- Kindle Unlimitedで読み放題で読めるおすすめの小説を紹介
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- 読み放題対象本は、主に月初に入れ替わり
対象本変更に合わせ、本ページ「おすすめ本」は毎月月初に更新
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Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)は、
月額定額で500万冊以上のKindle本が読み放題になるAmazonの電子書籍サブスクです。
ビジネス書、マンガ、小説、雑誌、実用書まで──幅広いジャンルが好きなだけ楽しめます。
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- サービスの特徴
- ビジネス書、小説、マンガ、アダルト、雑誌、洋書まで、500万冊以上が読み放題
- 同時貸出は20冊まで。ダウンロードでオフラインでもで読書可
- スマホ、タブレット、PCなど、端末を選ばず、どこでも読める ※利用状況:端末間同期
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Kindle Unlimited おすすめ小説:紹介ジャンル
読書は、人生に様々なプラスの影響をもたらします。「小説」も読み方次第で単なる娯楽にとどまりません。物語から「何かを感じる」ことで、「人としての基礎力」が高まります。
- 「人生を追体験」して共感できる
- 「自分と異なる価値観」「多様な感性」に触れられることで、視野が広がる
- これまで興味・関心がなかった分野に興味が持てる
以下では、Kindle Unlimited読み放題対象のおすすめ小説をジャンル別で紹介していきます。
- 2025年12月のKU特集作家&推し本
- 只今人気、映像化作品
- 芥川賞・直木賞・本屋大賞 他 「文学賞受賞作」
- 深く考えさせられる「社会派小説」
- 人・家族のつながりの大切さを描く「ヒューマン小説」
- ページをめくる手が止まらない「ミステリー小説」
- 背筋がゾッとする「ホラー小説」
- 号泣必至「感動小説」「悲しい小説」
- 未来はどうなるのか?深い洞察が得られる「近未来SF小説」
- 笑える!着眼点・発想が面白い! 「エンタメ小説」
- 時空を超えて「歴史小説」
- 自分を変えたい!やる気がUP!「自己啓発小説」
- お金・金融について学べる「経済小説」
【小説】堂場瞬一スペシャルフェア:今だけ127作品読み放題

『チームⅣ』発売&著作200冊目記念 今だけ127作品 堂場瞬一スペシャルフェア(前月続き継続開催)
堂場瞬一作品は、緻密な心理描写とリアルな社会背景が絡み合う骨太なストーリーが魅力。
刑事・スポーツ・政治など多彩なジャンルで、人間の葛藤と正義を鋭く描き出す!
読み放題から50作品をピックアップ!
12月の注目
HACK
橘玲らしさ炸裂!の社会派小説
本作は単なるハッカー小説ではない
ビットコイン、マネーロンダリング、国家権力、公安、北朝鮮のハッカー集団、東南アジアの裏社会――ニュースで目にする断片が、すべて一つの物語として結晶化した作品。
舞台は物語の舞台は、タイ・バンコク。税制の抜け穴、移住者コミュニティ、国際犯罪ネットワークが交差する都市で、天才ハッカーの主人公は資金洗浄を依頼される。
本書が突きつけるのは「世界はバグだらけだ」という事実
税制も、金融システムも、サイバー空間も、国家権力も、完璧ではない。だからこそ、知識と技術を持つ者は、そのバグを利用して自由を手に入れることができる。一方で、「知性は人を自由にするが、同時に世界を歪める力にもなる」という危うい真実をも突きつける!
作品:HACK
著者:橘玲
地雷グリコ
Kindle Unlimited読み放題対象Audible聴き放題対象
🔗MY書評
相手を揺さぶる 思考・心理戦 が半端ない!
グリコ・じゃんけん・だるまさんがころんだなど、誰もが知る遊びを独自ルールで魔改造し、運ではなく「思考」で勝敗が決まる頭脳ゲームへと進化させたミステリー。
読む側も“プレイヤー”になる没入感
射守矢真兎の推理と心理戦は、読者にも「次に何を出す?」「相手は何を考えている?」と常に思考を要求する。ページをめくるたびに自分も勝負の盤上に立たされる感覚が、この作品の最大の中毒性!
知的快感と青春ドラマを両立
伐とした賭博ものと違い、軽やかな雰囲気の中で物語が展開。高度なロジックと登場人物たちの人間ドラマが融合し、ミステリーとしてもエンタメとしても極上の読後感!
作品:地雷グリコ
著者:青崎有吾
成瀬は天下を取りにいく
主人公 成瀬あかりのキャラの圧倒的存在感に、読者は心つかまれる!誰の目を気にすることなく、誰の意見に左右されることなく、やりたいことを宣言し、行動する、その生き様が爽快!カッコいい!毎日、世間を気にし、空気を読んで、やりたいことを諦めている人は、「成瀬のように、私も私らしく生きたい!」という気持ちが湧き上がるはず!
そして、作家・宮島未奈のストーリー戦略のうまさにも感嘆。これ読んだら、滋賀県民・膳所ジモティーは、絶対、この本「推し」になるでしょ!ストーリーに登場するスポット、私も行ってみたくなった!既に「聖地化」して盛り上がり中(笑)
作品:成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
婚活マエストロ
主人公は、40歳の引きこもりウェブライター。収入よりも人と会わずに生計を立てる暮らしを選んだ男性が、婚活事業者のウェブサイト記事依頼されることからストーリーが展開する。サクサク親しみを持って読めるエンタメ小説。
『成瀬シリーズ』同様、著者・宮島未奈さんは地名や店名など固有名詞をストーリーに織り込むのがとてもうまい。 登場人物は等身大。舞台は大都市でない地方都市・浜松、庶民派大手ファミレスが登場するなど、庶民感がジモティやお店のファンを喜す。
一方で、『成瀬シリーズ』のような強烈なインパクトを持つキャラクターは登場しない。タイトルから強烈なキャラを持つ登場人物を期待して読むと、物足りなさを感じるかもしれない。
作品:婚活マエストロ
著者:宮島未奈
平場の月
【山本周五郎賞を受賞/2025年11月映画公開】
50代の男女が再会し、静かに始まる切ない物語
離婚、病、死別、介護、孤独――中年期に押し寄せる現実を真正面から描きながらも、その中に確かに存在する“優しさ”をすくい上げた、大人の恋愛小説。出世や成功とは無縁の二人の人生に築かれた「無駄話の会=互助会」が、病や困難に押しつぶされそうな心を支え、寄り添う力となっていく。
人を思うこと、愛すること、生きること――
どんな年齢になっても、誰かを想う気持ちは尊いものだと、この物語は静かに教えてる。映画化で注目を集める今こそ手に取りたい、大人の心に深く染み渡る一冊。
作品:平場の月
著者:朝倉かすみ
只今人気の映像化作品:TVドラマ・アニメ作品
しゃばけ
江戸の町に暮らす病弱な若だんな・一太郎と、彼を見守る妖(あやかし)たち。
『しゃばけ』シリーズは、人と妖の温かい絆を描いた時代ファンタジー。シリーズ最新刊は24巻。累計1000万部を突破。
初刊から25年――それでも、この物語は新鮮
血の雨が降るわけでもなく、妖が人を喰うわけでもない。
けれど、江戸の町では時に不可解な事件が起こり、死がすぐ隣にある。そんな現世(しゃば)で、一太郎は病を抱えながらも、人の痛みを見過ごせない若だんなとして、妖たちの力を借りて事件を解き明かしていく!
“この世とあの世(娑婆と妖)”の間に生きる者たちの物語。ミステリーなのに、ほっこり!
作品:しゃばけ
著者:畠中恵
シリーズ「かくりよの宿飯」
『かくりよの宿飯』は、異世界×料理×人情が織りなす心温まるファンタジー。
主人公は、祖父の借金をきっかけに“あやかし”の世界へ嫁入りを迫られることになった女子大生・葵。
彼女は料理の力で人と人(あやかし)との絆を結びながら、自分の居場所を見つけていく物語です。
シリーズは全13巻。只今、12巻までがKindle Unlimited読み放題!
只今のTVアニメ第2期『かくりよの宿飯 弐』が放送中。
6巻以降を読むと、アニメ第2期の先の展開を先取りできます! ※2025年11月1日時点では第7巻に突入
🔥特に、8巻以降が面白い!
- 葵が隠世に連れてこられた理由。葵の祖父と隠世との因縁
- 行方不明となった神屋の主・大旦那の行方。渦巻く陰謀
- 隠世に迫る危機
- 大旦那の正体、葵との深い関係
- アニメ第二期 新登場のキャラクターたちの立ち位置(ストーリー上、とても重要)
物語の核心に迫る展開が次々と明かされ、驚きの連続! そして、ほろりと涙。一気読み必至の面白さです!
芥川賞・直木賞・本屋大賞 他 まず読みたい 「文学賞作品」
さよならドビュッシー
第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
ミステリー小説らしからぬ装丁に不思議を感じながらも読み始めると…. 再起不能と言われながらも、夢を捨てずリハビリと猛練習に挑む少女の姿。まるで本からピアノの音が聞こえてくるような錯覚に陥る。あれ?これ、ミステリーではなく感動譚?と戸惑いながら読み進めると。さすが、どんでん返しの帝王!
祖父の遺産を巡る陰謀、不審な事件、そして──明かされる驚愕の真実。
音楽の美しさと人間の業。そして、読み返し必須の巧妙な伏線とトリック!音楽好きにも、謎解き好きにも、心に残る一冊!
作品:さよならドビュッシー
著者:中山七里
八月の御所グラウンド
京都を舞台にした、女子駅伝に挑む女子高生と真夏の草野球に駆り出された大学生の青春物語。現実と過去、さらに、京都の美しい情景・歴史がクロスして、独特な世界観を生み出す。登場人物がスポーツに汗する姿が目に浮かぶような豊かな表現も堪能したい。
直木賞受賞作となった「八月の御所グラウンド」は、読んでいると、お盆、大文字のころの京都の暑さが伝わってくる。悲しい歴史を背景としているにも関わらず、全く重さがなく、ほっこりと穏やかな気持ちで読了。
作品:八月の御所グラウンド
著者:万城目学
コンビニ人間
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目の36歳未婚女性、古倉恵子。これまで彼氏なし。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられる。
「普通」でないと息苦しい現代社会。異質を排除する「普通圧力」の存在を、コンビニを舞台に軽やかに描き出す。読者は「普通とは?」「自分らしい働き方・生き方とは?」を問われる!
