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Audibleは、Amazonが提供する”耳で聴く”オーディオブックです。 通勤・通学・家事などのスキマ時間を、簡単に「自己啓発」時間にできます。「ながら聞き」でタイパを高めましょう!
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Audibleの使い方・キャンペーンの利用方法・解約方法・退会方法の詳細は、以下の記事で紹介しています。
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Audible おすすめ小説:紹介ジャンル
読書は、人生に様々なプラスの影響をもたらします。
小説のプラスの影響は、ビジネス・マネー・教養書のように即効性はありません。しかし、「人生を追体験」したり、「自分と異なる価値観」に触れることで、共感力がUP。これまで興味がなかった分野に興味を持つきっかけをも与えてくれます。これらが、徐々に「人生の基礎力」となります。
耳で聞く読書Audibleと最も相性がいいのは「小説」です。
ミステリー・SF・ホラー小説・恋愛小説・歴史小説・自己啓発小説・笑える面白い小説など、対象小説は聴き放題!国内小説から海外小説もまで、人気作品も聴き放題対象です。Kindle本の読み放題サービス「Kindle Unlimited」では読み放題とはならない多くの本がAudibleは聞き放題対象となっています。
Audibleの「聴き放題対象本」の中からおすすめ小説を以下のジャンル別で紹介していきます。
2025年3月の「推し本」
Audibleの聞き放題新本、季節的にふさわしい本、私の今月の読了本などからおすすめ小説を紹介します。
死んだ山田と教室

Audible聴き放題対象
MY書評
男子校のおバカスクールライフがさく裂。
明るく、くだらない。しかし、ほろ苦くて、切ない。
男子高校生の友情、葛藤、成長が鮮やかに描がく青春ストーリー。
男子校のノリ全開。下ネタワードもさく裂。十代男子のくだらなさが実にリアルで面白い。最後一行までおちゃらけている。それなのに、哲学的な問いがあり、しかも熱い。
ストーリーは読者に「生きること」「死ぬこと」「孤独」についてなど、哲学的な問いを投げかける。
切り口が斬新。ブログ管理人にとっては初めてなタイプの小説で斬新
作品:死んだ山田と教室
著者:金子玲介
アルプス席の母

Audible聴き放題対象
MY書評
2025年 本屋大賞ノミネートに納得の傑作
甲子園を目指す高校球児の母・菜々子が、息子の野球進学のために引っ越した新天地・大阪で、苦悩しながらも前に向かって進む、母子の絆と成長の物語。
スポーツする子の親になら「わかる~」の連続で心に刺さる。情景描写・心情描写が巧みで「グラウンドの息子」と「アルプス席の母」が目に浮かぶ!スポーツ小説ながら、その親に焦点を当てている点が新鮮。球児を支える親たちの知られざる戦いが超リアル。
スポーツに限らず、高みを目指そうとするなら、子自身の能力と努力はもちろん、「親の愛・支え」が必須。いや、どんな子でも「親の愛」は深い。読み終えて、両親に改めて感謝したくなった!
作品:アルプス席の母
著者:早見和真
人魚が逃げた

Audible聴き放題対象
MY書評
そんな王子と、それぞれ人生の節目を迎えた5人の男女が銀座を舞台に織りなす、ほっこり心温まる感動作
アンデルセンの『人魚姫』をモチーフに、青山美智子さんワールドが展開!王子と現実を生きる5人が、絶妙に絡まり迎えるラストは、現実世界の話でありながら、ファンタジー作品のよう。ラストのエピローグで5話の現実と幻想をまるっとまとめて伏線回収。物語は最後までわからない!世界は物語(フィクション)でできている!
著者は、本作で5年連続5度目の「本屋大賞」ノミネート。優しく読みやすい文章。登場人物たちの繊細な心情描写が秀逸。心に響く素敵な言葉が物語の随所に散らばる!
作品:人魚が逃げた
著者:青山美智子
六色の蛹
精度の高い謎解きと叙情的なドラマが共存。ほろっと泣ける!連作短編ミステリー
昆虫好きの心優しい青年・魞沢泉が、各地で遭遇する事件を解決しつつ、人々の心の痛みに寄り添う姿が描かれる。タイトルに「六色」とあるように、「色」に絡めた短編6編は、少しずつ、人間ドラマが折り重なる。
魞沢のとぼけたキャラクターと、人々の心に寄り添う姿勢がとてもいい。決して名探偵ではない。むしろ、どんくさい。しかし、小さな違和感を大事に、人と語らいながら、違和感の正体を解き明かしていく姿が実にいい。おすすめ!
作品:六色の蛹
著者:櫻田智也
地雷グリコ

Audible聴き放題対象
MY書評
四大ミステリーランキングを完全制覇。斬新!面白い!
主人公は、普段はマイペースな高校一年生・射守矢真兎。しかし、いざ、勝負事となると圧倒的な知略で勝負する。ある日、友人から学園祭の屋上使用権を巡るゲーム対戦への参加を頼まれる。それを機に、真兎は一風変わった心理戦・騙し合いゲームで頭脳戦・心理戦を戦うことに…
本作に登場する5つゲームは、グリコやじゃんけんなど、誰もが親しんだゲーム。しかし、ルールが追加されることで、超絶・頭脳ゲームに!相手を何気内言葉、しぐさで誘導する心理戦も加わって、面白さ爆発。この面白さはあらすじ知ってもわからない!
ゲームの本質を見極め、作戦を繰り出し、相手を誘導する天才の思考・行動プロセスは、商談など、相手の心をつかむ必要があるビジネスマンにも勧めたい!
作品:地雷グリコ
著者:青崎有吾
善良と傲慢
ある日、突然、真実が行方不明に。ストーカー?疾走?失踪なら、なぜー
善良な人にも、傲慢さはあるー
どんな善良で真面目な人であっても、その人生には打算がある。欲しいものを手に入れるために自分を作ろうこともある。そして、その打算・策略が他人に知られた時、とめどもなく耐えがたい感情になることを、本作はリアルに描く。嫌な自分の内面を見透かされたようなストーリー。しかし、だからこそ、ページをめくる手が止まらない。そして、傲慢の差の仲にも善良はある。最後に、ほろほろ涙。恋愛小説の枠を超えた1作
作品:善良と傲慢
著者:辻村深月
2025年3月劇場公開作品
少年と犬

Audible聴き放題対象
MY書評
岩手から熊本まで、犬はなぜ3000kmを旅したのかー。
涙なしでは読めない感動作
痩せこけ、ケガを負っても南へ向かう一匹の犬・多聞。
岩手から熊本まで3,000kmを旅した犬と、旅で出会った〈男〉〈泥棒〉〈夫婦〉〈娼婦〉〈老人〉〈少年〉との心の交流・深い絆を描く6編の連作感動作。
南に向かう道中、多聞はまるで彼の使命であったかのように、「救いが必要な人々」と出会い、一時を共にする。弱く、愚かな人間が、無償の愛と忠誠心で応える犬に、いかに救われ、支えられ、心やさしくなれるのかが描かれる
誰もが涙する感動作。2025年3月、高橋文哉と西野七瀬の主演で劇場公開
作品:少年と犬
著者:馳星周
悪い夏

Kindle Unlimited読み放題対象
Audible聴き放題対象
MY書評
第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作
2025年3月映画公開
生活保護制度の裏側に潜む闇に絡み、転落していく人間を姿を描いた社会派・犯罪サスペンス。
26歳・ケースワーカーの守は、同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせて肉体関係を迫ってことを知り、真相を確かめようと女性の家を訪ねたが…。その出会いが守を凄絶な悲劇へ叩き落とす。
生活保護の不正受給、貧困シングルマザー、勢力拡大を目論む地方ヤクザなど、日本を渦巻く闇が次々に連鎖。
臨場感のある描写。蒸し暑い夏の空気感、汗ばむ肌の感触が伝わってくる。読書中、ねっとりとした汗が、まとわりついてくるような感覚に襲われる!
作品:悪い夏
著者:染井為人
本屋大賞 大賞受賞作
本屋大賞は、書店員さんの投票のみで選ばれる賞です。本当に面白い本・いい本が多い!人気作が多く、映画・ドラマ化される作品も多いです。賞受賞作を読むなら、真っ先におすすめしたいです。
成瀬は天下を取りにいく

Audible聴き放題対象
MY書評
主人公 成瀬あかりのキャラの圧倒的存在感に、読者は心つかまれる!誰の目を気にすることなく、誰の意見に左右されることなく、やりたいことを宣言し、行動する、その生き様が爽快!カッコいい!毎日、世間を気にし、空気を読んで、やりたいことを諦めている人は、「成瀬のように、私も私らしく生きたい!」という気持ちが湧き上がるはず!
そして、作家・宮島未奈のストーリー戦略のうまさにも感嘆。これ読んだら、滋賀県民・膳所ジモティーは、絶対、この本「推し」になるでしょ!ストーリーに登場するスポット、私も行ってみたくなった!既に「聖地化」して盛り上がり中(笑)
作品:成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
汝、星のごとく

Audible聴き放題対象
MY書評
高校生の暁海と櫂は、ともに複雑な家庭環境をを持つ。そのため、小さな島の中では噂の的。突き刺さるような視線を受ける二人は、惹かれ合い、成長し、すれ違ちがう。二人を隔てたものはー。人生に翻弄される登場人物の苦悩・孤独感が圧倒的な筆力で描かれる。
人生はままならない。それでも、ただ流されていけない。どう選択し、生きていくのかー
人を愛し、頼ることは悪いことではない。しかし、「お互いに支え合う」関係でないとうまくはいかない。時として、生きる価値・生きる糧、すべてを失ってしまう。著者は、「自分の人生は自分で選ぶ」ことの大切さを、暁海の生き様を通じて描き切る。恋愛小説というジャンルを超越し、「人生」「生き方」を読者に問う。
作品:汝、星のごとく
著者:凪良ゆう
同志少女よ、敵を撃て
久々にすごい新人が出てきたと話題。さらに、ロシアによるウクライナ侵略が続く中、銃を撃つとはいかなるものか、映画を観ているかのような緊迫感ある数々のシーンに、多くの人が息を殺して読んだと感想!
作品:同志少女よ、敵を撃て
著者:逢坂冬馬
流浪の月

Audible聴き放題対象
MY書評
せっかくの善意をわたしは捨てていく。そんなものでは、わたしはかけらも救われない。愛ではない。けれどそばにいたいー
親をなくし、親戚の家で性暴力を受け居場所を失った少女・更紗は、1人の大学生・文のもとに身を寄せる。 しかし、二人の関係は、世間的には「女児誘拐」の被害者と加害者。2か月後、二人は警察に発見され、文は誘拐犯として逮捕されてしまう。それから15年後ー 再び偶然に出会った二人は、再びつながり合うことを選ぶ。しかし、そんな二人に世間の扱いはひどいモノであったー。
特別な人との人との深いつながりを描く一方で、著者は、薄っぺらな善意、さらに、人を人とも思わない容赦ない世間の冷たさを描く。さらに、人を不幸にする社会問題が折り重なり、読者は「面白いとは違う何か」に、惹きこまれる!
深い心理描写、緻密なストーリーテリングに作家の筆力を見た!
作品:流浪の月
著者:凪良ゆう
そして、バトンは渡された
大人の都合に振り回され、血の繋がらない親の間をリレーのようにバトンを渡されながらされながら育った優子。高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
通常なら不幸な少女話となりそうなストーリーですが、全く、悲壮感はない。血がつながっていなくても、「愛」と「温かい食卓」があれば、幸せに子供は育つことを教えられる。ホロリとした涙が流れる、優しく温かい物語。
作品:そして、バトンは渡された
著者:瀬尾まいこ
羊と鋼の森
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく青年の姿を描いた作品。
映画化されていますが、映画は本作の良さを描き切れていない。外村の「プロ調律師」そして「人」としての成長を原作を通じて味わってほしい!
作品:羊と鋼の森
著者:宮下奈都
芥川賞受賞作
芥川賞は、新人作家の純文学作品に与えられる賞です。短編~中編小説が対象なので、小説初心者でも読み切りやすいのが特徴。また文章の美しさや表現方法の多彩さが重視され、作品のテーマとしても、社会に訴える社会派作品も多いです。
サンショウウオの四十九日

