- ダイエットの天敵=我慢。お腹が減っていない食べたい!という欲求は「ニセの食欲」
「ニセの食欲」と「本当の食欲」を切り分けて、不要なカロリー摂取を抑えることで、我慢少なくダイエットを成功させることを目指す工藤式ダイエットを解説 - 食べ物依存の原因に大きく関わるのが、肥満と深く関わる5つの脳内ホルモン
このホルモンを制することなしに、「ニセの欲求」を抑えることはできない - 苦労式ダイエットの基本姿勢は、ただ痩せることではなく、心と身体を整え、バランスを保つこと
行動療法をベースに、食べたい欲求が起こる原因・タイミングを把握し、食行動の改善を目指す
★★★★☆
Kindle Unlimited読み放題対象本
『身体ミニマリスト』ってどんな本?
ダイエットの天敵=我慢
世の中、ダイエットに失敗した人で溢れています。満腹なはずなのに食後にデザートを食べるのが日課な人も多いのではないでしょうか。満腹なのに食べてしまう、全く、困ったものです(私もそんな一人です)。
テレビ出演で知る人も多いイケメン内科医・工藤孝文さんの『身体ミニマリスト』は、「ニセの食欲」と「本当の食欲」を切り分けて、不要なカロリー摂取を抑えることで、我慢少なくダイエットを成功させることを目指すダイエット本です。
本当にダイエットに必要なのは、「我慢」ではなく、「自分の心や体と素直に向き合う」ことー
工藤式ダイエットでは、本来、体に不要な食欲「ニセの食欲」を減らすために、「行動療法」を取り入れています。
行動療法は、自分のライフスタイルや食生活を客観的に把握・分析し、なぜ食べ過ぎてしまうのか、ニセの食欲が起こる原因を探り、行動を変えていく治療法です。ニセの食欲を減らして、本来の食欲を元に食事をすれば、次第に痩せて、心身ともに健康に過ごすことができます。
まずは、「本物の食欲」と「ニセの食欲」の識別から。食べたい気持ちを抑えられない方におすすめしたいダイエット本です。一時的なダイエットではなく、「スリムな体の継続」を目指したい方におすすめです。
ダイエットの天敵「我慢」:なぜ我慢はダメなのか
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過食を引き起こす原因は、脳内ホルモンの乱れです。その原因となるのがストレスです。
過食を引き起こす原因:我慢(ストレス)
人間の脳はストレスを感じると、甘いものを欲します。これは糖質が、脳内で幸福ホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌を増やしてくれるためです。さらにストレスは、過食ホルモンも分泌させて食欲を増進させます。
こうして生まれた食欲は、すべて本来体に必要のない「ニセの食欲」です。強い我慢を強いれば強いるほど、ストレス増大⇒ニセの食欲増大⇒過食 へと向かいます。
ダイエットは、「交感神経」と「副交感神経」と密接に関係しています。
交感神経が 優位な状態 | ・ストレス ・「戦うか逃げるか」の状態 ・心拍数・血圧の上昇、呼吸は速く浅い、筋肉が緊張、発汗の促進 |
---|---|
副交感神経が 優位な状態 | ・リラックス ・「休むか消化するか」の状態 ・心拍数・血圧の低下、呼吸はゆっくり深くなる、筋肉が弛緩、免疫機能の活性化 |
ストレス時は交感神経が優位な状態です。上述の通り、脳はストレスを感じると、幸福ホルモン「セロトニン」の分泌を増やす糖質を欲します。副交感神経が優位な状態に戻すために、甘いモノ(糖質)を食べたいという欲求が生まれるのです。
行動療法で「食行動」を見直す
ダイエットにストレスは大敵です。「自分が抱えている問題」を明らかにするのに有効なのが「行動療法」です。
行動療法とは、自分の食行動を見直すことです。食行動に問題がある人は、「痩せたい=食べたくない(はず)のに食べてしまう」という自己矛盾を抱え、心と体がバラバラです。この状態の原因を探り、食行動を改善します。
- まず体重や食事などを毎日記録してグラフ化
- ライフスタイルや食生活を客観的に把握・分析
- 「食べ過ぎてしまうのはなぜか?」などニセの食欲が起こる原因を探り、対処法を考える
「食べてないのに太る」ことはありません。食行動を記録すれば、食べていることが自覚できます。また、特定の曜日に体重が増える傾向があると思って調べたら、当日は「ストレスイベントがある日」にドカ食いしていたといった食行動のクセが見つかるケースもあります。