作品:コンビニ人間
著者:村田沙耶香
そして、バトンは渡された
大人の都合に振り回され、血の繋がらない親の間をリレーのようにバトンを渡されながらされながら育った優子。高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
通常なら不幸な少女話となりそうなストーリーですが、全く、悲壮感はない。血がつながっていなくても、「愛」と「温かい食卓」があれば、幸せに子供は育つことを教えられる。ホロリとした涙が流れる、優しく温かい物語。
作品:そして、バトンは渡された
著者:瀬尾まいこ
羊と鋼の森
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく青年の姿を描いた作品。
映画化されていますが、映画は本作の良さを描き切れていない。外村の「プロ調律師」そして「人」としての成長を原作を通じて味わってほしい!
作品:羊と鋼の森
著者:宮下奈都
葉桜の季節に君を想うということ
2004年に様々なミステリー関連の賞を総なめにしたミステリー
最後の最後の1行まで、本作はあなたを騙し続ける!
表紙画像の穏やかな作風をイメージし、1ページ目を読み始めると、いきなり、ギラギラした若い男性の欲望を満たす情事から始まり度肝を抜かれることに…。
衝撃のラスト。大どんでん返しが凄すぎる。私は完膚なきまでに騙された…。こんなに鮮やかに、最後の最後で世界がガラリと替わる変わる経験は「初体験」。ただし、賛否両論あり!
面白く読むコツは、しっかり騙された後の「2度読み」。どこでどう騙されたか、知ること!人って、簡単に騙されることに愕然とさせられること、間違いなし!
作品:葉桜の季節に君を想うということ
著者:歌野晶午
テロリストのパラソル
新宿中央公園で爆破テロが発生。事件現場に偶然居合わせたアル中の中年バーテンダー島村は、学生運動の一員だった過去が災いし、テロの犯人として警察から追われることに。逃亡しながら事件の真相を追ううちに、闇社会に入り込んでいく―。
哀愁漂う主人公の生き方や思考から、平成・令和には珍しくなった男のロマン、ハードボイルド感が染み出ているところがカッコいい!リアルな全共闘時代を知らない世代には新鮮に、リアルを知る世代にはある種のなつかしさを持って、小説に引き込まれる!
作品:テロリストのパラソル
著者:藤原伊織
神様の裏の顔
舞台は葬儀。神様のような善人で誰からも愛された教師 坪井誠造が逝去。通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙ー。生前、関わりのあった参列者が思い思いに、坪井との思い出を忍んでいたのだが、ふとした話題がきっかけで、坪井にとんでもない犯罪者の疑惑が持ち上がる…
大どんでん返しに次ぐ、大どんでん返しの大どんでん返し。度重なるどんでん返しで、ページをめくる手が止まらない!伏線の回収も実にテンポがいい!面白すぎる!こんなミステリーもあったんだぁと、感服。
作品:神様の裏の顔
著者:藤崎翔
悪い夏
第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作
2025年3月映画公開
生活保護制度の裏側に潜む闇に絡み、転落していく人間を姿を描いた社会派・犯罪サスペンス。
26歳・ケースワーカーの守は、同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせて肉体関係を迫ってことを知り、真相を確かめようと女性の家を訪ねたが…。その出会いが守を凄絶な悲劇へ叩き落とす。
生活保護の不正受給、貧困シングルマザー、勢力拡大を目論む地方ヤクザなど、日本を渦巻く闇が次々に連鎖。
臨場感のある描写。蒸し暑い夏の空気感、汗ばむ肌の感触が伝わってくる。読書中、ねっとりとした汗が、まとわりついてくるような感覚に襲われる!
作品:悪い夏
著者:染井為人
ペンギン・ハイウェイ
小学4年生のぼくの住む町に突然ペンギンが表れて、不思議なことが起こり始めた。僕は、研究熱心。だから、ペンギンや事件に関係している「お姉さん」を観察・分析することにしたー
おっぱいが気になるお年頃少年のやさしい冒険ファンタジー。豊かな想像力がある人の方が、ファンタジーの世界観🐧を楽しめる。創造力に乏しいなと思う方は、映画もチェック!
作品:ペンギン・ハイウェイ
著者:森見登美彦
生首に聞いてみろ
2005年、このミステリーがすごい!大賞受賞作
著名な彫刻家の遺作となる石膏像の組が、何者かに切断され、持ち去られた。像のモデルは娘であったため、彼女への殺人予告ではないかとのおkじゅそくが。彼女を案じた伯父は法月に調査を依頼するがー。最悪の事態が発生してしまうー。
中盤以降、急速に物語が進展。作品内の至る所に張られた巧妙な伏線が見事回収されていく。
なぜ、序盤は淡々と進むのか― 巻末の対談も要チェック!
作品:生首に聞いてみろ
著者:法月綸太郎
体育館の殺人
第22回鮎川哲也賞受賞作
どしゃ降りの雨の日、高校の旧体育館で放送部の部長が何者かによって殺害された。 現場となった場所は完全な密室。警察が容疑者として疑ったのは、密室状態の体育館に居合わせた卓球部の部長。無実を訴える部長を救うために、部員の柚乃は校内一の頭脳を誇るアニメオタクの裏染天馬に協力を仰ぐ。
推理オタク・天馬は現場に残された些細な点から、次々と推理を展開し犯人に迫っていく!
些細な矛盾から推理を展開し、犯人を見つけていく探偵ミステリー小説。『地雷グリコ』で2024年のミステリー賞を総なめにした青崎有吾さんのデビュー作。高校が舞台、強烈キャラの主人公、知的で鋭い推理力は『地雷グリコ』に通じるものあり!
作品:体育館の殺人
著者:青崎有吾
千年の黙 異本源氏物語
平安時代を舞台に、源氏物語の筆者「紫式部」とその女房をの二人を探偵役としたを探偵役とした歴史ミステリー
大河ドラマ『光る君へ』の視聴者なら面白く読めること間違いなしのミステリー。藤原道長、清少納言、中宮定子、一条天皇、紫式部の夫も登場!しかも、しっかり、平安時代の宮中の様子もしっかり描かれている
❶上にさぶらふ御猫ー出産で宿下がりした中宮定子に同行した、帝の寵愛した猫はどこへ消えた?
❷かかやく日の宮ー源氏物語最大の謎とも言うべき、幻の一帖の行方を追う
❸雲隠ーもう一つの幻の帖の行方とそこに込められた式部の想いと真実
単なる架空ミステリーとして面白いだけでなく、源氏物語の面白さにも気づかされる!
作品:千年の黙 異本源氏物語
著者:森谷明子
1/6まで:解約はいつでもOK
深く考えさせられる「社会派小説」
彼女は頭が悪いから
加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分となった事件。取り調べ中に実際の加害者男性が「彼女は頭が悪いから」と口にしたことがそのままタイトルとなっている。人々の根底にある差別意識をえぐり出した小説として話題を呼ぶ一方、「東大への誤った認識を生む」などと批判が上がるなど、それだけで、この小説への興味がそそられる。
「女性であること」「学歴がないこと」「地方出身」など、リアルな社会ではこれらは生きる上で不利に働きがち。軽んじ、人格をも否定されることさえある。読み終えた後、なんとも言えない嫌な気持ちが残る。しかし、それでも読んでおきたい多くを考えさせる作品。
作品:彼女は頭が悪いから
著者:姫野 カオルコ
結界
フィクションなのに現実のような緊張感!
物語は、日本政府が極秘に開発していた技術「SS-8」の流出と、大物政治家の暗殺事件から始まる。新聞記者の主人公が真相を追う中で、政治家の派閥、宗教団体、公安警察、アメリカなど複数の勢力が絡み合い、情報戦が展開。著者の国際経験とインテリジェンスの知識が生む圧倒的なリアリティ。安倍元首相の暗殺事件と類似する展開に汗握る。
現代日本の政治や安全保障に対する根源的な問いかけが、読者の思考を揺さぶる。
上下巻600ページ超の大作で骨太&濃厚。ストーリーの先が知りたくて一気読み必至!
作品:結界
著者:津谷一
護られなかった者たちへ
本作が取り上げるテーマは「生活保護の実態と貧困」。護られてしかるべき人が護られず、切り捨てられてしまったことで悲しく悲惨な死を迎えたことから始まる悲劇の物語。最後の最後にどんでん返しに、さらに涙…。
貧困の過酷さに、涙が止まらない😭ズルズルになるまで泣いてしまった…。「貧困」がいかに、人を不幸たらしめるかを、これでもかと見せつける。映画もよかったけど、原作の方が深い&泣ける。
作品:護られなかった者たちへ
著者:中山七里
境界線
2011年3月11日に発生した東日本大震災が「人生の境界」となった人たちの人生を描いた作品。家族・住処・仕事など様々なものを失った人たちが立ち直るに当たって避けられなかった復興の闇を描く。
震災によって人生に狂いが生じた登場人物たちの人生が、折り重なって描かれる。人生を翻弄された人々の思いに胸が絞めつけられ、涙が流れる。震災が震災だけに終わらない現実を、多くの人に知ってほしい。
作品:境界線
著者:中山七里
プロパガンダゲーム
自国の領土を守るためのの戦争に賛成か、反対か? 最終選考に残った8人の大学生は、政府・レジスタンスの2チームに分かれて、SNS上の市民100人に「戦争の是非」を問う宣伝戦が繰り広げていく。
政治、広報、宣伝、… 私たちが触れる情報の多くには「誘導」が仕組まれている。私たちはいかに誘導されてしまうのか、そして、それを操る側は何を考えているのか、かみしめながら読みたい1冊。
作品:プロパガンダゲーム
著者:根本聡一郎
マルチの子
第四回細谷正充賞 受賞作
主人公・鹿水真瑠子は、賢い姉と愛らしい妹に劣等感を抱き、何をやっても続かない21歳。ある日、バイト先で見つけた「磁力と健康セミナー」の貼り紙が、彼女の人生を一変させる
合法的なネットワークビジネスに足を踏み入れた真瑠子。組織内での成功や仲間からの賞賛に承認欲求が満たされ、次第に深みにはまっていく。しかし、その先に会ったのは破綻と借金地獄だったー。
マルチ商法の構造や勧誘の手口、そして人間の心理的弱点をリアルに描写。特に、承認欲求や自己肯定感の低さ、他人軸で生きることの危うさが「誰もが陥りうる罠」として描かれる。ラストに読者の予想を覆す展開が。単なる被害者としての真瑠子像が揺らぎ、読者に深い衝撃を与える!