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MY書評
第171回芥川賞の受賞作。読書に多くを考えさせる深い作品。哲学的。
はたから見れば一人に見える結合双生児の姉妹・杏と瞬。その姉妹の父も、胎児内胎児として、兄の身体から取り出されて生をを受けた稀有な生い立ちを持つ。父の片割れともいえる伯父の死からの49日間を描く。
伯父は亡くなっても、父は生きている。その当たり前の事実を前に、二人で一つの身体を共有する姉妹は、姉妹は片方が思考を失ってしまったら、一体どうなるのだろうかー と、「自己」「意識」「死」に向き合わざるを得なくなる。読者も死とは何かを考えざるを得なくなる。芥川賞らしい、深く考えさせる作品。私は好き。
作品:サンショウウオの四十九日
著者:朝比奈秋
東京都同情塔

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MY書評
舞台はごく近未来の東京。社会では、犯罪者に対する寛容論が浸透。新宿御苑の敷地に高層タワーの刑務所を立てる計画が進む。
新刑務所のコンペに挑もうとしているのが有名建築家・牧名。彼女がひらめいた高層タワーの名称は「シンパシータワートーキョー」。しかし、15歳年下の彼氏はその名称は「おそろしくダサい」と感想を述べ、直感で「東京都同情塔」と口にする。その語の持つ意味・響きを反芻する牧名。そして、彼女は、巨費を投じる建築自体より、「言葉の持つ意味」と「変わりゆく日本人の言葉とその歪み」に頭を悩ませるー。
いくつもの問題を”暗”に呈するす。主人公の考えや発言の中には、ドキリとするものも…読了後の率直な感想は、「あ~、芥川賞っぽい」。近未来を通じて、現在の社会に既に存在する問題の芽や課題を「う~む」と考えながらじっくり読む小説。
作品:東京都同情塔
著者:九段理江
ハンチバック

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MY書評
背骨が極度に湾曲する重度障害者の釈華。「ハンチバック」とは、せむし。背中が曲がったこと人のこと。親が残したグループホームでお金に不自由はないが、行動の不自由、身体的苦痛、社会的疎外感に苦しむ姿が徹底的に障害者目線で描かれる。
健常者であることは「特権」。トイレ・入浴さえ自分できず、人に恥部を晒すことが、どれほど自己肯定感を侵害するか…
中でも本作が描くのは「障害者の性」。釈華の夢は「普通の人間の女のように妊娠して中絶すること」。この夢を叶えるために釈華がとった行動は!?
作品は短編。しかし、文学作品として、いろいろ考えさせられる。ラストをどう読むか?健常者特権に対してだけでなく、神・宗教・フェミニズムにも「暗」に物申す作品。人によって作品に対する評価は分かれると思われるが、読んでみる価値あり。
作品:ハンチバック
著者:市川沙央
おいしいごはんが食べられますように

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MY書評
多様な価値観が混在が渦巻く現代社会における、職場のままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。タイトル・表紙の雰囲気から、ほっこり温かいストーリーを創造して読み始めると、ストーリーの落差に驚愕することになる…。職場という閉鎖空間の中にある、人の冷たい感情や歪んだ感情があまりにリアルで、不気味さ・恐ろさを感じてしまう。
著者は作品を通じてわかりやすい形で何かを主張したりはしない。しかし、食べ物への価値観を通じて、読者へ生き方を”暗”に問う。「あなたも主人公みたいな生き方してない?それでいいの?」と。
作品:おいしいごはんが食べられますように
著者:高瀬隼子
ブラックボックス

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MY書評
自転車メッセンジャーとして生きるサクマ。「暴発的暴力衝動」が止められず、仕事を転々。体力勝負で何かあればすべてが自己責任の仕事に、人生の不安は拭えない。「ちゃんとしなきゃ…」と頭の片隅では思っていても、何をどうすることもできない悶々とした日々を過ごす中、税務署職員・警察官を殴る事件を起こしてしまう。
怒りで自己制御できなくなってしまう「自分」も、「世の中」もブラックボックス。人と現代社会の暗部を切り取った作品。
作品:ブラックボックス
著者:砂川文次
推し、燃ゆ

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推しアイドルがファンを殴って炎上…そして、芸能界引退。学業も学校生活も家庭も底辺で、ままならない人生に苦しむ女子高生・あかり が、唯一、生きる原動力・心の支えの”推し”を失い、心が削られていく姿を描く。
現代社会の、生きづらさ、閉塞感を切り取る1冊。共感必至。私にとって本作は間違いなく「推しの1冊」。
作品:推し、燃ゆ
著者:宇佐見りん
むらさきのスカートの女

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〈わたし〉は、公園でクリームパンを食べる変わった底辺女「むらさきのスカートの女」が気になって仕方がない。日々、彼女を観察を繰り返す。最初は「むらさきの女」が何者か知りたくてページをめくるが、次第に、あれ、〈わたし〉って新種のストーカー?〈わたし〉の方がキモイかも…と、〈わたし〉の執拗な変質者ぶりに、関心の矛先が変わっていく。〈わたし〉が何者なのかを知りたくて仕方がなくなる!
とにかく、先が知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなる。独特の世界観に、読者は引き込まれること必至!
作品:むらさきのスカートの女
著者:今村夏子
おらおらでひとりいぐも
郊外の新興住宅地でひとり暮らしをしている74歳の桃子さん。夫は15年前に先立ち、子供も独立。毎日を孤独・寂しさと共に暮らしていた。そんな彼女の頭に、この頃、聴こえてくる「東北弁鉛の声」。声は多弁に桃子さんに語りかける。そして、新たな自分に出会う!
本作こそ、オーディオブックをおすすめしたい。文字で読むと難しい東北弁が、ジャズのように雄弁に語りかける!やさしい涙が溢れる感動作。
作品:おらおらでひとりいぐも
著者:若竹千佐子
コンビニ人間

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MY書評
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目の36歳未婚女性、古倉恵子。これまで彼氏なし。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられる。
「普通」でないと息苦しい現代社会。異質を排除する「普通圧力」の存在を、コンビニを舞台に軽やかに描き出す。読者は「普通とは?」「自分らしい働き方・生き方とは?」を問われる!
作品:コンビニ人間
著者:村田沙耶香
火花
笑いとは何か、人間が生きるとは何なのか。売れない芸人徳永を主人公に、人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ、「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作!
作品:火花
著者:又吉直樹
スクラップ・アンド・ビルド

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MY書評
自分の思い通りに動かない身体・衰え行く思考に「死にたい」と弱音を吐く祖父。一方、筋肉マニアの主人公・健斗は祖父の尊厳を重視し、死にたい願いを叶えてあげるための計画を思いつく。
「若さと老い」。人は苦しい時「死にたい」と口にしてしまうが、本当は死にたくない。いざというとき、体は強烈な抵抗を見せるという、「人間の本質」を再認識させられる!
作品:スクラップ・アンド・ビルド
著者:羽田圭介
蹴りたい背中
余り者扱いされている女子高生のハツと、オタクのにな川との交流を描く。
高校時代、情緒不安定で、短期で、モノを斜めから見ていた、全くかわいくない自分の高校時代を、苦々しく思い出させた作品。視野も行動範囲も狭い世界で生きていた高校時代が懐かしい。もう一度、やり直せたら!
作品:蹴りたい背中
著者:綿矢りさ
直木賞受賞作
直木賞は、新人・中堅作家による「大衆小説」の単行本に与えられる賞です。芥川賞に比べ、長編で読み応えのある作品が多く、読んで楽しいというエンターテイメント性が重視された作品が並びます。
六人の嘘つきな大学生
嘘に次ぐ嘘の果てに明らかになる、 あの日の「真実」とは――
誰もが憧れるエンタテインメント企業の新卒採用。最終選考まで勝ち残った6人の就活生に課せられたのは“6人でチームを作り上げ、1か月後のグループディスカッションに臨むこと”だった。全員での内定獲得を夢見て万全の準備で選考を迎えた6人だったが…。急な課題の変更が通達されるー「勝ち残るのは1人だけ。その1人は皆さんで決めてください」
選考日、共に戦う仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人の前に、6通の怪しい封筒が。その中の1通を開けると…「xxは人殺し」
次々と暴かれていく、6人の嘘と罪。読者も、えっ、次どうなるのとハラハラドキドキ。選考結果は、1人の犯人と1人の合格者を出し終了。と…と思いきや… 舞台は9年後にー。とにかく汗握る。この面白さは読まずにはわからない!
作品:六人の嘘つきな大学生
著者:浅倉秋成
ツミデミック

Audible聴き放題対象
MY書評
コロナ禍にのまれ、それでも必死に生きていこうと、もがく人たちの業は罪なのか―。第171回直木賞受賞作
緊急事態宣言・外出自粛でバイト・仕事激減、経営難、変わる人間関係…。コロナ禍、社会様式が大きく変化したことで生まれた犯罪。本作は、コロナ禍で生きる人々の6つの「罪」を切り取り描く犯罪小説 短編集。
多くの人は、自分は「犯罪」「罪」とは無縁だと考えがち。しかし、専業主婦やフリーターなど普通のまじめな人々も”ふとした弾み”、”環境の変化”で犯罪者になってしまうことがある。変化の激しい現代では大きな災害も「一時の不運」として簡単に風化しがち。しかし、長い人生、「突然襲った不幸」をきっかけに犯罪者になってしまうリスクは誰しも持っている。自分も「罪」を犯すリスクがあることを意識して読みたい。
作品:ツミデミック
著者:一穂ミチ
八月の御所グラウンド
京都を舞台にした、女子駅伝に挑む女子高生と真夏の草野球に駆り出された大学生の青春物語。現実と過去、さらに、京都の美しい情景・歴史がクロスして、独特な世界観を生み出す。登場人物がスポーツに汗する姿が目に浮かぶような豊かな表現も堪能したい。
直木賞受賞作となった「八月の御所グラウンド」は、読んでいると、お盆、大文字のころの京都の暑さが伝わってくる。悲しい歴史を背景としているにも関わらず、全く重さがなく、ほっこりと穏やかな気持ちで読了。
作品:八月の御所グラウンド
著者:万城目学
夜に星を放つ

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MY書評
死や別れなど、かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける5つの短編集。
短編の主人公は、年齢も性別も境遇も様々。しかし、共通するテーマは「喪失感」。生きづらさを感じている人の心の揺れが丹念に描かれる。この気持ちわかるかも…という共感作品に出会える。
また、つらいときに支えとなるのは、家族など一番身近な人ではなく、以外と周囲でそっと寄り添ってくれる人たちかもしれないことを、気づかせてくれる。
作品:夜に星を放つ
著者:窪美澄
銀河鉄道の父

Audible聴き放題対象
MY書評
宮沢賢治の父・宮沢政次郎は息子にどんな思いを描き、成長を見守ったのかー
町会議員を務める地元の名士でもある父。一方、賢治は身体が弱く、家業を継ぐ度量を持ち合わせない不祥の息子。厳格な父であろうとするも、看病・仕送り、仕事選択の自由を許すなど甘やかしてしまう。
賢治は『雨にも負けず』などの作品の印象から、真面目で繊細な人物イメージがあるが、本作では自由奔放な変わり者。日本を代表する文豪・宮沢賢治の印象がガラリと変わる。また、病に倒れた妹・トシに自作の物語を読み聞かせるなどの優しさも。トシに文筆の才を褒められたことが、賢治が世に作品を出すきっかけとなるなど、この家族があったからこそ、後世に残る文学が生み出されたことが描かれる。無名だった作家・宮沢賢治を支えた父と家族の愛の物語!
作品:銀河鉄道の父
著者:門井慶喜
月の満ち欠け

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MY書評
あたしは、月の満ち欠けのように、何度も生まれ変わり、あなたに逢いに行く―。
目の前の少女は、亡き我が子?亡き妻?亡き恋人?そうでないなら、この子は何者か?
逢いたい気持ちが輪廻し引き継がれる、全く甘くない愛の物語。満ち欠けをしながらも永遠に輝く月と、儚い人の死。しかし、縁が巡る!
作品:月の満ち欠け
著者:佐藤正午
テスカトリポカ
対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走した麻薬密売人のバルミロ・カサソラ。潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会うが… 人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。
作品:テスカトリポカ
著者:佐藤究
何者

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MY書評
「何をするか、何者になるのか」が過剰に求められる現代社会。大人になると「あなたは何をしているのか?」と問われ、何者にもなれなかったものは、努力不足だと愚者のレッテルを暗に貼られてしまう。
「あなたは何者なのか」を問われる、人生最初の試練ともいえるのが就職活動(就活)。そんな就職活動戦線真っ只中でもがく、「何者かであろうとする就活生たち」のリアルをあぶりだす。
作品:何者
著者:朝井リョウ
その他文学賞受賞作品
日本には様々な本の賞があります。上述の3つの本の賞に劣らず、面白い作品が多数あります。
リラの花咲くけものみち

