いい本との出会いを応援!

『源氏物語』あらすじをわかりやすく|登場人物・相関図で読む恋と波乱。不義の子も登場!? 嫉妬・孤独・老いまで ”ままならない人生” を描く物語

『源氏物語』あらすじを短くわかりやすく|登場人物・相関図で読む恋と波乱。嫉妬、孤独、老いまで描く物語。不義の子も登場!?
源氏物語」のあらすじ要約
  • 源氏物語』は、光源氏の恋愛物語だけじゃない、恋愛小説を超えた人間ドラマの物語
  • 源氏物語』は三部構成の五十四帖、約4000ページからなる
    • 第一部:光源氏の青春と栄華
    • 第二部:光源氏の悲劇と晩年
    • 第三部:薫の青春と恋の悲劇
  • 身分の高い高貴な人であっても、人生はままならない様が描かれる。紫式部の「世は無常」「人生はあわれなり」という思想がひしと伝わる名著

2025年11月、NHK 100分de名著で 【源氏物語 ウェイリー版】が再放送中!
只今、Kindle 源氏物語 ウェイリー版(全4巻)が全巻30%ポイント還元セール。
1冊当たり、1,008ポイント還元!

全巻30%還元中!

「いつの時代のことでしたか、あるエンペラーの宮廷での物語でございます」から始まるこの物語。
エンペラー、プリンス、レディ、パレス、カーテン——
千年前に紡がれた物語が、まるで異世界ファンタジーのように新しい!
令嬢・侯爵ラノベを読んでいるようで新鮮。しかも、ものすごくわかりやすい!

目次

『源氏物語』の世界へのいざない

『源氏物語』は三部構成の五十四巻からなる大長編小説

2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』が幕を閉じてしばらく。
まひろ(=紫式部)と道長の物語に心を動かされた方も多いのではないでしょうか。

ドラマの中で描かれたのは、激動の平安宮廷を生きる女性の姿、そして彼女が命を吹き込んだ名作『源氏物語』の誕生でした。
『光る君へ』を見て感じた「人を想うことの切なさ」「言葉に宿る力」。これは、『源氏物語』の核心。
放送をきっかけに、「いつか本物の『源氏物語』を読んでみたい」と思った方も少なくないはずです。

いま改めて、『源氏物語』を読むという贅沢
『源氏物語』は、千年以上前に書かれた恋愛絵巻でありながら、驚くほど現代的です。
愛されること、嫉妬、孤独、老い──人の感情の繊細さは、時代が変わっても色褪せません。
千年前の女性が書き残した“愛と孤独の物語”は、令和の私たちの心にも、時代を感じさせずに響きます。

とはいえ――。
全54帖という大作。そのボリュームに心が折れてしまう人も多いのが正直なところ。
まずは「ざっくりあらすじ」だけでも知っておくと、光源氏という人物像がぐっと立体的に感じられます。
また、現代語訳やダイジェスト版も多く出版されており、初めての一冊にも困りません。

そんな方のために、本記事では「『源氏物語』のあらすじ」と「読みやすいおすすめ本」を紹介します。

『源氏物語』は世界最古の大長編小説──五十四帖で描かれる“人の心”の物語

『源氏物語』は三部構成の五十四帖からなる大長編小説

源氏物語』は、世界最古の長編小説として知られる日本文学の金字塔です。
紫式部によって書かれたのは、西暦1000年ごろ。
全五十四帖(じょう)、登場人物は500人以上にもおよぶ、まさに“千年のベストセラー”です。

物語は三部構成で、約4000ページ。
人の心のゆらぎ、愛や嫉妬、老いといった感情を繊細に描くその筆致は、今読んでも深く共感できます。
構成の見事さ、文章の美しさ、美意識の高さ──そのすべてが文学史上まれに見る完成度を誇ります。


第一部:光源氏の青春と栄華  |  第1帖「桐壺」~第33帖「藤裏葉」(1〜39歳)

主人公・光源氏は、天皇の子として生まれながら、母の身分の低さゆえに臣籍に下ります。
容姿端麗で才気にあふれる彼は、宮廷で出世を重ねながら、さまざまな女性たちとの恋を繰り広げていきます。
やがて上皇に次ぐ高い地位「准太上天皇」となり、
豪邸「六条院」に愛する女性たちを住まわせ、華やかな栄華の頂点へ──。


