- 「ディープステート」とは、一部のエリート層が国家や国際的な機関の裏で、密かに権力を握り、重要な意思決定に関与しているとされる闇の支配者のこと
- 政府・国際機関、さらには、金融・経済、安全保障に至るまで、彼らの力は、我々が考える以上に深く入り込む。また、グローバル化、AI、ビッグデータ他の新技術は、彼らの力をさらに強力にしていく
- 本書では、世界を動かす「見えざる力」がどのように働いているか、歴史的背景と共に解説。私たちは何を理解し、どう行動すべきなのかが解説される
★★★☆☆
Kindle Unlimited読み放題対象本
『ディープ・ステートが世界を操る仕組み』ってどんな本?
来るドナルド・トランプ政権の政策を理解する際に重要とされる、「ディープ・ステート(Deep State)」。
「ディープステート」とは、一部のエリート層が国家や国際的な機関の裏で、密かに権力を握り、重要な意思決定に関与しているとされる闇の支配者のことです。この力は表に出ることなく、裏から政治、経済、メディアを操り、私たちの生活に影響を与えているといわれます。
ディープステートは、民主主義的な制度を無視し、自分たちの都合のいいように権力の集中を図り、国民や世界の意志を超越した行動とっていると批判されています。
トランプ氏の勝利(2017年時)や、イギリスのEU離脱(ブレグジット)など、これまでの常識では考えられない事態が起こるのも、伝統的なエリート層の支配を拒む動きの表れであるとも言われています。
彼らは、巧妙に、政治・経済の場に入り込み、「その考え方が正しいもの」であるかのように我々を洗脳・誘導します。
ベンジャミン・フォードさんの『ディープステートが世界を操る仕組み』は、まさに、このような闇の支配者の動きを明らかにするとともに、注意すべきことを知らせる一冊です。
- ディープ・ステートとは何で、我々の生活にどう影響しているかを知りたい方
- 「世界を牛耳る力」の存在とその歴史を知りたい方
- 世界を見る目を養いたい方
現代社会を動かす、闇の権力構造:ディープ・ステートの歴史
現代の国際政治や経済を理解しようとするとき、どのような情報を確認しますか?
おそらく、多くの人は、政府、公式な機関、権力者、さらに、大手企業や大手メディアなどに注目し、情報を得ようとするでしょう。
しかし、これらの表面的な権力構造の「背後」に存在し、世界の動向に決定的な影響を与える「隠れた力」が「ディープステート」です。政府や公式機関から発表なら、彼らの手は及んでいないだろうと考えるのは誤りです。
ディープステートはどのように生まれてきたのかー。その歴史的背景は、中世ヨーロッパの秘密結社にさかのぼります。
【中世ヨーロッパ】テンプルトン騎士団・フリーメーソン
- 歴史的に国家や宗教の中枢に存在し、密かに権力を掌握していたとされる
- こ表向きは慈善活動や宗教的使命を掲げるも、その裏で政治的・経済的な影響力を行使。国家の運営に深く関与
- フリーメイソンは、近代以降もその影響力を保持。現在でも多くの陰謀論やディープステートの議論で取り上げられる存在
【近代18~19世紀】国際金融資本家
- 18~19世紀、産業革命や国際的な貿易の拡大により、国家の権力構造は変化
- この時期、特定の金融エリートが国家の経済政策や国際関係に強い影響力を持つようになる
- ロスチャイルド家やロックフェラー家などの国際金融資本家たちががディープステートの基盤を築く
- 彼らは各国の金融システムを掌握。戦争や経済危機のたびに国家に貸し付けを行うことで、経済政策に対する絶大な影響力を行使
【20世紀】国際的な影の勢力
- 20世紀に入ると、ディープステートはますます国際的な性質を帯びる
- 第一次世界大戦と第二次世界大戦の混乱の中で、国際的な金融機関や多国籍企業、秘密裏に結ばれた国家間の協定が国家の政策に深く関与
- 特に、国際連盟や国際通貨基金(IMF)といった国際機関設立で、表向きは国際協力を掲げつつも、その背後で少数のエリートが世界の経済・政治をコントロールする構造が整えられる
- 冷戦時は、米国:中央情報局(CIA)や、英国:MI6といった情報機関が、各国の政府を陰で操る手法を確立。ディープステート的な操作が国際的に広がるきっかけに
- 国家の枠を超えた新しい秩序が形成。国境や国家主権を超越した一元的な世界政府や経済システムを目指す「新世界秩序(NWO)構想」が浮上
【21世紀】ディープステートの台頭
- 21世紀に入ると、ディープステートの影響力はますます強化。グローバル化で権力はさらに集中
- 国家間の経済的相互依存や国際的な組織の拡大に伴い、特定のエリート層や団体がますます世界の政治や経済に強い影響を及ぼすように
- 特に、国際的な金融機関、巨大な多国籍企業、世界的NGOが、国家の枠組みを超えて活動することで、ディープステート的な権力行使がより隠れた形で進行
- 国際的金融市場の統合が進むにつれて、一部の金融エリートが各国の経済政策に直接的な影響を与え、中央銀行、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などが国家の財政や金融政策をコントロールすることが常態化
- 結果、ディープステートの影響力がより一層強固なものとなる
- AI、ソーシャルメディア、ビッグデータの技術が、彼らの情報収集・操作をより容易に
- 膨大なデータを独占管理する企業は、政府や多国籍企業と密接に連携し、データ収集や監視を通じて、社会や経済の動向をコントロール
