- これからの時代、特定スキルだけでは足りない。必要なのは「知的体力」
- ハイパフォーマーは「高いOS=思考・行動様式」を持つ。スキル・知識に該当するアプリ以上にOSが大事
- ハイパフォーマーを研究で導き出された、重要な思考・行動様式は7つ。実践すべき順序と共に解説
★★★★☆
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要約『ハイパフォーマー思考』ってどんな本?
技術進化と共に変わる仕事で求められる能力。現在は、特定の「スキル」だけを求める時代から、「知的体力」を求める時代に変化しています。
『ハイパフォーマー思考』は、知的体力をアップデートし、自身のパフォーマンスを無理なくアップさせるための指南書です。大手企業のトップ人材からトップアスリートまで、1000人の共通点を分析。ハイパフォーマー=継続的に高い成果を上げている人々 の秘密を、誰でもマネできる「7つの思考・行動様式」にまとめて紹介してくれます。
本書と同種の本に、越川慎司さんの『AI分析で分かった トップ5%シリーズ』があります。『トップ5%シリーズ』はAI分析であるのに対し、本書は丁寧なインタビューをもとに分析を行っています。
どちらも優れた人の共通項を抽出し紹介するという点では同じですが、本作は、優秀な人の行動パターンそのものより、その根幹部分「優秀人材を優秀人材たらしめている要素を見える化」することにフォーカス。「この順番で取り組めばうまくいく可能性が高い」という流れも提示ます。(ざっくりと、「トップ5シリーズ」は具体的な行動・習慣・コツ・テクニックが多め)
両作品を合わせて学べば、より深い学びと実践方法が手に入ることは間違いありません。
- ハイパフォーマーの習慣・思考を自分のモノにしたい方
- 仕事の効率・生産性を上げたい方
これからの時代に求められる力
自己啓発に取り組んでいる人にとっては、耳にタコな話ですが、これからの時代はAIの時代です。そこでは、ホワイトカラーの知的作業もAIが行います。人間にしかできない仕事以外はほぼ無価値になっていきます。
そんな時代に、人の仕事のあり方はどうなるのか? AI時代でも必要な能力は「正解がない問題をさまざまな角度から掘り下げ、思考し行動する力」です。これは「知的体力」とも言える能力です。
ハイパフォーマーが持つ「高いOS」
「知的体力」を持ち合わせ、多くの成果を出す「ハイパフォーマー」に共通しているのは「高いOS」です。
パソコン・スマホは、OS機能の上にアプリが搭載されています。OSがアップデートがベースにあり、その上でアプリが動いています。これは人も同じです。
人の場合、「思考・行動様式がOS」で「スキルや知識がアプリ」。より重要なのが「OS」です。必要な知識やスキルは会社・業種・戦略によって変わりますが、求められる思考・行動はもっと汎用的にそれらをドライブするものだからです。
VUCAに求められる柔軟性・スピード
変動が激しく、不確実かつ複雑・曖昧なVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代に大事なのは柔軟性やスピードですです。OSも時代に応じてアップデートしていかなければなりません。
もともと高いOSを持っていたとしても、受験エリートなど、順風満帆な人生を歩んできた人は、注意が必要です。「まず足場を固めて、安心できる環境を確保してから一歩を踏み出そう」という思考を持っている限り、遅れを取っていくことになります。
ハイパフォーマーが育つ2条件
- 早い(若い)段階でハイパフォーマーに出会うこと
- 真似るべきポイントを言語化すること
❶は、「OS・アプリ」のたとえ通り、なるべく白紙に近い状態で「正しいOS」をインストールするのがベターだということです。パソコンと同じで、脳が古くなってくると、インストール速度は遅くなり、アンインストールで失敗する確率も上がってしまうからです。しかし、40代、50代でも諦める必要はありません。知的体力は年齢に関係なく進化・成長します。
❷は、シンプルにまねるべきポイントを正しく明確にするということです。(裏返せば、ハイパフォーマーのやり方を間違ったスタイルでまねてしまう人が多いということです。
ハイパフォーマーの7つの思考・行動様式
著者らのハイパフォーマーを研究で導き出された、重要な思考・行動様式は7つ。これらは、勝率の高い『思考・行動のベスト盤』で、❶⇒❼へ順に取り組むことで、より高い効果が期待できます。
- 「なんとかなる」と思ってやってみる
- 柔軟に方向転換する
- 自分とは異なる価値観や文化を認め、受け入れる
- 仕事を「プレイ」する
- 常に学び続ける
- 人との縁を大切にする
- 物事を斜めから見る
いわゆる正攻法だけでなく、ちょっと「賢さ」「ずるさ」がある点が特徴です。本書では、実際にアクションを起こそうとするときのポイントが具体的に示されています。
また、7項目のチェックリストが掲載されています。チェック項目そのものだけでなく、その意図、目的を知ることが大事です。こちらも、本書を手に取りご確認ください。
- ❶「なんとかなる」と思ってやってみる
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- 「何でも好きなことをやって良い」と言われたら何をしたいか?
- 今までの人生で最も楽しかったのはいつで、その時あなたは何をしていたか?
- ❷柔軟に方向転換する
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- うまくいっていない状態でも楽しめているか?
- 今は楽しくないが、続けていれば将来的に可能性が開けてきそうですか?
- ❸自分とは異なる価値観や文化を認め、受けいれる
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- 自分と趣味嗜好が似ている同質のメンバーだけでチームを固めていないか?
- 自分とは異なる意見を拒否していないか?
- 「これだ!」と思ったアイデアを冷静な目で見直しているか?
- ❹仕事を「プレイ」する
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- 視点を変えることで、今の状況をポジティブにとらえることはできないか?
- 自分と同じ状況でも「プレイ」できている人は、何をどのように楽しんでいるのか?
- 自分自身の価値観ではなく、「他の人からどう思われるか」にとらわれていないか?
- ❺常に学び続ける
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- 去年の自分と比べて「レベルアップ」できているか?
- この1年で何か新しいことをはじめたか
- ❻人との縁を大切にする
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- 「新たな出会い」を自らつくり出しているか?
- 自分のやっていることを、初対面の人にわかりやすく紹介する準備はできている?
- 「人に頼ること」を恐れていないか?
- 自分の都合を考えるだけではなく、相手側のニーズをきちんと掘り下げているか?
- ❼物事を斜めから見る
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- 今のあなたのフィールドやあなた自身のことをネガティブにとらえる人がいるとしたら、その理由は何か?
- そのような人に受け入れてもらうためには、どのようにすれば良いか?
- 将来について「最悪のシナリオ」も想定しているか?
最後に
今回は、増子裕介さん、増村岳史共著の『ハイパフォーマー思考』からの学びを紹介しました。
最終的に紹介される「ハイパフォーマーの7つの思考・行動様式」は、自己研鑽に熱心な方なら、どこかで見たことのあることかもしれません。しかし、それを実践する順番まで丁寧に紹介されている本はあまりないと思います。
あとは、実践あるのみ。冒頭で紹介した『AI分析で分かった トップ5%シリーズ』と共に、読んでみることをおすすめします。