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【書評/要約】おカネの教室(高井浩章) 地主・投資家などに感じるモヤモヤの正体

おカネの教室」要約・感想
  • お金や投資の勉強をはじめたいが何から勉強したらいいかわからない方におすすめしたいお金・投資の初心者本
  • ストーリー仕立てで、強欲資本主義がはびこる社会の仕組みから、格差問題、長期投資などについて学べる
  • 私が最も読んでよかったと思ったのは、「なぜ、地主・大家に対してモヤモヤした気持ちを抱いてしまうのか」。ここには、お金の正体「トマ・ピケティの公式 r >g」が多いに関わっている

★★★★☆ Kindle Unlimited読み放題対象本

目次

『おカネの教室』ってどんな本?

Kindle Unlimited対象本

お金や投資の勉強をはじめたいー。しかし、何からはじめていいかわからないという方におすすめしたいストーリーで学べるのが、高井浩章さんの『おカネの教室』。

平凡家庭に育つ中2の僕と、高利貸し他を営む町一金持ちな家庭に育つ女の子が、ある日、謎の男が顧問を務める「そろばん勘定クラブ」に突然放り込まれるところからストーリーが始まります。

そのクラブで行うことは、ちょっと変わったお金の勉強
強欲資本主義がはびこる社会の仕組みから、格差問題、長期投資などを織り交ぜながら、「かせぐ/ぬすむ/もらう/かりる/ふやす」ことを、中学生でも分かる平素な言葉で解説されていきます。

大人が、「中学生の時にこんなクラブと出会えていたら、今、こんなにお金について悩まずに済んだのに!」あるいは、「もっとお金と賢く付き合って、資産形成できたのに!」と、悔しさすら感じてしまう良書。大人が読んでも、お金・仕事の価値観が変わる1冊です。

人それぞれ、最も関心をもつ部分は異なると思われますが、投資との付き合いが長い私がなるほどと納得したのは「格差と資本主義」に関する授業内容。多くの一般サラリーマンは、地主・投資家などに対して、なにかしらのすっきりしない「モヤモヤ感」を持っていると思いますが、「モヤヤモヤ感の正体は何なのか」、本書を読んで大いに納得しました。

ある程度、投資を行ってきた経験がある人でも、何らかの気づきが得られる良書です。本記事では、『おカネの教室』の授業の中から、私が個人的に面白い、大いに納得!と感じた点をピックアップして紹介しします。

こんな方におすすめ
  • これからお金・投資について学びたい初心者🔰
  • 今一度、お金・投資の知識の点検をしておきたい方

活字での読書が苦手な方は、マンガ版を利用しましょう。

「かせぐ」「ふやす」「ふやす」「かりる」

「かせぐ」「ふやす」「ふやす」「かりる」

「かせぐ」と「ふやす」

かせぐ人とは、世界の富を増やす人、数字で言えば平均以上のGDPを生み出す人です。

お金を「ふやす」には「かせぐ」以外の方法もあります。その一つが「株式投資」です。ただし、投資の場合、長期では高いリターンが期待できるものの、一時的に大きな損を被る可能性もあります。ここが、「投資の稼ぎ」と「労働の稼ぎ」の違いです。

現実に 汗水 垂らして働くのは、企業・そこに働く人
大事なお金を失うリスクにヒヤヒヤしながら 脂汗 をかくのが投資家の役目。汗のかき方が異なります。

しかし、「投資の稼ぎ」は「労働の稼ぎ」よりリスクが高い。リスクが高い分、ハイリターンじゃなければ、やってられないということにもなります。ここに絡んでくるのが、トマ・ピケティの公式「 r >g」です(後述)。

「ふやす」と「かりる」

次は、「ふやす」と「かりる」。投資家の「ふやす」の裏側には、企業の「かりる」が存在します。投資家から借りた資本を元手に企業は事業を広げ、投資家に利益の分配をもたらします。

株式投資が高いリターンを生むのは、企業が資本を使って「かせぐ」に値する富を生み出すからです。

市場経済の主役は企業です。しかし、一方でリスクを取って企業に大事なお金を投じる投資家は経済成長を支える陰の主役です。企業も投資家も「社会の仕組み」に大きく関わっています。

トマ・ピケティの公式 r >g

トマ・ピケティの公式: 資本収益率(r)> 経済成長率(g)