作品:マルチの子
著者:西尾潤
パッとしない子
教え子で人気絶頂の男性アイドル 佑が、番組収録で母校を訪れる。10数年前、佑とその弟を授業した教師 美穂は、そのことで同僚や佑ファンの娘に羨ましがられてた。しかし、再開はゾッと背筋が凍るようなものだったー。
短編なのに非常にインパクトがある作品。佑が先生に言い放つ言葉は、ナイフのように読者の心をも抉る。
教師/生徒、どちらの視点で読むかで感想は大きく異なるはず。ただ、本作のテーマは他人事では決してない。何気ない言葉が一生相手を傷つけて怒らせてしまうことがあり、感情次第で記憶も作り上げられる。読者は最後までドキッとさせられっぱなし。
作品:パッとしない子
著者:辻村深月
ナベちゃんのヨメ
大学時のサークル仲間がどよめく。ナベちゃんは非常識な嫁の言いなり。とにかく嫁を傷つけないように、友達からの電話対応すらセーブしている。しかし、なぜ!?
世の中には、「あの人、いい人だよね」と言われる人がいる。そんないい人だって、恋愛には強い興味・関心がり、大切にしたい/大切にされたいと思っている。女性はそんな「いい人」をどこか軽んじて友達付き合いをしていないかー。巷によくある光景への鋭い指摘に、読者はドキッ!
作品:ナベちゃんのヨメ
著者:辻村深月
総理にされた男
総理にウリそっくりな売れない舞台役者・加納が、拉致された先で官房長官に依頼されたのは意識不明に陥った「総理の替え玉」という密命。はじめは短期のつもりが、日本が直面する、政治・経済・官僚・国民の声などの最前線に立たざるを得なくなっていく…。
ストーリーに弾きこまれ、一気読み!政治・経済・外交が苦手な方にも、学びが多い1冊。怒涛の展開に息を呑む 、熱い🔥政治エンタテイメント!
作品:総理にされた男
著者:中山七里
震える牛
金が目当てだと思われる事件を追い、食肉加工会社ミートボックスにたどり着いた田川。しかし、田川は事件の原因が金ではなく殺害ではなかったかと疑念を抱く。そんなとき、偶然再会した記者・鶴田。そして、どこよりも安い加工肉を販売することで業績を上げているミートボックスには、食品偽装疑惑があることを知るー
牛100%を謳う食品の原料は一体何か。そして、殺人の真相はー。
ちょうど、狂牛病や食品偽装などが話題になっていた頃に発表された作品で、ドラマ化も。金儲けのために社会ではびこる「悪」を描く。食品偽装のやり口が強烈で衝撃…
作品:震える牛
著者:相場英雄
小説帝銀事件
ノンフィクションとして発表したかったが、権力が働き、「小説」となった作品。清張はどうまとめたかは要チェック。
作品:小説帝銀事件
著者:松本清張
1/6まで:解約はいつでもOK
人・家族のつながりの大切さを描く「ヒューマン小説」
キネマの神様
第8回酒飲み書店員大賞受賞作
原田マハさんは美術キュレーター。美術品に関する作品が多いですが、本作は映画(キネマ)がテーマ。円山歩は大手開発会社のシネコン設計担当で、映画好き。しかし、人間関係がうまくいかず、やめてしまう。しかし、実家にはギャンブル好きのダメ親父が作った多額の借金が…。父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに、歩も父も映画関連の仕事で働けることに。
“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、切なくも心温まる奇跡の物語。
作品:キネマの神様
著者:原田マハ
三人屋
朝は喫茶店、昼は讃岐うどん屋、夜はスナックへと変貌する店「三人屋」。切り盛りするのは、個性も生き方も異なる三姉妹──長女・夜月、次女・まひる、三女・朝日。それぞれが時間帯ごとに店を担い、訪れる客を迎え入れる。
店を訪れるのは、人生に迷いや悩みを抱えた人々。そして三姉妹自身もまた、それぞれの葛藤を抱えている。客と三姉妹の交流は時にユーモラスで、時に切なく心に響く。読み進めるうちに「誰もが悩みを抱えて生きている」という普遍的な真実に気づかされる。温かな余韻が残る作品。
作品:三人屋
著者:原田ひ香
ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語
石塚真一さんの大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』。本作は、映画版をピアノマン・沢辺雪祈の目線から描いたスピオフ作品。。原作マンガも映画も知らない人でも、圧倒的な小説の「世界観」と「熱狂」に引き込まれる!夢を目指すバンドマンの姿に何度もウルウル。一気読み&二度読み必至!何度目頭が熱くなったかわからない。完成度の高すぎに驚く音楽感動小説!
作品:ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語
著者:南波永人
喫茶おじさん
人生に悩みを抱えたなおじさんが喫茶店を巡る、おいしくて、やさしくて、ちょっと切ない物語。
松尾純一郎、バツイチ、57歳。妻の反対を押し切り、退職金を元手に始めた喫茶店は、たった半年で閉店。今は無職、再就職のあてもない。妻とは別居中で離婚目前だ。
そんな彼の趣味は「純喫茶店巡り」。喫茶店でコーヒーとタマゴサンドを味わい、「おいしいなあ」「この雰囲気、好きだなあ」とつぶやきながら、看板メニューと店の空気を楽しみ、街から街へと喫茶店を渡り歩く。
仕事、家族、老後、これからどうしたものかー。さまざまな悩みを抱えながらも、今日も純一郎はどこかの純喫茶を目指す。
無職なのに随分悠悠自適だなぁ…と思うも、派手な事件もなく淡々と進む物語にほっこり。「これはあの店かも」と想像しながら読むのも楽しい。ナポリタンなど、昭和を感じる喫茶メニュー好きな人にもおすすめ!
作品:喫茶おじさん
著者:原田ひ香
塀の中の美容室
髪を切るという行為を通して女性たちの人生をそっと描き出す6つの連作短編集
その美容室には、堀の中ゆえのルールがある。店内ではスマホは禁止、受刑者に関することは聞いてはいけないなど。しかし、その美容室には。失恋、孤独、家族関係など、様々な理由で悩む人たちがやってくる。
日常と非日常が交差する不思議な空間で交わされる会話。そして、カットで気持ちを一新することで、彼女らは人生観を変えていく。心の変化が、読む者の胸を温かく打つ。派手な展開はなくとも、じんわりと沁みる一冊。
2025年8月にドラマ放送予定。それを前に、読んでみてはいかが。
作品:塀の中の美容室
著者:桜井美奈
大事なことほど小声でささやく
ゴンママは、身長2メートルを超える超マッチョなオカマちゃん。昼間はジムで体を鍛え、夜はスナックを営む。ゴンママの元には、悩みを抱えた人たちが集う。
ゴンママが放つ下ネタに笑い、お客さんの悩み、そして、悩みに合わせた特別なカクテルと励ましの言葉が心に染みる。ゴンママの存在が、物語全体に温かみを与える、人間の絆や優しさを改めて感じさせてくれる作品。気持ちが落ち込んでいる人、ジム好き・筋トレ好きにも好きにすすめたい。
作品:大事なことほど小声でささやく
著者:森沢明夫
夏美のホタル
駆け出しのカメラマンとその彼女。そして、たまたまツーリングで出かけてトイレを借りに立ち寄った、山奥のぽつんと古びた田舎の商店「たけ屋」の老夫婦。そして、その近所に住む、気難しい爺さん。
ひょんな出会いで巡り合った人たちの、とても柔らかな関係に、忙しいと忘れてしまいがちな「大切な何か」に気づかされる。。
じんわりと、温かな、やさしい涙が流れる小説!もし、今、気持ちが殺伐としているなら、そんな、あなたにお勧めしたい!
作品:夏美のホタル
著者:森沢明夫
水曜日の手紙
水曜日の出来事を綴った手紙を送ると、見知らぬ誰かの日常が記された手紙が届くという「水曜日郵便局」。今の自分を変えたい!変えなければならない!と思いながらも、平凡な毎日を過ごしている普通の人。今の自分を冷静に見つめ、そして、書き綴った綴った手紙が、誰かのハートに火を灯し、受け取った人の人生・未来を変えていく――。たとえ、それが、本当の自分ではなく、理想の自分を描いた偽りの姿であったとしてもー。
ほっこりあたたかい話に感動の涙がほろりと流れる。そして、読者の心にも「何かをはじめなきゃ!」という気持ちがともるはず!
作品:水曜日の手紙
著者:森沢明夫
エミリの小さな包丁
恋人に振られ、職業もお金も居場所もすべてを失ったエミリに救いの手をさしのべてくれたのは、10年以上連絡を取っていなかった母方の祖父。決して多くを語らない祖父。しかし、短い滞在期間にエミリに大切な「武器」を与えてくれる。
豪華でなくても、手間をかけ、愛のつまった料理と家族の食卓があれば、心は癒され、人は立ち直れる!従来はなかった「強さ」も身につけて!「今の自分には優しさが足りない」と思う方にぜひ読んで もらいたい 癒し小説。
作品:エミリの小さな包丁
著者:森沢明夫
一億円のさようなら
お金と自由、家族と孤独、過去と未来。人生の岐路に立つとき、人は何を選ぶのか?