第二部:光源氏の悲劇と晩年  |  第34帖「若菜上」~第41帖「幻」(40〜56歳没)

栄光の絶頂を迎えた光源氏にも、過去の“過ち”の代償が訪れます。
若き日に犯した「不義の子」の因果がめぐり、次々と試練が襲いかかります。
最愛の女性・紫の上を失い、光源氏自身もやがて静かにこの世を去る──。
ここで物語はいったん、大きな転換点を迎えます。


第三部:薫と匂宮の恋の物語  |  第42帖「匂宮」~第54帖「夢浮橋」

光源氏亡きあとの物語は、その子・薫と孫・匂宮が主人公。
二人は同じ姉妹をめぐって恋に落ち、すれ違い、そして傷つけ合います。
平安の都から宇治へと舞台が移り、やがて物語は“儚さと無常”のうちに幕を閉じます。
最後まで華やかでありながら、どこか哀しい──そんな余韻が残ります。


🗂 五十四帖が織りなす壮大な世界

『源氏物語』は、全五十四の巻(=帖)で構成されています。
「桐壺」「帚木(ははきぎ)」「夕顔」など、それぞれに雅なタイトルがあり、
1話ごとに短編や中編としても楽しめます。それらは数ページの短いものから、100ページを超える大作までさまざま。
全体として読むと、まるで平安王朝の人生絵巻を一枚ずつ紐解くようです。

第四十一帖「幻」の次には、本文が存在しない「雲隠(くもがくれ)」という謎めいた巻があり、光源氏の死を象徴するといわれています。こうした“謎”もまた、この物語を特別なものにしています。

もっと詳しく知りたい方のために、以下では、第一部~第三部を、より詳しく見ていきます。

『源氏物語』第一部:光源氏の青春と栄華 – 変遷と登場人物

『源氏物語』第一部:光源氏の青春と栄華 - 変遷と登場人物

『源氏物語』の第一部は「光源氏の青春と栄華」。第一巻「桐壺」~第三十三巻「藤裏葉」が該当します。

『源氏物語』第一部:あらすじ

有名なのは、この第一部。わかりやすさを重視し、ブロックに分け、箇条書きでまとめます。

まずは「光源氏の誕生」です。

  • 桐壺帝の寵愛 を一身に受けた美女 桐壺更衣 が、玉のような男の子を産み落とす
  • 「更衣」は中宮や女御 より下の位。桐壺更衣は他の妃や女官たちの憎悪・嫉妬の対象に
  • 桐壺更衣は精神負担もたたって、皇子が3歳のときに病死
  • 有力な後見人がいないことを慮った帝は、この皇子に源氏の姓を与えて臣籍に降させる
  • 降下した少年は、類を見ない美しい容姿ゆえに、「光る君」「光源氏」と称されるようになる

成長した光源氏は、亡き母の面影を探し、様々な女性と恋を重ねるようになります。

  • 光源氏は、桐壺帝に入内した亡き母・桐壺更衣似の義母・藤壺に恋に落ちる
  • 養生で出かけた北山で、藤壺に生き写しの童女若紫(後に妻となる紫の上)と出会い、自邸へ迎え取る
  • 若紫との出会いで、義母・藤壺への想いをいっそう掻き立てられた光源氏は、部屋に侵入。逢瀬を遂げる。結果、あろうことか、不義の子が生まれる
  • 父の帝はそんなことは知らずに、生まれた子を自分の子と信じて可愛がる
  • その後も実母の面影を追い続け、その間にも、源氏はさまざまな女性と 逢瀬 を重ねる
    • 空蝉夕顔葵の上六条御息所末摘花など多くの女性と恋に落ちる
    • その中には、母更衣のライバルであった 弘徽殿女御の妹・朧月夜(朱雀帝の寵愛を受ける女性)も…。とても、危険な恋。

若き光源氏の人生に陰りが生じ、京を離れます。

  • 光源氏の後ろだてである父の帝が死亡。その後を弘徽殿女御が産んだ朱雀帝が継ぐことに
  • 朧月夜との関係など、源氏は身の危険を感じて、一時的に京を離れて、須磨・明石へ
  • 光源氏は中央政界から失脚
  • 明石で出会った豪族の娘・明石の君との間に娘が誕生する

