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【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学(和田秀樹) なぜ、「冷たい人」が増加中?自他にやさしく機嫌よく、前向きに生きるヒント

【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学(和田秀樹) あなたの心の中にある「冷たさの正体」は?自分のためにやさしくなるためのヒント
なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学」要約・感想
  • 現代社会は心に余裕がなく、人に優しくできない人が増えている
    そもそも、人は意外と優しくない。相手に対する「思いやり」や「好意」の気持ちだけでなく、「見返り」「打算」といった損得勘定がある
  • 人は心に余裕がないと優しくなれない。その理由を心理的・脳科学的な観点から解説
  • 人のためにといつも自分を犠牲にしていては、継続して人を大事にすることなどできない。「人に優しく、自分にも優しく」という「利己」「利他」の両立が大事。本書では、そのためのコツが様々紹介される

★★★☆☆ Kindle Unlimited読み放題対象本

目次

『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』ってどんな本?

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あなたは優しい人ですか?

価値観や考え方が多様化した現代社会では、 何が本当の優しさなのか、ハッキリとわからなくなっています。また、不況・物価高・経済格差などにより、「自分が生活するだけで手一杯」な人が増えたことで、 周囲の人たちに気を配るだけの精神的な余裕も失われています。

人は意外と優しくありません。それは、相手に対する「思いやり」や「好意」の気持ちだけでなく、「打算」や「自己防衛」といった損得勘定が働いていることも多いからです。

辻村深月さんの小説『傲慢と善良』の大ヒットも、相手への「好意」の気持ちと共にある、自分本位な傲慢さ=打算が、まるで自分のことを指摘されているようで、多くの人の心に刺さったからでしょう。

なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』は、和田秀樹さんが精神科医の視点から「優しい人」を解き明かす一冊です。多角度から「優しさの本質」に迫ります。また、「優しい人になりたいのに、なぜ人は優しくなれないのか?」という問いに対し、その解決策を提示してくれます。

人に優しくあることは、まわりまわって自分のためである」ことを、深く理解できる一冊です、

なぜ、優しくできないのか?

人に優しくできる人は、自分に対しても優しい

和田さんは、優しい人には次の5つの特徴があると述べています。

  1. 見返りを期待しない
  2. 敬意を持って人と接する
  3. 相手の気持ちを想像できる
  4. 相手によって態度を変えない
  5. 人の幸せを一緒に喜ぶことができる

このような「他人に対する優しさ」を持つために最も大事なのが、「人に優しく、自分にも優しく」というマインドを持って生きる」こと。以降では、その理由を明らかにしていきます。

「優しくなれない」理由

この社会には、人に 優しく すると、自分が 損すると思っている人が大勢います。特に日本人は相手の「好意」 を勝手に期待するところがあります。相手に悪気がなくても、こちらが期待しているような反応を示してくれないと、 何だか裏切られた気分になり、いらっとするのです。そして、これが悪化すると、相手に敬意を払わなくなったり、無関心になったり、憎悪を抱きます。

この原因は、意識的であれ、無意識であれ、相手からの「見返り」を求めているからです。しかし、これは損な考え方です。

人に優しくできれば、人からも優しくされます。 彼らの優しさにより、いいこと・幸せなことが増え、人生がうまく回り始めます。信頼の獲得、ストレス軽減、安定したメンタルも手に入ります。そして、益々、人に優しく接することができるという好循環サイクルが生まれます。

「情けは人の為ならず」 は、科学的にも 正しい考え方

情けは人の為ならず」という格言は、人に対する情けは、相手のためではなく、 巡りめぐって自分のためになるという教えです。心理学の「返報性の法則」も、優しさが巡り巡って自分に返ってくることを裏付けています。

「返報性の法則」はプラスにもマイナスにも働きます。相手に嫌なことをされた場合に生じる「復讐心」ははマイナスの側面です。

脳科学が示す「優しさのメリット」

心理学だけでなく、脳科学的にも「優しさ」にはメリットがあります。

人に優しくすると、セロトニンやオキシトシン、ドーパミンといった脳内ホルモンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されやすくなり、結果として自分自身の幸福感が高まります。こうして、ますます、幸福になるのです。

