- NHK大河ドラマ『光る君へ』を深堀りする おすすめ本を紹介
平安時代から、1000年読み継がれる名著・名作が多数! - 平安時代・国風文学は、大きく以下の3つのジャンルにわけられる
- 日記・エッセイ(枕草子、紫式部日記、小右記 他)
- 物語(源氏物語、大鏡、竹取物語 他)
- 和歌(古今和歌集、和漢朗詠集)
- 本記事では、平安・国風文化を代表する「日記・随筆」の特徴・魅力を紹介
NHK大河ドラマ「光る君へ」で平安時代・国風文化作品に注目!
NHK大河ドラマ『光る君へ』の放送が始まって以来、平安時代に興味を持ち、平安時代ゆかりの本を読むようになりました。
平安文化と言えば「国風文化」。10世紀の初め頃から11世紀の摂関政治期を中心とする文化です。894年に遣唐使が停止され、かな文字が発展、藤原摂関政治による貴族文化の繁栄を背景に、かな文字による女流文学(女房文学)が発展。物語・日記・随筆作品が数多く生まれました。
ただ、国語の「古文」、社会の「歴史」でタイトルは聞いたり、覚えたりしたことはあっても、その作品の魅力を知る人は少ないのではないでしょうか。
しかし、NHK大河ドラマ『光る君へ』をきっかけに、清少納言の『枕草子』、紫式部の『紫式部日記』『源氏物語』などに触れ、平安文学の面白さに開眼!目下、平安時代の国風文学を読み進め中です。
何せ、1000年読み継がれる文学です!平安文化が注目されている2024年、是非、この面白さを味わってほしい!
そこで、本記事では、平安時代・国風文化を代表する文学作品の特徴や魅力を、わかりやすく紹介します。
- 平安時代に興味がある方
- NHK大河ドラマ『光る君へ』をきっかけに、平安時代に興味を持った方
- ドラマを楽しむだけでなく、登場人物がどんな人だったか、著作物を通じて学びたい方
- 観光スポット・美術館・博物館などで、歴史に触れるのが好きな方
国風文化・平安文学 一覧(まとめ)
国風文化を代表する平安文学を一覧にしてまとめました。
興味を持っていただけるようにNHK大河ドラマ『光る君へ』役者も併記しています。
タイトル | 著者 編集 | 特徴 | 『光る君へ』 役者 | |
---|---|---|---|---|
❶日記・随筆 | ||||
土佐日記 | 紀貫之 | 土佐守の任務を終えて帰る旅の途中のことを女性を装ってかな文字で書いたネカマ日記 | ||
蜻蛉日記 | 藤原道綱の母 | 夫・藤原兼家との生活の不満を綴った嫉妬&愚痴日記 ザ・待つ女 | 財前直見 | |
和泉式部日記 | 和泉式部 | 自らの禁断の恋について綴った日記 そこまで書く!?18禁の書 | 泉里香 | |
枕草子 | 清少納言 | 千年通じる本音全開の「ぶっちゃけ話」をつづった、現代人にも通じるド・共感エッセイ | ファーストサマーウイカ | |
紫式部日記 | 紫式部 | 主人彰子に使える宮仕えの日々をつづったルポエッセイ 道長、彰子、宮仕え女房をイキイキ描く 清少納言『枕草子』の酷評も | 吉高由里子 | |
更級日記 | 菅原孝標女 | 後悔と懺悔の日々の40年間を綴った源氏物語オタの回想録 夢の儚さ・現実の厳しさを描く | ||
小右記 | 藤原実資 | 唯一、藤原道長に対抗できた男の日記 筆マメ男の記録 | 秋山竜次 | |
権記 | 藤原行成 | 藤原道長の腰巾着的人物・藤原行成の日記 平安朝の朝儀や学芸、風俗を知る一級資料 | 渡辺大知 | |
御堂関白記 | 藤原道長 | 藤原道長のビジネス手帳 | 柄本佑 | |
❷物語 | ||||
竹取物語 | 未詳 | 日本最古のかな物語。現在は「かぐや姫」として一般化されたファンタジー | ||
伊勢物語 | 未詳 | 安時代初期に実在したチャラ男・在原業平を主人公にしたといわれる歌物語 | ||
うつほ物語 | 未詳 | 遣唐副使・清原俊蔭とその子孫を主人公とした物語 リアリティ溢れる日本最古の長編 | ||
落窪物語 | 未詳 | 養女として引き取られた家で継母にいじめられる姫の物語 平安版シンデレラ | ||
源氏物語 | 紫式部 | 光源氏を主人公にした目くるめく王朝ラブロマンス | 吉高由里子 | |
