- 「疲労」と「疲労感」は別物である
私たちが感じる「疲れた」という感覚と、実際に体に起きている疲労は一致しない。無自覚のまま疲労を蓄積すると、重大な不調につながる。 - 疲労は“科学”で理解すべき現象
疲労はタンパク質の異常などによって起こる生理現象エナジードリンクなどで誤魔化すのは危険。本質的な回復にはならない。 - 疲労は危険を知らせるアラーム。無視すると人生を壊す
疲れを感じない状態こそが最も危険。「頑張り続ける」のではなく、「疲れを貯めない生き方」こそが、長く健康に働くための鍵である。
★★★★☆ Audible聴き放題対象本
『疲労とはなにか』ってどんな本?
「疲れた〜」
この言葉を、私たちは毎日のように口にしています。
日本では、今もなお“頑張って働くこと=美徳”という価値観が根強く残っています。
その象徴が、「過労死(KAROSHI)」という言葉が、そのまま英語として通じてしまうほどの現実です。
それだけ、日本は「疲れている人が多い国」だとも言えるでしょう。
一方、欧米ではどうでしょうか。
疲れているのに無理して働く人は、「自己管理ができない人」と評価されてしまうことも少なくありません。
つまり、「頑張り続けること」よりも、「疲れないように働くこと」の方が重視されているのです。
疲れにくい体と生活習慣を手に入れることは、
仕事の成果だけでなく、人生そのものの質を高めるうえでも、極めて重要なテーマなのです。
ブルーバックス『疲労とはなにか』は、疲労とは何かを徹底的に科学する本。
著者は、東京慈恵会医科大教授の近藤一博さん。「疲労とうつ病」の関係を世界で初めて解明したドクターです。
- 疲労の正体
- 最新の研究成果
- 本当に効く対策
を、初心者にもわかりやすく解説してくれます。
読んでまず衝撃だったのは、「疲労」と「疲労感」は別物ということ。
これを知らないが故に、猛烈ビジネスパーソンには、体によくないことを無自覚に行っている方もいるとう事実です。
ビジネスマンも、主婦も、体力が衰えた中高年も、勉学に励む学生も、間違いなく、読んでおくべき1冊です。
「疲労」と「疲労感」は別物だった

冒頭でも記した通り、「疲労」と「疲労感」は別物。
- 疲労:体の機能低下(客観的現象)
- 疲労感:「疲れた」と感じる主観 (脳の感じ方)
私たちは普段、この2つをごちゃ混ぜにしています。
その結果、「疲れているのに無理をする」「限界に気づかない」という危険な状態に陥りやすくなっています。
疲労と疲労感を 科学的にまとめると
| 項目 | 疲労 | 疲労感 |
|---|---|---|
| 特徴 | 客観的な生理的現象 ・身体的な疲労(筋肉疲労、体力低下 等) ・精神的な疲労(注意力の低下、精神的ストレス等) | 主観的な感覚で、個人の感じ方に依存 ・身体的な疲労感(筋肉のだるさ、重さ 等) ・精神的な疲労感(気力低下、集中力低下 等) |
| 測定 | 定性的に測れる(筋力テスト、心拍数、血液検査 他) | 主観的感覚(自己報告、アンケート 他) |
ちなみに、「疲労」は、「生理的疲労(普通の疲労。寝ると回復)」と「病的疲労」に大別できます。
疲労の正体・メカニズム
「疲労」の正体はこれ。
過度な労働・運動・ストレスなどにより体内のタンパク質合成因子が変質
→「疲労因子」が増える (リン酸化eIF2α)
→ 人体を構成する材料であるタンパク質の合成が阻害
→ 臓器や脳の働きが低下
つまり、疲労は気のせいではなく、生理現象なのです。
エナジードリンクの問題
多くの人が頼りがちなエナジードリンク。
確かに、以下の3成分で、一時的にシャキッとし、疲労が回復した!と感じます。
| カフェイン | 脳神経を興奮させて眠気を防ぎ、脂肪燃焼を促進 |
|---|---|
| アルギニン | 血管を広げて血流を改善し、免疫力を高める作用 |
| ビタミンB群 | 糖質や脂質などからエネルギーを効率よく生成 |
しかし、本書は警告します。👉 これは「回復」ではなく「誤魔化し」。
疲労感を消しているだけで、体は回復していません。
切れた後に、反動で強い疲れが来ます。まさに「元気の前借り」です。
「疲労感なき疲労」がいちばん危ない
怖いのは、疲れているのに疲れを感じない状態。
例えば、仕事が楽しい / 成果が出ている / 評価されている と感じている時。
こうした状況では、脳内麻薬ドーパミンが疲労感を打ち消します。これが、「疲労感なき疲労」の正体。
これを著者は「疲労感のマスキング」と呼びます。
本来、疲労は自分自身に対する警報、身を守る本能です。
しかし、疲労は意欲・達成感で満たされていると、この《疲労アラート》が発動しないのです。
真面目な人・完璧主義な人ほど要注意。過労死するのは、人間だけです。
動物は無理をしません。肉食の野生動物は、お腹が減っていても、疲労を感じると獲物の追跡を止めます。
病的疲労 | 疲労とうつの意外な関係
病的疲労の代表が「うつ病」です。
疲労が続く
→ 体内ウイルス「ヒトヘルペスウイルス6」が再活性化 ※通常は体内で潜伏
→ うつ病の原因タンパク質「SITH-1」が発生
→ うつ病リスクが急上昇(通常の12倍も鬱になりやすい)
「うつ病=心の弱さ」ではなく、疲労が引き金になる病気であることがわかります。
ちなみに、どれだけ疲れているかは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかります。
理由は、宿主である人が疲労してくると、 ヤバイ!と思って、逃げ出そうと口中に出てくるからです。
「疲労」は危険を知らせるアラーム、むやみな除去は危険

大事なのは、疲労のメカニズムを知り、それをどう日常生活に活かすかー
著者が一貫して伝えているのは、これです。
👉 疲労は、体を守るための警報。
痛みと同じで、無理に消してはいけません。何より大切なのは「疲労を貯めないこと」。
まずは、「寝ろ!」です。以下の疲労回復策を実践するとより効果的です。
【疲労回復策1】軽い運動
「疲労の原因・メカニズム」で述べた通り、疲労は、タンパク質合成因子がリン酸化して疲労因子なることが問題。
つまり、リンを剥がしてあげると疲労が回復します。
これに効果があるのが「軽い運動」。
軽い負荷の運動で、疲労因子を分解する酵素が活性化します。
「疲れているほど、軽く動いた方が回復する」のです。しかも、よく寝れます。
📌数日ジムを休むと体がだるい…
私を含め、多くのジム友がこれを実感 → だから日々ジム通いにいそしんでいます。
【疲労回復策2】「ビタミン1」を摂取。玄米がおすすめ
著者曰く、疲労回復に効く特効薬となる食品はありません。
しかし、ただ1つ決定的にわかっているのは、ビタミンB1が不足してしまうと疲労が回復しないのは確か。
ビタミンB1を多く含む食品の代表が、玄米、小麦、豚肉。
毎日のお米を玄米に変えるのが最も簡単で、コスパもよし!以下は、Amazonで人気の高い玄米です。
最後に
近藤一博さんの『疲労とはなにか』は、
疲れの正体を知り、無理の危険性に気づき、生き方を見直せる 人生に役立つ本です。
健康知識は、若いうちから気を付けるかどうかで、人生の後半戦の幸せも変わってきます。
是非、本書を手に取り読んでみてください。間違いなくメリットです。







