- 仕事を辞めたいことを夢みたFIREでは、真の幸せは得られない。本当に幸せなFIREを実現するための、働き方の指南書
- FIREの先に、本当にやりたい仕事がある
- FIREの実現方法として、ケチケチ生活、長時間残業は問題。「インデックス投資で、経済的自由を手に入れる」という考えにも、問題を投げかける
★★★★☆
『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』ってどんな本?
著書『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』は、FIREを目指す人向けに書かれた、FIREアドバイス小説です。様々な飼い主のお世話になったネコが、FIREを夢みる20代の青年に、失敗談・成功談、FIREを考えるに当たって大事なことをアドバイスします。
本書籍の著者は、有名ブロガーのヒトデさん。会社員生活が嫌でブロガーに。趣味で始めたブログで5億円以上の収益を上げ、20代でFIRE(Financial Independence, Retire Early)を実現されています。
多くの人は、嫌な仕事を辞めたくてFIREを夢みます。でも、あり余る時間・お金があれば、それで幸せか?
本書は、FIREの先に、本当のやりたい仕事があるという、FIREの新常識を打ち出します。また、FIREの実現方法について、極度のケチケチ生活や長時間残業はもちろん、さらに「インデックス投資で、経済的自由を手に入れる」という考えにも、問題を投げかけます。
大事なのは、自分にとっての幸せを見つけること。お金儲けやFIREはその手段に過ぎません。
本作では、「こうすればFIREできる!」といったヒトデさん推奨テクニックを伝授する本ではありません。物語を通じて、様々なFIREの失敗・成功を提示することで、より幸せな「働き方」でFIREを目指す指南書小説です。
いろいろな例を示すことで、自分の人生を見つめ直すきっかけを与え、また、FIRE達成後を見据えて取り組んでおかなければならない課題を提示してくれます。
物語形式なのでサラサラ読めます。読書慣れしていない方でも読破可能です。
- FIREに向けて頑張っている方、自分にはFIREは無理と諦めている方
- 仕事に忙殺されて、自分らしく生きていないと感じている方
1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE:学べること
1万回生きたネコが教えてくれた幸せな:あらすじ
物語の主人公は、大企業に勤める20代の智也。給料はそれなりだが、上司に叱られ長時間残業を強いられる日々。仕事に嫌気がさし、FIREを夢見て、毎月5万円+ボーナス時10万円の S&P500のインデックスファンド投資を行っています。
そんなある日、智也は、1万回生きたという、言葉をしゃべるネコと遭遇。ネコは幸せなFIREについて、智也に語り始めるのです。
1万回生きたネコが教えてくれた幸せな:キーメッセージ
FIRE(経済的自由、いわゆる早期リタイア)は将来のために今を犠牲にするものではない。今をどう幸せに生きるか考えるための手段の1つである。
これが本書のキーメッセージです。しゃべるネコは、以下のような働き方・稼ぎ方・生き方に疑問を投げかけます。
- 着実なインデックス投資「だけ」ではFIREできない
- 20代から投資をはじめようが、インデックス投資では恐ろしく「長い時間」が必要になる。
- 投機・短期売買はギャンブル。待っているのはストレスの日々
- 株価の板・チャートをチェックする日々は、精神的には大きな苦行。投資成績で一喜一憂するストレスフルな生活が待ち構える
- そもそも、投機でFIREは極めて難しい。一部の才能のある人しか勝ち続けることができない厳しい世界
- 生活費をとことんまで切り詰める生活も問題
- FIREのために、お金を極限まで使わない生活をして、それは幸せか?残業まみれの生活も幸せではない
- 副業も簡単ではない。FIREは本気にならないと実現できない
- 大金を稼ぐためには、ハードワークは必須。副業やアフィリエイトで稼ぐためには、人並み以上のハードワークから逃れられない。やれば、稼げるというものではない
- FIREしたら仕事を辞める?
- お金と時間があっても、何もすることがない人生は幸せ?
お金・時間があれば幸せか?仕事のない人生で満足できるか?
人は、仮にFIREでお金と時間を手に入れても、何もすることがない人生には耐えられません。FIREをリアルで実現した人たちは、結局のところ、社会とのかかわりを持ちたくなります。そして、自分が世の中に貢献しているという実感を持ちたくなります。
寺澤伸洋さんの『君たちはFIRE後どう生きるか』では、リアルにFIREを実現した男女20名のリアルな生活が公開されていますが、全ての人が、FIRE実現後も、自分の好きを仕事にして、それを楽しむ生活をされています。
「仕事が嫌だからFIRE」という考えでは、幸せにはなれません。「好きな仕事をしながら、悠々自適にFIRE生活を楽しむ」と考えを持つことが大事です。
サイドFIREで生計を立てていくと考えれば、仕事時間も減らしながら、自分の好きなことをして、幸せに生きていけます。
努力の仕方を変えよう
大事なことなので本書のキーテーマを再掲します。「FIREは将来のために今を犠牲にするものではない。今をどう幸せに生きるか考えるための手段の1つ」です。
では、今、会社員の方はどう努力すべきか?やりたい仕事をできるように努力するのが幸せになる最短ルートです。今やっていることを一度棚上げして、自分の好きを仕事にするべく努力することが大事です。
20~30年間我慢の会社員生活をして退職し、抜け殻のような生活をおくるようでは意味がありません。昔なら、我慢の会社人生を終えた後は悠々自適な生活が待っていましたが、時代は流れ、もはやこのような生き方はリスクでしかありません。リアルにサイドFIREをするかどうかは別にしても、サイドFIREを実現する生き方を考えてみることは、あなたの人生に有効なはずです。
- FIREした後にする仕事を考えよう
- お金を第一に考えるのは辞めよう
- 「やりたいこと」が見つかったら、具体的な「やりたい行動」を考えよう
幸せになるために「自分の大切なこと・好きなこと」を知ろう
さて、幸せなFIRE実現のための考え方はわかりましたが、ここでもう一つ大事なことがあります。
それは、FIRE後の生活が幸せになるかどうかは、結局、「自分にとって大事なこと・好きなこと」がわかっているかです。
お金と自由をにしても、結局、何をしたらいいかわからない人、自分の好きを知らない人、夢中になれることを知らない人は、どんなに時間を手に入れようと、人生を楽しむことはできません。
本書は、人生を見直すきっかけを与えてくれます。しかし、実際にどうやって夢中になれることを探すかは、「自分で見つける」以外、方法はありません。人にどんなにアドバイスをもらおうが、あなたの納得なしに、継続はできませんから。仕事が嫌なのも「誰かに言われたことを我慢してやっている」からなのですから。
最後に
今回は、有名ブロガーヒトデさんの働き方小説『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』を紹介しました。
本書は、タイトルにFIREとありますが、「働き方・生き方を考える本」です。
また、一方で、お金と自由があっても、真の幸福は得られない。古くから言われていることですが、これは真理です。FIREだけを考えるのでではなく、FIREを達成した後にやりたいことも考慮して、実現方法を考えましょう。
お金・投資について学びたい方は、以下の記事もご参考に!