セロトニン幸せホルモン・ポジティブで前向きな気持ちになる
・メンタルを安定させ、幸福感を得やすくする
オキシトシン愛情ホルモン・ストレスの軽減、不安や心配の緩和
・気分を安定させ、人を愛する気分にさせる
ドーパミン快楽ホルモン・意欲向上・集中量アップ・頭が冴える
・ポジティブな気持ちになり、やる気がでり

心に余裕を持ち、優しくなる方法

人に優しくあるためには、心に余裕をもつことが大切です。しかし、現代社会では、不況・格差で心の余裕が奪われ、心の「歪み」が増大しています。この「歪み」を自覚し、正すことが大事です。

なぜ、社会的弱者バッシングが増えているのか

昨今、社会的弱者バッシングが頻発しています。その背景には次のような理由があります。

  • 人を見下し罵倒することで「憂さ晴らし」
    • 「自分の方がマシだな」 と優越感を感じることで、自分の置かれた苦しい状況を忘れようとしている
    • 人との比較で相手を貶める行為は、自分を「みじめ」にするだけ
  • 弱者に対する「想像力」が欠けている
  • すべてが「他人事」で「自業自得」と考えている
    • 何の根拠もなく、「自分だけは平気」「自分だけは特別」 と考えている
  • 自分の意見こそが「正論」だと思っている

こうした発想を続けていても、 自分の生活が豊かになることも、人生が楽しくなることもありません。勝ち負けや損得勘定で物ごとを判断していると、次第に自分を見失うことになります。こうした考え・発想は一刻も早くやめるべきです。

なぜ、「金持ちは喧嘩せず」?

「金持ち喧嘩せず」という 諺 がありますが、これは心理学的にも正しい考え方です。合理的に考えて、喧嘩には生産性ががありません。また、金持ちは、生活の心配がないため、気持ちに余裕があり、人にもやさしくできます。

ここで大事なのが「自己愛」です。金持ちの多くは、自己愛に満たされています。

自己愛は、視点を変えれば、「人に愛されたい」 とか、「人に褒められたい」 という欲求でもあります。一方、自己愛が満たされないと「欲求不満」となり、この状態が慢性的に続くと、考え方がネガティブに傾きます。

通り魔的な凶悪犯罪の原因のほとんども、「自己愛が満たされていない」ことが起点になっています。何で自分でだけ、という運にも神にも見放されたという気持ちが社会への憎悪となり、犯行に至るのです。これは極端なケースですが、心のコンディションを整えるためにも、自己愛を満たすことが大事です。

人にも自分にも優しいマインドの持ち方

優しい人であるためには、自分なりの「判断軸」を持って、 言動や考え方がブレないことが大切です。その時どきで言動や考え方が揺れ動くと、自分を見失うだけでなく、周囲の人たちから「気まぐれな人」と思われてしまうからです。

ここで大切になるのが、自分を大切にする「利己」と人を大事にする「利他」の両立です。人のためにといつも自分を犠牲にしていては、継続して人を大事にすることなどできないからです。

「人に優しく、自分にも優しく」というマインドを持つことです。

また、カッコ悪いことはしないという「美学」を持って行動することも役立ちます。美学といっても難しいモノではなく、約束を守る/言い訳をしない/人の悪口を言わない/感謝するといったことです。自分の美学を持ち、それに沿って行動すれば、軽率な振舞いが抑えられ、また、自然と多利的な考えができるようになると、和田さんは教えてくれます。

優しくあるためには「明るくあること」も大切

優しくあるためには、心の余裕が必須です。そして、また、様々な意見を受け入れられる「明るい気持ち」であることが必要です。

「明るいこと」もいい人生を送るための人生戦略です。『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』も合わせて読んでみることをおすすめします。

最後に

今回は、和田秀樹さんの『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』の学びを紹介しました。
本記事では割愛しましたが、本書には以下についても詳細解説されています。

  • 他人に優しくなるために共感力を持つ方法
  • 優しい人になるために「生活を変える」方法
  • 優しい人になるために「考え方を変える」方法

現代社会で優しくなることを難しくすることがたくさんあります。しかし、和田さんが本書で強調するように、「優しさは巡り巡って自分のため」になります。是非、本書を手に取り、よりよい人間関係/人生を築くヒントを頂いてください。

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