- 江戸時代から明治時代へ。『学問のすすめ』は、武士の大量失業&グローバル化の波にさらされた日本で大ブレイクした啓蒙書
- 「学問の重要性」を説くだけの本ではない。「独立心と自主性」の大事さも説く。一新独立して、社会に役立てろ!さすれば国家も強くなる!
- 私の人生を変えた名著。現代語訳5ページ読んで、「勉強せねば!」と心が熱くなった本。読めば、なぜ一万円札の肖像に採用されたかも、よくわかる。
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Kindle Unlimited読み放題対象本
『学問のすすめ』ってどんな本?
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」との冒頭があまりにも有名な福沢諭吉の「学問のすすめ」。
しかし、現代人はこの本を正しく理解していない人が結構多い。平等であるべきと「自己の権利」を主張している方を見かけます。こんな発言をすると、「教養の低さ」丸出しでし。
福沢諭吉が『学問のすすめ』を通じて述べているのは、次のこと。
理想的には「平等」であるべき社会も、実際には、賢き人、愚かな人、富める人、貧しき人がおり、そこには雲泥の差がある。これらの理由は何なのか。そして、何をしなければならないのか?
その答えは、学べ!学問せよ! だ
福沢諭吉が『学問のすすめ』を世に出したのは1872年。当時、時代は大きく転換。
- 江戸時代から明治時代となり、封建制度が崩れたことにより、中流階級の知的層であったミドル階級「武士」が大量失業
- 鎖国終了で、否応なくグローバル化の波が日本を襲ったことで、制度・価値観が大転換
このような時代背景もあり、『学問のすすめ』は爆発的に売れた啓蒙書となりました。
読むとわかりますが、現代人が読んでも、全く色褪せたところがありません。私は、最初の5ページを読んだだけで、「勉強せねば!」という気持ちが鼓舞されました。まさに、私にとっては「人生を変えた本」です。
原文はやや言い回しが難しいですが、角川ソフィア文庫「ビギナーズシリーズ」なら、わかりやすい現代語で読み通せます。
人生を変える本。一日でも早く本書を読むことが、あなたの生き方、特に、貧乏にならずに豊かに生きることにつながります。
- 学問は大事なことはわかっていても、自分から進んで学ぶことができずにいる方
- 自分で考え、行動できない方
- 今の自分を変えたい方
「学問のすすめ」の2大テーマ学問と一身独立
本書のテーマは「学問の重要性」と「独立心と自主性」です。
学問の重要性 | 世の中にはびこる貧富の差は「学ぶか、学ばざるか」で拡大する 実学を学び、一人一人が自分の頭で考えられる判断力を持った人間になれ! |
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独立心と自主性 | 一身独立せよ。そして、社会に役立てよ。そうすれば、国家も強くなる |
以下、詳しく見ていきます。
【学問の重要性】なぜ、学ぶ必要があるのか
明治時代は、「武士」という職業がなくなる大失業時代。世は平等であるべきですが、実際には、富める者・貧しいものに「富の二極化」が起こっていました。
そんな時代に福沢諭吉は、不平等が生じる大元は「学ぶか、学ばざるか」にありと発言。社会に役立つ実学を学び、また、モノの道理を知ることで「一人一人が自分の頭で考えられる判断力を持った人間になりなさい」と説いて回りました。
当然、世が激変すれば、庶民は政府に文句タラタラです。そんな庶民に対しても、政府にコケにされないように、学んで世を変えよと説くのです。
国民のなかには、無学で文字も知らず、善悪の判断もつかず、飲食と寝起きすることだけが芸であるような者も少なくない。しかも無学なくせに欲だけは深く、人を騙して法を逃れ、国法の意義も知らず、自分の義務も果たさず、子供だけはつくるが、その子を教育する方法すら知らない。
そんな、そんな親に育てられた子は、国のためになるどころか、かえって害をなす大人になるだろう。こういう愚か者を扱うには、道理をもって説くより、望むところではないが力でもって脅し、彼らの悪行を 鎮めるしか方法がないであろう。
国民がもし暴政をイヤだというのなら、すみやかに学問を志し、みずからの才能と品格を磨き、政府と同等の資格と能力を保つような実力を身につけなければならない、と。これが、私がすすめる学問の目的である。
暴政・悪政を生むのは国民の無知に起因する。
国を作っているのは頭のいいエリート。バカだから、頭のいいエリートにいいように利用される。そんな奴らに利用されないためにも、学ぶ必要がある。スゴイ、説得力です。
【独立心と自主性】個人の独立があってこそ国家も独立できる
『学問のすすめ』は、ただ勉強せよと唱えているだけの本ではありません。
国が弱ければ、諸外国にもてあそばれる
