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【要約&書評】残酷すぎるお金と幸せの経済学(佐藤 一磨)幸福感の谷、50歳前後がヤバい

【要約&書評】残酷すぎるお金と幸せの経済学(佐藤 一磨)幸福感の谷、50歳前後がヤバい
残酷すぎるお金と幸せの経済学」要約・感想
  • どうすれば幸せに生きられるのか?経済学から「幸せの正体」を明らかにする本
  • お金・仕事・結婚・子育て・離婚・環境・年齢の等の側面から「幸せとお金の関係」を解説
  • 幸福度は50歳前後が最も低下する。どう対処するかのヒントが見える

★★★★☆ Audible聴き放題対象本

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目次

要約『残酷すぎるお金と幸せの経済学』ってどんな本?

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幸せな人と不幸な人は、何がちがうのか?


「幸せ」は人によっても感じ方が違う主観的・抽象的な概念です。従来は、哲学・倫理学・心理学での研究が主でしたが、昨今は経済学からの研究が進んでいます。

そこで明らかになるのが、直視しがたいショッキングな「幸せの正体」

残酷すぎるお金と幸せの経済学』の著者の佐藤一磨さんは、拓殖大学政治経済学部の教授。本書では、お金・仕事・結婚・子育て・離婚・環境・年齢などから側面から「幸せとお金の関係」を解説しています。

一体どのような人生をおくると幸せ/不幸か、本書を読めば「幸せな人生戦略」に役立つ情報が手に入ります。

残酷すぎるお金と幸せの経済学』をすすめたい方
  • 幸せになりたい方
  • 今、不幸だと感じる理由を知りたい方
  • 自分の生き方・人生プランを見直したい方

【最初に結論】ライフステージと幸せ

【結論】残酷すぎるお金と幸せの経済学(佐藤 一磨)

まず最初にまとめです。現代人の「幸せの正体」は、ライフステージ・環境に大きく左右されます。

分野経済学的知見から明らかなこと
お金と幸せ幸せはお金で買えるのか―─
・幸せは1000万円で頭打ち
・経済成長しても幸福度は上がらない
・経済成長すると子どもの幸福度は低下
仕事と幸せ出世すると幸せになれるのか──
・健康な人ほど昇進するがメンタルを病む
・管理職に昇進しても幸福度は上がらない
・妻が管理職だと夫の幸福度は低い
結婚と幸せ結婚したら幸せになれるのか──
・独身男性の幸福度は最も低い
・「妻が高学歴」だと世帯年収が低い
・自分より若い相手と結婚したほうが幸せ
子育てと幸せ「子どもがいる女性ほど幸福度が低い」のはなぜか──
・子どものいる女性のほうが生活満足度が低い
・子どものいる高齢者は生活満足度が低い
離婚と幸せ離婚したら不幸せになるのか──
・熟年離婚、夫は妻より幸せになれない
きょうだい構成と幸せ「家族ガチャ」で人生は変わるのか――
・家族の兄弟姉妹の組み合わせは、就職後の年収に影響を与える
・弟がいる長女の年収は16%低い(ブラザーペナルティ)
男と女と幸せなぜ日本の男性は幸福度が低いのか――
・日本では男性の幸福度が低下
・幸福度が低いのは高齢未婚&子育て期の男性
年齢と幸せ「幸せのどん底」は何歳でやって来るのか――
・人生の中で幸福度が最低なのは48.3歳
・未婚の子との同居は高齢親の幸福度を下げる
・独居高齢の幸福度は、男性は低いが女性は高い


大事なのは、上記結果の「理由・理屈を知る」ことです。以下で、いくつか取り上げ解説します。

【仕事と幸せ】昇進すると幸せになれるのか?

最近の若者は出世欲がないー。と言われます。実際、厚生労働省の『労働経済の分析(平成30年度版)』でも、非管理職の約60%の人が、「責任・残業など、苦労が増えるなら現状のままでいい」と回答しています。

慶應義塾大学「日本家計パネル調査」を元に著者らが分析した結果からも、昇進しても幸せになれないどころか、健康状態が悪化する結果となっています。

  • 管理職に昇進しても幸福度は上昇しない
  • 男女とも年収は増えたが満足度は上昇していない
  • 女性では管理職に昇進した2年後、男性では1〜3年後に自己評価による健康度が悪化

昇進すると、自分のことだけでなく、部下のマネジメントも必要になります。責任も重くなります。結果、年収UP分が負担と相殺されてしまうのです。

最近は、妻の収入が夫の収入より高くなるケースもありますが、この場合は、家計収入が増えても、夫はプライドが男としてのプライドが傷つき、幸福になれません。「仕事とお金」はトレードオフですね…

