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【書評/要約】こうして、人は老いていく(上村理絵) ウォーキングで寝たきりは防げない!健康格差の負け組にならない、衰えていく体との上手な付き合い方

【書評/要約】こうして、人は老いていく(上村理絵) ウォーキングで寝たきりは防げない!健康格差の負け組にならない、衰えていく体との上手な付き合い方
こうして、人は老いていく要約感想
  • 人生100年時代においてはざっくり1/3は「老後」。今後ますます「健康格差」は広がる。衰えていく体との上手な付き合い方を知ることが大事
  • 老化には「肉体的な老化」と「精神的な老化」がある。肉体的老化の一つ、筋力の低下は30歳からはじまり50代で加速。精神的な老化は60代で加速する人が多い
  • ウォーキングで寝たきりは防げない自己肯定感が低いと早く老いるなど、長く高齢者に関わってきたプロからのアドバイスは、老人はもちろん、親の介護が必要な人、若い人にも役立つ!

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目次

『こうして、人は老いていく』ってどんな本?

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『人生100年時代』と言われる昨今。今後、益々大きな問題になるのが、「健康格差」です。

老化には個人差があるので、何歳からが老後と定義はできません。しかし、人生100年時代においてはざっくり1/3は「老後」です。学生時代よりはるかに長い期間を、老いていく体とつき合っていく必要があります。

上村理絵さんの著書『こうして、人は老いていく』は、タイトル通り、衰えていく体と上手につき合う方法を教えてくれる本です。

上村さんは、20年以上、高齢者の身体機能維持のリハビリに関わってきた経験者。長く高齢者とつき合ってきたからこそ語れる、老いていく体とのつき合い方が学べます。

まだ老後には早い40代、50代も、親の介護に向き合う必要があります。親にいつまでも「動ける身体」でいてもらうためにも知識が必要です。親のため、そして、自身の老後のために、人はどのように老いていくか、身体機能面、精神面の両サイドから知っておくことをおすすめします。

【精神面】こうして、人は老いていく

「自己肯定感が低い」と早く老いる

同窓会で感じる「老化の個人差」。その差は、70歳、80歳になるとさらに鮮明になります。見た目の差だけではなく、「体が自由に動くか」という「身体の機能差」となって現れるからです。

このような「老化の個人差」はどうして起きるのか?

老後、寝たきり・動くのが大変な状態にならないためには、「肉体的な老化」の進行を押さえることが欠かせません。しかし、それと同等に大事なのが「精神的な老化」状態とならないことです。

60 代になると急速に「精神的な老化」が進む人が増えます。老け込みやすい人に共通するのが、「毎日がつまらない」など、後ろ向きのことばかり口にしている「自己肯定感の低い人」です。

「肉体的な老化」を加速する「精神的な老化」

精神的な老化」とは、目標に向けて頑張っていく気持ちや活動的に動いて何かを得ようという前向きな気持ちが奪われた状態です。その原因を引き起こすのが、「自信の 枯渇」 です。

特に男性の場合、仕事を辞めると目標を失いがちです。また、自信がなくなると、人は人生に対してのあきらめや後ろ向きの気持ちが心を支配するようになります。そして、 変化する体を受け入れ、改善しようとする意識を奪っていくのです。

結果、体を動かさなくなり、肉体が衰え、それがさらなる「精神的な老化」を生み出すという「老化スパイラル」に陥ります。 「精神的な老化」は、「肉体的な老化」を加速させる大きな要因であることを忘れてはいけません。

「ライフスタイルの変化」「環境の変化」にも注意

「ライフスタイルの変化」「環境の変化」にも注意が必要です。年齢を重ねると、大事な人が亡くなる、同年代の知り合いが入院するなど、暗いイベントが増加。ここからくる絶望感、喪失感、不安感が、意欲・気力といった「精神的な若さ」を奪っていきます。

日本は他国に比べて、介護施設の利用者の「寝たきり」の割合が多いことがわかっています。介護制度が充実している北欧の国 スウェーデンに比べ9.7倍、米国と比べても6.3倍です。

日本でこれほどまでに寝たきりが多い理由も、「精神的な老化」が大きく関わっています。小さい時から「暗い老後」が刷り込まれており、ヨーロッパなどのように「明るい老後を楽しむ文化」が根付いていません。代わりに根付いているのが「老後のあきらめ文化」です。