世界のディープステートの権力構造
ディープ・ステートの支配力は、様々なところに及んでいます。
- 米国
- 中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)、国防総省、財務省といった政府機関に深く根を下ろす官僚たち
- 彼らは、しばしば自らのアジェンダを進めることができる影響力を持つ。内部告発などもその一つ
- 中国
- 中国共産党 内部の派閥が影の権力構造として機能
- 党の表面的な指導者は一元的な権力を持っているように見えるも、実際には複数の利害関係者や官僚、軍部、富裕層が背後で巨大な影響力
- 「一帯一路」構想は、ディープステート的な影響力を世界に拡散させるための一環として捉えることができる。これにより、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパにおける経済的依存を強化。外交的な影響力を高めている
- 欧州
- 欧州連合(EU)内部の官僚やエリートが各国の政策に強い影響を与え、しばしば国民の意思に反して決定が下される
- ギリシャの経済危機は、欧州中央銀行や国際通貨基金(IMF)などの金融機関が、加盟国の主権を弱体化。グローバル金融エリートの支配が及ぶ
- 国際機関
- 国際連合(UN)や世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)といった国際機関も例外でない
- グローバル金融
- 国際金融機関の影響力は計り知れない
- 国際通貨基金(IMF)、世界銀行、欧州中央銀行(ECB)などの機関は、財政支援や融資を通じて各国に経済的な圧力をかけ、その見返りとして特定の経済政策を強制することが一般的
- こうした政策は、しばしば国民の生活を圧迫するものでありながら、国際的な金融エリートの利益を優先する形で実行される
- 投資銀行やヘッジファンドなどの金融機関も、ディープステートの一環として機能
- 多国籍企業
- 現代のディープステートは、多国籍企業の影響力とも密接に結びつく
- これらの企業は、グローバルな供給チェーンを支配し、国際貿易や経済政策に影響を与える。
- 国家の政策に対しては、圧力をかけるためにロビー活動を実施。自らの利益を最大化するためにディープステート的な手法を駆使する
- 特に、製薬会社、テクノロジー企業、エネルギー企業など、国際的な規模で活動する企業は、政府との結びつきが強く、その政策に影響を与える力を持つ
- テクノロジー企業は、ビッグデータやAI技術を駆使して世論を形成する力を持つ
- メディア
- 主流メディアを通じて情報をコントロールし、世論を操作
- 文化やエンターテインメント業界にも強い影響力。映画、音楽、テレビ番組など、現代の大衆文化は、ディープステートのアジェンダを広めるための手段として利用されている(大衆、特に若者への価値観の刷り込み)
本書には、ディープステートという目に見えない権力構造が、私たちの生活にどれほど深く影響しているのか、より詳細に解説されています。
ディープ・ステートの描く未来に、我々はどう対抗できるのか?
ディープステートのネットワークが最終的に目指すのは、新世界秩序(New World Order, NWO)の実現です。新世界秩序とは、国境や国家主権を超越した一元的な世界政府や国際的なガバナンスシステムを指す概念です。
では、ディープ・ステートの支配力が大きくなると何が問題か?
ディープステートの台頭と共に、国家主権と民主主義の弱体化が進行しています。多国籍企業や国際金融機関が国家の政策に強い圧力をかける中で、国民の声が実際の政治に反映されにくくなっているのです。
選挙によって選ばれたリーダーがディープステートと対立する場合、そのリーダーはしばしば政治的に孤立し、ディープステートの力によって排除されるケースも見られます。こうなると、政治的混乱で被害を被るのは国民です。
ディープステートは、グローバル化・技術進化で、さらに強力化。国家の枠を超えた新世界秩序(NWO)を目指す動きを加速させています。政府も経済も一元的に管理する力が高まるのです。
社会的に意義があると考えられる環境問題などに関する取り組み(再生可能エネルギーの推進や炭素税)なども、裏には、特定の多国籍企業や金融エリートに利益をもたらす仕組みとなっている場合もあります。また、各国のデジタル通貨構想も、裏には、個人の経済活動が完全に管理・監視の思惑があります。ビックデータによる国民監視も然りです。
正直、これらから我々は逃れることはできません。
国民ができることは、まず国民一人ひとりが政治や経済の裏側に目を向けること。情報リテラシーを高め、ディープステートが表面的なメディアや政府の公式発表の背後でどのように機能しているのかを理解し、その動向を注視ことです。
本書には、ディープステートがもたらす危機に対して、個人としてどのように対抗すべきか、より詳細に解説されています。
最後に
今回は、ベンジャミン・フォードさんの『ディープステートが世界を操る仕組み』からの学びを紹介しました。
私たちの行動のほとんどは、ディープ・ステートの影響力下・監視下ににあるのかも…と思わされる内容でした。
自分を守るためには、政府・国際機関・国際金融機関の動き・発言に対し、「その裏側に目を向ける」ことが極めて大事。文字通りの言葉で受け取ってはいけない。そのためにも、世界の権力構造について、今一度、勉強せねばと思った次第です。