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【書評/要約】お金の作法 (枡野俊明) お金の使い方は人生を映す。欲に振り回されない禅の教え

【書評/要約】お金の作法 (枡野俊明) お金の使い方は人生を映す。欲に振り回されない禅の教え
お金の作法」要約・感想
  • 執着が人を不幸にする。お金に執着しすぎることなく、本当に充実した人生を生きるための「お金と生き方の書」
  • お金との向き合い方や考え方は、その人の人生そのもの。お金との付き合いがきれいでなければ、美しい人生は生きられない
  • 足るを知り、ひとり占めせず、お金を巡らせ、人が喜ぶ顔を見て生きる。禅の教えに心洗われる

★★★★★ Kindle Unlimited読み放題対象本

目次

『お金の作法』ってどんな本?

Kindle Unlimited対象本

お金の使い方は、あなたの心を映しだす鏡

確かにお金は生きていくために必要不可欠です。でも、以下の質問に答えられますか?

  • 自分にとって大事なものは何なのか
  • 自分が本当に好きなことは何なのか
  • 今、いくらのお金が欲しいか
  • なぜ、それだけのお金が欲しいか、答えられますか?

答えられないなら、単に「お金に執着」しているだけかもしれません。お金は求めすぎると、不幸を呼び込みます。

お金の作法』は、禅僧でありながら、数々の名著で知られる枡野俊明さんが、禅の教えをベースに、お金に執着しすぎることなく、本当に充実した人生を生きるための「お金の作法」を教える書です。

お金と人生は、必ずどこかでリンクしています。故、お金との向き合い方や考え方は、その人の人生そのもの。その人の「人生の美しさ」をも映し出します。人生が美しくなる、お金との付き合い方が学べます。

こんな方におすすめ
  • お金に対する執着、不安が大きい方
  • 過度に求めることなく、美しく生きたい方
  • 自宅がモノで溢れている方

禅が教えてくれる「知足」の心

禅が教えてくれる「知足」の心 | お金の作法 (枡野俊明)

人は執着が強い生き物です。しかし、求めすぎは不満やストレスを生み出します。

足りないものを求めるのを辞める。そして、今、手元にあるものを工夫し、大事にする。

知足=足るを知る」ことが大事です。

お金を巡らせる

仏教の根本に「諸法無我」という考えがあります。これは、「この世に生きとし生けるものはすべて、つながりのなかで生かされている」という教えです。

私たちはけっして、一人の力では生きていくことはできません。人だけでなく、大自然・動植物とも縁を結ぶことではじめ生きることができます。これは、お金についても当てはまります。

「お金を巡らせる」とは、「縁を巡らせる」こと。もし、お金に執着し、すべてのお金を自分のところに留めておこうとすれば、新しい縁は生まれず、その結果として、新たなお金も自分のところに巡ってこなくなります。

自分にも相手にもプラスになり、いい縁を生むお金の使い方をする。そうすれば、美しい生き方につながっていきます。

誰かの幸せは、自分の幸せにつながる

禅には、「誰かのために尽くすことが、結局は自分の幸せにつながっていく」という教えがあります。

神社や寺では「お賽銭」を投げ入れますが、仏教ではこれを「喜捨」といいます。神社・お寺で目を閉じて手を合わせると心が穏やかになると感じたことはないでしょうか?喜んで捨てるということであり、寄付とは少し考えが異なります。

お金にばかり執着している心を賽銭箱に投げ入れる。自分さえ良ければいいという邪な心と執着心を捨て去ることで、自分自身の心を浄化する。

時々、神社・仏閣で手を合わせるのは、自分のためにも大切なのです。

執着を捨てる・減らす

この「喜捨」の心は、「お金」に限ったことではありません。日常生活の中で自分に取りついている執着心を捨てながら生きることが大事です。

何かを得たいという欲望ばかりに目を向けるのではなく、ときにその欲望を捨ててみる。
自分の損得ばかりに縛られるのではなく、誰かのためを思って生きる喜びと共に生きる。

そんな「喜捨」の心を持って生きれば、心は軽やかになります。

お金と価値観

お金と価値観

人は自分が思っているほど自分のことを知りません。<自分自身としっかりと向き合い、自身の心と自問自答する>。そうすることで、自分にとっての生きたお金の使い方は見えてくるかもしれません。