「自分は若い!」と主観年齢を若く保つことが大事です。「加齢」は避けられない一方で、「老化」は予防したり、進行を遅らせたりすることができます。諦めず、前向きになることが大事です。

【肉体面】ここが寝たきりの分かれ道

気持ちを若く保つことは大事ですが、それだけでは、「肉体的に若い身体」は維持できません。
また、「老後はウォーキング」と言われますが、ウォーキングだけでは、「寝たきり」は防げません。

加齢とともに急速に落ちる「筋肉」

寝たきりにならないためには、「起き上がる力(筋力)」が必要です。それこそ、自由に動くためには、全身の筋肉が必要になります。しかし、筋肉量は30代から徐々に減少し始め、特に50代以降は加速度的に減少します(上図参照)。筋肉量の低下でエネルギー消費量も減り、太りやすくなり、さらに動くのがおっくうになりやすくなります。

また、年齢を重ねると、病気や入院などが否応なく増えます。私たちは「病み上がりは安静に…」と考えて、体に負担をかけないように努めます。しかし、このことが、「寝たきり」となる体力低下に拍車をかけます。親の介護は面倒を見過ぎない。「手」ではなく「目(見守り)」を貸すことが大事です。

ウォーキングで寝たきりは防げない

筋肉の観点から見ると、ウォーキングで鍛えられるのは「遅筋」です。対して、ベッドから起きるなど、体を起こすために必要な筋肉は瞬発的な力を発揮する「速筋」です。年齢を重ねるとともにより落ちやすくなるのも「速筋」です。

ウォーキングと並行して、筋トレが必要なのは明らかです。本書内では、ジムなどでのトレーニングと分けるために、「リハビリ」と呼んでいます。

ウォーキングで寝たきりは防げません。しかし、ウォーキングで心肺機能が鍛えられ、身体活動量の増加につながり、血液の循環がよくなることで、結果として生活習慣病の予防に役立ちます。

「転びやすい体」に変えてしまう見えない敵

「転びやすい体」に変えてしまう見えない敵とは「重力」です。筋肉が弱ってくるにつれ、 重力に負けて、直立不動の姿勢(まっすぐ立つ)を保てなくなります。

ただ、人間の体は非常によくできており、筋肉が衰えたら衰えたなりに自動的に姿勢を変えてバランスをとります。その結果起こるのが、いわゆる「背中・腰が曲がった老人姿勢」です。背中が丸まり、肩と頭が前に出て、その代わりに骨盤が後ろに倒れ、お尻が後ろに突き出て、膝を曲げた状態を「円背(えんぱい)」と呼びます

円背になると怖いのは「転倒」です。約5kgの頭を支えられず、前側に転びやすくなります。また、円背が進むと、立ち上がり動作が急激に大変になり、手を使わないと立ち上がれなくなります。状態がさらに悪化すると待っているのが「寝たきり」です。

これを防ぐためにも、重力に負けないようにバランスをとる「抗重力筋」。足を上げた瞬間にバランスをとる「腰方形筋」「中殿筋」を維持することが必須です。

足腰が衰えさせないセルフリハ

30歳以降は、何もしないと衰えてしまう筋肉を維持するための筋トレが必要です。一方で、一定の年齢になったら、筋肉は量を増やすよりも、ほぐして質を高めるほうが楽になります。

本書では、筋肉を維持すると共に、固まった筋肉をほぐす誰でもできる「セルフリハ(セルリハビリテーション)」がいろいろ紹介されています。

最後に

いつまでも元気でイキイキしていることは、社会貢献

今回は、上村理絵さんの『こうして、人は老いていく』 からの学びを紹介しました。

生きていくうえで、最も幸せを左右するのが「健康」です。本作は心身ともに健康でいることの大切さ、そして、健康的に過ごす筋肉の保ち方も教えてくれます。

上村さんが語るように、年老いても生き生きしている方は、心身健康であることに努め、自立して生きようと努めてている点で共通しています。病院に行かずに健康でいることは医療費を使わない事でも社会貢献。老後の蓄えも適度に使って使う方が、経済面での社会貢献になるばかりか、楽しく老後を過ごせます。

私は、いつまでも元気に「DIE WITH ZERO(ゼロで死ぬ)」ことを目指ます!

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