【子育てと幸せ】子を持つと幸福度が下がる

興味深かったのが、【子育てと幸せ】です。一般的には「子どもは人生を豊かにする」と言います。しかし、佐藤さんの研究によると、以下のようなデータが出ています。

  • 日本では子供いる既婚女性の方が、子供がいない既婚女性よりも、生活全般における幸福度が低い
  • 子供の数が増えるほど幸福度が下がる
  • 原因は、❶お金、❷夫婦関係、❸家事・育児 の3つの負担増

3つの原因の中で、最も幸福度を下げるのは❶お金の問題です。❷❸に関しても、育メンが増えているとは言われますが、それでも女性の負担が圧倒的にまま多いでしょう。

子育て世代の苦悩を描いた小説『対岸の家事』では、専業主婦、ワーキングマザー、育休休職中のエリート公務員が子育てに苦しむ様子が描かれています。「子育て」という終わりのない仕事と闘う人たちの苦悩、そして、助け合いに、子育てをされている方なら共感連発だと思います。とても素敵なストーリーで、超おすすめです。

【年齢と幸せ】50歳前後で幸福度がどん底になる

米ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授がまとめた。世界132カ国における「幸福感と年齢の関係」によると、人生における幸福感が最も薄れるのは先進国で47.2歳、発展途上国で48.2歳。すべての国で幸福感の度合いは中年層が最も低くなる「U字カーブ」を描くことが明らかになっています。

幸福のUカーブの特徴
  • 18歳から幸福感が下がり始め、中年で不幸のピークに達した後、再び上昇
  • 日本では幸福度が最も低いのは49歳で、その後は82歳以上で最高値に達する

本書では、この理由が3点あげられています。

50歳前後で幸福度が大底になる理由
  • 若い時に思い描いた理想と現実のギャップ
  • 親の介護と子育ての二重の負担
  • 仕事では中間管理職として働く時期。責任とストレスが増える

幸福感を下げないためにできること(私の考え)

【要約&書評】残酷すぎるお金と幸せの経済学:幸福感を下げないためにできること

私と幸福カーブ(これまでの人生)

既婚者のUカーブの特徴は、私には、かなり納得感があります。自分の人生を振り返ると、新大学生時代は毎日が楽しい。しかし、就職活動が気になる時期になると幸福感は下がっていく。無事、社会人になった後は、最初は苦労するも、会社に慣れ、お金に余裕が出てくると、買いたいものが買え、好きなところに旅行もできるので幸福感が高まる。しかし、結婚生活も数年たつと、結婚のしがらみ、仕事の忙しさで幸せ感低下といった具合です。

なお、私はバツイチ。子どもはいません。私はフラれた側ですが、離婚からしばらくして、幸せカーブが上向いたと感じています。

強がりのように聞こえるとは思いますが、今の適度な私の幸福は、結婚・離婚を経験したことことにあると思っています。もし、ずっと独身のままだったら、結婚できない自分に不安を感じたり、自信が持てなかったと思いますし、また、一方で、結婚生活を続けていたら、いろんな気づかい・しがらみで、今ほどの「自由」はなかったでしょうから。

82歳で幸福感が最高という事実:老後を悲観しなくていいかも!

意外だったのは、幸福のUカーブが、50歳を底にどんどん上昇していくという結果です。「20代、30代より老後が幸せ感高なんてありえないでしょ」と思っていましたから。

特に日本人は将来不安が強い国民で心配しすぎる傾向がありますが、老後は思い描いているほど、不幸ではないのかもしれません。今の若い人は老後を心配して節約志向が過ぎるところがありますが、若い時にしか手に入れられない経験を、自ら放棄しているかもしれません。

いくら老後の備えといっても、ケチケチしすぎは「今の幸福度」を下げます。「統計的に、老後は幸福感が高い!」と考え直して、もっと人生を楽しんだ方が、幸せが手に入るのではないでしょうか。

でも、結局は「お金」

ケチケチしすぎず、今現在も楽しもうとは書きましたが、「生きるために困らない資産は蓄える」ことが前提です。結局のところ、「生きるために必要なお金を心配しなくていいか」が幸福感に直結します。

幸福のUカーブを見ても、独身のカーブが既婚者に対して低いのは、結婚ができる確率も年収に関わり、また、独身を貫く場合も生涯賃金の低さが様々な心配につながってしまうからです。

私も、人生後半戦に向かって、資産を著しく減らすことがないように、倹約・収入UP・資産形成に努めます。

最後に

今回は、佐藤一磨さんの『残酷すぎるお金と幸せの経済学』の要点をポイントを絞って紹介しました。

人それぞれ人生は異なりますが、失敗することなく、幸せになる確度を高めたければ、幸せ/不幸になる理屈をしることは大事です。とても読みやすい本なので、是非、本を手に取って、自分の人生にお役立てください。

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