行動療法では、こうした「認識のズレ」や「食べ方のクセ」を把握します。これが分かると、ライフスタイルの中でどういう時に注意すべきかが見えてきます。
ダイエット・運動・体質に対する誤解
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ダイエットは、「運動」より「食事」です。結局のところ「食べる量のコントロール」をする以外に痩せません。
ただ、「私は太りやすい体質」と思っている人は多いと思います。しかし、「太りやすい体質」はありません。「ヤセの大食い」はいても「デブの小食」はいません。以下の通り、認識を改めましょう。
- 運動不足だけで太ることはない
ただし、運動はホルモンコントロールに有効。セロトニンやドーパミンなどの脳内ホルモン分泌が増え、糖分や脂質の欲求を抑えられる - 「太りやすい体質」はない
加齢は基礎代謝を低下させるため若い頃より太りやすくなるが、少ししか食べていないのにどんどん太ることはあり得ない - ただし、「太りにくい体質」は存在する
肥満遺伝子の違いにより、糖質や脂質が燃焼しやすい人、褐色脂肪細胞が多い、消化吸収の効率が低いという太りにくい体質は存在する
血糖値を下げるホルモン・インスリンの分泌が弱く、脂肪や筋肉がつきにくい人もいる(インスリンは血液中の余った糖を脂肪に変換して体に蓄える働きがある。分泌が少ないと太りにくくなる)
運動と食事とダイエットについては、以下の本も参考にしてください。運動のトレーナー自身が、運動では痩せないと断言しています。
食べ物依存:メカニズムと改善方法
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食品の3大栄養素である糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質と脂質の2つの栄養素は、快楽ホルモン「ドーパミン」や幸福ホルモン「セロトニン」を分泌させ、食べるだけで脳は快感を覚えます。
糖質や脂質などの高エネルギー源は原始時代は手に入れにくかったため、生き延びるために快感を感じるように遺伝子レベルでインプットされています。これが、いつでも食べ物が手に入る現代では弊害を引き起こし、食べ物依存を引き起こします。
この食べ物依存の原因に大きく関わるのが、不満と深く関わる5つの脳内ホルモンです。
肥満と深く関わる5つのホルモン
幸福ホルモン「セロトニン」 | 幸福感や心の安定、ストレス緩和などの働きがある ストレスや不安を感じると、セロトニン神経が弱ってセロトニンが不足に ⇒脳はセロトニンの分泌を増やそうとして、糖質(甘いモノ)を欲する |
---|---|
睡眠ホルモン「メラトニン」 | セロトニンの原料 セロトニンが不足すると、メラトニンも減少して、睡眠の質を下げる |
食欲抑制ホルモン「レプチン」 | 睡眠が不十分だと、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ「レプチン」が減少 |
食欲ホルモン「グレリン」 | セロトニンが不足すると、グレリンの分泌が増え、食欲が加速 |
快楽ホルモン「ドーパミン」 | セロトニンが不足すると、ドーパミンの過剰分泌を抑える働きが悪くなる ドーパミンが過剰分泌されると、快感を求める欲求が暴走 食べたい欲求が抑えられなくなる⇒暴食 |
上述の通り、心理的ストレス、食べ物依存症、生活習慣のくせ、睡眠不足、疲れなど、様々な要因が「ニセの食欲」を生み出します。この食欲は「体が生存のために求める本物の食欲」ではありません。身体と脳がバラバラになった様態です。
この中でも、特に注意が必要なのが、「セロトニン不足」と「ドーパミン過剰」です。
セロトニンを増やす方法
上記問題の解決するには、行動療法で心のストレスの原因を探りストレスを減らすと同時に、「セロトニンを増やす」生活に改善することです。
- 日光浴をする
一日15~30分ほど散歩などをしながら、日光を浴びる
セロトニンが睡眠ホルモン・メラトニンに変化するのは約 16 時間。0時に就寝なら朝8時には日光を浴びる - 必須アミノ酸トリプトファンを摂取する
多く含まれる食材:豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
ごま・ピーナッツ・卵・バナナなどにも含まれる