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MY書評
2025年 NHKドラマ化!(2025年2月1日~ 全3回)
継母のネグレクトで引きこもりとなった少女が、祖母に引き取られたことをきっかけに、獣医になる夢を持ち、自分の居場所を見つけていく、感動の成長青春物語。北海道を舞台に、主人公・聡里は「生きること」、周囲の大切な人たちのサポートで「生かされていること」を学び、成長していくー。
一度は、自分の居場所を失くし、生きる希望も夢も完全になくした少女が、試練を味わいながらも「自分の居場所」を見つけていく姿に、読者は心を揺さぶられる。命の尊さ、成長、そして、人とのつながりに、感動させられること間違いなし!じ~んと優しい涙が流れる作品!
作品:リラの花咲くけものみち
著者:藤岡陽子
水車小屋のネネ

Audible聴き放題対象
MY書評
物語は、18歳の理佐と8歳の律の姉妹が、親の理不尽で家を飛び出すところから始まる。住む場所・働く場所を求めて2人がたどり着いたのは、とあるお蕎麦屋さん。そこで出会ったのが、とても賢いしゃべるヨウムの〈ネネ〉。
ネネはどこまで言葉の意味を理解しているかは謎ですが、まるで会話が成立しているかのようにしゃべり、みんなの気持ちを和ませる。
ネネと姉妹の40年。決して大きな事件が起こったり、ドラマチックな展開があるわけではない。しかし、ネネの可愛さ、そしてネネを取り巻く人の優しさ・助け合いが読者の心を癒してくれる。
今の自分には優しさが足りないと思った人にすすめたい!
作品:水車小屋のネネ
著者:津村記久子
ラブカは静かに弓を持つ
少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇して以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。ある日、橘は、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法侵害の証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだす。しかし、彼はスパイの身。法廷に立つ時が迫りー。
とても胸打たれる音楽小説。「積み重ねた師と仲間との絆」と「 仕事への責務」で苦悩する橘の姿に、読者も心が痛くなる。しかし、読了後、深い感動と余韻が心に響き渡る。橘が最終的にどういう決断をしたかー。是非、本書で結末を見届けて!
作品:ラブカは静かに弓を持つ
著者:安壇美緒
正欲

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MY書評
特殊な性的指向 を持つマイノリティの苦悩を描く。「多様性が大事」とわかった気になっていないか―。自分が想像できる”多様性”しか受け入れていないこと、そしてそこからこぼれた人たちを変人・近寄ってはいけない人として排除していることにドキッとさせられた気づきの書。深く考えさせられる1冊。
作品:正欲
著者:朝井リョウ
マチネの終わりに
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない、大人な二人の愛のストーリー。再び巡り逢う日はやってくるのか――。2019年に映画化。
作品:マチネの終わりに
著者:平野啓一郎
火車
休職中の刑事が行方を捜すことになった彰子とは何者なのか? なぜはそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた…
発刊から時間が経っても Audible BEST of 2023の8位にランキングする人気作!
作品:火車
著者:宮部みゆき
ペンギン・ハイウェイ
小学4年生のぼくの住む町に突然ペンギンが表れて、不思議なことが起こり始めた。僕は、不思議に思ったことは毎日きちんとノートに書き留め、本を読み、観察もするし、時には身をはって実験したりもする。だから、ペンギンや事件に関係しているお姉さんを観察・分析することにした。
おっぱいが気になるお年頃少年のやさしい冒険ファンタジー。
作品:ペンギン・ハイウェイ
著者:森見登美彦
宝島
英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。
希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。
作品:宝島
著者:真藤順丈
考えさせられる「社会派小説」
現実世界にはびこる問題を描く社会派小説。世相を反映したものも多く、その重厚なテーマは、読者を深く考えさせます。小説を通じて、社会問題に苦しむ人たちの苦悩を知ることで、ビジネス書ではわからない「社会の闇」に興味・関心を持てるようになります。私が好きなジャンルの小説です。
富士山

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MY書評
人生は偶然で紡がれていることを教えられる5つの短編集
私たちは人生は自分の意思で選択していると思っている/思いたい。しかし、実際は、偶然に極めて大きく左右されていることに気づかされる。5編の主人公たちは、ちょっとした偶然、思いつきでの行動が、人生の分岐点となるとなることに戸惑う。そして、もう一人の自分がいる世界=パラレルワールドについて考えずにはいられない出来事を経験する。
平野啓一郎さんの作品は、「自分」や「自分の人生」を考えさせられる作品が多い。私はそんな平野さんの本が好き。本作でも読者は、❶人生は全くの偶然で紡がれていること、そして、❷一瞬の人とのかかわりが、連鎖し、世の雰囲気を作り出していく ことに深く気づかされる!
作品:富士山
著者:平野啓一郎
存在のすべてを
護られなかった者たちへ

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MY書評
本作が取り上げるテーマは「生活保護の実態と貧困」。護られてしかるべき人が護られず、切り捨てられてしまったことで悲しく悲惨な死を迎えたことから始まる悲劇の物語。最後の最後にどんでん返しに、さらに涙…。
貧困の過酷さに、涙が止まらない😭ズルズルになるまで泣いてしまった…。「貧困」がいかに、人を不幸たらしめるかを、これでもかと見せつける。映画もよかったけど、原作の方が深い&泣ける。
作品:護られなかった者たちへ
著者:中山七里
境界線

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MY書評
2011年3月11日に発生した東日本大震災が「人生の境界」となった人たちの人生を描いた作品。家族・住処・仕事など様々なものを失った人たちが立ち直るに当たって避けられなかった復興の闇を描く。
震災によって人生に狂いが生じた登場人物たちの人生が、折り重なって描かれる。人生を翻弄された人々の思いに胸が絞めつけられ、涙が流れる。震災が震災だけに終わらない現実を、多くの人に知ってほしい。
作品:境界線
著者:中山七里
令和元年の人生ゲーム
作者・麻布競馬場にして、ポップな表紙。軽そうな本に見えるが、リアルで、心にチクリ・ぐさりと抉る社会派小説。
描かれるのは、自分の可能性を知りすぎてしまった“賢すぎる”若者たち「Z世代」。現代を生きる「意識高い系」の若者たちの群像を解像度高くシニカルにつづる4つの連作集。4編に共通して登場する、沼田君の生き方・考え方がシュール。ドキッとする発言も多く、考えさせられる。
たぐいまれな観察力と分析力でZ世代たちの現実を切り取る。Z世代を切り取るも、多分、世代を超えて、作品のどこかの描写に「自分の嫌な自分」を見てしまうんじゃないかな。
作品:令和元年の人生ゲーム
著者:麻布競馬場
黄色い家

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MY書評
人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのかー
17歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たち。危ういバランスで成り立っていた共同生活は次第に崩壊、そしてー
「「黄色」が極めて重要な意味を持つ。「お金・犯罪・家庭環境」について考えさせられる深い社会派小説。
個人的にとても怖さを感じたのが、知的・金銭的に下層にある若者が犯罪に手を染めるときの動機・心理の「無防備さ」。あまりの軽さに、読んでいて背筋がぞっとした。そして、そこに「著者の執筆力」を感じる!
作品:黄色い家
著者:川上未映子
星の子

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MY書評
新興宗教への周囲の厳しい目線に、不安を抱き、戸惑う少女が描かれる。ただし、作品内で新興宗教を悪者扱いはされていない。そこに、今村さんの作品らしさがあって、おすすめ。
作品:星の子
著者:今村夏子
アドネリアの声

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MY書評
障がい者支援都市で巨大地震が発生。街を盛り上げるアイドル的存在、三重の障害を持つ中川博美が、救助隊も侵入が不可能な場所に取り残される。彼女の運命は救助災害ドローンを操る青年の指先に託されたー
障害者救出は健常者の救出とはわけが違う。救助活動を襲う様々な試練。しかも、中川は、本当は目が見えるのではと疑うような挙動も。少しでも目が見えるなら救助活動は大きく変わるのにーと、救助隊に深まる疑念。果たして、彼女は生還できるのか―
ラストのラストに、大どんでん返し!よかったぁ…と、感動でウルッと涙!障害者支援についても考えさせられる1冊
作品:アドネリアの声
著者:井上真偽
デフ・ヴォイス

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MY書評
耳の聞こえない両親の間に生まれた耳の聞こえる子供「コーダ」として育った主人公・荒井尚人は、17年前にかかわった事件で、容疑者と一緒にいた女の子に手話で話しかけられたことがずっと頭に残り続けてきた。
現代と過去の二つの事件が交錯する、社会派ミステリー。耳の聴こえない世界、言語、文化・アイデンティティについて深く考えさせられる。NHKでドラマ化。
作品:デフ・ヴォイス
著者:丸山正樹
法定遊戯
法律家を志した三人。一人は弁護士となり、一人は被告人になり、一人は命を失った。謎だけを残してー
舞台は、法科大学院ロースクール。独自ルールを盛り込んだ私的な疑似裁判「無辜ゲーム」。時を経て再開された「無辜ゲーム」。その裏にあった真相は!?
本格法廷ミステリー小説。
展開が気になり、一気読み!
作品:法定遊戯
著者:五十嵐律人
有罪、とAIは告げた

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MY書評
そう遠くない未来にあり得る、司法の可能性と倫理を問う法廷ミステリー
徹夜が続く裁判官たち。そこに、中国からAI裁判官〈法神2〉が提供される。試験的導入に司法界は疑念を抱くも、過去データを入力すると、裁判官が苦労して書き上げたものと遜色のない判決文を瞬時に作成する能力に、絶賛の声が増えていく。しかし、一人の新人裁判官は、その導入に大きな疑念を抱くー。
裁判にAIを導入するという未来の可能性を描きつつ、実利用におけるAIの利点/リスクを「陰謀」と絡めて描く。過去データに基づく判定の限界、司法の倫理、AIの公平性や中立性への疑問 に深く切り込む作品。(司法に限らず)遠くない未来にあり得る「AIの導入と依存」の問題について、深く考えさせられる。リアル社会でのAI経営の失敗例など、学びもあり
作品:有罪、とAIは告げた
著者:中山七里
セイレーンの懺悔

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女子高生誘拐殺人事件を暴く犯罪ミステリー。しかし、真のテーマは、「報道の自由」と「視聴者の自分勝手な声」。セイレーンとは、ギリシャ神話に登場する海の魔女・人魚。岩礁の上から美しい歌声で船員たちを惑わし、難破に誘う怪物。報道陣は国民の知る権利が錦の御旗として、「セイレーンの歌声」のように、視聴者を耳触りのいい言葉で誘い、不信と嘲笑の渦に引き摺り込むことで視聴率を上げようとし、また、視聴者もセイレーンの加担者となり、勝手なことをほざく。
報道陣・視聴者には、犯罪者・被害者・その家族の人権などあったものではない。まさに「怪物」ー。そんな現代社会の闇を切る社会派ミステリー。
セイレーンは何を懺悔するのか、ラストは是非、読んでみて!
作品:セイレーンの懺悔
著者:中山七里
震える牛
金が目当てだと思われる事件を追い、食肉加工会社ミートボックスにたどり着いた田川。しかし、田川は事件の原因が金ではなく殺害ではなかったかと疑念を抱く。そんなとき、偶然再会した記者・鶴田。そして、どこよりも安い加工肉を販売することで業績を上げているミートボックスには、食品偽装疑惑があることを知るー
牛100%を謳う食品の原料は一体何か。そして、殺人の真相はー。
ちょうど、狂牛病や食品偽装などが話題になっていた頃に発表された作品で、ドラマ化も。金儲けのために社会ではびこる「悪」を描く。食品偽装のやり口が強烈で衝撃…
作品:震える牛
著者:相場英雄
カラスの指先
ストーリーの後半、伏線がどんどん回収され、真相が明らかになるのが気持ちいい。詐欺の話しながら、温かみがある点も交換!
作品:カラスの指先
著者:道尾秀介
罪の声
昭和最大の未解決事件「グリコ・森永事件」をモチーフにした小説。事件をめぐる二人の男の運命を映し出す。
自宅で不意に見つけたカセットテープ。母が子どもの成長の記録に残したものと思いきや、自分の声が「脅迫声明」に使われたとわかったら…。フィクションでありながら、大事件に真っ向から挑むミステリー。
面白くて一気読み、必至!
作品:罪の声
著者:塩田武士
小説帝銀事件