トマ・ピケティの公式は、「お金の正体」を知るために絶対に理解しておかなければならない公式です。

これは、トマ・ピケティが『21世紀の資本』で明らかにしたお金の正体は、「自分の労働を売って稼いだ所得」と、「株式を持つ資本家としての所得」を比較したとき、は後者が大きくなるという事実。簡単に言えば、「富める者はより金持ちになる」という公式であり、だからこそ、格差は広がり続けます。

この公式は、世界大戦級の「世界のガラガラポン」が起こらない限り、成り立つ公式です。かつては、パンデミックや世界大戦で二極化是正の局面がありましたが、現代は、新型コロナやロシアのウクライナ侵攻を見ても、かつてのように人は死なず、社会システムを根底から覆されるようなことが起こりません。
※隕石が落ちてくるとか、とんでもないことが起こらないといけないのかな…

話がそれましたが、我々の現代社会は「お金持ちの方がどんどんお金持ちになってしまうというルール」に支配されています。

このルール下では、いったん投資に回せる余裕を手にしたお金持ちは、富をどんどん蓄積することが可能。複利マジックを獲得し、雪だるま式にお金を増やせます(借金の場合は逆回転)。

一方、元手のない庶民にはその道は閉ざされています。平均的な人には平均的な「経済成長程度の恩恵」しかありません。

その結果、貧富の格差はどんどん広がる。ピケティは、これは今の市場経済の構造的な欠陥であり、放っておいては解決できないと主張しています。

地主・不動産ビジネス・投資。彼らに対する「モヤモヤ感」の正体

「地主」「大家」という身分の人に対し、多くの人は、なんとなく、心の中で「この人ズルいなぁ(働かずに、お金稼いで)」とモヤモヤしてしまうものです。

地主・大家に対する「モヤモヤ感」の正体

では、なぜ、モヤモヤしてしまうのか?

それは、多くの人は、その裏側に「経済的な不平等」、「貧富の格差」という題を敏感に 嗅ぎ取っているからです。

別の言葉で言えば、親ガチャ当たりくじを引いた人に対し、「なんか不平等だ」、「世の中、不公平だ」と感じてしまうからです。

投資は誰でもできる

確かに、地主・大家は、一般的に資産を持っている方が多いでしょう。しかし、不動産ビジネスは物件値下がり・住人トラブル・税金・維持など、大きなリスクもあれば、コストもかかります。リスクにはそれに見合った見返りは必要です。

前項でも示した通り、『かせぐ』は富の増大に人並み以上に貢献する。これに尽きます。そして、株式や不動産などの投資のリスクを引き受けることは紛れもなく富の増大に貢献します。

そして、「投資」なら、「不動産」ほど、初期投資費用がなくとも始められます。極論、月500円/1,000円でも積立投資が始められます。やるか、やらないかは、あなたの問題であり、「お金がないこと」を理由にはできません。みずから、リスクを取って、資本収益率(r)> 経済成長率(g)から得られる利益を取りに行かなければなりません。

投資に否定的な人へ

私は、資本主義の根底にある「r > g」の公式を、いつ腹落ちして理解できるか(何歳で気づけるか)が、資本主義でうまく生きれるか/辛い毎日をおくるかの分かれ目になっていると考えています。

私にこのルールを腹落ちして納得できるまでには、時間を要しました。時間をかけて、以下の本に巡り合って、やっと腹落ちしたように思います。

私が、「雇われない生き方」を目指すきっかけを与えてくれたのは、『金持ち父さん・貧乏父さん』でした。

そして、「労働者のままいてはダメだ。投資もしなければ!」との思いを強くしたのが、実はまんがで読んだ「資本論」でした。マルクスが述べる「資本家VS労働者の構造」は強烈です。労働以外の収入を得ねば!という気持ちにつながると思います。

著:マルクス, 著:バラエティ・アートワークス
著:マルクス, 著:エンゲルス, 著:バラエティ・アートワークス

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以下の記事では、全巻読んでよかった本を、「ビジネス書」「小説」をそれぞれ10作品、ランキングして紹介しています。

最後に

今回は、高井浩章さんの『おカネの教室』で、私が読んでよかったと思った点のみにフォーカスして紹介しました。
本書には幅広い内容が書かれているので、是非、手に取って読んでみることをおすすめします。

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