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【書評/感想】クリスマス・キャロル(ディケンズ) 強欲守銭奴の人生を変えたXmaxの出来事。児童書と思うな!大人こそ読むべき世界的名著

【書評/感想】クリスマス・キャロル(ディケンズ) 強欲守銭奴の人生を変えたXmaxの出来事。児童書と思うな!大人こそ読むべき世界的名著
クリスマス・キャロル」要約・感想
  • クリスマス・キャロル』はクリスマス小説の中でも最も有名な世界的名著。英国の文豪チャールズ・ディケンズの代表作
  • 主人公はロンドンの初老の商人スクルージ。「金がすべて」の守銭奴。冷酷無慈悲で人間嫌い。クリスマスなんて時間とお金の無駄だと考える、「金がすべて」の守銭奴。
  • クリスマスの前夜、彼の過去・現在・未来を知る不思議な訪問者が現れー。彼は自分の人生を改める。本作の教えは、「お金が全て」になりがちな、現代人の心に深く刺さる!お金との付き合いを変えるきっかけに!

★★★★★ Kindle Unlimited読み放題対象本

目次

『クリスマス・キャロル』ってどんな本?

著:ディケンズ, 著:越前 敏弥
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Kindle Unlimited対象本

クリスマス・キャロル』はクリスマス小説の中でも最も有名な世界的名著。1800年代に書かれた英国の文豪チャールズ・ディケンズの代表作です。

主人公はロンドンの下町で商売をしている初老の商人スクルージ。

彼は「金がすべて」の守銭奴。冷酷無慈悲で人間嫌い。一銭にもならないどころか時間を無駄にし散財する、クリスマスを祝うことなど愚劣だ!と本気で思って生きている嫌われ者の老人です。しかし、クリスマス前夜に起こった不思議な出来事で、彼は生き方を転換します。

本書は、絵本や児童書として知られています。しかし、大人こそ読むべき本!、ミヒャエル・エンデの『モモ』が、時間の大切さが心からわかる「大人」が読んでこそ、その良さがよくわかるのと同様、本作も、大人こそ、「生き方」いついて、考えさせられる本です。

ディケンズがクリスマス・キャロルを執筆したのは18世紀。英国の産業革命の時代で、人々の生活が大きく変わる過渡期です。小説には、まだまだ牧歌的な古き時代の習慣を大事にする人々と、工業化の波とでよき時代の文化・心を忘れてしまったスクルージのような人物が交差して描かれます。

時代の変化と忙しさで「人としての優しさを失う主人公の姿」は現代人にも重なります。

世の中が、家族・知人と楽しく幸せに過ごす、クリスマス🎄
そんな特別な日の持つ意味を、かみしめるためにも、読んでみてはいかがでしょうか。

クリスマス・キャロル:あらすじ

クリスマス前夜。今年も、「クリスマスなんて馬鹿げている」と、クリスマスの施しを請う人をも冷たくあしらったスクルージ。そんな彼の元に、7年前に亡くなったビジネスパートナー・マーリーが、突然、亡霊となってスクルージのもとに現れ、警告します。

亡くなった共同経営者が亡霊となって現れる

自分のように生涯を悔いながら過ごしたくなければ、心を入れ替えろ

マーリーは、死後、亡霊となり辛い日々を過ごしていました。身をもって、銭欲や物欲に取り付かれた人間は死後も悲劇が待っていることを知ったからです。マーリーは、「3人の聖霊が順にやってくるので、彼らに会い、生き方を変えよ」とスクルージに告げ、姿を消します。

そして、その予告通り、スクルージの元に3人の精霊がやってきたのです。彼らは、スクルージを彼の過去、現在、未来へと連れていきました。そこで見た光景は、スクルージにとっては、耐え難いものでした。

第一の精霊:過去への旅

スクルージが最初に連れていかれたのは「過去」。

スクルージも幼いころは、普通に夢を持っていた少年でした。しかし、貧乏と不運で次第に守銭奴に。そして、恋人にすら、優しい言葉をかけたり、顧みる心さえ失ってしまいました。

第一の精霊は、スクルージの若き日の記憶を見せ、彼が愛と幸福を失った経緯を思い出させたのです。

第二の精霊:現在への旅

第二の精霊が連れて行ったのは現在。第二の精霊は、現在の人々の生活をスクルージに見せます。

貧しくとも愛で包まれた明るいスクルージの知人クラチットの家族。彼の家は貧しく、末子ティムは病気で長く生きることはできません。そんな家族は、豪華な食事もないけれど、慎ましくクリスマスを祝う家族の姿をスクルージに見せます。それは、自分の人生にはまるでない温かな光景でした。

