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【書評/要約】人は、なぜさみしさに苦しむのか?(中野信子) 「さみしさ」は、生存確率を高める生存本能。見方を変えよ

【書評/要約】人は、なぜさみしさに苦しむのか?(中野信子) 「さみしさ」は、生存確率を高める生存本能。見方を変えよ
人は、なぜさみしさに苦しむのか?」要約・感想
  • 「さみしさ」には、生存確率を高める生存本能という役割がある。「さみしさは、心の弱い人間でもなければ、劣っている人間でもない」と見方を変えることが大事
  • さみしさの感情の共有は難しい。また、孤独の健康リスクはとても大きい。1人でもできる寂しさへの対処法を持っておくことが大事
  • さみしさを過度に感じないためにも、ほどよい距離感で人と付き合うことが大事。「期待しない」「要求しない」「批判しない」を心がけよ

★★★★☆ Audible聴き放題対象本



目次

『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』ってどんな本?

著:中野 信子 / Audible聴き放題対象本

秋はさみしさを感じやすい季節。

秋が訪れると日照時間が短くなり、また、気温も下がります。体が季節の変化に季節の寒さになれない体が変調を起こしたり、体調の乱れがメンタルにも影響を与えます。また、日照時間の長い夏が終わったことが「季節の終わり」や「時間の経過」を強く感じさせ、寂しさ・孤独を感じさせてしまいやすくなります。

一貫的に、マイナスの感情と考えられがちな「さみしさ」。内閣府が行った「孤独・孤立に関する調査」によると、4割の人が孤独を感じています。

では、なぜ、私たちには、「さみしい」という感情があるのでしょうか。

人人の進化の過程を経ても、一見マイナスな「さみしい」という感情がなくならなかったのは、「さみしさ」には、生存確率を高める生存本能という役割があったからです。

脳科学者 中野信子さんの『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』では、脳科学の観点から「さみしさ」という感情に切り込み、さみしさがなぜ生じるのか、そしてさみしさに飲み込まれないようにするにはどのようなアプローチがあるのかを教えてくれます。

さみしさの本質・メカニズム・扱い方を知れば、さみしさを必要以上におそれたり、振り回されることはなくなります。不要なストレスを減らし、幸せに生きるためにも読んで損のない1冊です。

こんな人におすすめ
  • さみしがり屋でいつも不安を抱えている方
  • 孤独が心配な方
  • さみしさの本質・メカニズム・扱い方を知りたい方

なぜ、人は寂しくなるのか

なぜ、人は寂しくなるのか

さみしさは生存本能:「生き延びるため」の仕組み

なぜ私たちはさびしいと感じるのかー。結論は、さみしさは自分の命を守る防衛本能だからです。

ホモ・サピエンスが誕生してから20万年以来、人は集団で生活し、協力して狩猟し、食事を分かち合い、お互いに支え合うことで安全を高めてきました。

現代社会のようにお金があれば食うに困らず、安心も確保できるようになったのはほんの数十年のことに過ぎません。です。古代より、一人でいることは「死」に直結。そのため、長期間1人で過ごすと、私たちの脳は「1人でいるのは危険だ!」と、不安や緊張、気分の落ち込みといった感情を引き起こし、人とのつながりを求めるのです。

その結果、人類は、他の人と協力し、交流し、家族を持つことで今日まで繁栄してきました。現代社会の進化があるのも、さみしさという感情のおかげかもしれません。

現代でも、赤ちゃんは寂しくなると泣きますが、さみしいという感情が生まれるのは、生後3カ月頃から。赤ちゃんにとってさみしさを感じる状態は、「誰も助けてくれない状態」、つまり「死」に直結する状態です。少し大きくなると「人見知り」が始まりますが、これも、自分を守ってくれる人と、守ってくれない人を感じわけている行為です。

さみしいという感情の見方を変えていく

さみしさは、心の弱い人間でもなければ、劣っている人間でもない

多くの人は、「さみしさは人は幸せになれない。克服すべし」という価値観が刷り込まれています。しかし、先述べたように、さみしさという一見ネガティブな本能が、わたしたちが生き延びるさせる側面もあります。

「さみしさにも役割がある」と認め、受け入れることが大事です。

無理な友だちづくりは、さみしさを助長させる

「ソロ活」と「ぼっち」。どちらも、ひとりである状態ですが、前者は好意的に、後者は望ましくないイメージがあります。これは、ひとり である状態を、「自分自身で選択したのかどうか」が大きく影響しています。

現代社会で「ぼっち」で最も生きづらさを感じさせている場所は、自分の所属を自由に選ぶことができない「学校」(特に小学校・中学校)です。親や教育現場で「友達をたくさんつくりなさい」(裏返しで、一人はだめ)と強く刷り込まれることも、「ぼっちのさみしさ」をより一層辛いものにしています。

しかし、無理な友だちづくりは、さみしさを助長させるー

人とのつながりは「量より質」。自分が本当に必要としているのは、どんなつながりなのか、今一度、考えてみましょう。

「孤独の美化」もほどほどに

「孤独の美化」し過ぎも危険です。
「他人に依存して生きることは恥ずかしい」「人生最後はひとりなのだから孤独から逃げてはいけない」などと強く思い過ぎると、本当に誰かに頼らなければならないときに、声を上げられなくなってしまいます