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ノンフィクションとして発表したかったが、権力が働き、「小説」となった作品。清張はどうまとめたかは要チェック。
作品:小説帝銀事件
著者:松本清張
地球にちりばめられて

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MY書評
一見、祖国がなくなるというディストピアな舞台設定。しかし、本作に悲壮感はない。前を向き生きる人を描く。
世界に難民が溢れる時代。災害大国日本だって、TV「日本沈没」のように難民化する日がないとは言えない。そんな時も、前を向き、新たな生き方ができるか?生存能力高く生きるためのヒントを本書は与えてくれる。また、「言語」「母国語」の大事さを改めて痛感。
作品:地球にちりばめられて
著者:多和田葉子
人・家族のつながりの大切さを描く「ヒューマン小説」
人間関係や個人の成長、人生の喜びや悲しみを描いた物語に、人は共感し、涙する。家族・友・仲間との絆、そして、人生の試練。ストーリーの幅はとてもいろい。やさしい涙、辛い涙、猛烈に感動する涙 など、感動の種類はいろいろ。心を震わす小説を集めました。
青い壺

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MY書評
十余年の時を経て、再び陶芸家の前に現れるー
13話からなる短編連作小説。ツボにハマる面白さ!
喜怒哀楽。壺は様々な人の手に渡り、彼らの生活・人生に様々な影響を与えていく。各話に人生ドラマ。壺の不変かつ静かな美しさとは対照的に、人々の揺れ動く心、虚栄心、家族の力学、世間の力学などが次々と描かれる。
ユーモラス、かつ、シニカル。どの話にも「人/社会の醜さ」を忍ばせ描かれる。人の手を巡るのが「美しい壺」である点も本作を読み解くポイント!壺を見る目(扱い方)が、その人々の人生や思考ににシンクロしている点が実に面白い。sp「女性の低い目線」が鋭く光る、味のある作品!
作品:青い壺
著者:有吉佐和子
ロボット・イン・ザ・ガーデン

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MY書評
二宮和也さん主演映画『TANG タング』で映画化。
舞台は、AIやアンドロイドが発展した近未来のイギリス。法廷弁護士としてバリバリ働く妻エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず親から譲り受けた家で自堕落に過ごす34歳のベン。エイミーはそんな夫に苛立ち、夫婦はもはや崩壊寸前。
ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングに出会う。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直すために、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まったー
「とにかくタングがかわいい」と世界中の読者が虜に!ダメ男ベンとポンコツロボットの再起・再生の物語に、心温かくなること間違いなし!物語からの人生の教えも!
作品:ロボット・イン・ザ・ガーデン
著者:デボラ・インストール
婚活マエストロ

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MY書評
主人公は、40歳の引きこもりウェブライター。収入よりも人と会わずに生計を立てる暮らしを選んだ男性が、婚活事業者のウェブサイト記事依頼されることからストーリーが展開する。サクサク親しみを持って読めるエンタメ小説。
『成瀬シリーズ』同様、著者・宮島未奈さんは地名や店名など固有名詞をストーリーに織り込むのがとてもうまい。 登場人物は等身大。舞台は大都市でない地方都市・浜松、庶民派大手ファミレスが登場するなど、庶民感がジモティやお店のファンを喜す。
一方で、『成瀬シリーズ』のような強烈なインパクトを持つキャラクターは登場しない。タイトルから強烈なキャラを持つ登場人物を期待して読むと、物足りなさを感じるかもしれない。
作品:婚活マエストロ
著者:宮島未奈
最後の医者は桜を見上げて君を想う
死を肯定する医者×生に賭ける医者。対立する二人の医者と患者の最後の日々が、医者と患者の視点が切り替わりながら描かれる医療小説。普通の生活をしている人にとって「死」は遠い存在。しかし、「死」から逃れられる人はいない。本作は、死に向かう患者・医師の描写がリアルで、読者は「命」「死」について向き合わざるを得なくなる。
「生き方」「死に方」に正解はない。しかし、「どう死にたいか」を自分に問い、生きていくことは「よりよい人生」「後悔のない(少ない)人生」につながることは間違いがない。読了後、自分の「死に方」について、是非考えてみてほしい!
作品:最後の医者は桜を見上げて君を想う
著者:二宮敦人
ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語

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石塚真一さんの大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』。本作は、映画版をピアノマン・沢辺雪祈の目線から描いたスピオフ作品。。原作マンガも映画も知らない人でも、圧倒的な小説の「世界観」と「熱狂」に引き込まれる!夢を目指すバンドマンの姿に何度もウルウル。一気読み&二度読み必至!何度目頭が熱くなったかわからない。完成度の高すぎに驚く音楽感動小説!
作品:ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語
著者:南波永人
光のとこにいてね

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MY書評
ふたりの女の子の四半世紀に及ぶ出会いと別れを描いた感動作。
『光のとこにいてね』というタイトルは、ストーリー中でも何度か登場するとても重要なセリフ。裕福な家庭に育つ結珠とシングルマザーのもとで育つ果遠(かのん)の出会いと別れが、7歳・15幸・29歳と四半世紀にわたり描かれる。突然の別れの後も心に残る互いのこと―。時は流れ、2人の立場・境遇も変わっていく。
キーは「母との関係」。2人は貧困の差がありながらも、母親に抑圧されて過ごした幼少期経験を持ち、そのことを通じて、心のどこかでつながっている。
小さな出会いが人生を変えることがあるー。「タダ仲良しくしていることが、友達ではない」こと、「人を愛する」こと、「自分の人生を生きる」ということ…
生きるってこういうことかもしれない…. とても切ない運命の物語に涙
作品:光のとこにいてね
著者:一穂ミチ
スピノザの診察室
主人公の言葉・生き様を通じて、人生をいかに生きるかを、生きる意味とは何かを考えさせられる感動医療小説
シングルマザーの妹の死で1人残された甥と暮らすために、将来を渇望された「凄腕の医師・雄町哲郎」は大学病院を去り、町医者として働く決意をする。タイトルの「スピノサ」は「神は万物の内に宿る」という思想を持つオランダの哲学者。町医者・哲郎町は苦悩を背負う患者一人一人を尊重。患者それぞれの心の「神」を見出し、患者の人生・価値観も尊重した医療に努める。医療には限界があり、時に厳しい現実を患者に伝えなければならないこともある。しかし、哲郎の言葉には温かい愛情と深い洞察がこもる。患者の心に火を灯し、人生を豊かに生きる希望を与えていく。
感動的なラスト。是非、様々な境遇の登場人物に共感し、生きる勇気をもらってほしい!
作品:スピノザの診察室
著者:夏川草介
リカバリー・カバヒコ
”リカバリー・カバヒコ” それは、新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒルの近くにある日の出公園に設置された、ペンキがところどころハゲたちょっとみすぼらしいカバの遊具。しかし、自分の治したい部分と同じ部分を触ると、カバヒコが直してくれるという。
生きる痛みを抱えた住人が、癒し・リカバリーを求めて、カバヒコに会いに来る。成績不振の高校生、ママ友と馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌な小学生、ストレスから休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集者….カバヒコは、みんなの痛みにどのように優しく寄り添ってくれるのか。人の痛みに共感し、そして、自分も少しの元気・勇気をもらえる優しいストーリー。
作品:リカバリー・カバヒコ
著者:青山美智子
路
NHK土曜ドラマで放映。NHKと台湾のテレビ局・PTS(公共電視台)との共同制作でドラマ化。
作品:路
著者:吉田修一
コーヒーが冷めないうちに
とある喫茶店のとある席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという。ただし、過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、 そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。恋人、夫婦、姉妹、親子と再開する4名の客。心温まる4つの奇跡に、温かい涙がホロリ。
作品:コーヒーが冷めないうちに
著者:川口俊和
満月珈琲店の星詠み

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MY書評
優しい猫の店主が、極上のコーヒーとスイーツ、そして「星詠み」で疲れた人々をもてなす。
占星術、カフェ好き・スイーツ好きにもおすすめしたいやさしいハートフルストーリー
作品:満月珈琲店の星詠み
著者:望月麻衣
カラフル
人はたくさんのカラフルな色を持ち、日々、万華鏡のように色・形を変える。思春期に誰もが抱える悩みがテーマ。「生きる意味」「自分らしさ」を今一度考えてみたい。
作品:カラフル
著者:森絵都
夏美のホタル
登場人物は極々平凡な人たち。
駆け出しのカメラマンとその彼女。そして、たまたまツーリングで出かけてトイレを借りに立ち寄った、山奥のぽつんと古びた田舎の商店「たけ屋」の老夫婦。そして、その近所に住む、気難しい爺さん。
ひょんな出会いで巡り合った人たちの、とても柔らかな関係に、忙しいと忘れてしまいがちな「大切な何か」に気づかされる。。
じんわりと、温かな、やさしい涙が流れる小説!もし、今、気持ちが殺伐としているなら、そんな、あなたにお勧めしたい!
作品:夏美のホタル
著者:森沢明夫
エミリの小さな包丁
恋人に振られ、職業もお金も居場所もすべてを失ったエミリに救いの手をさしのべてくれたのは、10年以上連絡を取っていなかった母方の祖父。決して多くを語らない祖父。しかし、短い滞在期間にエミリに大切な「武器」を与えてくれる。
豪華でなくても、手間をかけ、愛のつまった料理と家族の食卓があれば、心は癒され、人は立ち直れる!従来はなかった「強さ」も身につけて!「今の自分には優しさが足りない」と思う方にぜひ読んで もらいたい 癒し小説。
作品:エミリの小さな包丁
著者:森沢明夫
猫を抱いて象と泳ぐ
数奇な運命を持った小さな世界に生きる少年。しかし、8✕8マスの盤上で繰り広げられる指し手は、「閉じた世界」を超越する。</span終始、静かな時間が流れる「独特な世界観」を味わって読みたい作品!
作品:猫を抱いて象と泳ぐ
著者:小川洋子
一人称単数
なお、タイトル「一人称単数」を連想するストーリーが出てくるはずだと読み進めると、読了後、タイトルの意味は何だったんだと?謎に包まれる。8編はそれぞれ、「私は」「僕は」など、話し手自身の語り、つまり、一人称単数で展開する。
私が最も気に入ったのは、しゃべる猿との出会いと告白を描いた「品川笊の告白」。不思議な世界観、そして、妙に大人で思慮深く、慎ましい猿の告白が、実にいい。
作品:一人称単数
著者:村上春樹
先が知りたい「ミステリー小説」
ミステリー小説の魅力はなんといっても「謎解き」。 読者も一緒に、犯人や犯行方法など事件の謎を推理していくのが楽しみです。読み進めていくうちに散りばめられた伏線が回収されたり、最後には裏切られるような展開が待っていたり…。展開の巧みさに、魅了必至の作品が数多く存在します。
ここでは、そんなミステリー小説を集めました。
爆弾
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が署に連行された。男は取調べの最中、「十時に秋葉原で爆発がある」と予言。その直後、直後、秋葉原の廃ビルで爆発が発生。まさか、このとぼけた男が犯人か!? さらに男はあっけらかんと「ここから三度、次は一時間後に爆発します」と告げる。一体犯人は誰なのか?そして、警察は爆発を止められるのかー
中年太りの男と警察の心理戦。中年男は、完全に警察をなめくさっており、話しぶりが、とんでもなくいやらしい。文章を読みながらも、据えた中年男の匂いが漂ってきそうで鳥肌が立つ。しかし、事件の真相が知りたくて、ページを読む手が止まらない。時間を忘れ、一気読み!
作品:爆弾
著者:呉勝浩
正体

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MY書評
2024年11月29日より映画公開、主演は横浜流星さん
テーマは「冤罪」。その他、ブラック企業、日雇い、ホームレス、宗教犯罪、認知症、若年性アルツハイマー、世論の怖さなど、「現代社会が抱える社会問題」をストーリーにちりばめて描く。
本作は、映画以前に、テレビドラマでも映像化(主演、亀梨和也さん)されていることからも、人気の高い作品。原作小説、映画版、テレビドラマ版で、ストーリーが異なる。それぞれの製作者が、どのようなメッセージを伝えたかったのであろうかと考えながら、違いを楽しみたい。
作品:正体
著者:染井為人
葉桜の季節に君を想うということ

