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【書評/要約】センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン) 「驚く感性」と共に生きよう。”生きる喜び”を取り戻す気づきに満ちた世界的名著

【書評/要約】センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン) 「驚く感性」と共に生きよう。世界的ベストセラー
センス・オブ・ワンダー」要約・感想
  • 「センス・オブ・ワンダー」とは、自然や世界の神秘や不思議さに心を動かされる感性のこと。
    美しいものに心震わせ、小さな生命に感動することで、毎日は愛と賛嘆に満ち、生きていることの尊さを実感できる。
  • センス・オブ・ワンダーを育てるには、特に、子ども時代が大事。科学的知識よりもまず感性を育むこと。親子で自然の中に身を置き、五感で世界を味わうことが大事だ。
  • 特別な場所に行かずとも、日常の中に「センス・オブ・ワンダー」は存在する。

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目次

『センス・オブ・ワンダー』ってどんな本?

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レイチェル・カーソン――この名前を聞くと、代表作『沈黙の春』を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし今回ご紹介する『センス・オブ・ワンダー』は、彼女のもうひとつの重要なメッセージを伝える、珠玉の世界的名著エッセイです。

「センス・オブ・ワンダー」とは、直訳すれば「驚きや不思議さへの感受性」。

美しいものを美しいと感じる。
地球に生きる小さな生命に感動する。
そして、賛嘆や愛情があふれ、生きているこの瞬間がかけがえのないものに思える。

カーソンは、甥のロジャー少年と自然の中を歩く体験を通して、自然に対する驚き、畏敬、愛情を子どもと共有することの大切さを語ります。

科学的知識よりもまず感性を育むこと。
自然の中に身を置き、五感で世界を味わうこと――それが人生を豊かにする鍵だと、優しい筆致で教えてくれます。

優しさに溢れた本作は、読んでいると、すさんだ心も癒されていきます。そして、自然に感謝し、自然に触れたくなります。そして、日々の生活には「小さな感動」がたくさんあることを教えられます。

半世紀たっても輝き続ける本書。読めば「世界的ベストセラー」たる所以がわかります。多くの人に読んでほしい、素晴らしい1冊です。

こんな方におすすめ
  • 感性を大事に人生を生きたいと考える方
  • 感動する心を忘れてしまった方、感動する心が弱まっていると感じている方
  • 豊かな感性を持つ子に育てたいと思っている、小さな子を持つ親御さん

感性「センス・オブ・ワンダー」を失わないために

感性「センス・オブ・ワンダー」を失わないために

レイチェル・カールソンさんとは

本作をご紹介する前に、まずは著者レイチェル・カーソン(1907〜1964年)について触れておきたいと思います。

レイチェル・カーソンは、1907年、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。
海洋生物学者として活躍し、やがて環境保護運動の先駆者となった人物です。
代表作に、1962年刊行の『沈黙の春』があります。この本で初めて環境問題を広く世に訴え、人々の意識に大きな変化をもたらしました。

本作について紹介する前に、レイチェル・カールソンさんン(1907~1964年)について、触れておきたいと思います。

著:レイチェル・カーソン, 翻訳:青樹 簗一

ガンと闘いながら綴った最後のメッセージ

本書『センス・オブ・ワンダー』は、カーソンがガンと闘いながら書き残した、最後のメッセージです。

彼女がわが子のように愛した大甥・ロジャー少年との自然体験を振り返りながら、生きる上で本当に大切なことを語りかけてくれます。

  • 何気ない日常の風景や、小さな生命の中に宿る「神秘」
  • 自然や命と触れ合い、五感でその奇跡を感じることの大切さ
  • 子ども時代に育まれた「センス・オブ・ワンダー」が、大人になって感じる倦怠や幻滅を癒してくれること
  • 忙しさや情報過多に疲れる現代の私たちにとって、感性と共に生きること」がいかに重要か

カーソンは、そんなメッセージを本書に託しています。
そして私たちに、地球や生命の美しさ・たくましさを、見て、聴いて、触れて、嗅いで、五感で感じる時間を取り戻そうと、静かに呼びかけているのです。