大鏡 | 未詳 | 徳天皇から後一条天皇まで、14代、176年間を描いた歴史物語 その後『今鏡』、『水鏡』、『増鏡』と続いていく「鏡物」の一作目。昔話スタイルで藤原道長を中心とした摂関政治の社会を描く | ||
栄花物語 | 未詳 | 宇多天皇から堀川天皇までの15代約200年の宮廷貴族社会を描いた世継物語 藤原道長を賛美し、『源氏物語』に通ずる物語要素を多く含む | ||
❸和歌 | ||||
古今和歌集 | 紀貫之 他 | 和歌好きな醍醐天皇の命令で作られた朝廷公認の勅撰和歌集 | ||
和漢朗詠集 | 藤原公任 | 詩の天才・藤原公任が編纂した編集した漢詩集 | 町田啓太 |
本記事で取り上げるのは❶日記・随筆です。以下、順に内容や魅力を紹介していきます。
土佐日記
土佐日記は、古今和歌集の制作にも携わった、平安時代前期から中期にかけての貴族・歌人 紀貫之(きのつらゆき)が書いた 旅日記です。930年頃に書かれました。
当時の貴族社会では「男は漢字を使うのが当たり前」な時代。仕事に関する日記も「漢文」が習わしです。しかし、歌人でもあった紀貫之は、これまでの常識を打ち破り、新しい文学を作り出します。
偽名を使い、女の風を装い書かれたネカマ日記。ただ、作者が紀貫之であることを徹底的に隠そうとしているわけではありません。むしろ、斬新な作風のアピールを楽しんでいるように見えます。
土佐から京に戻るまでの旅路を、笑いあり、涙ありで描いています。雨が降って、船で渡ることができずに、完全に足止めを食らうなど、当時の旅がとても大変だったことが伺えます。結構、珍道中です。
蜻蛉日記
蜻蛉日記(かげろうにっき)は、藤原道綱の母(みちつなのはは)が藤原兼家(かねいえ)の生活を回想的に書き記した日記(自伝)です。
道綱の母は本妻ではありません。当時の貴族社会は妻問婚で、一夫多妻が当たり前。しかも、夫は浮気性。自分は、本妻に対しては格下の身分です。かわいい我が子も本妻の3人の息子・道隆・道兼・藤原道長のようには手をかけてはもらえません。
【百人一首】なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは いかに久しき ものとかはしる
あなたが来ないのを嘆きながら、一人寝る夜が明けるまでの間がどんなにか長いものであるかをあなたはご存じでしょうか。いいえ、おわかりではないでしょうねえ。
上記は、道綱の母の百人一首の句。ザ・待つ女。どんなに兼家を愛していても、ままならない。そんな本妻ではない待つ女の苦悩・葛藤が描かれています。
NHK『光る君へ』では、道綱の母・藤原 寧子(ふじわらのやすこ)を財前直見さん、一人息子の藤原道綱を上地雄輔さんが演じました。本妻の3人の息子・道長とと道綱では父からの受ける待遇も明らかなる差がありました。母としては、道綱の身の上が心配で仕方なかったことでしょう。
現代人の感覚で言えば、『蜻蛉日記』は、著名人の妾のやきもち・不満の暴露本。そんな本が現世まで通じる名著として評価されているのはとても興味深い。平安時代の恋愛の自由さを感じます。
兼家自身も、蜻蛉日記を『蜻蛉日記』とは見ていなかった模様。同じく、平安時代の歴史物語『大鏡』でも、「蜻蛉日記は、和歌の名手だった奥様が兼家様と交わした和歌などを記した作品」として紹介しており、「嫁の恨み告白本」という扱いではありません。
和泉式部日記
和泉式部日記(いずみしきぶにっき) は、和泉式部が、自らの恋愛談をまとめた自伝的日記です。親王など複数の高貴な男性との禁断の恋バナを含んだ、18禁の書です。
和泉式部は、和泉式部は恋多き女性。中宮・藤原彰子に使えた女房で、紫式部や赤染衛門と同僚です。紫式部からは『紫式部日記』の中で「即興の文才のある人で、歌は見事だけど、素行が良くない」と評されています。また、藤原道長からは「浮かれ女」と揶揄されています。
和泉式部は、和歌の達人でもあります。上図は、百人一首にも和泉式部の和歌です。
【百人一首】あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