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MY書評
2004年に様々なミステリー関連の賞を総なめにしたミステリー
最後の最後の1行まで、本作はあなたを騙し続ける!
表紙画像の穏やかな作風をイメージし、1ページ目を読み始めると、いきなり、ギラギラした若い男性の欲望を満たす情事から始まり度肝を抜かれることに…。
衝撃のラスト。大どんでん返しが凄すぎる。私は完膚なきまでに騙された…。こんなに鮮やかに、最後の最後で世界がガラリと替わる変わる経験は「初体験」。ただし、賛否両論あり!
面白く読むコツは、しっかり騙された後の「2度読み」。どこでどう騙されたか、知ること!人って、簡単に騙されることに愕然とさせられること、間違いなし!
作品:葉桜の季節に君を想うということ
著者:歌野晶午
地面師たち

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MY書評
Netflixドラマでも大人気!
地面師とは、他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺師集団。土地の所有権を巧妙な手口で偽造し、巨額の金銭を騙し取る日本特有の犯罪グループ。本作は、2017年に実際に発生した巨額の不動産地面師詐欺がモデル。
詐欺師はいかに人を騙すのかー
人・企業はいかに騙されるのかー
ストーリーにリアル感・緊張感・ヒリヒリ感!詐欺集団は巧妙に役割分担されており、現実世界でも、犯罪集団の一斉検挙が難しい状況が垣間見れる。
作品:地面師たち
著者:新庄耕
方舟
極限状態での「犯人捜し」が始まったー
密室空間で連続殺人、クローズドサークルミステリー
地震で山奥の地下建築に閉じ込められた9人。地盤に異常が起き、水が浸入し始める。そのままでは地下建築は水没する。脱出するためには9人の内、誰か一人が犠牲にならなければならない。そうしなければ、全員が死ぬことになる。そんな究極の選択が必要な中で、殺人が発生する―。
犯人は誰なのか、犯行動機はなんなのか?
皆が他者を疑う中で、次の殺人が発生する。いったいなぜ、そして、この殺人はいつまで続くのか!?
そして、まさかの大どんでん返し&絶句のラスト。そもそも、一人を犠牲にしないと、助からないということ自体が後味悪い系ですが、殺人事件を起こした理由が…
作品:方舟
著者:夕木春央
ロスト・ケア
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。彼はなぜ42人を殺したのか―。
人生100年時代に誰もが逃れられない「老い・認知症・介護」テーマに、圧倒的なリアリティと緻密な構成力でストーリーが展開する。
人は介護の必要のない元気な老後を願うが、それを実現できるかはわからない。時に「要介護」は家族の幸せな生活をも奪ってしまう。介護に疲れた家族・介護従事者、そして、介護者を救うために犯罪を起こした犯人。人を侵すことは「犯罪」だが、掬われる人もいる。まさに、国の介護制度を含め、長寿大国の病巣を抉った作品。
映画と小説は別物!賞を受賞した「構成力の妙」を、小説を読んで味わってほしい!
作品:ロスト・ケア
著者:葉真中顕
謎解きはディナーのあとで
1話完結の短篇集で、全6編を収録。
主人公は、国立署の新米警部である宝生麗子。上司の風祭警部はいるけれど、真犯人を特定するのは、決まって、麗子の執事兼運転手「影山」!「宝生グループ」は世界的に有名な企業で、麗子は刑事でありながらも、ご令嬢と言う点が面白い。個性的過ぎる3人が、面白おかしく事件を解決するコメディタッチのミステリー小説。
本格ミステリーと言うよりは、軽快なストーリー展開が本作品の良さ。短編集で文章が分かりやすいので、テンポよく気軽にミステリーが楽しめる!
作品:謎解きはディナーのあとで
著者:東川篤哉
母性

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MY書評
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。
・事件はなぜ起きたのか?
・なぜ、母と子で証言がこれほどに違うのか?
・なぜ、親子はこれほどすれ違ってしまったのか?
疑問が次々湧いてきて、真相を知りたくて、ページをめくる手が止まらない。読者は、「母性とはなんなのか」考えざるを得なくなる。そして、子を持つ親なら、子の年齢が何歳であれ、「自分は子供の気持ちに寄り添ってきたのか/寄り添えているのか」と自己を顧みざるを得なくなる。いい小説は、多くを考えさせる!
作品:母性
著者:湊かなえ
告白
愛美は死にました。このクラスの生徒に殺されたのですー
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師がホームルームで語った衝撃の告白。次第に明らかになる真相。
衝撃的な出だしに加え、衝撃的なラストが物議にも!
作品:告白
著者:湊かなえ
イニシエーション・ラブ
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われ気乗りしないまま合コンに参加し、そこで歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。奥手で恋愛経験がなかった鈴木は、マユに釣り合う男になろうと懸命に自分磨きをするが……。
一読すると、時代を感じさせるラブ・ストーリー。ミステリー小説と思って読み始めると、あれ??なんか、思ったのと違う… とがっかりするかもしれない。しかし、とにかく最後まで読め!最後の2行で意外なミステリーに変貌する。斬新!
作品:イニシエーション・ラブ
著者:乾くるみ
ハサミ男
少女殺しの犯人「ハサミ男」。次のターゲットを決め犯行に及ぼうとするも、その少女はすでに他の誰かに殺された後だったー。自分以外の誰がなんの目的で殺害?ハサミ男は自ら推理をはじめるー。
読む前から、「どんでん返し」が待っている!とわかっていても騙される。素直に読み進めても、勘ぐっても、騙される。大どんでん返し作品の読み方は、とにかく騙されたうえで、どこで自分が勘違いしたのか、どこに伏線があったのかを後で読み返して楽しむのが面白い!それが、読者の頭の体操もなり、日常での推理・推測力にも役立つ。ネタバレ記事を読んで考察するのは、読んだ後で!
作品:ハサミ男
著者:殊能将之
体育館の殺人
第22回鮎川哲也賞受賞作
どしゃ降りの雨の日、高校の旧体育館で放送部の部長が何者かによって殺害された。 現場となった場所は完全な密室。警察が容疑者として疑ったのは、密室状態の体育館に居合わせた卓球部の部長。無実を訴える部長を救うために、部員の柚乃は校内一の頭脳を誇るアニメオタクの裏染天馬に協力を仰ぐ。
推理オタク・天馬は現場に残された些細な点から、次々と推理を展開し犯人に迫っていく!
些細な矛盾から推理を展開し、犯人を見つけていく探偵ミステリー小説。『地雷グリコ』で2024年のミステリー賞を総なめにした青崎有吾さんのデビュー作。高校が舞台、強烈キャラの主人公、知的で鋭い推理力は『地雷グリコ』に通じるものあり!
作品:体育館の殺人
著者:青崎有吾
石の繭 警視庁殺人分析班
そして警察を愚弄するかのように第二の事件がー
自らヒントを提示しながら頭脳戦を仕掛ける知能犯 VS 新人刑事。心理的な駆け引きと論理的な推理が交錯する警察ミステリー
1件目の「石の繭」殺人事件発覚後、特捜本部に入った犯人からの電話。なぜか交渉相手に選ばれたのは、新人刑事の如月塔子。
犯人の狙いは何なのか? 次の犠牲者は誰なのか? 追い詰められる塔子たちの前に、衝撃の真相が待ち受けていた——。
新米刑事・塔子の視点で、スピーディーに物語が進む。単なる刑事ものではなく、心理的な駆け引きと論理的な推理が交錯。元警察官で亡くなった父の事件も絡まる。伏線が回収されるたびに「そういうことか!」と唸る快感あり。
作品:石の繭 警視庁殺人分析班
著者:麻見和史
硝子の塔の殺人

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MY書評
「どんでん返し」の「どんでん返し」。人里離れたセキュリティ完備万全の美しい塔で、起こる密室殺人。1人、また1人と、招待客が殺されていく。犯人探しに乗り出すのは、自称名探偵の碧月夜と、医師の一条遊馬。
500ページ以上であることを全く感じさせない面白さ!ザ・ミステリーの定番「クローズド・サークル」でありながら、奇想天外。読みながら、ミステリー小説の大作の知識までついてしまう。ラストシーンに向け、随所に「散らばる伏線」の回収の見事さに感服!面白い!
作品:硝子の塔の殺人
著者:知念実希人
となりのナースエイド
2024年にドラマ化
主人公の桜庭澪は、星嶺大学医学部附属病院の新人ナースエイド。医療行為は許されない立場。彼女は、技術至上主義の天才外科医・竜崎大河と患者への寄り添い方で衝突しながらも、的確に医療をサポート。実は、澪は医師免許を持つ医師だが、姉を救えなかったことがトラウマとなり、手術ができなくなったため、医師であることを隠しナースエイドに転身していた。そんな、ある日、澪も部屋が荒らされるなど事件に巻き込まれる。そして、姉の死には裏があり、事件がまだ終わっていないことを知るー。
事件の謎を究明していくミステリーとしてだけでなく、主役・準主役のキャラクターと背負った過去、そして、医療現場での人間ドラマを巧みに描いている点が魅力の作品!
作品:となりのナースエイド
著者:知念実希人
祈りのカルテ
主人公・諏訪野良太は、大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回り、自分の進むべき道を模索中。
病院は、体・心に様々な事情を抱えた人が集う場所。しかし、その患者の心の内・事情は、表に現れることなく、それが、病気の原因の解明を難しくする。
患者の言葉・表情から人の心を読み解く力に長けた新米医師・諏訪は、患者に何を感じ、どう、ケアするのか?患者の心を読み解く、連作医療ミステリー。
作品:祈りのカルテ
著者:知念実希人
崩れる脳を抱きしめて
脳外科医を目指す26才の研修医・蒼馬は、地域医療の実習として高級療養型病院へと赴任。そこで、いつ爆発するかわからない脳腫瘍を患うユカリと出会う。蒼馬はユカリを親身に診察、一方、蒼馬は家族にまつわる重たい過去をユカリに告白。トラウマを持つ二人は次第に惹かれ合う。しかし、実習は終わり、蒼馬は元の病院へと戻ることに。しかし、ほどなく、ユカリの死の一報。再び病院に向かうと、医師らに「あなたは、彼女を診察したことなどなかったはずだと」と言い渡されるのであったー。
不可解なユカリの死。一体何があったのか? 最後に待ち受ける大どんでん返し!現役の医師であり、ミステリー作家でもある著者が描く、恋愛ドラマとミステリーの融合作!
作品:崩れる脳を抱きしめて
著者:知念実希人
あの日、君は何をした
幸せな家族を突然襲った不幸。息子が、逃亡連続殺人犯を追いかけていた警察に、犯人と疑われ、逃げたところで不慮の事故で死んでしまう。母親の精神は崩壊。息子が死んだ理由が、時を経て、別の事件とつながり明らかになる。
まさか、そんな結末になろうとは…という驚きの結末。。一方、子供を失った母の悲痛な叫びに心が痛い。「不慮の事故」で家族を失う悲しみの壮絶さを認識させられる。
作品:あの日、君は何をした
著者:まさきとしか
殺した夫が帰ってきました