帰京した光源氏は、最高の栄華を手にします。

  • 光源氏を愛した故帝が朱雀帝の夢に現れ諭したことで、光源氏は帝の赦しを得て帰京
  • 朱雀帝は32歳の若さで弟の冷泉帝に位を譲る
  • 冷泉帝は、実は源氏と藤壺の間に生まれた 不義の子!冷泉帝はその事実をやがて知ることに…
  • それを知った冷泉帝は、実父源氏を 太政大臣 に任ずる
  • 豪邸・六条院を造営。紫の上や夕顔の遺児である玉鬘など、自分が関わりをもった女性たちを住まわせ、優雅な日々を送る
  • 39歳のとき、明石の君との間にもうけた娘が東宮妃に
  • 光源氏は、准太上天皇の位を与えられ、六条院に冷泉帝と上皇・朱雀院に行幸するという至上の栄誉を手にする

なかなか凄い話ですよね。まるで昼のメロドラマのよう…

栄華を極めた光源氏。娘を帝に嫁がせる様は、中宮彰子を一条天皇に嫁がせた藤原道長と重なりますね。

『源氏物語』第一部:押さえておきたい登場人物と相関関係

人物読み方特徴
光源氏ひかるげんじ第一部、第二部の物語の主人公。
亡き母・桐壺更衣の面影を求め、多くの恋愛を渡り歩く。
桐壺帝きりつぼてい光源氏の父親。桐壺の更衣を溺愛。
桐壺の更衣きりつぼのこうい光源氏の母親。故按察大納言の娘。身分は高くない。
光源氏を出産するも、桐壺の更衣を溺愛により、周りの女たちの嫉妬を受けて病気に。光源氏が3歳の時に亡くなる。
藤壺ふじつぼ光源氏の初恋の相手。
光源氏と藤壺の宮は密通を果たし、不義の子(冷泉帝)を出産
冷泉帝れいぜいてい表面上は、桐壺帝と藤壺の子
実際は、光源氏と藤壺の間に生まれた不義の子
紫の上むらさきのうえ藤壺の宮の姪。藤壺に顔がそっくり
幼少時の名は「若紫
夕顔を失くし、体調を崩した際、養生に出かけた北山で出会う
光源氏が生涯で最も愛した女性。
頭中将とうのちゅうじょう源氏のライバルで大親友。左大臣家の息子。
葵上の兄。
夕顔ゆうがお頭中将の元恋人。なよなよと儚い印象の女性。
隠れて住んでいたところ、光源氏と恋に落ちる。
六条御息所の生霊にとりつかれ、命を落とす。
六条御息所ろくじょうみやすんどころ上品で高貴。嫉妬心が強くプライドも高い。
夕顔と葵の上に生霊としてとりつく。
朧月夜おぼろづきよ恋に奔放な性格の美人。
後に尚侍として朱雀帝に仕え、寵愛を受ける。
末摘花すえつぐはな光源氏が離れた後も長年待ち続ける。
その純粋さに心打たれ、その後も面倒を見る。
明石の君あかしのきみ光源氏が都を追われ際に出会い、愛人関係に。
光源氏帰京後に、明石の姫君を出産。
玉鬘たまかづら頭中将と夕顔の娘で、非常に美しい。
光源氏の養女となる。

『源氏物語』第一部:人物相関図

『源氏物語』第一部:人物相関図
『源氏物語』 葵:人物相関図 (△は故人)
画像引用:『源氏物語』角田光代訳

📌角田光代さん訳の『源氏物語』は非常に読みやすい
原作に忠実ながら、ストーリーの流れを邪魔する部分は割愛されているので、スッキリ読めます。

『源氏物語』第一部 巻名一覧:1~33名と読み方

  • 桐壺 (きりつぼ)
  •  帚木 (ははきぎ)
  •  空蝉 (うつせみ)
  •  夕顔 (ゆうがお)
  •  若紫 (わかむらさき)
  •  末摘花 (すえつむはな)
  •  紅葉賀 (もみじのが)
  •  花宴 (はなのえん)
  •  葵 (あおい)
  •  賢木 (さかき)
  •  花散里 (はなちるさと)
  •  須磨 (すま)
  •  明石 (あかし)
  •  澪標 (みおつくし)
  •  蓬生 (よもぎう)
  •  関屋 (せきや)
  •  絵合 (えあわせ)
  •  松風 (まつかぜ)
  •  薄雲 (うすぐも)
  •  朝顔 (あさがお)
  •  乙女〔少女〕(おとめ)
  •  玉鬘 (たまかずら)
  •  初音 (はつね)
  •  胡蝶 (こちょう)
  •  蛍  (ほたる)
  •  常夏 (とこなつ)
  •  篝火 (かがりび)
  •  野分 (のわき)
  •  行幸 (みゆき)
  •  藤袴 (ふじばかま)
  •  真木柱 (まきばしら)
  •  梅枝 (うめがえ)
  •  藤裏葉 (ふじのうらは)