【実践】身体ミニマリストになる!工藤式ダイエット
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工藤先生が考えるダイエットとは、ただ痩せることではなく、心と身体を整え、バランスを保つことです。
以下、ニセの食欲を減らし、適正に食べることで身体ミニマリストになる工藤式ダイエットのポイントをまとめます。
身体ミニマリストになる!工藤式ダイエット
- 身体が必要と求める「本物の食欲」を感じた時に、食べたいものを 空腹感が消えるまで食べる
- 食べる前に「今、自分は本当にお腹が空いているか?」と問う
- お腹が空いてから食事をする(12時ランチタイムだから…という理由で食事をしない)
- 食べたいものを食べる(我慢しない)
- 「満腹になるまで」ではなく「空腹感が消えるまで」食べる
- 行動療法で記録で、自分の「認識のズレ」、「食べ方のクセ」を知る
- 自己のクセを知ることが、ダイエットを継続するコツ
- どんな時に自分は食べてしまうのか、「食べ方のクセ」を把握し、対策する
- ニセの食欲を解消する
- 食べ物依存:ニセ食欲があるば場合、まず最初にセロトニンの減少を疑う
- 隠れストレス「脳疲労」に注意。寝ても疲れが取れない原因
本書には、身体ミニマリストになる 工藤式ダイエット応用編が色々紹介されています。その中から2点のみ紹介します。
【応用編】ニセ食欲の解消に「漢方」を活用する
工藤さんは漢方にお詳しい医師です。ダイエットにはサプリメントより漢方をすすめています。
以下は、おすすめの漢方です。自分にあっていれば、早くて1週間、長くて1ヶ月程度で効果が現れます。
症状 | 症状別ドラッグストアで買える漢方薬 |
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不安を感じ | 【柴胡加竜骨牡蛎湯】(サイコカリュウコツボレイトウ) |
肩こりがひどい | 【葛根湯】(カッコントウ) |
睡眠不足 | 【加味帰脾湯】(カミキヒトウ) |
イライラする | 【抑肝散】(ヨクカンサン) |
気力が出ない | 【人参養栄湯】(ニンジンヨウエイトウ) |
【応用編】どうしても食欲が抑えられないとき「出汁ダイエット」
どうしても食欲が抑えられないときように取り入れたいのが「出汁ダイエット」です。
材料は、かつお節 30g、煮干し10g、刻み昆布10g、緑茶(茶葉)5gをミキサーにかけて粉末にしたものを飲むだけ。簡単に飲める商品『おだし美人』という商品も販売されています。
一日一杯、カツオ節や昆布、煮干しなどをブレンドした「やせる出汁」を飲むだけで、甘いものや濃い味を好む「デブ味覚」から、薄味や少量の食事で満足できる「やせ味覚」を手に入れることができます。
また、うま味成分が豊富な昆布やカツオの出汁には、「狂った味覚の正常化」「食欲の抑制」「脂肪燃焼」「便秘改善」「ストレス緩和」などの効果が期待できます。昆布とカツオ両方を用いるのも、うま味が7倍以上になり、痩せ効果もアップするからです。
グルタミン酸 | 昆布に含まれるうま味の素 食後の満腹感を長続きさせて食べ過ぎを防ぐ |
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アルギン酸 | 昆布の水溶性食物繊維 血糖値の急上昇を抑えたり、過剰な脂肪吸収を抑える |
イノシン酸 | カツオの旨味成分 緊張感や不安感などの感情を落ち着かせてストレスを緩和する精神安定作用 ⇒ニセの食欲を抑える 血流促進効果や疲労回復効果、肩こりや冷えの解消、美肌など美容効果 |
カテキン | 緑茶に含まれる 脂肪の吸収を抑える効果、むくみ解消効果 |
より詳細な作り方、飲み方は本書で解説でご確認を。
最後に
今回は、工藤孝文さんの『身体ミニマリスト』からの学びを紹介しました。
繰り返しになりますが、大事なのは「ニセの食欲」と「本当の食欲」を切り分けること。そして、「ニセの食欲」がわきやすい食行動・生活習慣を抑えることで、不要なカロリー摂取を抑え、我慢少なくダイエットを行うことです。
サクッと読める本の中に、いろいろな気づきがあります。是非、本書を手に取り読んでみてください。
ダイエットやメンタルヘルスについては、以下の記事も参考にしてみて下さい。Kindle Unlimitedで読み放題で読めるおすすめ本を紹介しています。