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MY書評
記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛・罪を追う、サスペンスミステリー
都内のアパレルメーカーに勤める鈴倉茉菜は取引先の男につきまとわれ、自宅前で待ち伏せされる。その窮地を救ったのは茉菜の「夫」。それは確かに夫の和希だったが、和希はかつて茉菜が崖から突き落として殺したはずだった-。
タイトルが強烈で、背筋が凍るが、読んでみると….。起・承・転・結とストーリーが進んでいく中で事態が二転三転。大どんでん返しサスペンスミステリーにいい意味で、裏切られる作品。
本作の個人的感想は、「人生はドラマだ」ということ。思わぬ出来事、想定外、偶然で、人の一生は形成されている!それはリアルを生きる、フツーの人も同じ!
作品:殺した夫が帰ってきました
著者:桜井美奈
ねじまき鳥クロニクル ―第1部 泥棒かささぎ編―
ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編
ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編
作品:ねじまき鳥クロニクル ―第1部 泥棒かささぎ編―
著者:村上春樹
教場
作品:教場
著者:長岡弘樹
魔女は甦る
埼玉県警 捜査一課の刑事・槙畑啓介らは捜査。だが会社は2ヶ月前に閉鎖。社員も行方が知れない。同時に嬰児誘拐と、繁華街での日本刀による無差別殺人が発生。捜査の中、桐生の悲劇的な過去、彼が開発に関わったと思われる生物を狂暴化させる脳内麻薬・ヒートの存在が明らかになっていく。
なぜ、真面目な研究員はヒートを作り出したのか、そして、なぜ、無惨な姿に成り果てたのかー。恐怖と驚愕のラストへなだれ込んでいく。
こんな結末が待っていたとは!伏線回収が見事。ミステリーだが、グロい遺体、狂暴化し人を襲うカラスなど、若干、ホラー要素も。。本作登場の麻薬「ヒート」が出てくる小説「ヒートアップ」も合わせて読みたい。
作品:魔女は甦る
著者:中山七里
能面検事
主人公は、不破俊太郎。職業は、大阪地検一級検事。検事は顔色を変えないことを求められる職業の一つだが、その表情はまさに「能面」。何を言われようと微塵も顔色を変えない!
しかも、どんな圧力にも屈しない。それが、検察自身の不祥事であり、どんなに内部に敵を作ろうとも、正しいと思うことは絶対に正義を貫く。
本書では、新米事務官の総領美晴が不和に振り回されながらも、事件の真実に迫っていく。その振り回される様が面白い!気軽にサクサク読めるミステリー小説。
作品:能面検事
著者:中山七里
贖罪の奏鳴曲
どんでん返しが止まらない! 怒濤のリーガル・サスペンス。
主人公は弁護士・御子柴。しかし、かつて少女を殺害し,少年院で過ごした過去を持つ。そして、残りの人生を「人を救うために生きる」。それが彼の贖罪だ。しかし、この弁護士はとても癖がある。なぜなら、とにかく高額の依頼料をぶんどる。たあす、絶対に負けない。彼は徹底的に調査し,法廷ではどんな検察官が相手をも打ち負かす。
型破りな主人公が見せる法廷ミステリーは、読み出したらページを読む手が止まらない。この後の御子柴の活躍が知りたくて、続編が読みたくなる!
作品:贖罪の奏鳴曲
著者:中山七里
嗤う淑女
あ~これは、悪女だわ…。悪女の素養は中学生から。友達を貶めていくやり口は、とても中学生とは思えない。大人になった美智留の人を貶めるテクニックはさらにパワーアップ。美貌・頭脳・話術・行動力で、老若男女、次々に狙った獲物を自在に操っていく。そして、いつもながらの「どんでん返し」も!
痛快に悪女を描く、ミステリー小説。
作品:嗤う淑女
著者:中山七里
京都寺町三条のホームズ
骨董品に秘められたドラマが絡み合う、人気ミステリーシリーズ
高校生の真城葵がアルバイトをはじめた『蔵』の店主・家頭清貴は端正な顔立ちと卓越した鑑定眼を持つ京男子。苗字をもじって「ホームズ」と呼ばれる清貴は、まるで名探偵ホームズのように骨董品にまつわる事件や依頼を解決していく。
ミステリー、葵と清貴の淡い恋愛と彼らを取り巻く人々との人間ドラマが面白いだけでなく、随所に描かれる京都の町並み・歴史・文化が京都への興味・関心を高めてくれる&ためになる!
ライトな謎解きと温かみのあるストーリーで、ミステリー初心者や京都好きには特におすすめ!
作品:京都寺町三条のホームズ
著者:望月麻衣
むかしむかしあるところに、死体がありました。
え~、そうなっちゃうの!?昔話の特徴をつかんだ改変話。人間が持つおぞましさ、汚さを面白く描く。なぜ、殺人は起きたのか?短編なのに、トリックが絶妙。面白くて、サクサク面白く読める!
作品:むかしむかしあるところに、死体がありました。
著者:青柳碧人
そして誰もいなくなった
夕食の席で、10人が過去に犯した罪を語る声が突然響き、無気味な童謡の歌詞通りに、客人が一人ずつ殺害されていくー。
クローズド・サークルの代表的ミステリー小説。一体犯人は誰なのか、最後の最後まで、ハラハラドキドキ。
作品:そして誰もいなくなった
著者:アガサ・クリスティー
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、厳しい立場に。そんなとき、彼のもとに謎めいた依頼が舞い込む。その聴者で、天才ハッカーであり、ドラゴンのタトゥーを背中に持つリスベット・サランデルと出会うー。
サスペンスとミステリーが絶妙に融合しており、面白い!ミカエルとリスベットの協力関係や、それぞれの成長も見どころ。
作品:ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
著者:スティーグ・ラーソン
ザリガニの鳴くころ
湿地で生きる少女と殺人事件が交錯する、サスペンスミステリー
2019年、2020年にアメリカで1番売れたと謳われる作品で、2022年には映画化
ある湿地で男性の死体が発見。人々は湿地の少女・カイアを疑い始める。6歳で家族に捨てられ、それ以降湿地で生きる術を学びながら生活してきたカイア。心優しい少年・テイトに初めて恋をしたカイアの成長は、事件と複雑に絡みあうー。
ジャンルはミステリー。しかし、湿地で生きる少女の成長物語として、評価が高い作品。映画を見た方はご存じだと思いますが、カイアと関係の深い自然の描写が鮮やか!過酷な運命に立ち向かう彼女の姿とも重なる!
映画とともに読みたい1冊!
作品:ザリガニの鳴くころ
著者:ディーリア・オーエンズ
背筋がゾッとする「ホラー小説」
ホラー小説の魅力は、その独特な恐怖感と緊張感。ホラー小説は読者を未知の世界へと誘い、日常の中に潜む恐怖や怪異を描き出します。心霊現象だけでなく、サイコパスなど心理的な恐怖も魅力。サイコホラーは、人間の心理や行動を深く掘り下げることで、読者に人間の本質を考えさせてくれます。
変な家
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。 開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたがその家には、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。奇妙な違和感。なぜ、謎の空間が存在するのかー。
間取りには、必ず作った人の意図が存在する。そこには、無暗に触れてはいけない人間の闇が見えることも…。知り合い設計士、関係者と共に謎に迫るストーリーにハラハラドキドキ。謎が知りたくて、一気読みしたくなる!私はオーディオブック度読了。PDFの間取り図がついていて、図の理解に困ることなし!
作品:変な家
著者:雨穴
黒い家
主人公は、生命保険会社の京都支社に勤める若槻慎二。保険金の支払い査定で忙しく働いていたある日、顧客の家に呼び出され訪れると、子供の首吊り死体がー。死亡保険金が請求を受けるも、顧客の不審な態度にから他殺を確信。若槻は独自調査に乗り出すが…
次々に恐怖が襲う、戦慄のホラー小説。それでも、読む手は止まらない。私はこの小説をきっかけに一時、貴志祐介作品にハマった。
作品:黒い家
著者:貴志祐介
ぼっけえ、きょうてえ
戦慄と悲哀の、遊郭怪談をつづった4編の短編集。
岡山の遊郭で醜い女郎が、寝つかれぬ客に語り始める身の上話を描く。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密がー。明治、大正時代が舞台。差別や迷信が残る時代背景がさらに恐怖を掻き立てる。
タイトル『ぼっけえ、きょうてえ』は、岡山地方の方言で”とても、怖い”という意味。方言がリアリティを押し上げる、タイトル通りの和風ホラー。方言は、文章で読むと少し読みづらいが、オーディオブックならサラリと耳に届く。寝苦しい真夏の世、怪談を楽しんでみてはいかが。
作品:ぼっけえ、きょうてえ
著者:岩井志麻子
ぼぎわんが、来る
第22回日本ホラー小説大賞“大賞”受賞作
2018年12月、「来る」で映画化
妻との間に娘を授かったばかりで幸せな毎日を送る田原秀樹。そんなある日、彼の会社に謎の訪問者がやってくる。しかし、訪問者は姿を消し、取り次をした後輩は、本人さえ気づかぬ間に流血する大ケガ。秀樹の自宅でも、娘を狙うような“何か”の気配を感じるように。
これは、亡き祖父が恐れた化け物“ぼぎわん”の仕業なのか?
秀樹はオカルトに詳しいライター・野崎と霊感を持つ真琴に助けを求めるが、真琴も”あれ”に襲われて…。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、霊媒師の姉・琴子に助けを求めるー
ホラー✕ミステリー。さらに、人間の心の闇、人間関係の脆さをもクロスし描かれる。子供たちを山江連れていく化け物”ぼぎわん”の怪異現象の恐怖だけでなく、「人間の業」の醜さにも恐怖!
作品:ぼぎわんが、来る
著者:澤村伊智
夜市
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買い、成長した裕司は野球部のヒーローに。しかし、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れる――
あらゆる物や願いが売買されるという奇想天外な市場は、読者の想像力を刺激する。恒川光太郎の巧みな描写と緻密なストーリーテリングが光る。奇跡的、かつ、感動的なエンディングは用必見!
作品:夜市
著者:恒川光太郎
禁じられた遊び

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MY書評
幼い子供に「トカゲのしっぽを土に埋めてあげると、トカゲが生えてくるんだよ」と教えた父。子供の好奇心を裏切りたくないと思っての言葉だったが…
母が事故死で子供がとった行動は… 怖いけど、一気読み必至のホラー小説。
作品:禁じられた遊び
著者:清水カルマ
なまなりさん
妖艶な双子姉妹による執拗ないじめにより自殺に追い込まれた女性の復讐劇。怨念は、双子姉妹への復讐にとどまらず、実家の家族やその関係者にも広がっていくー。
怪異蒐集家・中山市朗が聞き取った実話。私は実話と知らずフィクション・ホラー小説と思って読了。最後の「解説」を読んで、身の毛がよだち全身に鳥肌…
世の中何が怖いって、一番怖いのは「人間」だと改めて実感させられる。恨まれることも恨むこともないよう、生きよう。
作品:なまなりさん
著者:中山市朗
百鬼夜行 陰
心理的な恐怖と人間の本質を鋭く描いた傑作ホラー小説
ホラー好きなら知らない人はいない「百鬼夜行」シリーズ。長編が多いので、本屋で見かけると躊躇してしまう人もいるかもしれないが、読み始めればそんな心配はご無用。優れたミステリーホラー小説で、圧倒的なファンは多い。
個性的なキャラや妖怪の仕業としか思えない怪事件は読む手を止めさせない。本作はサイドストーリーに当たる本。日常に潜む恐怖を描いた鬼夜行シリーズのスピンオフ10編を収録。「陰」というサブタイトル通り、陰鬱なストーリーが並ぶ。
作品:百鬼夜行 陰
著者:京極夏彦
人間椅子
おぞましい結末に鳥肌必至のホラー小説。
作品:人間椅子
著者:江戸川乱歩
非現実の面白さ「SF・ファンタジー小説」
現実世界では体験できないような未来や異世界を描くSF・ファンタージ―。SFは現実の延長線上にある、科学技術が進んだ未来を描くことで、読者にリアリティのある「もしも」の世界を想像させる。一方、ファンタジーは、現実から離れた幻想的な世界が想像力と広い視野を与えてくれる。
また、両者とも、異次元の世界が、現代社会とのギャップを浮き彫りにし、社会問題・環境問題・倫理について考えるきっかけを与えてくれる。特に、ディストピアな世界は、現代人にどう生きるべきかを考えさせるなど、学びも多い!
もしも徳川家康が総理大臣になったら
2020年。新型コロナの初期対応を誤った日本の首相官邸でクラスターが発生。政府を信頼を失い崩壊。そこで、政府はかねてから画策していたAIとホログラムにより偉人をよみがえらせる。
総理大臣・徳川家康を筆頭に、織田信長、豊臣秀吉、徳川綱吉、北条政子、足利義満 他が大臣に。そして、官房長官は坂本龍馬が努める。
彼らの偉業を知っている人なら、内閣組閣を見ただけも震えるほど面白い。
特に読者は、ストーリーの最後、徳川家康の言葉に心震えることになる!私は、読みながら目がウルウルしてしまった…
時代を作った偉人たちの目に、
・「現代の日本人」はどう映ったか
・ただ、コロナの危機を救うだけでなく、今の現代人をどう変えるべきだと感じたのかー。現代人、必見!
作品:もしも徳川家康が総理大臣になったら
著者:眞邊明人
残月記

