戦そのものが人生を豊かにする。 - 不測の事態
人生のつらい出来事も「未来へのピース」と捉え直す。“リフレーミング”の力を使おう。
リフレーミングとは、「物事の見方(フレーム)を変えること」。
同じ出来事でも、どう捉えるかによって、感じ方や反応はまるで変わります。
ネガティブに引っ張られそうなとき、「これ、別の見方できないかな?」とちょっとだけ立ち止まる習慣をつけるだけで、人生の景色は変わります。
自分の人生に起こることは、すべてつながっています。試練を含め、すべてが、「人生のピース」です。
喜多川泰さんの自己啓発小説『賢者の書』は、この真理をとてもわかりやすい、感動的なストーリーで教えてくれます。おすすめです。
自分を無条件に愛するために、まず「見直しリスト」を
こんな自分ではダメーーと、苦しくなってしまうのは、外見や学歴、収入、交友関係、家族構成などの“条件”で自分を評価してしまうからです。
- 見た目(顔、髪、身長、体重など)
- 学歴、仕事、キャリア、貯金額、収入
- 友達の数、人気(フォロワー数など)
- 家族、親戚、パートナーの有無
- 才能、能力、性格、習慣、行動
- 過去、現在の自分への気がかり
でも、これらの条件がそろっていなくても、私たちには“存在するだけで価値がある”のです。
この考えに心から納得できたとき、鋼の自己肯定感への第一歩が始まります。
思考・言葉・行動の3ステップで育てる自己肯定感

どうすれば自己肯定感を育てられるのか?
自己肯定感を育てるには、「思考」「言葉」「行動」の3つが大切です。
- 言葉を変える:ポジティブな言葉を使おう
- 心配・不安が頭を占有していると、次々、心配・不安になる情報が飛び込んできてしまう。
- だからこそ大事な「ポジティブな言葉習慣」
- 自分の未来の先取りをして、「私は自分が大好き」「私はついている」「私には無限の可能性がある」など、前向きな言葉で自分を肯定しよう
- 思考を変える:許しと感謝の習慣を
- 許容・赦し
行為は許さずとも、人を赦し、受け入れる。
わが身に降りかかった不幸も、考え方を変える。
人に傷つけられたとき、「この人も傷ついているんだ」と思えば、憎しみは手放せる。 - 感謝
人の幸せを素直に願おう。
毎日「ありがとう」を10個書き出す習慣が、心を根本から整えてくれる。
偉大な力の存在が、自分を守ってくれると気がつける。
- 許容・赦し
- 行動を変える:ポジティブループを回す
- 明確な目標 → 小さな達成 → 成功体験 → 自信 → 新しい挑戦……という好循環を意識しよう。
行動のポジティブループを回そうにも、「何がしたいかわからない…」という人は、まずこのリストを作ってみよう。
- したいこと
- したくないのにしていること
- したいけどしていないこと
❷❸の中にに、自己肯定感を下げているヒントが見つかります。
最後に:今こそ、「鋼の自己肯定感」を自分のものにしよう!
今回は、宮崎直子さんの本『鋼の自己肯定感』からの学びを紹介しました。
“努力”や“根性”ではなく、“心の扱い方”を変えることで、人生が軽やかに変わっていく。
本書にはそんなヒントが詰まっていました。
他人に振り回されない自分。
何があっても自分を信じていられる自分。
そんな自分になりたい方にこそ、この本は“人生の処方箋”になります。
読んでみたら、きっとこう思うはずです。
「もっと早く読んでおけばよかった!」