源氏物語:平安京の位置・内裏地図

平安京(画像:はぐくむ

平安京とは、 794 年に 桓武天皇 が遷都した都。現在の京都市の中心部にあり、平清盛による福原遷都(1180年)を除けば、1869年に東京に首都が釣るまで、およそ1100年の間もの間、日本の首都として機能してきました。

平安京の北辺には宮城である平安宮。その内部の中央東寄りに南北約300m、東西約200mの内裏が存在しました。北側に後宮南側に天皇の政務所である紫宸殿日常生活の中心地である清涼殿などがありました。

現在の京都御所の場所は、従来の内裏があった場所からはズレています。(右上)現在の京都御所を突っ切るだけでも、結構距離あり!平安宮は非常に広かったことに驚かされます。

源氏物語:平安京内裏地図(画像:Wikipedia

源氏物語には、内裏の場所がいろいろなシーンで登場します。場所がわかるとストーリーがより理解しやすくなります。

場所場所の説明源氏物語登場シーン
紫宸殿(ししんでん)宮中の行事を執り行う御殿❶桐壺:第一皇子の御元服の儀
❷花宴:桜の宴
清涼殿(せいりょうでん)帝の住まい
※これより北側の建物が後宮
❶桐壺:源氏の君の御元服の儀
❼紅葉賀:源氏の君が清海波
後涼殿(こうりょうでん)清涼殿に付随する建物
帝付きの女房の住まい
❶桐壺:桐壺の更衣が賜った御殿
(8から移り住む)
弘徽殿(こきでん)清涼殿に近く、身分の高い后が住む❽花宴:源氏の君と朧月夜の出会いの場
飛香舎(ひぎょうしゃ)「藤壷」と呼ばれる御殿
中庭に藤の気が植えられた住まい
複数の姫が、この御殿に移り住む
凝華舎 (ぎょうかしゃ)「梅壷」と呼ばれる御殿❿賢木:桐壺院亡き後、弘徽殿女御が移り住む
麗景殿(れいけいでん)帝に仕える女御の住まい⓫花散里:麗景殿の妹・花散里が住まう
淑景舎(しげいしゃ)「桐壺」と呼ばれる御殿❶桐壺:光源氏の母君が住んだ御殿
「更衣」であるため、帝の住まいから遠い
温明殿(うんめいでん)帝に仕える女房の住まい❼紅葉賀:老女典侍と源氏の君との戯れの場

現在の京都御所の近くに、源氏物語の執筆地「廬山寺

現在の京都御所のそばに、紫式部邸宅址・源氏物語執筆地である廬山寺」があります。

私は、「光る君へ」にはまってしまって、2024年秋 「光る君へ」関連観光地を旅行!京都御所廬山寺にも行ってわかったことは、… 執筆地から内裏まで行くと、そこそこ歩かなければならないということ。毎日、徒歩での通勤は勘弁願いたい。内裏で寝泊しないと厳しいと思った次第です。

紫式部 関連地 ★マークは私が訪れた場所
紫式部と平安の都 掲載地図に加筆

紫式部・源氏物語関連観光スポットを旅したい方に、倉本一宏さんの本『紫式部と平安の都』がおすすめ。著者は、光る君への時代考証をされた方。大河ドラマを史実に基づきおさらいすることができるとともに、紫式部関連スポットについても紹介されています。予習をして旅行に出かけると、より大きな学び・気づきが得られるかと!

上記本、Audible聴き放題対象

上記本、Kindle Unlimited読み放題対象!ガイドブック買う必要なし!