加能鉄平は妻・夏代の驚きの秘密を知る。30年前、妻が引き継いだ巨額の遺産。哲一のまま預けられていた額、48億円。家族や会社を信じられなくなった52歳の男が、妻の隠し遺産をきっかけに「もうひとつの人生」を歩み出す、再生と決断の物語。
家族の秘密、裏切り、そして金。重くなりがちなテーマを、軽快に描く。ラストには、夫婦や家族の「顔の多面性」に気づかされ、思わず自分自身の「人生」、そして、「人生の選択」を問い直してしまう――そんな余韻が心に残る一冊。
物語の舞台は金沢。リアルな街並みの描写は、かつて訪れた読者には懐かしさを、まだ知らない人には旅情を書き立てる!
作品:一億円のさようなら
著者:白石一文
純喫茶トルンカ
3つのお話に共通するのは「再開」。悲しい過去を背負った3人。思いがけない再開で、辛かった過去を思い出し、心を乱すも、次に進むための「何か」をつかんだり、大事なことに気づく。
主人公は、性別も、性格も、生き様もバラバラ。自分の苦い過去と重なる人もいるはず。3話とも話はバラバラだけど、ラストがとてもいい!心温まり、いい人生を生きたいなと思わせてくれる!
作品:純喫茶トルンカ
著者:八木沢里志
しあわせの香り
東京・谷中の『純喫茶トルンカ』を舞台にした物語の弟2弾。常連・千代子おばあちゃんの恋、トルンカの看板娘の幼馴染・浩太の憂鬱、トルンカの常連・絢子の旅立ち… など、3つのほろ苦くも、どこかほっこり優しい気持ちになるストーリーが展開される。
苦い経験、憂鬱な日々、自己嫌悪など、人生は悩みだらけ。しかし、心通わされる人・安らげる場所に支えられながら、人は成長していく。トルンカは、悩める人の気持ちを救済してくれる「癒しの空間」。きっとあなたも、本書を読みながら、そんな「居場所」が欲しくなるはずです。
作品:しあわせの香り
著者:八木沢里志
神様の定食屋
どの話も、とにかくハートフル。人生には、たとえそれがお店で提供されるものでも「温かく、おいしい料理」が必要。おいしい食事は「笑顔」も連れてくれる。気持ちほっこり、優しい涙が流れる作品。続編もあり。
作品:神様の定食屋
著者:中村颯希
海が見える家
「あなたにとって、幸せとは何ですか?」と穏やかに問いかけてくる感動作
苦戦した就活でどうにか潜り込んだ先はブラック企業。1ヶ月で辞職するも、再就職のアテもなければ蓄えもない。そんな矢先、疎遠にしていた父親の訃報が飛び込んでくる。
孤独死したのか。
どんな生活を送っていたのか。
友人はいたのか。
父について何も知らないことに愕然としながらも、文哉は南房総にある父の終の棲家で、遺品整理を進めてる。
東京とは違った時間の流れを生きるうちに、生まれる価値観の変化。父の足跡をたどりはじめた主人公は、どのような境地に至るのかー
作品:海が見える家
著者:はらだみずき
みかんとひよどり
美味しそうなジビエ料理の描写やストーリーを楽しませてもらえる一方で、「肉を食べることは、命を奪うことだという事実」を再認識させられる。
命を奪う立場だからこそ、生き物に敬意を払って、また、それを少しでも美味しく食するための努力する男2人。彼らと違い、きれいにパック加工された「お肉」を買うだけの私たちは、命を奪っていることを忘れがち。どんな生き物の命でも、尊い。少なくとも食するなら、敬意を持って食したいと改めて実感。
作品:みかんとひよどり
著者:近藤史恵
1/6まで:解約はいつでもOK
ページをめくる手が止まらない「ミステリー小説」
リアルフェイス
整形外科の裏側に潜む人間ドラマの謎を解く 医療ミステリー
大学院生で麻酔科医の朝霧明日香は、天才美容外科医・柊貴之のクリニックで働くことに。依頼者の顔を完璧に作り変える柊のもとには、訳ありの客が次々と訪れる。整形の裏に隠された秘密。4年前の連続殺人事件との奇妙な符合。明日香は葛藤しながらも、柊の過去と向き合っていく。
整形がテーマのミステリー。伏線の張り方が巧み。読み進めるほどに点と点がつながっていく!登場人物の掛け合いが楽しく、重くなりすぎないバランスが絶妙。ラストのどんでん返しには思わず唸る!
美とは何か。正しさとは何か。問いかけの読了後の心に残る作品。
作品:リアルフェイス
著者:知念実希人
誘拐遊戯
息詰まる緊張感のサスペンスミステリー
東京・白金で女子高生が誘拐。犯人を名乗るのは、4年前の事件で自殺したはずの「ゲームマスター」。交渉役に指名されたのは、過去の失敗で警察を辞めた元刑事・上原真悟。彼は池袋や豊洲など東京中を奔走し、次々と課されるミッションに挑む。だが犯人の目的は金ではなく、もっと深い謎が隠されていた——。
物語は、読者を翻弄するどんでん返しの連続。最後に明かされる真相は衝撃的。過去の事件との繋がりに思わず息を呑む。「リアルフェイス」が天久鷹央シリーズのような軽快さを持つのに対し、本作は人間ドラマが重厚。ズシリとした読み応え。
作品:誘拐遊戯
著者:知念実希人
公開処刑人 森のくまさん
ネット掲示板に犯行声明を残し、法で裁けぬ悪人を次々と処刑する連続殺人鬼「森のくまさん」。標的は性犯罪者やいじめ教師など糾弾されて当然の人物たち。誰もが知る童謡の無邪気なモチーフが、残虐な事件の恐怖を覆い隠し、やがて世間には犯人を支持する声が広がり、掲示板には煽りや嘲笑までもが溢れだす。読者はネット社会の闇を突きつけられ、複雑な感情へと追い込まれることに。
匿名性の暴走、ネット私刑、そして「正義」とは何か—。
「法と倫理の境界」を問い直させる――そんな問題作に、読者は、モヤモヤとした気持ちを抱くはず!
作品:公開処刑人 森のくまさん
著者:堀内公太郎
汚れた手をそこで吹かない
本作が短編集だと知れば、収録作品の一つがタイトル作なのだろうと推測するだろう。しかし本作は違う。さらに、ジャンルとしては、ミステリーに該当するが、いわゆる謎解きミステリーとも異なる。
本作で取り上げられるのは、保身、自分可愛さなどで生じる人間の醜い部分「汚れ」。生きていれば、誰もが少なからずついてしまうような人間の汚さ。著者はそんな人間の小さな汚さを、鋭い視点で描き出す。
その汚れ、どこで拭けばよかったのだろうかー。読了後、読者はそんな問いを自問せずにはいられなくなる。キレイさっぱり、人の醜さを流し落としてくれる水道などない。この難題、あなたは、どう事故処理(自己解決)する?!
作品:汚れた手をそこで吹かない
著者:芦沢央
笑うマトリョーシカ
政治の裏側や人間関係の複雑さを巧みに描く政治ミステリー
愛媛松山の進学校で出会った、清家、鈴木、佐々木。将来、政治家になりたいという清家は生徒会長に立候補。そんな清家を応援する鈴木と佐々木。清家はまわりの人が「彼をどうにかしたい」と思わせる魅力を持つ。地元の政治家との出会いで清家は政治の道へ。鈴木も秘書として彼を支えることを決める。人そして、時は流れ、清家は官房長官に。その傍には、秘書・鈴木がいた。そんな中、清家の自伝について女性記者・道上が取材に来る。道上は清家は操り人形で、誰かに操られているのではないかと思うー。
進学校男子の立身出世物語でストーリーは始まるが、記者登場でミステリー色が強くなっていき、引き込まれる!政界の裏側に興味がある人や、リアルな社会派ミステリーを求める人におすすめ。「政治は難しそう…」と感じる人でも、サスペンスに引き込まれ飽きずに読める一冊。
作品:笑うマトリョーシカ
著者:早見和真
震える天秤
高齢ドライバーによる死亡事故をきっかけに、閉鎖的な村の秘密を暴く社会派ミステリー
フリーライターの俊藤律は、86歳の男性が運転するトラックがコンビニに突っ込み、店員を轢き殺した事故の取材ため、加害者が住んでいた村を訪れる。しかし、村人たちは律に対して敵対的。ぬぐい切れない違和感を感じた律は、普通なら追わない三面記事の真相を追い、村の歴史や人間関係に深く関わる「事実」にたどり着くー
結末は悲しい。心理描写が深く丁寧に描かれる。タイトルに「天秤」とあるので法廷ミステリーかと思いきや、ジャーナリストの正義・良心がメインテーマ。
高齢者ドライバー・認知症・因習・法では裁けない悪ー。天秤では測れないものがある。 そして、真相を暴き事実を報じるのが「正義」とは限らない。
作品:震える天秤
著者:染井為人
すみれ屋敷の罪人
戦前の名家・紫峰邸から発見された白骨死体をめぐり、かつて屋敷に仕えた人々の証言が紡ぐ物語。三姉妹の華やかな日常と戦争の影、不穏な事件が交錯し、語り手が変わるたびに新たな謎が浮かび上がる。証言は二転三転し、嘘と矛盾の中に隠された真実が少しずつ姿を現す。やがて明かされるのは、罪を背負いながらも誰かを守ろうとした人間の切なく美しい姿だった。
どんでん返しの連続に驚かされつつ、最後には家族愛や人の絆に胸を打たれる。ミステリでありながら深い人間ドラマを描いた一冊!
作品:すみれ屋敷の罪人
著者:降田天
レゾンデートル
死を前にした人間の葛藤と、正義とは何かを問うサスペンス。
末期がんを宣告された外科医・岬雄貴が主人公。不良に暴行されたことをきっかけに復讐を果たすが、現場に残されたトランプが連続殺人鬼“切り裂きジャック”の犯行を示唆する。やがて岬はジャックと接触し、命を削るような駆け引きに巻き込まれていく。
家出少女との出会いも含め、岬の残された時間が濃密に描かれる。医療と犯罪、そして人間の“存在理由”をめぐる問いが重層的に絡み合う。切なさと緊張感が交錯する読後感。
作品:レゾンデートル
著者:知念実希人
崩れる脳を抱きしめて
脳外科医を目指す26才の研修医・蒼馬は、地域医療の実習として高級療養型病院へと赴任。そこで、いつ爆発するかわからない脳腫瘍を患うユカリと出会う。蒼馬はユカリを親身に診察、一方、蒼馬は家族にまつわる重たい過去をユカリに告白。トラウマを持つ二人は次第に惹かれ合う。しかし、実習は終わり、蒼馬は元の病院へと戻ることに。しかし、ほどなく、ユカリの死の一報。再び病院に向かうと、医師らに「あなたは、彼女を診察したことなどなかったはずだと」と言い渡されるのであったー。
不可解なユカリの死。一体何があったのか? 最後に待ち受ける大どんでん返し!現役の医師であり、ミステリー作家でもある著者が描く、恋愛ドラマとミステリーの融合作!