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MY書評
吉川英治文学新人賞&日本SF大賞 をW受賞作
ダークファンタジー×愛×ディストピア
「月」で日常が一変する恐怖を描く、3つの作品集。
3つの物語は全て空想の異世界。しかし、リアルとアンリアルが絶妙に重なり合い、自分がダークな月の世界に迷い込んだ錯覚に陥いる。シリアスで恐怖や絶望など暗いテーマを扱いながらも、美しい月が神秘的な世界を描き出す。死現実の社会問題や、人はいかに生きるべきかといった哲学的な要素もあり、読者を考えさせる。
完成度の高い作品!著者の無駄のないしなやかな作風が、ディストピアなダークファンタジーの世界をより際立たせる!読了後、月の見方が変わる!
作品:残月記
著者:小田雅久仁
三体
文化大革命の時代から現代までの中国が舞台。偉大な父を文化大革命で亡くした中国人エリート女性科学者・葉文潔。信じがたいほどの愚かな行為を目にして人類に絶望した彼女は、秘密裏に、惑星〈三体〉の異星人に電波を送ってー。安定した環境を求めて地球への移住を計画する三体文明。地球の人類は、この脅威にどう立ち向かうのか―。
2008年に初版が発表された世界的ヒットSF小説。
本作は、科学技術の進歩とその限界、異文化との対話、そして、人類の未来について、読者に深く問いかける。文化大革命という歴史的背景、そして、人間の信念や倫理についても深く考えさせられる!
作品:三体
著者:劉 慈欣
超新星紀元
『三体』シリーズと同様、壮大なスケールで描かれる未来世界
近未来の地球で、ある日、銀河系内の超新星爆発が観測。この宇宙的な出来事は、やがて地球に壊滅的な影響を及ぼすことが判明する。超新星から放たれた放射線は地球上のすべての生命体に影響を及ぼし、大人たちは1年以内に全員が死亡する運命にあると…。大人たちは残された時間を使い、次世代(子どもたち)に文明を引き継ぐための準備を開始。国家運営、教育、技術の伝達など、大人たちが築いてきた社会の知識やスキルを必死に子どもたちに教え込む。やがて、完全に「子どもだけの世界」が到来するが、そこには混乱と暴力、希望と創造が入り混じっていた.ー
人類の未来は、この新しい世代がどのように世界を作り上げるかー。宇宙的な災害から文明の再構築までを描くスケール感は、劉慈欣作品の大きな特徴。しかも、人類そのものの本質を問いかける!
作品:超新星紀元
著者:劉 慈欣
プロジェクト・ヘイル・メアリー
第53回星雲賞 海外長編部門を受賞
未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく地球を発った男は、宇宙にて1人で人類を救う任務に挑むー。
著者は、2015年、マット・デイモン主演で映画化され、世界中で大ヒットを記録した映画「オデッセイ」原作の原作者(原作名『火星の人』)。早川書房の海外SFのなかでもっとも人気のある作品のひとつで、未知との遭遇、ファーストコンタクトSFが好きな方におすすめ!飽きさせない展開、次々と仕込まれた科学的なネタに、読み始めたら止まらなくなる人 続出。
地球滅亡の危機はどうなるのかー。気になる人は、今すぐチェック!
作品:プロジェクト・ヘイル・メアリー
著者:アンディ・ウィアー
華氏451度
本を読まなくなることで、奪われる人間の思考。効率化の果てに人々が自発的に思考能力を放棄してしまうなど、権力者が益々全体主義を推し進めやすい環境が揃っていく…
「人間にとって本とは何か?」「思考や記憶のかけがえなさとは?」深く考えさせられる、絶対に読むべき1冊。
作品:華氏451度
著者:レイ・ブラッドベリ
一九八四年

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MY書評
ビッグ・ブラザーという圧倒的支配者が君臨する架空の未来社会が舞台。そこでは、市民は、常に監視され、思想・行動が厳しく統制される。党の職員ウィンストンは、党の抑圧的な支配に疑問を抱き、内心では反抗的するが、やがて党に捕まってしまう。その彼の処罰に行われたことはー。
全体主義体制の恐怖、個人の自由の喪失、プロパガンダと監視社会の危険性がテーマ。その中で、「社会」「人間」の本質が鋭く描かれる。1949年に書かれたとは思えない、予言の書。現代をズバリ言い当ているオーウェルの「本質を見る目」は、天才!
作品:一九八四年
著者:ジョージ・オーウェル
動物農場

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MY書評
イングランドのとある農場での動物たちの革命と、その後の顛末を描いた物語。農場の動物たちは、過酷な労働と搾取に耐えかねて、農場主であるジョーンズ氏を追い出し、自らの手で農場を運営することを決意する。しかし、革命後の農場は次第に理想とはかけ離れていくー。
ソビエト連邦のスターリン体制を風刺し、政治的な権力の腐敗と専制政治を批判した作品。本作では、革命後の農場も、結局、狡猾な豚に支配されていくというおぞましい世界が描かれる。支配する側は強欲、支配される側も愚民。だから結局、支配される…。権力支配について深く考えさせられる1冊。
作品:動物農場
著者:ジョージ・オーウェル
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
「人間とは何か?」「人間と人工知能(アンドロイド)との違いは?」。フィリップ・ディックが斬新な着想で描く、ディストピア小説。
作品:アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
著者:フィリップKディック
高い城の男
現実と虚構が微妙なバランスで描かれる、「もし、第二次世界大戦の結末が変わっていたら」を迫真の筆致で描くフィリップ・ディックの最高傑作。
作品:高い城の男
著者:フィリップKディック
モモ
「時間貯蓄銀行」を称する集団の「灰色の男たち」によって時間を奪われていく人たち。しかし、良い暮らしをしようと時間を倹約して一生懸命に働き始めたはずが、時間を奪われた人たちは、どんどん心の余裕を失っていく…
忙しく毎日を過ごす、現代人に大事なものを思い出させてくれる!
作品:モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
星の王子さま
砂漠に不時着した「飛行士」と小さな星からやってきた「王子」との心温まる出会いを描いた物語。小さな王子の思考は、現代で言えば、いわゆる「不思議ちゃん」。飛行士にいろんな星で出会った孤独に暮す人々について語り出すー。
物語は小学生でも読める優しい文章。しかし、愛や友情、人間の本質についての深い洞察がいたるところに散らばる。サン=テグジュペリは、物語を通じて、大人たちが忘れがちな大切な価値観を伝える。読者は純粋な心や無邪気さ、そして本当の豊かさとは何かを考えさせられる!
作品:星の王子さま
著者:サン・テグジュペリ
ハリーポッターと賢者の石
シリーズは80ヵ国で翻訳。もはや内容を紹介する必要もないほどのベストセラー。その他シリーズ 7巻もKindle Unlimited対象。
作品:ハリーポッターと賢者の石
著者:J.K.ローリング
烏に単は似合わない

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MY書評
舞台は、「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」。世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。
美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?
異世界を舞台にした壮大なスケールな歴史ファンタジー。NHKアニメでは2024年4月から、シリーズ弟2作「烏は主を選ばない」が放送中。7月20日からは、シリーズ弟3作目『黄金の烏』編 が「烏は主を選ばない」の弟2クールとしてスタート!。シリーズ13作の読む順番はこちらで解説。
作品:烏に単は似合わない
著者:阿部智里
望月の烏

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MY書評
絶対権力者・博陸侯の後ろ盾のもとで、新たに異世界〈山内〉を統べる金烏代となった凪彦。その后選びのため、南北東西の大貴族の家から選ばれた、四人の姫君たちが、宮中での〈登殿の儀〉へと臨む。しかし下級官吏として働く、絶世の美姫の存在が周囲を引っ搔き回していくー
凪彦の后選び 登殿の一年を描く巻。登殿は4姫から選ぶ昔のスタイルとは異なり、政治的に誰が后、側室になるかを決める出来レースに。しかし、凪彦は下級官吏の澄生に惹かれていく。
【NHKで放送中の『烏は主を選ばない』のみご覧の方へ補足】
最新刊では、物語は次世代。若宮・奈月彦は『追憶の烏』で暗殺されて既にこの世にはおらず、凪彦が即位。雪哉は権力者へ。そして、本作では、凪彦の妃選びが!本作では、第一部で活躍した人たちが複数登場。したたかなあせびは絶対権力者として君臨、真赭の薄も登場。まだ、TVアニメしか見ていない方は、弟3作『黄金の烏』、人食い猿登場の巻から読み始めましょう!
作品:望月の烏
著者:阿部智里
面白い!笑える!「エンタメ小説」
エンタメ小説の特徴は、何と言っても、面白くて引き込まれるストーリー展開と、魅力的で個性的なキャラクター。登場人物がイキイキと描かれ、読者は心が明るくなる!読みやすく、テンポがよく、ページをめくる手が止まらない!読了後、晴れやかな気持ちになること、間違いなし!
夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦作品の入門編とも言うべき作品。作者が書くユーモアある世界観を一身に味わえる。
舞台は京都の街。主人公が想いを寄せる黒髪の彼女に近付こうと奮闘する恋愛ファンタジー!
「人事を尽くして、天命をまて。」なかなか成就しない恋も、努力は無駄にならない!京都の実在する場所が物語のポイントとなっており、読了後、京都に行ってみたくなる!
作品:夜は短し歩けよ乙女
著者:森見登美彦
すぐ死ぬんだから

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見た目にこだわる78歳のハナ。若く見せる努力を重ね、気合を入れて老いを遠ざけ生きている。そんな彼女を襲ったのは「夫の突然死」。そして明らかになった「不倫」と「子ども」の存在。落胆し、憤り、そして、それを乗り越え、再び歩き出す。
ハナさんのように老後を行きたいと思う人は多いはず!人生100年時代の痛快「終活小説」
作品:すぐ死ぬんだから
著者:内館牧子
終わった人
定年とはどういうものか、とても参考になる。ストーリーも面白い!
作品:終わった人
著者:内館牧子
わたしは愛される実験をはじめた。
本作の特徴は、単に小説にとどまらない認知額を応用した「恋愛テクニック」が学べること。レッスンのまとめページもあり。実際の恋愛に使えるかどうかは別として、知っておいて損はない😝ストーリーも軽快で面白い!
作品:わたしは愛される実験をはじめた。
著者:浅田悠介
正義の申し子
現実では引きこもりなるも、ネット上では大口を叩く、自称正義のユーチューバー “ジョン” 。マスクをかぶり、悪徳請求業者に電話をかけ、相手をおちょくった動画が爆発的な再生数を伸ばし、調子に乗ったジョンは、男とリアルに会って対決し、それを配信しようと画策する。しかし、本来気の弱い純。「ジョジョジョジョーン。笑いを愛し、笑いに愛された正義の申し子、ジョン様の登場だっ。今日もおまえらにジャスティスなショーをお届けするぜーっ」と調子よく、映像配信するつもりだったが、相手にマスクを取られたジョンは、気弱な純にー。ボコられておしまいか!?
タイトルはシリアス。しかし、その実態は、ノンストップコメディー!
作品:正義の申し子
著者:染井為人
時空を超えた感動「歴史小説」
私たちを過去の時代へと連れて行き、その時代の人々の生活、文化、そして運命に触れさせてくれる歴史小説。単なる娯楽にとどまらず、さまざまな時代背景を持つ物語を通じて、歴史への深い理解や、現代を見る目も養ってくれます。
両京十五日 1: 凶兆
明朝1425年を舞台に壮大なスケールで描かれる歴史冒険小説
物語は、皇帝の命令で北京から南京へ派遣された皇太子・朱膽基(しゅんせんき)が、宝船の爆破事件に巻き込まれることから始まる。皇太子の自分ばかりか、北京にいる肯定も命を狙われれる。陰謀の背景にいる黒幕は誰なのか?南京から北京まで1000km/15日の決死行が始まるー
皇位継承は守られるのか?歴史上の有名人たちが入り乱れて知勇を競う。実在の時代背景を基にした巧妙なストーリーが難く評価。次々と押し寄せる危機を知略と勇気で切り抜けるストーリー展開は読者の心をわしづかみ。さらに、朱膽基の成長や、旅の同行者・呉定縁の過去、蘇荊渓の復讐心など、深い人間ドラマも読者の心を揺さぶる!
作品:両京十五日 1: 凶兆
著者:馬伯庸
源氏物語

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MY書評
平安時代に書かれた紫式部の代表作を『源氏物語』。いろんな作家が現代語訳をしていますが、角田光代さん訳の特徴は読みやすさ!原文に忠実に沿いながらも、適度に内容を省き、ストーリーの流れ・重要な場面にフォーカスすることで、よりスッキリわかりやすい内容に!
主語を補い、敬語をほぼ廃していることで、文章がシンプルで読みやすい
・現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文。現代小説を読んでいるように読める
・細部までわかりやすい
・和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介
複数の本を読み比べた中でも、非常に読みやすい1冊!現代小説のように、面白く読めること、間違いなし!
作品:源氏物語
著者:角田光代
月と日の后

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MY書評
藤原一族の「望月の栄華」の影の立役者!道長の政治のコマとして、わずか12歳で入内。31歳で国母となり、32歳の若さで夫・一条天皇を失う。しかし、その後も子・孫など、約60年間にわたり政治を見守り、87歳で生涯を終える。その生き様はまさに偉人!
平安時代の血みどろの権力欲の塊のような人物に囲まれ自我を貫いた彰子の「聡明さ」と「器」は必見!「こんな素晴らしいだったのか!」と感動必至。“朝廷の和”を念頭に仁政を心がけた一条天皇の志を継ぎ、よき国を作ろうと尽力した彰子の生き様に胸熱!
NHK大河ドラマ『光る君へ』ファン、必見の1冊!
作品:月と日の后
著者:冲方丁
はなとゆめ

