- 科学的知見で“苦しくない”走りを実現
運動生理学の専門家が教える「楽に、効率よく走る方法」。苦しまずに続けられる“ロジカルランニング”のヒントが満載 - 誰でもできるスロージョギング入門
時速6km台で笑顔を保てる「にこにこペース」で走る。体への負担が少なく、初心者でもダイエットやマラソン完走が目指せる - 人体の仕組みに合わせた走りを!
人間の体は長距離を走るように設計されている。本来の走り方を知ることで、“走れる体”が目覚める。
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『ランニングする前に読む本』ってどんな本?
「運動不足解消に」「ダイエットに」──そう思ってランニングを始めたものの、三日坊主、膝の痛み、息切れ…。そんな経験、ありませんか?
実は、ランニングはただ走ればいいというものではありません。
正しい知識なしに走ると、疲れるばかりで続かず、体にも負担をかけてしまいます。
そんな“落とし穴”を避けて、効率的で楽しいランニングを始めるための1冊が、ブルーバックスシリーズの
『ランニングする前に読む本』(田中宏暁 著)です。
本書の最大の特徴は、「科学的知見 × 実体験」のハイブリッド解説。
著者の田中宏暁さんは運動生理学の専門家であり、自らも毎日ランニングを続ける実践派の研究者。だからこそ、単なる理論ではなく、「効率的で負担のない走り方」が学べるのです。
「運動」はロジカルにやらないと、辛さの割に効果(運動力の向上・ダイエット)がでない!
苦しくなく、ウォーキングの2倍ものカロリーを消費できて、効率よくダイエットできる。
これまで走ったことのない人でも、フルマラソンを完走できる。
そんな、ロジカルランニングの方法を知りたい方に超おすすめ!私は、この本を読んで走り方が変わりました!
走ることは、本来、決して苦しい運動ではない

驚きの事実ですが、人間の身体はもともと「長距離を走る」ことに適する構造に進化してきたそうです。
私たちの祖先は、数十万年ものあいだ“走って狩りをする”持久狩猟で生き延びてきました。
道具や乗り物がなかった時代、走ることこそが生きるための武器だったのです。
つまり、走る力は誰もが本来持っている「人間の才能」。
それを引き出すためのコツが、本書には詰まっています。
驚くべき指摘ですが、人間の体は、実は「長距離を走る」ことにとても適した構造をしているそうです。私たちの祖先は、道具や乗り物がなかった時代、二足歩行で長時間走り続けて獲物を追い詰める“持久狩猟”をしていました。これが人類の繁栄にも大きく関係しています。
20万年にわたる人類の歴史の中で、農耕が始まったのはたったの1万年前。私たちの体は、今でも「狩猟採集時代の走れる体」のままなのです。
まずは、「走る×身体」の基本を知る。これがわかると、誰もが持つ「走る才能」を100%発揮する“楽に走るコツ”が見えてきます。
【まとめ】「走る才能」を発揮する走り方
まず、あなたの「ランニングの常識」が変わる【あなたの「走る才能」を発揮するために大事なこと】から
- 苦しいペースで走ってはいけない
- かかとから着地してはいけない
- 初心者でも厚底のシューズはNG
- 準備運動は必要ない
- 「走れる身体」を作るための筋トレは必要ない
- 1分の細切れ運動でもOK
- 膝が痛くならない、心臓に負担もかからない
- ウォーキングの2倍、カロリーが消費できる
- 血圧・血糖値が低下、善玉コレステロール値上昇、脳が活性化
- 何歳からでも始められる
【核心】楽しく、効率よく走る。「スロージョギング」のすすめ
著者が推奨するのは、「スロージョギング」という走法です。
これは、笑顔で会話できるくらいのゆっくりしたペース(時速6〜7km)で走る方法です。
- 膝や腰への負担が少ない
- 呼吸もラクで、初心者でも継続しやすい
- それでもウォーキングの2倍以上のカロリーを消費できる
フルマラソン完走も夢ではありません。
【なぜ効果的?】時速6km台が「走るスイッチ」
人間は、平均して時速6.3kmになると自然と「走り」に切り替わるという身体的特徴を持っています。
普通の歩行が時速時速4km、早歩きが時速5km、時速6.5kmでも早歩きはできますが、はた目から見ても、相当急いでいる感があるスピードになります。
なぜ、時速6km台で早歩きになるかは、理由があります。
食べ物が潤沢でない時代、人はできるだけ、エネルギーを使わないように生きることが大事でした。つまり、頭を使ったり、体を動かしたりせずに、ラクをしようとします。同様のことが、「走る」「歩く」でも起こるのです。
ここには、「エネルギー消費」と「しんどさ」が関わっています。
「歩く」VS「走る」:”エネルギー消費”と”しんどさ”の違い