作品:崩れる脳を抱きしめて
著者:知念実希人
チーム・バチスタの栄光
心臓移植の代替手術“バチスタ”手術専門の天才外科チームで原因不明の連続術中死が発生。不定愁訴外来の田口医師は、病院長に命じられて内部調査を始めた。そこへ厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔がやってきてー
映画・ドラマでも大人気作品。小説で読んでも、グッチーとロジカルモンスター・白鳥の会話が掛け合い漫才のようで面白い!小説の全体構成として、多くが会話で構成されていて、スラスラ読める。作家・海堂さんの言葉のセンスも絶妙!うまくてクスクス笑える!過去に映画・ドラマを見た人でも、読んで楽しめる傑作ミステリー
『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』読み放題対象!
作品:チーム・バチスタの栄光
著者:海堂尊
ドグラマグラ
難解、頭がおかしくなるとも言われる不思議な長編ミステリー。「夢Q」という愛称で今でも読者を離さない夢野久作。「日本探偵小説三大奇書」に数えられるなど、時代を超えて多くのファンを獲得。理解は難しいが、じっくり味わいたい「癖」のある作品。
作品:ドグラマグラ
著者:夢野久作
あの日、君は何をした
幸せな家族を突然襲った不幸。息子が、逃亡連続殺人犯を追いかけていた警察に、犯人と疑われ、逃げたところで不慮の事故で死んでしまう。母親の精神は崩壊。息子が死んだ理由が、時を経て、別の事件とつながり明らかになる。
まさか、そんな結末になろうとは…という驚きの結末。。一方、子供を失った母の悲痛な叫びに心が痛い。「不慮の事故」で家族を失う悲しみの壮絶さを認識させられる。
作品:あの日、君は何をした
著者:まさきとしか
殺した夫が帰ってきました
記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛・罪を追う、サスペンスミステリー
都内のアパレルメーカーに勤める鈴倉茉菜は取引先の男につきまとわれ、自宅前で待ち伏せされる。その窮地を救ったのは茉菜の「夫」。それは確かに夫の和希だったが、和希はかつて茉菜が崖から突き落として殺したはずだった-。
タイトルが強烈で、背筋が凍るが、読んでみると….。起・承・転・結とストーリーが進んでいく中で事態が二転三転。大どんでん返しサスペンスミステリーにいい意味で、裏切られる作品。
本作の個人的感想は、「人生はドラマだ」ということ。思わぬ出来事、想定外、偶然で、人の一生は形成されている!それはリアルを生きる、フツーの人も同じ!
作品:殺した夫が帰ってきました
著者:桜井美奈
悪いものが、来ませんように
夫の浮気と不妊に悩む庵原紗英、そんな彼女を見守り、常に寄り添い支えてきた柏木奈津子。奈津子にすっかり依存し生きてきた紗英、一方、奈津子も育児などに悩む中、無条件に自分を慕ってくれる紗英は大切な存在。そんな2人の共存関係は、紗英の夫の殺害につながっていくのであったー。
芦沢央さんの小説は、どれもタイトルが気になる。そして、読み始めるとイヤミスのいや~な気持ちを味わいながらも、先が知りたくて読んでしまう。そして、最後に待っているのが「えっ。どういうこと?騙された!」。二度読み必至となるのですが、この二度読みが楽しい。こんなところでミスリードが、伏線が…自分の騙されポイントを確認しながら、著者のミステリー作家の筆力に「すごっ」っと敬意!
作品:悪いものが、来ませんように
著者:芦沢央
この闇と光
森深く囚われの姫として育てられた盲目の少女・レイア。姫に接するのは父王と召使のみ。闇&鳥籠で生きる姫を憂い、父は美しい文学・知識を愛情をもって教えて育てるが、父との生活は姫13才の秋、突然終焉を迎えることにー
明らかになる驚愕の事実に、読者は仰天!父と思っていた人物は誘拐犯。姫でもなければ、女でもない…目も手術で治り、結果、知った「薄っぺらな現代社会」。盲目の世界と、目が見えて知った現実の世界。どちらが闇/光の世界なのか?
作品前半と後半の舞台設定・世界観のギャップが凄い。本を読みながら仰天してしまう。この、ネタバレ情報を読んでしまった方は、どのように伏線が回収されるかを楽しんで欲しい!
作品:この闇と光
著者:服部まゆみ
イニシエーション・ラブ
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われ気乗りしないまま合コンに参加し、そこで歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。奥手で恋愛経験がなかった鈴木は、マユに釣り合う男になろうと懸命に自分磨きをするが……。
一読すると、時代を感じさせるラブ・ストーリー。ミステリー小説と思って読み始めると、あれ??なんか、思ったのと違う… とがっかりするかもしれない。しかし、とにかく最後まで読め!最後の2行で意外なミステリーに変貌する。斬新!
作品:イニシエーション・ラブ
著者:乾くるみ
アマテラスの暗号
世界的ベストセラーとなった「ダビンチコード」はキリスト教であるのに対し、本作は、日本神話の神「アマテラスオオミカミ(天照大神)」の謎に迫る!
緻密な調査をもとに書かれたストーリーに圧巻!作品内には様々な史実も登場。日本人のアイデンティティにもつながるテーマで、本書をきっかけに、日本のルーツについて、もっと知りたくなる!神社仏閣巡り・パワースポット巡りが好きな方は、行きたい場所が増える!
作品:アマテラスの暗号
著者:伊勢谷武
配達あかずきん
成風堂書店で働くしっかり者の主人公・杏子と、不器用だが頭がよく感も鋭い多絵。二人が本屋の日常で起こるちょっとしたトラブルや事件を、解決していく!
「書店×日常ミステリー」という独自の設定が魅力の作品。殺人事件が起こるわけではなく、本屋ならではのトラブルが、巧妙な伏線と論理的な推理で解決される点が特徴。
収録されるのは短編5編。日常ミステリーというと、ミステリーとしてゆるそう感じがしますが、推理は本格派。巧妙に仕組まれた伏線が論理的な推理で回収されていくので、ミステリー愛好家も退屈することはありません。ちなみに著者の大崎梢は元書店員。経験に基づくストーリーなので、ミステリー好きだけでなく、書店好き・本好きにもすすめたい。共感シーンに出会えるはずです。
作品:配達あかずきん
著者:大崎梢
連続殺人鬼カエル男
猟奇事件の背後に潜む、人間の狂気と社会の歪みを鮮烈に描き出す衝撃作。
埼玉のマンション13階から吊るされた女性の全裸遺体。その傍らには、幼稚な文体の犯行声明文。これが「カエル男」と名づけられた殺人鬼による、戦慄の第一犯行だった。警察の捜査が迷走する中、第二、第三の事件が連続発生。市民は恐怖と混乱に包まれる。果たして犯人の狙いとは――?
中山七里ならではの“読者への裏切り”が炸裂する本作は、ただのミステリーにとどまらない!司法・医療・メディアといった社会制度への鋭い批判、そして市民の倫理意識の危うさにまで切り込んでいく。
シリーズ続編・完結編では、さらに衝撃的な展開が待ち受ける。そして、意外な形で登場人物がリンクする「嗤う淑女」シリーズもぜひ併せて読みたい。合わせ読みで、中山七里の作家としての真価を、見せつけられる!
作品:連続殺人鬼カエル男
著者:中山七里
嗤う淑女 二人
「連続殺人鬼カエル男」と合わせて読みたい『嗤う淑女』シリーズ最終巻
読者の心を震わせるサイコサスペンス。前作で美智に人生を狂わされた者たちが、それぞれの復讐心を胸に、新たな事件に巻き込まれていく姿を描く。前作のテーマをさらに掘り下げ、美智の異常性がいかにして他者を巻き込み、連鎖するのかを鮮烈に描き出す。
単なる続編に留まらず、前作を凌駕する深みと緊迫感。サイコパスの異常性に、読者は震えることになる。『連続殺人鬼カエル男 完結編』と話がオーバークロスする点も面白い。ミステリー・サスペンスファンにはたまらない1冊。
作品:嗤う淑女 二人
著者:中山七里
帝都地下迷宮
「廃駅マニア」の生活保護担当の公務員・小日向は、立入禁止の廃駅・萬世橋駅へと潜り込み、地下生活する謎の集団「エクスプローラー」と出会う。彼らは、政府が隠したい”ある事情”で太陽の下で生活できない社会的弱者。そこで、起こる殺人事件…
高速増殖炉・放射能事故、警察、公安… 小日向は彼の鉄オタ知識で社会的弱者を救えるのか!?
社会派ミステリーでありながら、内容軽めでサクサク読める。政府・権力に対する皮肉は健在!
作品:帝都地下迷宮
著者:中山七里
逃亡刑事
ページをめくる手が止まらないノンストップ・ミステリー。中山さん得意の大どんでん返しはもちろん、男勝りの冴子が少年に対して時折抱く「母性」、そして、母の愛を知らずに育った大人びた少年が時折見せる「甘え」が実にいい!特に、ラストがいい!最後にほっこりで、顔がにんまりする!
作品:逃亡刑事
著者:中山七里
福家警部補の挨拶
「福家警部補シリーズ」第一弾
日本の本格派倒叙ミステリーとして高く評価される1冊
倒叙ミステリーとは、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」シリーズのように、読者が犯人の犯行の一部始終を目撃するところから始まるミステリー。「犯人がどのようにボロを出すか」が焦点におかれる。
主人公の福家警部補は、刑事らしくない風貌。誰もが警察の偉い人だとは思わない。そんなつかみどころのない彼女が、犯人にじわじわと知性で犯人を追い詰めていく!犯人との知的な心理戦も読みどころ。一話完結型の短編なので、ミステリー初心者でも気軽に楽しめる。長大な伏線や複雑なトリックよりも、論理的なほころびを見つけ出す過程に重点がおかれ、ストーリーが進行する!
