- 競馬を舞台に「血と絆」「夢と継承」を描く、壮大な人間ドラマ
一代で成功を収めた男・山王耕造と、彼に仕える秘書・栗須。彼らを中心に、夢を託す者と受け継ぐ者の20年を描く。 - ダブル受賞に輝く実績
第33回山本周五郎賞、JRA賞(馬事文化賞)をW受賞。競馬を知らなくても感動できる、魂を揺さぶるヒューマンドラマ。 - TBS日曜劇場でドラマ化
主演・妻夫木聡。豪華キャストで贈る“走り続ける者たち”の物語。原作を読めば、ドラマの深層が何倍も胸に響く。
★★★★☆
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『ザ・ロイヤルファミリー』ってどんな本?

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早見和真の『ザ・ロイヤルファミリー』は、競馬を舞台に「家族」「継承」「夢」「血の宿命」を描く長編小説です。
物語の中心となるのは、馬主として一代で財と名声を築いたカリスマ経営者・山王耕造とその息子。
そして、彼を支え、人生の証人として歩む秘書・栗須栄治。
タイトル“ロイヤルファミリー”は、山王家そのものの象徴。同時に彼が育て上げた名馬「ロイヤル」の名にも通じます。競馬の世界で重んじられる「血統」というテーマが、やがて、物語の骨格でもある “家族の血筋と絆”へと重なっていきます。
本作は第33回山本周五郎賞、2019年JRA賞(馬事文化賞)をW受賞。
競馬というニッチな題材を、普遍的な人間の物語へと昇華させたことが高く評価されました。
そして2025年10月の今、TBS系・日曜劇場でドラマ化。
主演は妻夫木聡、共演に佐藤浩市・目黒蓮・黒木瞳という豪華布陣。
JRA全面協力によるレースシーンの再現にも注目が集まります。
競馬の専門知識がなくても、登場人物たちの情熱や苦悩がリアルに描かれており、物語に引き込まれます。
原作を読んでからドラマを観れば、登場人物たちの“心の動機”がより深く理解できるはずです。
ザ・ロイヤルファミリー: あらすじ
本作は、2部構成で、山王家の20年を描きます。
第1部:山王耕造の時代 ―「夢を追う父」
物語は、税理士の栗須が、山王耕造と出会うところから始まります。
耕造は人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」を率いるワンマン社長。
野心に満ち、誰よりも強欲で、誰よりも純粋に「夢」を信じる男。その夢は――「自分の馬でG1を勝つこと」。
栗須はやがて秘書として耕造の夢に巻き込まれていきます。
競馬界は、金・名誉・血統・運が渦巻く世界。
耕造はそのすべてを手にしようとし、家族も、仲間も、彼の“夢”の中で翻弄されていきます。
馬「ロイヤル」の誕生からデビュー、そしてG1への挑戦。
スタートゲートが開く瞬間の緊張、馬の呼吸、観客のうねり。それらは、まるで読者自身がスタンドで見守っているような臨場感が。しかし、競馬レースは、いくらお金を投じようが甘いものではありません。
夢を追い続けた耕造は、夢破れ、さらに、病に倒れ、人生の最期を迎えるのです。
第2部:継ぐ者たち ―「血の意味を問う」
父・耕造の死後、物語は次の世代へ。
耕造が遺したもの――それは、「夢」。
彼の息子たちは、それぞれの立場で父の遺志と向き合う。
ある者は「父を超える」ことを誓い、ある者は「父の呪縛」から逃れようとする。
そして、秘書・栗須は、今度は息子たちを見守る立場となり、山王家“ロイヤルファミリー”と共に歩むのです。
血は人を縛るが、同時に希望もつなぐ。
夢は人を狂わせるが、同時に人生を輝かせる。
その相反する真実が、胸を焼くような筆致で描かれています。
あえてラストシーンはここには記しませんが、胸アツ。次への余韻を残して幕を閉じます。
是非、本作で確認を!