『源氏物語』第二部:光源氏の悲劇と晩年 – 変遷と登場人物

『源氏物語』第二部:光源氏の悲劇と晩年 - 変遷と登場人物

『源氏物語』の第二部は「光源氏の悲劇と晩年」。第三十四巻「若菜上」~第四十一巻「幻」が該当します。

『源氏物語』第二部:あらすじ

光源氏の正妻があろうことか、不義の子を産みます😨

  • 准太上天皇に上り詰めた光源氏(40歳)は、朱雀院の娘・女三の宮、つまり格の高い女性が正妻として降嫁する
  • 光源氏の最愛の正妻・紫の上は、この出来事に傷つく
  • 仲睦まじい源氏と紫の上の仲に亀裂が…
  • そんな中、かねて女三の宮に心を寄せていた青年貴族柏木が強引に宮に近づき、密通
  • 柏木は光源氏のライバル、頭中将の長男
  • 女三の宮は柏木との間の子を身籠り、を出産してしまう

光源氏は正妻の裏切りに気づきます。しかし、不義の子・薫を我が子として育てるのです😱

  • 光源氏はまもなくこの秘密を知るが、生まれたは表向きは源氏の子として育てられる
  • 自責の念に苦しむ柏木はやがて病床に臥し、妻・落葉の宮の後見を源氏の長男・夕霧に頼んでこの世を去る
  • 夕霧はいつしか落葉の宮に恋心を抱くようになるが、妻の雲居雁(頭中将の娘)がこれに激しく嫉妬する

光源氏も人の子。老いと死が襲います。

  • やがて光源氏最愛の女性・紫の上が病死
  • 深い悲しみに沈んだ源氏は故人を追憶しながら出家の用意を整え、死を迎える

光源氏自身が若き折、壺の宮との不義の子・冷泉帝をもうけたの対して、今度は、光源氏が女三の宮は柏木との間の不義の子・薫を不義のこと知りつつ、親として育てるなんて…

因果応報ですねぇ…

こんな恐るべしなストーリーを描いた紫式部に対しても、恐るべしと思わざるを得ません!

『源氏物語』第二部:押さえておきたい登場人物と相関関係

人物読み方特徴
女三の宮おんなさんのみや藤壺の中宮の姪であり、紫の上のいとこ。
光源氏の正妻として降嫁するが、光源氏と相性が合わず。
柏木と不倫関係となり、不義の子・薫を出産。
柏木かしわぎ頭中将の長男で、血筋の高貴な女性との結婚を望む。
女三の宮と恋に落ち、密通。
女三の宮の間に不義の子をもうけるも、罪の意識により死亡。
かおる表面上は、光源氏と女三宮の子。
女三の宮と柏木の間に生まれた不義の子。
第三部の主人公
落葉の宮おちばのみや柏木の正室。
柏木没た後は、夕霧の妻となる。
夕霧ゆうぎり光源氏と葵の上の息子。
雲居の雁と妾の藤典侍という妻がいるが、落葉の宮を妻に。

『源氏物語』第二部:人物相関図

『源氏物語』 柏木:人物相関図 (△は故人)
画像引用:『源氏物語』角田光代訳

『源氏物語』第二部 巻名一覧:34~41名と読み方

  1. 若菜上 (わかな じょう)
  2. 若菜下 (わかな げ)
  3. 柏木 (かしわぎ)
  4. 横笛 (よこぶえ)
  5. 鈴虫 (すずむし)
  6. 夕霧 (ゆうぎり)
  7. 御法 (みのり)
  8. 幻  (まぼろし) 

※この後に、タイトルしか存在しない 雲隠(くもがくれ)がある

「雲隠」のの謎に面白く迫った小説が『千年の黙 異本源氏物語 平安推理絵巻』。本作は『枕草子』のエピソードと『源氏物語』の現代をも解き明かされぬ謎をベースに」展開する歴史ミステリー第13回鮎川哲也賞受賞作。歴史・文学に興味を抱かせてくれます。

『源氏物語』第三部:薫の青春と恋の悲劇 – 変遷と登場人物

『源氏物語』第三部:薫の青春と恋の悲劇 - 変遷と登場人物

『源氏物語』の第部は「光源氏の悲劇と晩年」。第四十二巻「匂宮」~第五十四巻「夢浮橋」が該当します。第四十五巻「橋姫」~第五十四巻「夢浮橋」は京南郊の宇治が舞台なので、「宇治十帖」とも呼ばれます。