作品:福家警部補の挨拶
著者:大倉崇裕
犬にきいてみろ
本作では、花咲舞は支店での不正融資事件に巻き込まれる。事件の中心には、取引先である中小企業の社長とその周囲の人物たちが関与。銀行内部でも不正が行われている疑いが浮上。舞は持ち前の鋭い洞察力と行動力を駆使して、事件の真相に迫る!
銀行業界のリアルな描写とスリリングな展開が魅力。池井戸潤のファンはもちろん、ミステリーファンや金融業界に興味のある読者にもおすすめ
作品:犬にきいてみろ
著者:池井戸潤
神保町奇譚 花咲舞シリーズ
舞台は、神保町の一見客お断りのこだわりの寿司屋。東京第一銀行の花咲舞と上司・相馬健が舌鼓を打っているとき、上品なご婦人と出会う。婦人は、5年前に病死した娘の口座がつい最近まで”動いていた”という。一時3400万円まで増えた残高。しかし、1か月前には残高ゼロになっていたという。娘に何が起こったのか?舞が幽霊口座の謎に挑む!
幽霊通帳の口座が、半沢直樹が勤めていた産業中央銀行である点がニクイ。テンポよく、話が展開。時間をかけずにミステリーを楽しみたい方におすすめ!
作品:神保町奇譚 花咲舞シリーズ
著者:池井戸潤
婚活中毒
どの作品も、婚活で男女の出会いを描いたものであるのに、いわゆる「恋愛話」ではない。相手を手に入れたいと、自分を偽ったり、一計を案じたり…「人に好かれたい・気に入られたい」と思った人が犯しがちな、ピュアではない「いやらしさ」「よこしまな気持ち」がリアリティを持って描かれる。
しかも、最後にはどんでん返し。人の機微の描き方、張られた伏線を一気に回収する様がスゴくて、一気読み!
作品:婚活中毒
著者:秋吉理香子
D坂の殺人事件 ~明智小五郎シリーズ
日本における本格推理ホラー小説の草分けである江戸川乱歩による短編探偵小説。江戸川乱歩特有の怪しげな世界観。「名探偵コナン」の毛利小五郎の名前の由来ともなった世紀の名探偵「明智小五郎」が初めて登場した記念碑的作品。名探偵コナンもいいけど、こちらも読んでみて!
作品:D坂の殺人事件 ~明智小五郎シリーズ
著者:江戸川乱歩
刺青殺人事件~神津恭介シリーズ
テレビドラマでも様々な役者さんが役を演じてきた神津。本職は東京大学医学部法医学教室助教授で高身長の美男子。当然、名探偵明智や金田一とは、推理の解き方も異なる!
この神津が初めて登場するのが本作。 野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。艶美な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にすることになるー。
頭キレキレの天才はいかに謎を解くのかー。どの作品から読んでも困ることはありませんが、まずは、シリーズの1作目としてどうぞ。
作品:刺青殺人事件~神津恭介シリーズ
著者:高木彬光
シャーロック・ホームズの冒険
本作は、12編を含む短編集。「ボヘミアの醜聞」「赤髪組合」「花婿失踪事件」他を収録。短編集で最初の1冊としても読みやすい。シリーズ最初の1冊に最適。
作品:シャーロック・ホームズの冒険
著者:アーサー・コナン・ドイル
オリエント急行殺人事件
「そして誰もいなくなったとともに」に並ぶ名作が本作。雪に阻まれて立ち往生した豪華寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェットが刺殺。そこに偶然乗り合わせたポアロ。どう考えても犯人は乗り合わせた12人の上客しかいない。しかし、12人にはアリバイが存在する。
閉鎖された空間で起こる完全犯罪を、ポアロはどう解決するのか!?
小男でカッコよくもなく、ピン跳ねあがった口ひげが特徴のオジサン探偵ながら、賢さを自認する自信家の名物探偵。映画で見た方も多いと思うが、小説でも読んでみて!
作品:オリエント急行殺人事件
著者:アガサ・クリスティ
ミス・マープルのご意見は?1
ミス・マーブルもテレビシリーズで人気。マーブルは、イギリスの架空の田舎村セント・メアリ・ミードに住む老婦人。探偵でもないご婦人。しかし、ウワサ好きで、どんな出来事にも興味を持ち、好奇心旺盛で記憶力も抜群。長年の経験、そして、鋭い人間観察によって得た洞察を元に、事件の犯人を暴いていく。
本作は、ミス・マープルが登場する短編4編を収録。ミス・マープルが初登場する「火曜クラブ」や、「血にそまった敷石」「アスタルテの祠」「コンパニオン」など、知人数人が集まって謎を出し合い推理する夜会「火曜クラブ」の作品を収録。
作品:ミス・マープルのご意見は?1
著者:アガサ・クリスティ
アリバイ崩し承ります
連作短編ミステリでありながら、アリバイ崩しが本格的!
ドラマ化ミステリー
古い時計店を営む若き女性店主・美谷時乃が、警察も崩せなかった鉄壁のアリバイを、時計の知識と鋭い観察力で見事に解きほぐす。依頼人は捜査一課の若手刑事「僕」。録画のタイムスタンプ、電車の発車時刻、レシートの打刻など、日常に埋もれた“時間のズレ”を手がかりに、静かにアリバイを崩していく。
「2019本格ミステリ・ベスト10」第1位
論理の筋道が明快。推理の手順が丁寧。1話完結の構成でテンポも良く、短時間読書でも楽しめる!
作品:アリバイ崩し承ります
著者:大山誠一郎
京都寺町三条のホームズ
骨董品に秘められたドラマが絡み合う、人気ミステリーシリーズ
高校生の真城葵がアルバイトをはじめた『蔵』の店主・家頭清貴は端正な顔立ちと卓越した鑑定眼を持つ京男子。苗字をもじって「ホームズ」と呼ばれる清貴は、まるで名探偵ホームズのように骨董品にまつわる事件や依頼を解決していく。
ミステリー、葵と清貴の淡い恋愛と彼らを取り巻く人々との人間ドラマが面白いだけでなく、随所に描かれる京都の町並み・歴史・文化が京都への興味・関心を高めてくれる&ためになる!
ライトな謎解きと温かみのあるストーリーで、ミステリー初心者や京都好きには特におすすめ!
作品:京都寺町三条のホームズ
著者:望月麻衣
1/6まで:解約はいつでもOK
背筋がゾッとする「ホラー小説」
黒い家
主人公は、生命保険会社の京都支社に勤める若槻慎二。保険金の支払い査定で忙しく働いていたある日、顧客の家に呼び出され訪れると、子供の首吊り死体がー。死亡保険金が請求を受けるも、顧客の不審な態度にから他殺を確信。若槻は独自調査に乗り出すが…
次々に恐怖が襲う、戦慄のホラー小説。それでも、読む手は止まらない。私はこの小説をきっかけに一時、貴志祐介作品にハマった。
作品:黒い家
著者:貴志祐介
リング
「リングシリーズ」の第1作目、ジャパニーズホラーの最高傑作。
1本の呪いのビデオテープを観た少年少女たちが、同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情で死亡する。姪の死に不信を抱き、調査を始めたのは雑誌記者・浅川。忌まわしいビデオには、一体どんなメッセージが隠されているのかー。
単なるホラーでなく、ミステリーとしても面白く、一気読み!
本を全く読まない私に「まずは読んでみろ」と同僚から手渡されたのがこの小説。私に「本を読む面白さ」を教えてくれた、記念すべき1冊。社会人になって、いきなり自己研鑽をしようと思ってもビジネス書は読めない。まずは、面白い小説からトライしよう。
作品:リング
著者:鈴木光司
ぼぎわんが、来る
第22回日本ホラー小説大賞“大賞”受賞作
2018年12月、「来る」で映画化
妻との間に娘を授かったばかりで幸せな毎日を送る田原秀樹。そんなある日、彼の会社に謎の訪問者がやってくる。しかし、訪問者は姿を消し、取り次をした後輩は、本人さえ気づかぬ間に流血する大ケガ。秀樹の自宅でも、娘を狙うような“何か”の気配を感じるように。
これは、亡き祖父が恐れた化け物“ぼぎわん”の仕業なのか?
秀樹はオカルトに詳しいライター・野崎と霊感を持つ真琴に助けを求めるが、真琴も”あれ”に襲われて…。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、霊媒師の姉・琴子に助けを求めるー
ホラー✕ミステリー。さらに、人間の心の闇、人間関係の脆さをもクロスし描かれる。子供たちを山江連れていく化け物”ぼぎわん”の怪異現象の恐怖だけでなく、「人間の業」の醜さにも恐怖!
作品:ぼぎわんが、来る
著者:澤村伊智
禁じられた遊び
幼い子供に「トカゲのしっぽを土に埋めてあげると、トカゲが生えてくるんだよ」と教えた父。子供の好奇心を裏切りたくないと思っての言葉だったが…
子どもは素直。素直だからこそ、子どものためにと思った言葉が悲劇を生むこともある。親御さんは、発言に気を付けて。 怖いけど、一気読み必至のホラー小説。
作品:禁じられた遊び
著者:清水 カルマ
人間椅子
おぞましい結末に鳥肌必至のホラー小説。
作品:人間椅子
著者:江戸川乱歩
なまなりさん
妖艶な双子姉妹による執拗ないじめにより自殺に追い込まれた女性の復讐劇。怨念は、双子姉妹への復讐にとどまらず、実家の家族やその関係者にも広がっていくー。
怪異蒐集家・中山市朗が聞き取った実話。私は実話と知らずフィクション・ホラー小説と思って読了。最後の「解説」を読んで、身の毛がよだち全身に鳥肌…
世の中何が怖いって、一番怖いのは「人間」だと改めて実感させられる。恨まれることも恨むこともないよう、生きよう。
作品:なまなりさん
著者:中山市朗
怪談・奇談
先の2作品と同様、桜にどこか妖艶で何かの化身めいた雰囲気を感じていた一昔前までの日本人。どちらの作品も、桜が人々の心を惹きつけ、あるいは彼らの運命を左右する存在、信仰の存在として描かれる。
桜が時には人の姿で現れたり、時には運命を操る神秘的な存在として描かれる、日本文化を味わいながら読みたい!