お金に対する価値観は変えられない

お金に対する価値観は、自身の生き方そのものです。故、人は、お金に対する価値観を否定されると、自分自身を否定されたと感じてしまいます。

一度身についたお金に対する価値観は、簡単には変わりません。無理をして変えようとすれば、大きなストレスとなります。だから、お金の価値観が違う相手との付き合いは続きません。

使い捨てに慣れ過ぎた弊害

私たちは、日々、消費社会の中で生きています。結果、現代人はあまりにも使い捨てに慣れすぎてしまいました。

物を使い捨てにする、役に立たなくなればすぐに捨てる、安易に新しい物と取り替える。そんな心が身についてしまうと、人間に対しても同じ発想を抱くことにつながります。

役に立たない人間は排除してしまえばいい、代わりはいくらでもいる。こんな考えが巣くった社会は幸せでしょうか?

欧米文化な価値観の弊害

前項にも関係しますが、欧米的な価値観の浸透で、日本人は従来に比べ、物事を簡単に割り切って考えるようになりました。結果、思いやりの心が減り、すべてのことが「損得」「金勘定」であり、「ご都合主義」になっています。

  • 人のことは関係ない、やることだけやっていればいい
  • 感謝する心もない
  • 誰かを大切にする心もない
  • 一人勝ちすればいい

仏教の世界には「一人勝ち」という考え方はありません。それは、一人勝ちでは幸せになれないという考えが根本にあるからです。

仕事、それは、人生を全うするために必要

仕事は、お金を稼ぐためのものだけでなく、自分の人生を豊かにするものです。人は生きている限り、仕事をしなくてはいけないのは、単にお金のためでなく、自分自身の人生を全うするためです。

定年退職した元会社員よりも、歳をとっても仕事をしている自営業の方、田畑を耕している方が、イキイキ元気なのはそのためです。

人生の優先順位と、お金の使い道

不満が多い人は、「人生とお金の優先順位」があいまいです。「あれもしたいこれもしたい。でもお金がない」という思考になるからです。しかし、本当に自分に大切なことがわかれば、優先度が低いことには自然とお金を払わなくなります。

物欲の断捨離をしましょう。優先順位付けをすれば、「人生に必要なモノは少ない」とわかるはずです。これで、メリハリのある生きたお金の使い方でき、また、人生に芯ができます。

お金の使い方にメリハリをつけ、お金を活かす処方箋
  • まずは今自分が置かれている状況を客観的に見る
  • そこから自分がやるべきことを冷静に見極める
  • 今の優先順位を明確にする (絶対に必要なモノ、あればいいもの、特に必要ではないものを分ける)
  • 優先度一番目だけに集中してお金を使う(メリハリをつける)

お金と暮らしを考える

お金と暮らしを考える

「質素な暮らし」と「簡素な暮らし」。一見、同じようにも思えますが、枡野さんは全く異なると言います。

「質素な暮らし」と「簡素な暮らし」

「お金がないから質素な暮らしをしている」という人がいます。これはおそらく、「できる限り安価な物を買う暮らし」を指しています。これは、安価という「お金の価値観」で生活を選択している暮らしです。

一方、「簡素な暮らし」は、自分の生活に本当に必要な物だけを厳選。必要な物には質も考慮してお金を支払う暮らしです。食事であれば、ただ安く腹いっぱいに満たすのではなく、身体が求めているだけの量を食べる。「お金が価値基準」ではなく「自分にとっていいものか」が選択の基準です。

食べることは生活の基本。雑な食生活をしていると、生活そのものも雑になります。また、食欲に任せて食べれば、その他の欲望も肥大化します。食べるという行為は、それほどまでに私たちの心身に影響を及ぼします。また、お金を使って利便性を手に入れるほど、「身体を使う機会」を失い、「健康」を失います。

簡素の中にある幸せ。幸せや不幸せというものは、心の持ちようです。「ない」ことを不満・不幸と思うのではなく、「ない」からこその幸せもあります。

持たない暮らしで心はすっきりする

人間の思考は、どうしても視角に入ってきた物に左右されます。余計な物を目にした途端に、余計な考えが生まれてくる。つまり、目の前のことに集中できなくなります。

旅行で荷物が多い人は、不要な物に心をとらわれています。本当は不必要であるのに、必要だと思い込んでしまう。それが積み重なり、身の回りは不必要な物で溢れてしまいます。