✅ 【歩く VS 走る】エネルギー消費効率
エネルギー消費は、時速8kmで「歩く」「走る」のエネルギー消費が同じになり、それ以上では「歩く」方がエネルギーが必要になります。
ここでのポイントは、「走る」場合、「ゆっくり走っても速く走っても」、1kmあたりの消費エネルギーはあまり変わらないという点です。つまり、同じ距離を走るなら、速く走らなくても、カロリーはしっかり消費できることになります。
✅ 【歩く VS 走る】力学
次に大事なのが、力学的な観点です。前に進むには、次の2つの力(エネルギー)が必要です。
❶重心を持ち上げる力(位置エネルギー)
❷前に進む推進力(運動エネルギー)
「歩く」場合、常に片足は地面についています。そのため、速度を上げると「重心を持ち上げる力」が効率的に使えなくなります。その結果、前進に必要なエネルギーを筋力で補う必要が出てきます。
一方、「走る」場合は、両足が一瞬地面から離れ、バネのように腱や筋肉を使ってエネルギーを回収・再利用します。つまり、スピードが上がっても効率を保てます。
ここで、関わってくるのが「しんどさ」です。
✅ 【歩く VS 走る】しんどさ(主観的強度)
実際に歩いて試してみるとすぐに実感できますが、時速6kmでは「歩く」も「走る」もしんどさはあまり変わりません。しかし、時速7km超になると、明らかに「歩く」方がしんどくなり、体が疲労します。だから、「走る」を選択します。
つまり、ここまでの結果から、次のことが言えます。
人は、時速6km~7kmで、自然と「歩く」⇒「早歩き」⇒「小走り」⇒「走る」になる
実際に試してみるとよくわかる!
ジムに通っている方、ランニングマシンをお持ちの方は、時速6~7kmで速さを変えながら歩いてみて下さい。無意識な方に楽な方を選ぶことが体感できて面白いです。
私は、このことをジムで体感し、運動の仕方が変わりました。どんなスピードでどのぐらい歩く/走るとどのぐらい汗をかくかも体感すると、しんどさを減らしてカロリーを消費する方法も見えてきます。
【実践】スロージョギングのポイント2つ

ポイント1:「にこにこペース」で走る
- 笑顔で会話ができるくらいのスピード
- 疲労物質である乳酸がたまりにくく、体のエネルギー(グリコーゲン)を節約しながら走れる
- ペースの目安:心拍数=138−年齢÷2
心拍数=138−年齢÷2 のペースは、かなりゆるいです。ほんと「にこにこペース」です。
私は、20分で汗をかくために、もっとペースを上げています(130~135を目安)
【補足】心拍数計測にはスマートウォッチ
心拍数計測にはスマートウォッチを利用しましょう。運動だけでなく、睡眠の質向上にも役立ちます。自己投資としておすすめです。以下はスマートウォッチ売れ筋ランキングでも上位のモデルです。
【価格重視】機能と価格のバランスが良い『Xiaomi Smart Band 9』
【Apple信者】Apple Watchの中でリーズナブルなのは『Apple Watch SE』
【高度な計測】プロアスリートも愛用。高度な身体信号計測に対応『GARMIN epix Pro』

ポイント2:フォアフット着地&小さな歩幅
現代の厚底シューズは「かかと着地」を前提に設計されています。多くの人は、多くの人は「かかと着地」しますが、これは、足への衝撃が大きい走り方です。
人類はもともと裸足で走っており、その自然の走り方は「フォアフット着地」(足の指の付け根で着地)です。本来の身体の使い方=フォアフィット着地に戻ることが、楽に・安全に走ることにつながります。
- ランニングスピードは、ピッチ(1秒あたりの歩数)とストライド(1歩の長さ)の2要素で決まる
- フォアフットで着地してピッチを稼ぐ方が体の負担が少ない
- ピッチ:15秒で45歩以上を目標に
- 「蹴る」のではなく、バネのように“押し跳ねる”感覚で前へ
- アゴをやや上げ気味にすると、呼吸もしやすい

【シューズ選び】人間本来の走り方を引き出す「薄底」シューズ
厚底シューズは“かかと着地”前提で作られていますが、人間の本来の走り方は裸足に近い“前足着地”。
その感覚を取り戻すには、薄底シューズがぴったりです。
地面の硬さや傾きがダイレクトに伝わるため、足裏や足指、下腿の細かい筋肉が使われて強化されます。また、薄底は衝撃吸収をクッションに頼らず、自身の体で吸収するので、アキレス腱やふくらはぎなどの筋肉が自然に強化されます。
おすすめの薄底ランニングシューズ(初心者〜中級者向け)
メーカー | モデル名 | 特徴 |
---|---|---|
SAGUARO(サグアロ) | ベアフィットシューズ | アウトドア愛好者や健康志向に愛される「裸足感覚」の靴を安価に提供。ランニングにもベター |
MERRELL(メレル) | Vapor Glove 6 | 超薄底・裸足感覚に近く、自然な足の使い方が身に付く |
XERO SHOES(ゼロシューズ) | Prio | ゼロドロップ・柔軟性に優れ、裸足ランの導入に最適 |
Vibram(ビブラム) | FiveFingers V-Run | 五本指・本格ベアフット感覚、最もナチュラルな足運びが可能 |
NIKE | Free RN 5.0 | 厚底のシューズが多いNIKEの中で、本来の裸の走りを追求し作られたモデル |
最後に ーただ走るのではなく、「正しく走る」
今回は、田中宏暁さんの著書『ランニングする前に読む本』からの学びを紹介しました。
今回ご紹介した内容はまだ序盤の2章分にすぎません。本書にはさらに以下のようなテーマが紹介されています。
- ランニング×ダイエットの科学:痩せて効率よく走る
- フルマラソン完走に向けたプラン
- ランニングが健康・脳にもたらす効果
ただ何となく走るのと、理論と実践を理解して走るのでは、結果に大きな差が生まれます。
あなたの走りを変えるヒントが見つかると思います。是非、手に取って、より効果的な走りを手に入れてみて下さい。