作品:怪談・奇談
著者:ラフカディオ・ハーン
1/6まで:解約はいつでもOK
未来はどうなるのか?深い洞察が得られる「近未来SF小説」
1984年
読者に「社会(支配)や人間の本質」、そして、現代社会人がそれらの罠に知らず知らずはまっていることを気づかせてくれる名著。全体主義を批判というレベルを超越し、現代人に対しても、「今の現在進行する社会の危機」にも警鐘を鳴らす。こんな芸当ができるのも、オーウェルの人・社会の本質を見る目が確かだからに他ならない!
作品:1984年
著者:ジョージ・オーウェル
タイムマシン
タイムマシンが登場する、ドラえもん、バック・トゥ・ザ・フューチャー、スタートレックといった科学技術が超進化を遂げた世界はそこにはない。そこにあるのは「技術、そして、人の退化」。
なぜ、人類はこんな風に進化してしまったのだろうと想像力を駆り立てられる。そし、健全な進化とは言えない退化に「人間の成れの果て」を見る、考えさせられる一冊。
作品:タイムマシン
著者:H・G・ウェルズ
地底旅行
鉱物学教授リーデンブロックは、骨董屋で入手した手書きの古典から、暗号が書かれた1枚のメモが滑り落ちた―。難解な暗号を読み解くと、そこに書かれていたのが、「地球の中心にたどり着けるという秘密の入り口の存在」という驚くべき内容であったー。
狂人的なポジティブさで地底を冒険する教授とその仲間の冒険は、ワクワク・ドキドキで、一気に読めてしまう!古生物学を織り交ぜた教養的な描写は、ヴェルヌならでは。科学好きな人も大満足のSF小説。
作品:地底旅行
著者:H・G・ウェルズ
東京大地震2023
東京の東は水、西は火の海に。その時、自分はどう行動するか?自宅にいるとは限らない。東京のどの場にいるときには、どう動いた方が生存確率を高められるか、小説を読みながら学べる。
防災本では、理路整然と対処法が語られるが、そこには人の「焦り」「痛み」「判断間違い」は描かれない。小説では、愚かな判断・行動をとる人、醜態を見せる人間も描かれる。その追体験もリスクへの備えとなる!
作品:東京大地震2023
著者:柘植 久慶
ノックス・マシン
ミステリー素人にはなかなか手ごわい、マニア向けSFミステリー
「このミス 1位」というと大衆受けしそうなミステリー、ミステリー初心者でも読みやすいミステリーかと、思いきや、マニア向けとも言えるミステリー。おそらく、好き嫌いが大きく別れる作品。「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「バベルの牢獄」「論理蒸発-ノックス・マシン2」を収録。
SF、物理学など、技術的な知識をもっている方の方が楽しめる。
作品:ノックス・マシン
著者:法月綸太郎
おうむの夢と操り人形
昨今のAI技術の進化は目覚ましい。しかし、それもロボットに警戒感があるのは、たとえ、やさしい声をかけられても、会話を重ねれば、自分を深く理解してくれる相手になり得ないとわかるから。
では、どんな会話なら、人間はロボットを快く受け入れるのかー。それが「オウム返し」。ロボットが経営トップになっても会社は機能するのか!? 機能するなら、そのとき人はロボットとどんな関係を築くのか?ロボットと人が共に暮らす未来に興味がある方におすすめ!
作品:おうむの夢と操り人形
著者:藤井太洋
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揺れる心「恋愛小説」
余命10年
高齢者を別とすれば、余命10年を、まだまだ人生長いと悠然と構えることなどできない。短い人生をいかに生きるか、余命10年と知った若い女性のラブストーリー。
涙必至の感動小説。読了後、いかに生きるかを問われる作品。さらに、本書がスゴイと思ったのは、「迫りくる本物の死のリアル」「死の恐怖」が描かれていること。「いかに後悔せずに「生」を全うできるか」と自分に問わずにいられなくなる!
作品:余命10年
著者:小坂流加
生きてさえいれば
著者の小坂さんが重い病の上、亡くなられた後に存在が明らかになった作品。病気に侵され、もはや自由に動き回ることすらできなくなった女性を中心に話が展開するが、決して苦しみ・悲壮感だけの作品ではない!
時間を超えてクロスしていく人間関係の妙(縁)や、悲しみや絶望を乗り越えた先にある「生きる希望」に心が熱くなる。
ストーリー展開が絶妙。読了の再読必至!2度読んでも号泣😭
作品:生きてさえいれば
著者:小坂流加
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら
いわゆる「戦争時代へのタイムスリップ小説」。話の展開が予想できてしまうも、それでも、戦争小説はうるうるする…。
日本人は「お国のために死ぬことが美徳」とされた時代があった事実を忘れてはいけない。「お国のため=支配階級のため」であり、「国民のため」ではない。国のスローガン・政策に盲目的になるのはやめよう。
作品:あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら
著者:汐見夏衛
最後は臼が笑う
主人公は、ろくでなしな男に引っかかり続けてきた関西人・公務員の桜子。しかし、ダメ男にも「1点の愛らしさ」があるもので、それを彼らの中に見出すことが生きがい。しかし、ある日、出会ってしまった「一分の隙もない完全な悪の男」。
女性の自尊心を傷つけることを続ける男にどう立ち向かうか!予想外の展開に笑い😝
作品:最後は臼が笑う
著者:森絵都
月の裏に望む
大人の恋愛小説だが、ミステリー的でもある。主人公ごとに合わせ、章の作風も随分異なる。
繕ったり、偽ったりしているわけでなくとも、人との関係性が違うと、「人は違う顔を見せる」。タイトルの「月の裏」は「人の見えない側面」の象徴。出会い方によって異なる別の顏を味わってほしい。ちなみに私は3章が好き!
作品:月の裏に望む
著者:ことわ荒太
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笑える!着眼点・発想が面白い! 「エンタメ小説」
雨の日も晴れ男
「神が大事な気づかされる」という通常なら逆の発想が面白い。アレックスのバカがつく明るい思考からは元気がもらえる!
作品:雨の日も晴れ男
著者:水野敬也
わたしは愛される実験をはじめた。
本作の特徴は、単に小説にとどまらない認知額を応用した「恋愛テクニック」が学べること。レッスンのまとめページもあり。実際の恋愛に使えるかどうかは別として、知っておいて損はない😝ストーリーも軽快で面白い!
作品:わたしは愛される実験をはじめた。
著者:浅田悠介
正義の申し子
現実では引きこもりなるも、ネット上では大口を叩く、自称正義のユーチューバー “ジョン” 。マスクをかぶり、悪徳請求業者に電話をかけ、相手をおちょくった動画が爆発的な再生数を伸ばし、調子に乗ったジョンは、男とリアルに会って対決し、それを配信しようと画策する。しかし、本来気の弱い純。「ジョジョジョジョーン。笑いを愛し、笑いに愛された正義の申し子、ジョン様の登場だっ。今日もおまえらにジャスティスなショーをお届けするぜーっ」と調子よく、映像配信するつもりだったが、相手にマスクを取られたジョンは、気弱な純にー。ボコられておしまいか!?
タイトルはシリアス。しかし、その実態は、ノンストップコメディー!
作品:正義の申し子
著者:染井為人
なるへそ
リズムよく展開する短編謎解き小説。ストーリー全体が落語の小話のようで、人間味に溢れる。しかも、最後の最後のオチににんまり😆 落語ファンにもおすすめしたい。普段のゴリゴリのビジネス小説・ミステリー小説とは違う池井戸潤さんの作風も楽しめる。
作品:なるへそ
著者:池井戸潤
無限大ガール
主人公は、高校二年生の相川早奈。今日ははテニス部、あすは水泳部、ソフトボール部、園芸部に写真部……と「日替わりハケン部員」。頼まれれば、臨時の助っ人として参加する。
そんな早奈に舞い込んだのは、演劇部部長からのSOS。文化祭でミュージカルを上演するのに、主演女優が演出家ともめて急遽降板し、代役をと懇願するのだが….
テンポがあって、面白い!早奈を応援したくなる!
作品:無限大ガール
著者:森絵都
君と夏が、鉄塔の上
中学生の幼さと成長。彼らの初々しさと夏の空の青さがマッチした情景が目に浮かぶ作品。作者ご自身が「鉄塔オタク」で、鉄塔への愛が溢れる💕
田んぼに鉄塔が連なる風景。子供時代を過ごした、田舎の夏休みの思い出がいい思い出としてよみがえった!
作品:君と夏が、鉄塔の上
著者:賽助
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時空を超えて「歴史小説」
秀長さん
秀吉の天下統一を影で支えながら110余万石の大大名に上りつめ、「天下の調整役」として名をはせた、豊臣秀長の波乱に満ちた秀長の生涯。歴史の表舞台に立つことが少なかった秀長の、慎重で協調性に富んだ性格、兄・秀吉を陰で支えた姿が丁寧に描かれる。
彼の判断力や行動力、人柄の良さが周囲の人々を魅了し、豊臣政権の安定に寄与したことがわかる。秀長の視点から描かれる信長や秀吉の姿も新鮮。
誰よりも家臣と領民、そして平和を愛した男が生涯をかけた夢とはなんなのかー
歴史の教科書では味わえない人間味あふれる物語に注目。歴史ファンはもちろん、大河ドラマファンも要チェック!
作品:秀長さん
著者:鞍馬良
紫式部の一人娘
己の力で確固たる地位を築いた 紫式部の娘・賢子の目を通して平安女性達の生き様を描く歴史小説
女流歌人として生きる斎院中将
ひたすらに子を産むことに人生をささげた藤原公任の娘
天皇を寝とるという野望に挑むべく宮仕えを決めた元子女王
三者三様の女性たちの人生を通じて、賢子は自らの道を模索していく
彼女たちの物語は、平安の世における女性の自立の難しさや、しなやかに生き抜く強さを浮き彫りにする。2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の、次の世代の女性たちの生き方を、この1冊で!