『源氏物語』第三部:あらすじ

第三部の主人公は光源氏の子・薫孫・匂宮。これが、またすごい展開を見せます。

薫 :光源氏の子。ただし、実際は、柏木の子。不義の子
匂宮:今上帝と明石の中宮(光源氏と明石の君の娘)の間に生まれた子。つまり、光源氏の孫

二人は、同じ姉妹を奪い合うのです😖

  • 薫は厭世的。光源氏とは異なり、世の中や人生に失望感を抱いている
  • 薫は宇治でひっそりと暮らす大君中の君の姉妹を知り、大君に心を寄せる
  • 大君はこれを拒み、中の君を妻合わせようとするが、中の君は匂宮と結ばれる
  • 大君は心労が重なり、薫に看取られながら他界

そして、姉・大君亡き後も、さらなる女性の奪い合いが生じるのです😱

  • 大君を忘れられない薫は、妹・中の君に迫るが…
  • 中の君は異母妹の浮舟を薫に紹介
  • 亡き大君によく似た浮舟を薫は愛するが、匂宮も浮舟を知ると強引に関係を結んでしまう

奪い合いはいい結果を生みません。残念な結果が待っています😖

  • 薫と匂宮の間で悩む浮舟は入水をはかるが、比叡山の高徳の僧侶に助けられ、出家。尼僧に
  • 薫は浮舟の居場所を聞きつける
  • しかし、二人が結ばれることはなかった

『源氏物語』がこのような結末を迎えるお話だと知っていたでしょうか?驚きですよね。

『源氏物語』第三部:押さえておきたい登場人物と相関関係

人物読み方特徴
かおる表面上は、光源氏と女三宮の子。
女三の宮と柏木の間に生まれた不義の子。
匂宮におうのみや六条院で一緒に育った薫にライバル心。
薫と同じ姉妹を巡って、争う
大君おおいきみ宇治八の宮の長女。思慮深くプライドが高い
薫からの求愛を拒み続ける。
妹・中の君と匂宮の結婚後、二人の仲に悩み、薫に看取られながら他界
中の君なかのきみ宇治八の宮の次女。可愛らしい女性。
匂宮と結婚し、男子を出産
浮舟うきふね宇治八の宮の姉妹の異母妹で、大君似。
薫と匂宮の二人から愛され、悩んだ末、身を投げる。
横川の僧都に助けられ、出家。

『源氏物語』第三部 巻名一覧:42~54名と読み方

  1. 匂宮 (におうみや)
  2.  紅梅 (こうばい)
  3.  竹河 (たけかわ)
  4.  橋姫 (はしひめ)
  5.  椎本 (しいがもと)
  6.  総角 (あげまき)
  7.  早蕨 (さわらび)
  8.  宿木 (やどりぎ)
  9.  東屋 (あずまや)
  10.  浮舟 (うきふね)
  11.  蜻蛉 (かげろう)
  12.  手習 (てならい)
  13.  夢浮橋 (ゆめのうきはし)

『源氏物語』は、世代を超えた人間ドラマ

『源氏物語』は、世代を超えた人間ドラマ

紫式部が書いた『源氏物語』に対して、多くの人は、「平安王朝を舞台にする、キラキラ貴公子・光源氏の華麗な恋愛物語」というイメージを抱いている方が大半だと思います。

かく言う私も、国語で源氏物語を読んで以来、「ドロドロ&裏切りもありな、ハレンチ恋愛小説」と思っていました。

確かに、物語前半は主人公光源氏の恋愛が中心で、映画、ドラマなどで描かれるシーンも、この部分です。

しかし、光源氏も人の子。身分が高く、容姿に恵まれたからと言って、思い通りの恋愛をしたわけでもなければ、そもそも天皇の子でありながら、臣籍に降されています。40歳を前には栄華を極めますが、その後の人生は、下落基調。弟二部では、過去の不義が巡り巡って自分を襲う因果に見舞われ、また、弟三部では、子・孫を通じて、身分が高くても幸せになれない様がこれでもかと描かれます。

『源氏物語』は恋愛小説を超えた人間ドラマ。
たとえ、どんなに地位のある人間であろうが、世の中は、自分の思うようにはならない

このことを、描き切った作品

紫式部の、「人の人生を読者に伝えるストーリーテリング」のすばらしさに敬意を感じます。1000年読み継がれる作品であり、世界でも読まれる作品であることがよくわかりました。

活字で『源氏物語』を楽しみたい方は以下の本がおすすめ。『源氏物語三部構成五十四帖をすべて収録。現代語訳で読みやすいです。

与謝野晶子さん訳の『源氏物語』も読みやすい。しかも、54帖すべてを掲載。さらに、Kindle Unlimitedの読み放題対象で安く読める!