スクルージは、聖霊に会う前に、貧しき人への寄付を求めてきた男性に「余分な人口が減って丁度いい」と暴言を吐き捨て追い返したことを思い出し、胸が痛くなります。

第三の精霊:未来への旅、そして、改心

最後の精霊はスクルージを「未来」に連れていきました。

しかし、連れていかれた先に自分の姿は見当たりません。そして、荒れ果てた墓地の見捨てられた墓碑に自分の名前を見つけます。スクルージは未来で、孤独で悲惨な死を迎えていたのです。

スクルージは、過去・現在・未来を見て、激しく動揺。これらの体験を通じてスクルージは自分の生き方を改める決意します。

クリスマスの日、スクルージは人が変わったように親切で寛大な人間となり、クラチット一家や甥の家族に贈り物を贈り、街の人々とも温かく接するようになります。そして、周囲の人に感謝される人になっていくのです。

本作の教訓

読者は、本作を通じて、以下のような教訓を得ることになります。

  • 利己主義からの脱却
    お金や物質的な利益だけでなく、他者とのつながりや思いやりが人生を豊かにする
  • 自己改善の可能性
    過去にどんな過ちを犯しても、反省と行動次第で人は変わり、幸せな未来を築ける
  • 人間関係の価値
    他者への慈愛や助け合いは、人間としての成長や充足感をもたらす
  • 時間の重要性
    今という時間は有限であり、未来を変えるためには今行動することが大切

結論だけ書いてしまうと、とても薄っぺらい内容となりましが、ストーリーを読むことで、これらの教えが心に染み入ります。名著と言われる理由は、読んでこそわかります。

本書の中には、いろいろな素敵な言葉、考えさせられる言葉が出てきます。それらを抜粋し紹介します。

クリスマスでは喜びを分かち合う日

クリスマスがくだらないって、伯父さん、まさか本気じゃあないでしょうね
(略)
世の中には、幸せを感じること、喜びを与えられることがいくらでもありますよ。クリスマスはその最たるものです。
(略)
クリスマスは喜びの時です。人がみな、優しく、大らかで、慈しみの心をいだくようになる、嬉しい季節です。男も女も申し合わせたように狭い心を 寛げて、自分より身分の低い相手も墓場にいたる人生の旅の道連れで、行く先の違う無縁の集団ではないのだという気になります。そんなことが起きるのは、一年を通じてこの時期だけですよ。

物語のはじめ、スクルージをクリスマスディナーに招待しにやってきたフレッドがスクルージに語った言葉です。こんな風に、クリスマスを祝える人生は、裕福でなくともきっと幸せなはずです。

しかし、これらの言葉に、守銭奴のスクルージは、実のふたもない言葉を彼に返し、誘いも断ります。さらに、この後、クリスマスだからと仕事の早上がりを懇願したボブに「その分、明日早く出勤しろ!」との言葉を浴びせます。

人の心を失ったスクルージに恋人はー

貧乏は、時として、人の性格を変えてしまいます。そんな兆候が表れたのは、スクルージが若手の未熟を脱していよいよ脂が乗ってきたころ。この当時の彼が以下のように表現されています。

その顔はまだぎすぎすした後年の皺を刻まず、知謀と 強欲 の 滑りが浮きはじめるところだった。猜疑と我執を宿してせわしなく動く目は、心に根を降ろした 怨念 の木がやがて枝葉を広げて落とすであろう影を予兆していた。

そして、この当時、お付き合いしていた女性から、以下のような言葉を浴びせられます。なんとも厳しい批判です。

今のあなたは拝金主義。商売は誰に恥じることもない、正々堂々の行為だ! 世の中に、貧乏ほど始末の悪いものはない。それなのに、金儲けというと、世間では 蛇蝎 のように忌み嫌う!あなたは世間体を気にしすぎるのよ。
あなたの夢や希望は、人からとやかく言われたくないという、ただそれだけに凝り固まっているのだわ。私はね、あなたが純粋な憧れや高い志を次々に失って、とうとう暴利をむさぼる執念の 虜 になるのを見てきたのよ。

最後に

今回は、ディケンズの名著『クリスマス・キャロル』のあらすじと感想を紹介しました。

あなたも、日々の忙しさで、優しい心を失っていませんか?

クリスマスシーズンになるとリースや、小さなクリスマスツリーのオブジェを飾ったりしますが、それだけでも、少し暖かな気持ちになれます。たとえ、仏教徒の日本人には異文化であったとしても、クリスマスと共に皆の幸せを願う暖かな気持ち心は忘れないようにしたいものです。

読んだことがない人はもちろん、子どものころに読んだことがある人も、今一度、大人の目で読んでみてください。忘れていた大事なことに気づけるはずです。

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書籍で読むのはちょっと…という方は、マンガでもいいので読んでみて!

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