作品:紫式部の一人娘
著者:阿岐有任
画狂老人卍 葛飾北斎の数奇なる日乗
江戸の大絵師葛飾北斎。凡人を悩ませる破天荒な日常を描く歴史小説
江戸の大絵師、葛飾北斎は絵への探求心が人一倍。弟子の常次郎は困らせられてばかり。しかし、師匠はぶっきらぼうでも弟子の成長を見守り、弟子も怒りながらも尊敬の眼差しを送る。そんな愛あるおかしな日常を、軽妙な筆致で生き生きと描く。
むっちゃ、面白い。3代目蔦重も登場。
北斎に負けず一人面白いのが、北斎の娘。同じく浮世絵師ですが娘も一癖二癖ある人物。空想小説ですが、エロ春画の話が超面白い。この娘は2025年10月、長澤まさみさん主演映画『おーい、応為(おうい)』でも注目!
作品:画狂老人卍 葛飾北斎の数奇なる日乗
著者:白蔵盈太
滔々と紅
第1回 本のサナギ賞 大賞受賞
飢饉の村から吉原に売られてきた一人の娘の成長を描いた歴史小説。綿密な調査をベースに、江戸時代末期の吉原・妓楼(ぎろう)を生きた女性の生き様が、吉原遊郭とはいかなる文化を持つ場所だったかと共に描かれる。
江戸時代、20~30万人もの命を奪った天保の大飢饉から、吉原へ売られて命を繋いでも、吉原は、病気・折檻・心中など「死」が身近にある場所。そんな中で、主人公・駒乃はどう生き抜くのか―。読み終えて涙。
作品:滔々と紅
著者:志坂圭
この世をば
『光る君へ』よりも先に、藤原道長のイメージを大きく変えた小説。
上巻:機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄・道隆、野心家な次男・道兼に比し、凡庸でおっとり三男坊・道長がトップに上り詰める前での姿を描く
下巻:道長よりも上位の地位にあった道隆の子・伊周が、花山天皇襲撃を機に凋落。道長は政権トップに躍り出るも、頭を悩ます日々が描かれる。
本書に描かれる道長は、「光る君へ」の道長と重なる。前代未聞の「一家三后」を成し遂げ、摂関政治の頂点に上り詰めたのも、正直、「運」を味方につけたことが大きい。しかし、自分はトップを率いる政治手腕に長けているわけではないことを理解し、だからこそ「外戚祖父」にことが大事と見極め、そうなるべく環境を整えていった様はさすがである。
「光る君へ」の番組で描かれた歴史の振り返りにも最適な書。おすすめ!
作品:この世をば
著者:永井路子
望しは何ぞ
どんな人物で、なぜ、藤原摂関政治を終わりに導く側に身を置くことになったのかー
藤原道長が息絶えた後、藤原家の栄華は終焉を迎え、院政の時代へと突入していくことになる。なぜ、藤原家は一族総出で政権を守ろうとしなかったかー。
ここに関係するのが、藤原道長の2人の妻、倫子と明子らの子。どちらかの子に生まれたかで、恐ろしく人生が違った。虐げられた方は、恨み・辛みが募る。ここに人間ドラマ。さらに天皇家・藤若家の権力争いも重なる。
筆者は、藤原道長を主人公に描く『この世をば』の永井路子さん。重なる時代が別視点で語られる。2冊合わせ読みがおすすめ!
作品:望しは何ぞ
著者:永井路子
紫式部ひとり語り
紫式部の人生は、「容赦ない世の現実」に見舞われた人生。母・夫を早くに亡くし、しかも、女であるが故、自分の好きなこと(漢詩・文学)で才能を発揮することもできない。そんな中で生きるには、現実の世界では口にできないことを吐き出す「はけ口」として、『源氏物語』の執筆がどうしても必要だった!
紫式部の著書『紫式部日記』『紫式部集』をもとに書かれた、紫式部の自分語り!
作品:紫式部ひとり語り
著者:山本淳子
御堂関白記
道長が生きた時代が鮮やかに甦る!
日記は、長徳四年(998年)7月5日、左大臣・藤原道長33歳の時から始まる。政務を仕切るものとして、父として、そして晩年は一人の老人としての道長の姿を垣間見ることができる。
招集しても誰も会議にやってこない、金峰山への御嶽詣、彰子の出産、晩年の病気など、日々、忙しく生きていた様子がわかる。そこには、傲慢なイメージの道長のイメージはない。歌も苦手だったし、漢字間違いも多い、そんな道長の人間臭さも味わえる。
ビギナーズ・クラシックスシリーズは、日記の中から重要なイベントを取り上げて解説。時代背景と共に解説されるので、学びが多い!
作品:御堂関白記
著者:藤原道長
和泉式部日記
天皇の2人の息子と深い恋仲に!魔性&スキャンダラスな禁断な恋の記録
和泉式部は多くの男性と浮名を流した魔性の女性。身分不相応な高貴な身分の方である、冷泉天皇の二人の子、為尊親王と敦道親王とも付き合うなど、凄い男性歴を持つ。
和泉式部日記は、冷泉天皇の第4皇子「敦道親王(あつみちしんのう)」との恋愛模様の回想録。今でいえば、スキャンダラスな暴露本!
しかし、そこで垣間見えるのは、高貴な人であっても、自分の思うようにはならない恋愛。そんな様は、現代の恋愛と変わらない!
作品:和泉式部日記
著者:和泉式部
あの日、松の廊下で
主人公は、江戸城という大組織に勤める中間管理職 旗本・梶川与惣兵衛。浅野内匠頭と吉良上野介の事件を止めに入る、事件の重要な目撃者になってしまう。
赤穂浪士の討ち入り「忠臣蔵」の発端となった「松の廊下事件」を描くが、事件のとらえ方が実に面白い!梶川にとっては、仕事ができる浅野も、義理人情に熱い吉良も尊敬に値する人物。巷は彼らの悪く言うが、そんな人たちじゃない!浅野と吉良との仕事、そして、事件後の思いを軽やかな筆で描いた歴史小説。中間管理職の悲哀が半端ない😝
作品:あの日、松の廊下で
著者:白蔵盈太
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自分を変えたい!やる気がUP!「自己啓発小説」
夢をかなえるゾウ
賢者の書
そんなあなたに「生まれ変わるきっかけ」を与えてくれる1冊。
作品:賢者の書
著者:喜多川泰
運転者
こんな言葉が思わず口から出てしまう、仕事に悩み、自分の人生・生き方に疑問を感じている人に勧めたい。読み終わるころには、報われない人生なんてない!と腹落ちし、心からの「生きる力」「感謝の心」が沸いてくる!
作品:運転者
著者:喜多川泰
ライフトラベラー
ただし、人生を変えてくれる大切な経験・体験を与えてくれた貴重なチャンスだったと気づいたのは、5年・10年と随分時間が経過してからのこと。本書はそれを、読むだけで気づかせてくれる。
思っていても、行動しなければ始まらない。不自由な海外旅行に出かけよう!準備万端・荷物万端で出かける必要なんてない。小さな荷物だけ持って飛び出そう!
作品:ライフトラベラー
著者:喜多川泰
株式会社タイムカプセル社
人生は山あり谷あり。順風満帆の期間は短く、人生につまづきを感じつつ悶々と過ごす日々、自分らしく生きていないと感じる期間が圧倒的に長い。人生、再出発したい、そんな思いを持つ人たちに必要な「心に火🔥を灯してくれる言葉」と「気づき」が溢れる!最近の自分は「やる気がない」と思っている方にもおすすめ。
作品:株式会社タイムカプセル社
著者:喜多川泰
四つ話のクローバー
どの話も面白くためになりますが、私が最も好きなのは「第二話」。大みそかの夜。「紅白歌合戦」をはるかに凌ぐ視聴率番組「ハッピーコロシアム」での最終決戦。『日本人はどう生きたら幸せになれるのか?』の熱いバトルを繰り広げられる。最終決戦で勝つのは、『感謝』で幸せに包まれる 天海氏 VS 『ワクワク』が興奮・原動力の源!真田氏か!?文句なしの面白さ!
作品:四つ話のクローバー
著者:水野敬也
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お金・金融について学べる「経済小説」
おカネの教室
リーマン・ショック(強欲資本主義)から、「かせぐ/ぬすむ/もらう/かりる/ふやす」とはどういうことか、長期投資、格差問題など、中学生でも分かる平素な言葉でストーリーで「おカネの教室」が展開される。
中学生の時にこんなクラブと出会えていたら、大人になって、もっとお金と賢く付き合い、お金・仕事の価値観も変わっていただろうに!と悔しさすら感じてしまう内容。
作品:おカネの教室
著者:高井浩章
職業、お金持ち。
フツーの女子大生・あすか。証券会社のロビーで大富豪の老紳士・えびすさまと出会い、「愛されて幸せになる教え」を学ぶことにー。
あすかが富豪からの学びで気づくのは、今まで裕福になるために大事と思っていたことが「貧乏界の常識」であったということ。お金持ちマインドを身につける入門小説。ストーリーが軽快で、どんどん読める。モチベーションも⤴
作品:職業、お金持ち。
著者:冨塚あすか
トップ・レフト 都銀vs.米国投資銀行
今でこそ、時々耳にする敵対的買収(TOB)など、食うか食われるかの熾烈な戦いが、緻密、かつ、リアルな筆力が描かれる。発刊から月日が経過しているものの、臨場感を感じながら面白く読める!
作品:トップ・レフト 都銀vs.米国投資銀行
著者:黒木亮
巨大投資銀行
投資のプロたちが繰り広げる駆け引き・複雑な取引が見どころ。投資銀行の内幕をスピード感とリアリティをもって描き出す、国際経済小説の金字塔!
作品:巨大投資銀行
著者:黒木亮
会社を潰すな!
ストーリーを通じて、「決算書の読み方」「マーケティング」「マネジメント」の基本も学べる!経営を学びたいビジネスマンにおすすめ。
作品:会社を潰すな!
著者:小島俊一
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