国が弱いと舐められる。さすれば、グローバル社会から辛酸をなめさせられることになる。
開国以降、日本国内は、日本は幕府軍と尊王攘夷軍に分かれて戦争。そうこうしている間に、日本は諸外国から不平等な条約を飲まされることになりました。
年 | 出来事・条約 | 内容・影響 |
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1854年 | 日米和親条約(神奈川条約) | 日本の開国。アメリカとの通商を認め、下田と箱館(函館)を開港 |
1858年 | 日米修好通商条約 | 治外法権の容認、関税自主権の喪失、最恵国待遇の提供。日本の外交と貿易に不利な条件が含まれる |
1858年 | 諸外国との修好通商条約 | 日米修好通商条約に準じた内容に準じ、イギリス、フランス、オランダ、ロシアとも不平等な条件で通商条約を締結 |
1866年 | 改税約書 | 諸外国と関税に関する取り決めを修正し、日本の輸出品に対する関税率が引き下げられる。これにより、日本の貿易はさらに不利な状況に |
1868年 | 戊辰戦争と明治維新 | 明治政府成立。不平等条約の改正が国の最重要課題に |
1871年 | 岩倉使節団の派遣 | 欧米諸国に派遣され、不平等条約の改正を目指すが、成功には至らず |
こんな時代背景の中、福沢諭吉は、単に「個人」の幸せのために学問の必要性を訴えたのではありません。「強い国づくり」のためにも学ぶことが大事であり、「一身独立し、国家と渡り合える人物たれ」と説いたのです。
指示待ち日本人に喝!個人の独立があってこそ国家も独立
福沢諭吉は「個人も国家というチームの一員」という意識を強め、国民と政府は対等であり、両者が責任を持ち、役目を果たすことではじめて国家が充実していくのだと説きました。もちろん、政治は政府の務めであり、国民はその支配を受けています。しかし、これは双方の職務上の分担をしているだけでです。
従来 | 「政府」は「国民」を支配する |
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明治以降 | 「政府」は「国民」は対等。契約関係で結ばれている |
一国の危機存亡に関わるとき、国民の立場だからといって、政府のみに国家の安全を任せ、ただ傍観してよいという理屈はどこにもありません。
官の力と民の力とが互いに均衡するとき、日本の国力は増大し、独立国家としての確固たる地位ができる。このような状態にあれば、外国と競い合っても少しもひけをとることはない。
全く持って、今の社会にも通ずるお話です。
依存体質の国民に「喝」!
福沢諭吉が、「一身独立」を訴えたのも、「お上頼み気質」が蔓延する日本に強い危機感を抱いたからに他なりません。「お上頼み」とは簡単に言えば、「指示待ち人間」です。
独立の気力なき者は必ず人に依頼す、
人に依頼する者は必ず人を恐る、
人を恐るる者は必ず人にへつらうものなり。常に人を恐れ人にへう者は次第にこれに慣れ、その面の皮、鉄のごとくなりて、
恥ずべきを恥じず、論ずべきを論ぜず、人をさえ見ればただ腰を屈するのみ。
人から物をもらえば、「借り」が生じて正義を貫けない。また人に世話を受けると、これまた「借り」ができて負い目を感じる。すると、みずからを尊ぶ自尊心もなくなり、正々堂々とものが言えなくなる。
これは人間行動の普遍の原理。令和を生きるあなた、へつらったり、我慢して生き続けますか?
自分の考えを持つだけではだめ、意見せよ
福沢諭吉は、学問をすること以外にも、当時の日本人に徹底的に欠けているスキルがあると言いました。それが「プレゼン能力」です。
それは武士の美徳として、あれこれ大声を意見するのは醜い部分があったからなのでしょう。しかし、西洋ではどんどん議論し、決議することで、強い国が作られていました。
故、福沢諭吉は、学問によりモノの道理を知ることに加え、人と議論し、演説(プレゼン)せよと説きました。「学問を積んだ者は、学びを社会に還元し、一国民としての義務を果たせ」と説いたのです。
個人同士で意見するだけでなく、国家に対しても意見することで、よりよい国家が作られる。それが日本国への愛国心にもつながるのです。
最後に
今回は福沢諭吉の『学問のすすめ』を私なりの感想を入れつつ、要約しました。
なぜ「福沢諭吉が一万円札の肖像に採用されたか」もご納得いただけるのではないでしょうか。本記事まとめたことは学びの一部でしかありません。本当に「人生を変える名著」です。
良書・名著は時代を越えて人の心を打つー 名著との出会いに感謝!
名著なのはわかるけど、活字で本を読むのは…と言う方は、マンガでもいいので読んでください。以下の本なら30分でエッセンスが学べます。
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