誰かに頼る人は劣った人であるかのようなイメージが社会的に定着してしまうことは、人類を幸福にはしません。日本に特有の「他人に迷惑をかけてはならない」という教えは、人に大きなストレスを与え、時に人を死に追いやります。

さみしい感情はSOSです。さみしいという感情を抱え込んではいけません。

脳や心の発達と寂しさの関係

脳や心の発達と寂しさの関係

さみしさの感じ方はいつ決まるか

1人が寂しい人、1人がラクだと感じる人。さみしさの感じ方は人それぞれ。さみしがり屋を大人になって克服することはできません。寂しさの感じ方の違いは、❶生まれつきの遺伝 と ❷1歳半までの育てられ方 によるものだからです。

❶は先天的なものなので、自分ではコントロールできません。、❷は後天的ですが、1歳半までの時期に、抱っこなどのスキンシップが多かったかに依存します。この時期、適切な愛着関係が築けていなければ、脳内物質をやり取りする仕組みがうまくできあがらず、「誰かがそばにいることを好まない子」になります。

孤独や寂しさの解決は難しい

孤独による寂しさが問題なのは、それが長期化するとストレスに耐え切れなくなり、不健康になってしまうことです。

現代では、タバコやお酒、肥満、運動不足などより、孤独によるストレスの方が、うつ病、認知機能低下、呼吸器疾患、睡眠の質の低下、ウイルス感染のリスクが高まることが分かっています。

寂しさは人との共有が難しく、また、しいと感じても「誰か話を聞いてほしい」と言いづらいなどの理由で、解決がしづらい問題です。放置しておくと、大酒、過食、ギャンブル、ゲーム、買い物などへの依存に発展することもあります。また、「話を聞いてくれる人」を簡単に信用すると「騙される」こともあります。

私たちが感じている以上に、孤独や寂しさによるストレスが大きいことは知っておかなければなりません。

1人でもできる寂しさへの対処法

脳や心の発達と寂しさの関係

中野さんは、孤独という寂しさを回避するためには、「理解」「共感」「対等」という3つの条件を満たす相手といることが望ましいとアドバイスする一方で、大人になってから、新たにこのような友人を見つけることは、正直難しいことも指摘します。

つまり、多くの人は自分自身で寂しさを埋める方法を見つけるしかありません。

1人でもできる寂しさの3つ対処法

一人でも寂しさを解消する方法内容
運動運動は、幸せホルモンであるセロトニンを分泌させる
思考を前向きになり、気持ちも安定
軽くウォーキング・筋トレでも十分な効果
1人でできる趣味を持つ読書、カフェ巡り、銭湯巡り、書道、絵を描く、写真、旅行 など
自分が夢中になれる趣味を見つけることで、寂しさや孤独を感じにくくなる
おすすめは読書。
ちょっとした会話ができる
場所に出かける
見知らぬ人とのちょっとした会話が心を軽くする
カフェ、ジム、ボランティア、習い事など

私は、一人で行う趣味が多い方。読書・ジム・サウナ・旅行 、上記3カテゴリーの趣味をすべて持っています。だからでしょうか、仕事中は基本一人ですが、寂しさを感じて悩んだことはありません。会話がしたいな、と思えば、ジムに行けば、天気など、たわいない話をする相手はいつでもいますしね。

特におすすめは「読書」

特におすすめしているのが「読書」です。読書は1人で行うものですが、本や自分自身と対話し、考えを整理する行為です。また、新しい知識を得ることでドーパミンが活発になり、達成感や喜びを感じることができます。

この読書の喜びは私が日々感じて言えることです。ワクワク・ドキドキして、さらに知識も増える。スマホで読書なら、いつでもどこでもできる。これほど気軽に喜びを感じられる娯楽はありません。私はおひとり様で老後が不安は不安ですが、体力が落ちてジム・旅行もいづれ辛くなるでしょう。しかし、「本というお友達」のおかげで、人より楽しく生きられるんじゃなかろうか、と勝手に想像しています。

人間関係の秘訣:適度な距離感を保つこと

過度な孤独にさいなまれないようにするためにも、いい人間関係を維持することが大事。秘訣は、適度な距離感を維持することです。

人間関係は距離感がすべてといっても過言ではありません。相手への過度な失望につながるので持つべきではありませんし、離れすぎもよそよそしくなるのでNG。相手と心地よい距離感が大事です。

最近は、さみしさを原因とする「激しい怒り」をコントロールできないことからくる、様々な問題も起こっています。ストレスがセロトニンの分泌を悪くし、闘うホルモン・アドレナリンを押さえられなくなり、思いどおりにならない相手や社会に対する強い怒りとなっています。

ほどよい距離感で人と付き合うために重要なことは、「期待しない」「要求しない」「批判しない」

人間同士は完全に理解し合うことなどできません。共有はほどほどに、求めすぎないことが大事です。

最後に

今回は、中野信子さんの『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』からの学びを紹介しました。

強い寂しさを感じた時は、本書からの教え『「さみしさ」には、生存確率を高める生存本能という役割』あることを思い出し、我慢せずに人にSOSをしましょう。そして、普段から寂しさを感じにくいように、一人でできる楽しみを見つけましょう。寿命がのび、人生がなくなった今、一人でも寂しさを解消する方法を持っているか否かは、ますます重要になるはずですから。。

著:中野 信子 / Audible聴き放題対象本

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