詩情あふれる文章、美しい写真に誘われて

カーソンの紡ぐ詩情あふれる文章と、美しい写真たち。
ページをめくるたびに、私の心には、幼いころの「感動体験」がリアルに蘇ってきました。

父母と出かけた公園、畑、山、海。
妹と遊んだ自宅の庭。
あの時感じた風、草の匂い、汗ばんだ肌。
自然や小さな命に出会ったとき、胸がぱっと明るくなった瞬間。
そして、満面の笑みで笑ったこと。

本書は、そんなかけがえのない記憶を呼び起こし、自然への敬意と家族への感謝の気持ちで、心を満たしてくれました。

ガンに苦しみながら書かれたとは思えないほど、あたたかく、優しい言葉たちに包まれている――
そんな読書体験を、ぜひ味わってほしいです。

『センス・オブ・ワンダー』感動した言葉の数々

『センス・オブ・ワンダー』感動した言葉の数々

「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない

本書で私が最も心を打たれたのは、この一節です。

「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない

子どもに必要なのは、虫や植物の名前を覚えさせることではありません。
それ以上に大切なのは、自然と触れ合い、共に感動することです。
興味をもったものを観察し、音を聴き、匂いを嗅ぎ、触れて感動する。
その体験の中からこそ、知識や知恵が、そして生き生きとした精神力が生まれるのだと、カーソンは教えてくれます。

子どもの感性を育むために

カーソンは言います。

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、 畏敬 すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。

美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、 憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。

子どもには、世界の喜び、神秘、感動を共に再発見し、分かち合ってくれる大人が、そばに必要です。

いろいろな知識を教えるよりも、
まずは一緒に空を見上げ、雲や星に感動する。
その体験は、五感すべてに刻まれ、忘れられない記憶になります。

残念ながら、大人になる過程で、澄みきった洞察力や美しいものへの直感力は失われていきます。しかし、自然の中で子どもと時間を共有することで、大人も「身の回りにある神秘」に素直に感動する心を取り戻せます。

大人も感性を大事にしよう

本書を読んで、私はふと『ブッダが教える愉快な生き方』にあった一節を思い出しました。
それは「赤ちゃんの学びと大人の学びの違い」についてです。

赤ちゃんは、好奇心いっぱいに世界に触れ、五感を使って毎日学びます。
対して大人の学びは、ともすれば「損得」ばかりに偏りがちです。
これでは、貧しい学びしか得られません。

もっと「面白い」「美しい」という感性を出発点にして、学び、行動していく。
本書は、そんな人生を豊かにする生き方を示してくれます。

本書を読んで:どう生きるか

センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン) :感想

今の子どもたちはとても忙しい。
塾、スマホ、ゲーム…。
五感を使う体験が、どんどん少なくなっています。

カーソンが語るように、
真摯な経験は、感性や霊性を豊かにし、知性や理性にも働きかけてくれるのです。

  • 目を凝らす
  • 耳を澄ます
  • 風に吹かれる
  • 興味をもったら、調べ、行ってみる
  • 体験して、確かめる

そんな小さな行動が、やがて「人生の富」になっていく。
私は、感じることを大切に、ワクワクや違和感を大事にしながら、毎日を生きていきたいと思います。

最後に

今回は、レイチェル・カーソンさんの世界的名著センス・オブ・ワンダー』をご紹介しました。

とても短いエッセイですが、その中にぎっしりと詰まった「生きるヒント」。
日々疲れ、感動を忘れてしまいそうな大人たちにこそ、
そして、小さなお子さんを育てる親御さんたちにこそ、
ぜひ読んでほしい一冊です。

きっと、「読んでよかった」と思えるはずです。

合わせ読みしてほしいのが、子どもとの接し方に関する本です。折角、子どもと言い時間を過ごしても、ちょっとした言葉、子の親に対する不信感を高め、それが、立ち振る舞いにマイナスの影響を与えているかもしれません。気づきの多い1冊です。

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