感動ポイント ― 読み終えて心が震えた5つの瞬間
1️⃣夢を託すということ――その美しさと残酷さ
親が子へ、馬主が馬へ――夢を託すという行為には、計り知れない美しさと同時に、逃れられない重さがあります。
とりわけ、それが事業であり、巨額の資金が動く世界であれば、その重みはなおさらです。
託された者は、望むと望まざるとにかかわらず、その夢を背負い、走り続けなければならない。
物語を読み終えたとき、私は「誰かの夢を継ぐ」ということの尊さと、そこに潜む残酷さの両方を、深く胸にかみしめました。
2️⃣ 競馬という“人生”の縮図
レースの緊張感、馬の鼓動、観客の歓声――その華やかな表層の奥には、人間たちの執念と情熱が渦巻いています。
馬を育てる者、資金を託す者、そして信じて走る者。
競馬という舞台を知らなくても、そこに人生を懸ける人々の姿には、自然と胸が熱くなる。
気づけば、馬の物語ではなく、人間の物語を読んでいた――そんな感覚に包まれました。
3️⃣「子は親を超えられるか」という永遠のテーマ
尊敬、反発、そして深い愛情。
父・山王耕造という圧倒的な存在を前に、その子らは、ある者はその意思を継ぎ、あるものは逆らいます。
親の背中を追いながらも、自分の道を模索する彼らの姿は、親子という関係の複雑さと切なさを描き出します。
そして、改めて思うのです。
“ダメな親”のもとに生まれることも確かに苦しい。
けれど、“偉大な親”や“継ぐべきもの”がある家庭に生まれることもまた、別の意味で重く、苦しいと。
親の名や夢、周囲からの期待が大きければ大きいほど、子はその影に苦しみ、もがきながら自分自身を探さなければならない。 この作品は、そんな「継承の重み」と「親子の葛藤」を、丁寧に描いています。
4️⃣ 語り手・栗須の目線で見るローヤルファミリー
この物語に独特の深みを与えているのは、語り手・栗須の存在です。
彼は決して物語の中心に立つ人物ではなく、あくまで傍らから静かに見つめる人。
その一歩引いた立ち位置だからこそ、競馬という熱狂の渦に呑まれることなく、登場人物たちの“狂気”や“情熱”が、より鮮やかに、そして生々しく浮かび上がってきます。
栗須の誠実な視線が、山王家の栄光と翳り、そして競馬界の光と影を余すところなく映し出し、物語全体に重みと奥行きをもたらしています。
5️⃣ 圧倒的な構成力
600ページ近い長編――そのボリュームに一瞬たじろぐかもしれません。
しかし著者は、ロイヤルファミリーの20年という歳月を、第一部と第二部で巧みに編み上げ、すべての登場人物に「生きてきた時間」の重みを与えています。
脇役ですら、その人生が確かに存在していたと感じさせる描写力。
物語は一気に読ませながらも、読後には登場人物たちの歩みが心に残る、圧巻の構成力です。
📝 まとめ ― ドラマ化 でさらに広がる“ロイヤルファミリー”の物語
『ザ・ロイヤルファミリー』は、家族とは何か、継ぐとは何か、夢を追うとは何か――その問いを真正面から描いた、人間ドラマでした。
そしてラストシーンを通じて、勝つことよりも、走り続けること。
馬の姿を通じて、「まだ走れる」と奮起し、「走り続ける」ことの大切さを教えられたように思います。
この物語は、TBS 日曜劇場でドラマ化されたことで、さらに作品への関心が広がっていきます。
- どのエピソードが中心になるか(原作長編をどう尺に落とし込むか)。
- 内面が大事なヒューマンドラマ。感情表現や人物の掘り下げをどう構成するのか。
- 競馬レースの臨場感はかなり期待!(JRAの全面協力あり)
原作も読めば、ドラマがより楽しめるはずです。感動したい方、心を奮い立たせたい方も、是非、本作を手に取り読んでみてください。
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