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MY書評
清少納言が敬愛した一条天皇の皇后・中宮定子との出会いと束の間の栄華、そして、権力を掌握せんとする藤原道長との政争に巻き込まれ没落していく様を、清少納言の目線で描いた歴史小説。
定子との出会いで、人生が輝き出した納言。しかし、華に酔いしれる日々もつかの間、権力を求めた一族の争いに巻き込まれ、運命は翻弄されていく―。
亡き定子を想い、清少納言は祈る。そして、夢を見る。定子が愛した「華」のすべてが、千年後も輝き続けてくれるようにとー。
清少納言が、いかに定子を敬い、愛したかに心震える。読了後、私の『枕草子』の見方をガラリと変えた感動作!
作品:はなとゆめ
著者:冲方丁
日本のいちばん長い日

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MY書評
それは、昭和20年8月14日正午から翌15日の正午、天皇陛下がポツダム宣言受諾をを国民に伝える「玉音放送」までの激動の一日のこと。第二次世界大戦末期の日本が降伏に至るまでの24時間を描いた歴史的名著。
膨大な資料と証言を基に、戦争末期の日本政府と軍部の内部で繰り広げられた緊迫した人間ドラマは、戦争を知らない日本人は絶対に読んでおかなければならない。「戦争終結」がいかに難しいか―。日本の中枢部にいた者たちの、それぞれがもつ〝日本的忠誠心〟のぶつかり合い、その「緊迫感」がひしひしと伝わる。本書を残してくれた著者に感謝したい。
作品:日本のいちばん長い日
著者:半藤一利
海と毒薬

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MY書評
解剖参加者は、自分を、どう自分を納得させるのか――。
舞台は太平洋戦争期。戦争末期、当時の九州帝国大学で起きたアメリカ人捕虜に対する生体解剖事件「九州大学生体解剖事件」をモデルに創作された小説。生きた人間を殺す「罪意識・倫理観」、人間の良心に問う、大変重いテーマを扱う。「死」に慣れてしまった解剖医たちの、人間の罪意識、倫理観の軽さにぞっとする。そして、読者は「お前の倫理観はどうなんだ!」と作家 遠藤周作に突きつけられる!
作品:海と毒薬
著者:遠藤周作
沈黙

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MY書評
守るべきは神への”忠誠心”か弱き者たちの”命”かー 司教の心の葛藤は涙なしで読めない。
戦後日本文学の名著舞台は、17世紀、江戸時代初期のキリシタン弾圧の長崎。実在したポルトガル人の司祭をモデルを主人公に、彼の目線を通じて、当時日本で行われた巣覚ましい弾圧、そして、司教や隠れキリシタンの心を描いた歴史小説。
キリスト教文学の最高峰であり遠藤周作の代表作!
日本の黒歴史に、号泣 必至!
作品:沈黙
著者:遠藤周作
樅ノ木は残った
作品:樅ノ木は残った
著者:山本周五郎
大名倒産
物語の主人公は、突然の大名家継承を命じられた若き浪人、山内伊右衛門です。江戸での放蕩生活から一転して、彼は債務に苦しむ藩の立て直しを図ることに。直面するのは藩内の陰謀や腐敗、そして莫大な借金!伊右衛門、さあ、どうする!
浅田次郎さんの巧みな筆致により、歴史の裏側に潜む人間ドラマが鮮やかに描かれる!知恵と勇気、笑いと涙の中で、読者は江戸時代の社会と人間模様を深く味わえる!
作品:大名倒産
著者:浅田次郎
黒牢城
舞台は、舞台は1578年の戦国時代の有明城(本能寺の変の4年前)。織田信長の家臣である荒木村重が信長に反旗を翻し、城に籠城。しかし、信長の大軍による包囲戦が長引く中で、城内では食糧不足や裏切り、謀略が渦巻いていく。
動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう助けを求める。事件の裏には何が潜むのかー
荒木村重という歴史的に「裏切り者」とされる人物を主人公にした点も挑戦的な作品。彼の葛藤や決断に人間味。歴史的事実とフィクションを巧みに織り交ぜながら、戦国武将の内面に迫る!
作品:黒牢城
著者:米澤穂信
ビジネスの苦悩・格闘を描く「お仕事・企業小説」
企業や業界を舞台に緊迫のビジネス模様が繰り広げられるビジネス・企業小説。生き残りを賭けた闘い、人々の成長に胸が熱くなるだけでなく、経営に対する考え方など、小説ならではの新鮮なアイデアが、新たな視点を広げてくれる点も魅力です。
破天荒フェニックス
次から次に襲い掛かる「死刑宣告=資金ショート」 etc. 次々と襲う絶体絶命のピンチを、破天荒な施策で乗り切り、賛同社員を増やしてく様が、面白い!特に会社の資金的危機を経験したことのあるビジネスマンは、共感しながら読めること間違いなし!まさに、失敗と苦悩からの学びが多いビジネス小説。
作品:破天荒フェニックス
著者:田中修治
マネーロンダリング
脱税をテーマに、恋愛や闇社会などの人間ドラマを交えた金融サスペンス小説
香港と日本が舞台。ヘッジファンド運用会社を経て、香港で日本人を相手にもぐりのファイナンシャル・アドバイザーを行うのは主人公・工藤秋生。そんな駆動の元に、絶世の美女・麗子がアドバイスを求めにやってくる。しかし、数カ月後ー。やってきたのは、50億円を日本から送金し行方不明となった麗子を探すヤクザ・黒木だった。
舞台設定にやや安っぽさを感じるモノの、そこは、橘さん。お得意のマネーの知識でぐいぐいと読者を惹きこむ!マネーリテラシーのUPにも役立つ1冊!
作品:マネーロンダリング
著者:橘玲
タックスヘブン
国際金融を舞台にしたミステリー
日本人ファンドマネージャーは転落死、バンカーは失踪。マネーロンダリング、ODAマネー、原発輸出計画、北朝鮮の核開発、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ…… これでもかと思うほど、金融の悪とその手口が登場するハラハラドキドキミステリー。
お金の魔力の前に、倫理・ルールを破ることへの抵抗感がなくなっていく「人のサガ」が描かれます。お金の怖さが小説を通じて感じられる1冊。
作品:タックスヘブン
著者:橘玲
トッカン 特別国税徴収官
税務署エンタテイメント小説
徴収官のなかでも特に悪質な事案を扱うのが特別国税徴収官、略して、「トッカン」。新米徴収官ぐー子は、鬼上司・鏡特官の下、カフェの二重帳簿疑惑や銀座クラブの罠に立ち向かい、人間の生活と欲望に直結した「税金」について学んでいく。
多くの人にとって、興味はあるけどチンプンカンプンな「税金」をテーマだが、税務知識・金融知識を織り交ぜながら話が展開するので、お金の勉強にもなる。滞納者VS徴収官のバトルは、稚拙な事件から、狡猾。陰湿なものまで様々。いろんな脱税手口を一度に楽しめる!シリーズ化されており、全4巻。全てAudible聴き放題!
作品:トッカン 特別国税徴収官
著者:高殿円
かばん屋の相続
経済小説家としても人気の池井戸潤さんが、融資、手形、会社設立、社長の突然の死など、大きなお金を絡んで巻き起こる悲喜こもごもを描く。タイトル『かばん屋の相続』はその中の1話。池上信用金庫の職員・小倉の取引先「松田かばん」の社長が急死。その遺言には、会社を支えてきた次男ではなく、家業を嫌い行員となった長男に全株を譲との記載がー。父の思いはいったいどこにあったのか?
その他、日テレ「花咲舞が黙っていない」シリーズの原作として映像化されたストーリーも。
作品:かばん屋の相続
著者:池井戸潤
シャイロックの子供たち
章ごとに異なる行員の状況・立場・心情などを描くことで、銀行の闇・人間の闇を描く群像劇。絡まる事情、人間関係。事件の真実は一体どこにあるのか?
映画・ドラマエンタテイメン色が強すぎ。小説の方が圧倒的に深くて作品に魅力!池井戸作品の面白さは、登場人物たちそれぞれの物語(背景・心情)と練られた人間関係、さらに、ラストへ向けた伏線回収の妙にある。
“シャイロック”とは シェークスピア の戯曲「ヴェニスの商人 」に登場する強欲な金貸しのこと。強欲金貸しの子供とは?これが意味するところは何なのか、考えながら読みたい!
作品:シャイロックの子供たち
著者:池井戸潤
下町ロケット
研究者の道をあきらめ、家業の町工場を継いだ佃航平。TBSドラマ「下町ロケット」は大盛況。下町メーカーの戦いに多くの人が感動!熱いビジネス小説。
もはや瀬悦明するまでもないベストセラー。
立ちはだかる困難に立ち向かう企業戦士の姿は、心を打つ。仕事への熱い思いが衰えてしまった方への、心の着火剤にも、本作をおすすめしたい!
作品:下町ロケット
著者:池井戸潤
七つの会議
夢は捨てろ。会社のために、魂を売れ。”働くこと”の意味に迫る
きっかけはパワハラ。万年係長がエリート課長を社内委員会に訴える。しかし役員会が下したのは、不可解な人事。二人に何かあったのか。この会社には何が起きているのか――。
社内で繰り広げられる不審な動きにハラハラ・ドキドキ。真相が徐々に明らかになっていく過程が面白い!
作品:七つの会議
著者:池井戸潤
株価暴落
作品:株価暴落
著者:池井戸潤
半沢直樹
不毛地帯
舞台は終戦から、ひたすら復興を目指して走り続け、経済が驚異的な回復を見せ始めた高度成長期の日本。終戦後、11年もの長きにわたるシベリア抑留という過酷な経験を経て、帰国後、総合商社に入社した男が、戦後の荒廃から社会が立ち直ろうとする激動の時代を背景に、再びビジネスという“戦場”に身を投じ、戦争体験という過去との葛藤を抱えながら、世界を相手に戦うさまを描く。
戦後、シベリア抑留という過酷な経験を経た後、その激動の時代を、商社マンとして必死に生きた、壹岐正という一人の男の生きざまがスゴイ!
作品:不毛地帯
著者:山崎豊子
私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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MY書評
虐げられる労働者たちの闘争を描く日本のプロレタリア文学の代表作『蟹工船』の現代版とも言えるような作品。現代社会で、上層階級に見下され軽んじられがちな下層労働者の現実を、小説とは思えないリアルさで描く。
読み物として面白いお仕事小説とは一線を画す。一方的に下級階層が上流階層の非道を罵る作品ではない。読者は、読了後、「人にとって仕事とは何か」、人間の本質、社会の本質を考えさせる。いい小説は、読者に多くを考えさせる!
作品:私労働小説 ザ・シット・ジョブ
著者:ブレンディ・みかこ
店長がバカすぎて

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MY書評
毎日そう思いながら、本屋で働く契約社員・京子。その腹立ちの原因は店長。長い朝礼、かみ合わない会話、書店員にも拘わらず本の知識不足、空気を読まない言動…とにかく、店長の一挙手一投足に腹が立って仕方がない。
ビジネスマンなら何度でも感じたことがあるであろう、仕事の苛立ちに共感必至のお仕事小説。
毎日、給料も安いし、腹は立つわで、ふざけんな!と思いながらも、京子は仕事を辞めない。なぜなら、本が好きだから。ここに、「好きを仕事にする」難しさを垣間見る!
作品:店長がバカすぎて
著者:早見和真
賞受賞作を読みたい方
文学賞を受賞した評価の高い作品を読みたい方は、以下もチェックしてみて下さい。
Audibleで最も読まれた本 ランキング:BEST OF 2023

#1![]() ハヤブサ消防団 池井戸 潤 |
#2![]() 汝、星のごとく 凪良 ゆう |
#3![]() 同志少女よ、敵を撃て 逢坂 冬馬 |
#4![]() 正体 染井 為人 |
#5![]() 正欲 朝井リョウ |
#6![]() ザリガニの鳴くところ ディーリア オーエンズ |
#7![]() 騎士団長殺し ―第1部 顕れるイデア編(上)― 村上春樹 |
#8![]() 火車 宮部みゆき |
#9![]() 爆弾 呉勝浩 |
#10![]() 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編 村上春樹 |
さあ、Audibleで読書をはじめよう

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