わたしはもうすぐ死んでしまうでしょう。わたしのあの世への思い出になるように、せめてもう一度だけあなたにお会いしたいものです。
こんな和歌を詠まれた男性は、きっと、心をわしづかみにされたのでしょうね。
枕草子
枕草子(まくらのそうし)は、清少納言が主人・定子とのエピソードや宮中での様々な体験をつづったエッセイ(随筆)。
鴨長明の『方丈記』(鎌倉前期)、吉田兼好の『徒然草』(鎌倉末期)と共に、日本三大随筆と呼ばれています。
『枕草子』は、女同士の本音と建前、恋人との駆け引きなどなど、現代人も「わかる~」激しく同意できるぶっちゃけ過ぎの「ド・共感エッセイ」。これが面白い。
「今カレが元カノの話をするのって、悪気がなくても腹立つ!」
「来るはずのカレを待って一晩中起きてたのに、気がついたら、昼間まで寝てた…」
「めんどくさい女は大嫌い!図に乗るガキも憎たらしい!」
「人との競争に勝つと超うれしい♪ 特に、男に勝ったときは!」 など
清少納言は、平安時代の共感インフルエンサー。清少納言の観察眼がキラリ✨と光ります。
描かれるエピソードは、明るくてユーモラス。そして、主人・定子への愛で溢れています。
定子は、一条天皇から絶大な頂戴を受けながらも、父・道隆の死、兄弟の伊周(これちか)・隆家が花山法皇を弓で射る事件を起こしたことで没落。さらに、定子24歳の時、3度目の出産で後産が悪くて、御子を残し、亡くなってしまいます。
清少納言は、慕う定子を忍び、亡き中宮・定子がいつまでも輝き続けるよう、「華のある定子サロン」の日々を書き綴りました。この清少納言の気持ちは、冲方丁さんの歴史小説『はなとゆめ』 に詳しい。清少納言の定子への思いに、感動&涙します。
紫式部日記
紫式部日記は、紫式部が宮仕えの日々を綴った回想録。後宮を舞台にセレブリティ達の思惑が交錯する、華麗なる政治エッセイです。
- 主人・彰子(ふじわらのあきこ/しょうし)のはじめての出産
- 一条天皇第2皇子・敦成(あつひら)親王の誕生 ※後の後一条天皇
- 宮中の華やなイベントや宴席での人々の様子
- 女房という仕事や同僚女房
- 女流作家の批評
などについて、書き記されていますが、その観察眼たるや凄い。当時の人々が生き生きと表現されています。
特に、以下の3名の様は必見です。
- 娘の入内・お産に政治家としての栄達を賭けた藤原道長の張り切りよう
- 重圧にじっと耐えながらも、やがて、凜 とした女性として開花してゆく彰子の姿
- 彰子を見守りながら、自分も女房として成長してゆく紫式部自身の姿
また、紫式部の性格・人生観も面白い。性格は陰キャ。紫式部の人生観は「人生はあわれなり」。宮仕えで、貧しき身分の人はもちろん、帝など高貴な人であっても、人生はままならないことを知り、なおその人生観を深めたことでしょう。陽キャ・清少納言の「いとおかし」とは対極的です。
このような、筆者の性格・生い立ちなども理解すると、より深く平安時代作品が面白く読めます。
更級日記
更級日記(さらしなにっき)は、中流貴族 菅原孝標(すがわらたかすえ)の次女が自らの生涯を書き綴った自伝です。作者の本名はわからず、藤原孝標女(すがわらたかすえのおんな)と呼ばれています。
時代は1020年〜1059年の約40年間。父の上総介の任期が終わり、市原を旅だった13歳の少女時代から、夫を失ない孤独になるまで40年間を書き綴った回顧記。
藤原孝標女は、『源氏物語』の登場人物「浮舟」にあこがれる夢多き少女。源氏物語推しの熱量凄すぎのオタク女子です。しかし、現実は、親しかった継母との別れ、愛する乳母や姉の死、家の火事など、厳しいものでした。源氏物語のような、きらびやかなあこがれ世界で生きるためには、父の出世が必須でしたが、常陸国司を務めた後に引退、母も出家し、夢を追う暮らしはできません。厳しい現実に直面。一時は源氏物語のような素敵な恋に憧れて田舎から上京して宮中仕えもしますが、親に辞めさせられ、結婚します。
不本意な現実を嘆いてみたところで人生はかわらないー。作者は夫の出世・子の成長など現実的な夢を追いますが、夫は急死。さらなる、どん底に突き落とされます。そして、子どもは独立し、一人ぼっちに…
あこがれの物語の世界、現世での夢も潰え、残るは「深い絶望」のみ…
