- 「センス・オブ・ワンダー」とは神秘さや不思議さに目を見張る心のこと
- 美しいものを美しいと感じ、地球に生きる小さな生命に感動して生きよう。そうすれば、毎日は、賛嘆や愛情があふれ、生きているこの瞬間がかけがえのないものに思える
- センス・オブ・ワンダーは、特別な場所でなくとも、日常生活の中にも存在する。子どもは日々、それを感じている。感性を大事に生きよう。
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『センス・オブ・ワンダー』ってどんな本?
「センス・オブ・ワンダー」とは神秘さや不思議さに目を見張る心のこと。
美しいものを美しいと感じる。
地球に生きる小さな生命に感動する。
そして、賛嘆や愛情があふれ、生きているこの瞬間がかけがえのないものに思える。
こうした センス・オブ・ワンダー は特別の場所でなくとも、日常生活の中に存在します。そして、センス・オブ・ワンダーは、誰もが生まれながらにして持っており、子どもは日々それを感じているから輝いています。
しかし、大人になるとセンス・オブ・ワンダーが鈍っていく…
本作では、レイチェル・カーソンさんがわが子のように愛した大甥のロジャーと過ごした日々をゆっくりと振り返りながら、愛情ある言葉でセンス・オブ・ワンダーについて綴っています。
半世紀たっても輝き続ける本書。読めば、世界的ベストセラーたる所以がわかります。素晴らしい本です。
- 感性を大事に人生を生きたいと考える方
- 感動する心を忘れてしまった方、感動する心が弱まっていると感じている方
- 豊かな感性を持つ子に育てたいと思っている、小さな子を持つ親御さん
感性「センス・オブ・ワンダー」を失わないために
レイチェル・カールソンさんとは
本作について紹介する前に、レイチェル・カールソンさんン(1907~1964年)について、触れておきたいと思います。
レイチェルさんは1907年米国ペンシルベニア州生まれ。環境保護のパイオニアとして知られる海洋学者です。代表作として「沈黙の春」(1962年刊行)があります。本書の中で、世界で初めて環境問題を取り上げて、人々の地球環境保全に対する意識を変えるきっかけを与えました。
ガンを患いながら執筆
著書「センス・オブ・ワンダー」は、レイチェルが、ガンを患いながら書き残した最後のメッセージです。
わが子のように愛した大甥のロジャーとの自然との触れ合いを振り返りながら、生きる上で大事なことを書き残しました。
- 何気ない毎日の風景、小さな生命の中に「神秘」が溢れていること
- 自然・命との触れ合いを、肌で感じ、体験し、その神秘を感ることが大事なこと
- 子ども時代に育まれたセンス・オブ・ワンダーが、大人になったとき、人工物に囲まて暮らす生活で感じる倦怠・幻滅の解毒剤となること
- 今、まさに、日々の生活で倦怠・幻滅・モヤモヤを感じて生きる大人にとっても、「感性と共に生きる」ことが極めて大事であること
地球や生命の美しさ・頼もしさを、見て、聞いて、触れて、嗅いで体で感じる時間を過ごそう。
そんなメッセージが、本作には溢れています。
詩情あふれる文章、美しい写真が、幼き思い出を思い出させる
詩情あふれる文章、美しい写真は、ページをめくるたびに、私が幼かったころに感じた様々な「感動体験」を、リアリティをもって思い出させてくれます。
父・母と共に出かけた公園・畑・山・海、妹と遊んだ自宅の庭…
あの時、感じた風、草の匂い。汗ばんだ肌。
日常の遊びの中に、私は確かに、自然や小さな命を前に、目の前がパッと明るくなるような、何かを感じていたこと。そして、満面の笑みで笑ったこと。
そんなことを思い出しながら、自然への敬意・感謝とともに、家族への感謝で気持ちが溢れました。
とても、ガンに苦しみながら書かれたとは思えない、暖かく優しいもので包み込まれているかのような文章は、是非、本書を実際よんで味わってもらいたいです。
『センス・オブ・ワンダー』感動した言葉の数々
レイチェルさんのメッセージには、素敵な言葉が溢れています。
以下では、本書から、忘れたくない素敵な言葉をいくつか取り上げます。
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない
私が最も心に残ったのは、『「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない』というメッセージです。
子どもに必要なのは、虫や植物の名前や特徴がまとめられた辞書=知識を与えることではありません。それ以上に大切なのは、自然に触れること ──自然界への探検── に出かけて、「共に感じる」ことです。いろんなことを子どもが感じられるように、共に時間を過ごし、一緒に喜んであげることです。
興味深く思ったものを観察し、自然の音を聴き、触れて感動する(感性を磨く)。すると、その感じたことの先に、知識や知恵が生まれ、生き生きとした精神力が生まれるのだと、レイチェルさんは教えてくれます。
子どもの感性を伸ばしてあげよう
子どもの感性とはすばらしい。
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、 畏敬 すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。
美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、 憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。
いろいろうんちくを子供に教えるよりも、子どもといっしょに空を見上げる。すると、そこには夜明けや黄昏の美しさがあり、流れる雲、夜空にまたたく星がある。そんな、思い出は、視覚だけでなく、忘れられない音・においと共に思い出に刻まれます。
大人も感性を大事にしよう
本書を読んで思い出したのが『ブッダが教える愉快な生き方』です。この本の中に「赤ちゃんの学びと大人の学びの違い」についての考察があります。
赤ちゃん(子ども)は、初めてのものになんでも興味を示し、五感をフル活用して、触れて、なめたりします。そして、日々、何かを赤ちゃんなりに学んでおりこうさんになっていきます。赤ちゃんにとっては「生きることが学ぶこと」「学ぶことが変化すること」なのです。
しかし、対する「大人の学び」は結局のところ「損得」です。これでは、つまらない「貧しい学び」となっても仕方ありません。もっと、「面白い」という感性から始まる学びを大事にしなければなりません。本書の人生を豊かにする「学び方」は、大きな気づきをもたらすはずです。
本書を読んで:どう生きるか
現代の子どもは随分と忙しそうです。塾に行ったり、ゲームをしたり、スマホを見たり… 五感を使わず、頭で考えるようなことばかりです。しかし、それでは、子供らしい感性は失われてしまう。
真摯な経験は、感性や霊性を豊かにするだけでなく、知性と理性にも確かに働きかけてくれる
目を凝らす
耳をすませる
風に吹かれる
調べる
行ってみる
確かめる
可能性を考える
感じる、面白いと思うことがきっかけで、知性を伴う行為⇒経験につながることがたくさんあります。そしてその思いを大事にして経験していくことが、「人生の富」にもなります。
感じることは、物語を読み想像することでも得られます。そういう感性を大事に、面白いと思ったらどんどん調べる・行動する。そんな生き方の追求を続けたい。
今の私は、「感動」「ワクワク」「違和感」を大事に、生きていられる今を大変満足しています。「感じる」ことを大事に、毎日を大事に生きたいと思います。
最後に
今回は、レイチェル・カーソンさんの世界的ベストセラー『センス・オブ・ワンダー』からの学びを紹介しました。
非常に短いエッセイです。しかし、その中に、様々な気づきがあります。
日々疲れていて感動できなくなっている方、小さなお子さんがいる親御さんは、是非、読んでみてください。読んでよかったと思えますから。