ミニマリストは、過剰なものは捨て、本当に必要な物を厳選して大事に使う暮らしに切り替えた結果、様々なしがらみから解放されて精神的にも満たされ、余計な物欲・欲望も減ると口をそろえて言います。これは、要するに、「お金の価値観」で生きる生活を離れた結果です。

まずは、服1着でもいいので、「手放す」を実践しましょう。実際に1着手放してみると、手放したところで何も変わらない自分がいることがわかります。そして、手放す清々しさがあることがわかります。

捨てることにも喜びがあることに気づいたとき、不思議なことに欲望は減ります。この気づきが「欲しがる癖を直す大きなきっかけ」になります。

お金と人間付き合い

お金と人間付き合い

人は見返りを期待しながら生きています。しかし、見返りを求めすぎると、いつしか心が卑しくなっていきます。大事にしたいのが、日本人が昔から持っていた「お互い様」という考え方です。

「お互い様」な姿勢を大事にする

お互い様」とは、相手に10のことをしてあげても、その相手から10を求めない生き方です。100%のGive&Takeで、確実な見返りを求める生き方では、「温かな縁」は逃げていきます。これは、人間関係だけでなくお金についても言えます。

自分自身の満足や欲望のためではなく、誰かを思って使うお金。相手の喜ぶかを見て、「お金の尊さ」を実感することはありませんか。人を思い、邪心なく手放したお金は、必ず自分のもとへ戻ってきます。

みんなが少しずつ手放すことで、みんなが少しずつ幸せになっていく。そんな世の中は幸せなはずです。

無駄な付き合いはやめよう

人間関係が広くても、人生は豊かにはなれません。心を許せる関係、相手のことを心から思う気持ちを互いに持っている人間関係が少しあれば、それで心は満たされます。

「縁」も整理が必要です。付き合いを見直せば、お金にも時間にも余裕ができます。その浮いた時間で、独りになって自分自身と向き合う時間を作る方がはるかに大事です。

お金の使い方を正す

お金の使い方を正す

お金の不安は、どこからくるのか

過去・現在・未来。生きるために最も大事なのは「現在」を重視することです。というか、私たちは「今を生きる」ことしかできません。しかし、私たちは現在に集中していません。人を苦しめる不安は「未来」に対するものですし、後悔は「過去」に対するものです。

人間は本気で本気で闘っているときには不安など感じません。むしろ、行動もせずに、ただじっとしているところに不安感は忍び寄ってきます。今を真剣に行きましょう。そうすれば、真剣に向き合う時間が、余計な不安を忘れさせてくれます。

人と比べない

お金を見栄のために使っていませんか?また、誰かと比べていませんか?優劣をつける行為は 幸福感を遠ざけます。

世の中の幻想の一つに「平均」「普通」「常識」があります。具体的な人と比べずとも、人は、平均を気にし、根拠のない常識にとらわれ、それらと自分の比較し、喜んだり落ち込んだりしています。でも、世の中に蔓延する「平均」とは何なのでしょうか?平均・普通には「実体」はありません。これらに心をとらわれる必要はありません。

人それぞれに合う心地よいサイズ

人にはそれぞれに合う「心地よいサイズ」があります。これが、「分相応」です。

分相応は、自分の力と努力でサイズを大きくして初めて、そのサイズのなかに幸せを感じることができます。他人の力で自分のサイズが大きくなったり、何の努力もしないままにサイズだけが膨張してしまうと、そこにはあるのは「落とし穴」です。地道な努力を重ねながら、一歩ずつ大きくする中に幸せがあります。

最後に

今回は、枡野俊明さんの『人生の流れが美しくなる禅、お金の作法』からの学びを紹介しました。

現代は「勝ち組」「負け組」という言葉が溢れています。資本主義社会である限り、そこに格差が生じることは避けることはできません。しかし、自分だけが「勝ち組になればいい」という姿勢では、きっと幸せな人生はおくれません。

お金とは、人生を豊かに過ごすための道具。死んだら持っていくことはできません。だから、足るを知り、多くを求めすぎず、そして、時に、人の幸せのために労やお金を使って、人の喜ぶ顔を見ていきたいと思います。

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