そして、ひとり孤独の中、「極楽往生」、来世へ夢を繋ぐのです。
このような背景の中、孤独の中、夢見がちだった昔の自分を振り返って書いたのが『更級日記』です。紫式部の人生観に通じますが、「人生はままならない」ですね… そして、千年前のオタク女子は、現代とも何も変わらない。
なお、菅原孝標女の叔母は、『蜻蛉日記』の藤原道綱の母(みちつなのはは)。菅原孝標女の文才は、家系譲り。親子で千年残る文学作品を残すとは、凄いですね。文才を受け継ぎ、後世に名を残す文学作品をこなしたのですね。
小右記
小右記(しょうゆうき)は、唯一、時の権力者・藤原道長に抵抗できた藤原実資(ふじわらさねすけ)の日記です。
『小右記』は、当時の政治史を研究する一級史料。大河ドラマ『光る君へ』では、秋山竜次さんが藤原実資を演じていますが、「日記に書いてやる!」などと愚痴っていたりしますが、『小右記』を知っている人には、かなり笑えるネタです。
藤原実資は、非常にマメに日記をつけた人で、また、90歳まで生きた(957~1045年)ので、いろいろな当時を知るイベントが書き連ねてある!細かく書き綴っているので、平安時代の歴史小説などを読むと、必ず、実資が登場します。
藤原道長の有名な 望月の歌「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる ことも なしと思へば」も、『小右記』の寛仁2年(1018年)10月16日の条に書き記されています。
なお、この歌が詠まれたのは、道長の三女・威子(いし)が、年下の後一条天皇の皇后になったことを祝う宴の後の二次会でのこと。祝宴には道長と子の摂政・藤原頼通をはじめ、左大臣、右大臣など貴族たちがそろって参加し、二次会も座る隙間がないほどのにぎわいで、あちこちで杯が回され、道長自ら酒を注ぎまわりました。
この宴の中で、道長が当時右大将だった実資に「今から座興で歌を詠むので返歌せよ」を依頼するも、実資は「優美な歌で、返歌のしようがない。皆でただこの歌を詠じてはどうか」と出席者に呼びかけて、返歌をしませんでした。実資が返歌を拒んだのは権勢を自慢する「望月の歌」に内心あきれたから。
この宴席でのやり取りが、永井路子さんの歴史小説『望みしは何ぞ』の中で描かれていて面白い。この物語は、道長の子でありながら、2番目の奥さん明子(高松系)の子であったが故に、母を倫子(鷹司系)とする異母兄弟・頼道(よりみち)らに比べて不遇な境遇の中で育った藤原能信(よしのぶ)を主人公。後に摂関政治を終わらせる男・能信が「父は、なんとあきれた歌を詠んでいるのだ」と心の中で酷評する様などが面白い。
話が横道にそれてしまったので『小右記』に話を戻しますが、当時、ビジネスやイベントを知る、重要な手がかりを教えてくれます。
なお、当時の貴族は日記を書く人が増えていたそうですが、それは、摂関政治という政治を私物化するシステム下でのし上がるには、政策決定の手続き・儀式の段取り・作法など、前例をよく知っていることはデキる男の必須条件!マメにメモを残しておくことが大事だったわけです。
『小右記』を知っていると、大河ドラマ『光る君へ』が面白くなります。「おぉ、実資のあのメモか!」とわかって面白いです。
権記
権記は、藤原道長の全盛期、道長のそばで使えた権大納言記・藤原行成の日記です。991~1011年の20年間の日記で、宮廷での政治家としての生活を細かに記しています。
『小右記』『御堂関白記』と共に、安中期公家社会の実相を知ることができる資料であり、特に、儀式に詳しい。道長とも大変親しかったので、平安中期の政治や社会の動き、宮廷内の様子などを知るをみるうえでも大事な日記です。
特に注目したいのは、定子に絡む一条天皇とのやり取り。NHK大河ドラマ『光る君へ』の視聴者は面白く読めます。
冷静に時勢を読みながら、上司・道長に従いながらも、道理に背かず、真面目に淡々と調整に奔走する姿に、現代の中間管理職上の姿を見ます。しかも、道長と同日に亡くなるなんて…
御堂関白記