紫式部の人となりを知ると、より『源氏物語』の世界観を堪能できます。以下も参考にしてみてください。

『源氏物語』を読破!おすすめ本(オーディオブック) 3冊

『源氏物語』を読破!おすすめ本(オーディオブック) 3冊

『源氏物語』を読破してみたい。と思っても、正直、現代語版のページ数を見ると、ちょっと躊躇してしまうのが実情ではないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのがオーディオブックです。

聴きやすくてわかりやすい『源氏物語』現代語訳 3作品を紹介します。

源氏物語(全五十四帖収録)

Audible聴き放題対象

源氏物語の全五十四帖を収録した完全版!

第一部から第三部まですべてを含む長編。現代語で聴きやすく、源氏物語の全貌を理解できる!
過去何度も文庫で挫折した方も、このオーディオブックなら、聴きこなせる(ただし、時間は必要)!
岡崎弥保さんのナレーションも美しく、平安朝の雰囲気が伝わる!

作品:源氏物語(全五十四帖収録)
著者:与謝野晶子

源氏物語

Audible聴き放題対象

小説家の角田光代さんによる、光る君の物語(全6巻)

角田訳の特徴は読みやすさ。原文に忠実に沿いながらも、読みやすく、感情をも揺さぶる!
・主語を補い、地の文の敬語をほぼ廃したことで、細部までわかりやすい
・現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文
・和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介

作品:源氏物語
著者:角田光代

寂聴 源氏物語

Audible聴き放題対象

瀬戸内寂聴さんがわかりやすく美しい名訳で贈る、源氏物語ダイジェスト版

忠実性より、光源氏ファンが読みたいであろう、光源氏が登場する箇所をまとめた総集編。現代の言葉で書かれ、しかも、文章が流れるように美しい。ナレーターの声も優しく、時には切なさも伝わってくる。
初心者にも向く1冊。また、原作を全巻読んだ方には、手軽に楽しむ再読本としてもおすすめ。ダイジェスト版ではない版の朗読は三田佳子さん

作品:寂聴 源氏物語
著者:瀬戸内寂聴

『源氏物語』を読破!おすすめ本(マンガ) 3冊

本当は『源氏物語』を原作で読みたいところですが、抵抗が大きい方は、マンガで読破しよう!以下ではマンガを3冊祖父介しています。

あさきゆめみし:大和和紀

源氏物語を描くマンガといったコレ!

「源源氏物語はこれで読んだ」という人も多い、定番マンガは全10巻。イラストが美しく、人間模様が非常によく描かれている。一度読んだ人も再読したい平安ラブロマンスマンガ。

源氏物語:江川達也

Kindle Unlimitedで読める、江川達也が描く源氏物語

学校では絶対に教えてくれない!美しき平安の恋愛絵巻が新たな解釈でよみがえる!全7巻はすべてKindle Unlimited対象。安くストーリーを味わいたい方は是非。

源氏物語:まんがで読破シリーズ

Kindle Unlimitedで読める、要点ダイジェストマンガ

まんがで読破シリーズは、世界の名著・名作をまんが1冊30分ほどで読破してしまえる教養まんがシリーズ。ざざっと、要点のみ知りたい方にはおすすめ。私は、このマンガシリーズに大変お世話になっています。

Kindle版は61冊(合計25,058円)が、Kindle Unlimitedなら定額で読み放題。初めてなら、30日間体験無料です。

『源氏物語』を現代語訳で読破したい方に

上記本を含め、『源氏物語』を現代語訳で読んでみたい方は以下の記事をご参考に。訳者別に文体の特徴、読みやすい本などを、紹介しています。

最後に

今回は、「源氏物語、これだけは押さえておきたいあらすじ」と「源氏物語のおすすめ本」を紹介しました。

枕草子の清少納言が「おかし」に対して、源氏物語の紫式部は「もののあわれ」

紫式部とはどんな人だったかを知ると、さらに紫式部の世界観が分かってきます。

また、紫式部の才能が凄かったことも間違いありませんが、素晴らしいライバルたちがたくさんいたからこそ、平安文化・国風文化が花開いたことも忘れないでおきたい。

2024年は平安時代の日記・文学に触れていますが、どれもなかなか興味深いです!特に、女性の自由さが凄くて素敵です。是非、他の作品にも触れてみてください。

よかったらシェアしてね!
目次