御堂関白記(みどうかんぱくき)は、藤原道長が書いた日記です。『小右記』にも同じことが言えますが、このころの男性の日記は、カレンダーを発展させたもの。現代で言えば、ビジネス手帳のようなものです。朝廷が発行する当時のカレンダー『具注歴(ぐちゅうれき)』に、日々の出来事や仕事に関するメモを残しました。
タイトルの「御堂」は、晩年の道長が法成寺無量寿院を建立して「御堂殿」「御堂関白殿」と呼ばれたことによる後世の呼称です。
紀貫之は「男は漢字を使うのが当たり前」な時代に、女性に扮してかな文字も使って『土佐日記』(930年ごろ)を書きましたが、1000年前後に書かれた『御堂関白記』では、漢字とひらがなが併用して使われています。(ただし、『小右記』は漢文)。
時代を経て、男性もひらがなを使うようになった証拠ですね。かな文字に象徴される国風文化が広がっていることを感じさせます。
ビジネス手帳メモなので、ただ読んでも面白くはありませんが、角川ソフィア文庫版『御堂関白記 藤原道長の日記 ビギナーズ・クラシックス』では、解説で面白く読めます。華麗で優雅と思いきや、しがらみも多く、気苦労は絶えず、忙しそう。人生の後半は病気がちになり、仏にすがる。普通の人間・道長を知ることができます。
まとめ
本記事では、国風文化を代表する平安文学をの中から、「日記・随筆」作品を取り上げ、その特徴・魅力を紹介しました。
1冊読んでみると、平安時代文学の面白さに気づくはずです。是非、興味のあるものを読んでみてください。
タイトル | 著者 編集 | 特徴 | 『光る君へ』 役者 | |
---|---|---|---|---|
❶日記・随筆 | ||||
土佐日記 | 紀貫之 | 土佐守の任務を終えて帰る旅の途中のことを女性を装ってかな文字で書いたネカマ日記 | ||
蜻蛉日記 | 藤原道綱の母 | 夫・藤原兼家との生活の不満を綴った嫉妬&愚痴日記 ザ・待つ女 | 財前直見 | |
和泉式部日記 | 和泉式部 | 自らの禁断の恋について綴った日記 そこまで書く!?18禁の書 | 泉里香 | |
枕草子 | 清少納言 | 千年通じる本音全開の「ぶっちゃけ話」をつづった、現代人にも通じるド・共感エッセイ | ファーストサマーウイカ | |
紫式部日記 | 紫式部 | 主人彰子に使える宮仕えの日々をつづったルポエッセイ 道長、彰子、宮仕え女房をイキイキ描く 清少納言『枕草子』の酷評も | 吉高由里子 | |
更級日記 | 菅原孝標女 | 後悔と懺悔の日々の40年間を綴った源氏物語オタの回想録 夢の儚さ・現実の厳しさを描く | ||
小右記 | 藤原実資 | 唯一、藤原道長に対抗できた男の日記 筆マメ男の記録 | 秋山竜次 | |
権記 | 藤原行成 | 藤原道長の腰巾着的人物・藤原行成の日記 平安朝の朝儀や学芸、風俗を知る一級資料 | 渡辺大知 | |
御堂関白記 | 藤原道長 | 藤原道長のビジネス手帳 | 柄本佑 | |
❷物語 | ||||
竹取物語 | 未詳 | 日本最古のかな物語。現在は「かぐや姫」として一般化されたファンタジー | ||
伊勢物語 | 未詳 | 安時代初期に実在したチャラ男・在原業平を主人公にしたといわれる歌物語 | ||
うつほ物語 | 未詳 | 遣唐副使・清原俊蔭とその子孫を主人公とした物語 リアリティ溢れる日本最古の長編 | ||
落窪物語 | 未詳 | 養女として引き取られた家で継母にいじめられる姫の物語 平安版シンデレラ | ||
源氏物語 | 紫式部 | 光源氏を主人公にした目くるめく王朝ラブロマンス | 吉高由里子 | |
大鏡 | 未詳 | 徳天皇から後一条天皇まで、14代、176年間を描いた歴史物語 その後『今鏡』、『水鏡』、『増鏡』と続いていく「鏡物」の一作目。昔話スタイルで藤原道長を中心とした摂関政治の社会を描く | ||
栄花物語 | 未詳 | 宇多天皇から堀川天皇までの15代約200年の宮廷貴族社会を描いた世継物語 藤原道長を賛美し、『源氏物語』に通ずる物語要素を多く含む | ||
❸和歌 | ||||
古今和歌集 | 紀貫之 他 | 和歌好きな醍醐天皇の命令で作られた朝廷公認の勅撰和歌集 | ||
和漢朗詠集 | 藤原公任 | 詩の天才・藤原公任が編纂した編集した漢詩集 | 町田啓太 |